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家出少女と狐の神様
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「先輩、何か面白い話ないですか?」
そう言ったのは会社の後輩だった。30代半ばに差し掛かった私と違ってまだ20代で若く可愛らしい後輩は、見た目に反してかなりのオカルト好きだった。
「ん~?あなたが面白いと感じる話かあ」
昼休みに入って早々に弁当を食べ終えた私は食後のコーヒーを飲みながら呟く。そして、ふと子どもの頃のことを思い出した。
「あ…」
「何ですか?何かあります!?」
私の反応に後輩が目をキラキラさせる。私はその反応に若干引きながら話し出した。
「私が子どもの頃の話なんだけどさ。私、神隠しにあったことあるんだ」
私は地方の田舎の生まれだった。一軒家に両親と私の3人で暮らしていた。家の近くには神主もいない小さな稲荷神社があった。正月や祭りの時にお参りに行く程度だったが、やはり神社というのは子どもながらに特別な場所だと思っていた。
あれは7歳になったばかりの冬のことだった。些細なことで母とケンカをしたのだ。私は勢いで家を飛び出したが行くあてなどなく、近所の稲荷神社に行った。ただ、そこにいるだけだとすぐに見つかってしまうと思い、普段閉じられている社の中に忍び込んだ。母は私のことが嫌いに違いない。いなくなっても悲しまない。そんな風に考えて、決して帰るものかと思っていた。
夕方になり日が傾いてくると閉じられた社の中はすぐ暗くなった。ケンカをしたまま飛び出したこともあり上着すら持っていなかった私はすっかり凍えていた。それでも社から出なかったのは意地だった。
社の中でうずくまって震えていると、ふと空気が揺らいだのを感じて顔を上げた。社の戸が開いた音はしなかった。それなのに、目の前に男の人が立っていた。私はその人は狐の神様だと思った。だって、長い銀髪にまるで平安時代の服みたいな真っ白な服を着ていたし、何より頭に耳があったから。ややつり目だがとても綺麗なその人は、ポカンと見つめる私の前に膝をついた。
「お前、こんなところで何をしている?この寒さでは人の子などすぐ死んでしまうぞ?親はどうした?心配しているのではないか?」
「っ…お母さんは、私のことなんか嫌いだもん。心配なんかしないよ」
私が言うとその人は少し驚いた顔をしたけど、すぐにクスクス笑いだした。
「喧嘩でもしたのか?まあいい。ここで夜を過ごすわけにもいかないだろう。家に帰りたくないなら私とくるか?」
そう言って差し出された手を、私はとった。男の人が私の手を引っ張る。思わず立ち上がると、私は社の中じゃなくて大きなお屋敷の門の前に立っていた。
「え?うそ。私、神社にいたのに」
「ここは私の屋敷だ。好きなだけいるといい」
男の人はそう言うと私の手を引いて門をくぐった。お屋敷は時代劇で見るお屋敷みたいでとても広かった。廊下にも部屋にも灯りがついていてとても明るくて暖かかった。部屋のひとつに入るとどこからか十二単を着た綺麗な女の人がたくさん料理がのったお膳を持ってきてくれた。
「食べなさい」
そう言われて私は躊躇うことなく食べ始めた。今思うと信じられないけど、あの時は危ないかもしれないなんて考えはなかった。
暖かい料理は冷えきった体を温めてくれた。私が食べている間、男の人は手酌で酒を飲んでいた。
「ごちそうさまでした」
お腹がいっぱいになって手を合わせると、男の人は満足そうにうなずいた。
「あの、あなたは神様?」
「さて、どうかな。お前を化かすただの狐かもしれないぞ?」
そう悪戯っぽく笑って盃をおいたその人が手を叩くと、またどこからか女の人がきた。
「風呂に入って今夜はもう寝るといい」
その言葉に疑問や警戒を抱くことはなく、促されるまま風呂に入ってふかふかの布団でぐっすり眠った。
次の日、目が覚めて夢だったのかと思ったけど、目に入ってきたのは見知らぬ天井だった。
起き上がると昨日の女の人が入ってきて綺麗な花柄の着物に着替えさせられた。そのまま昨日の部屋に連れていかれると、男の人はもうそこにいて、空いた座布団の前には湯気が上がるお膳があった。
「おはよう。よく眠れたようだな」
「おはようございます」
挨拶をして促されるままご飯を食べる。食べながら私は寂しいと思った。家ではいつもお父さんとお母さんとご飯を食べていた。お父さんが仕事で遅くなっても、お母さんはいつも私とご飯を食べてくれた。でも、今目の前にいる男の人はご飯を食べていない。昨日もお酒を飲んだだけだった。
「神様はご飯を食べないの?」
「私は食べない。ひとりで食べるのは寂しいか?」
私の心を見透かしたように言われて私はとっさに首を振った。男の人はそれを見て笑っていた。
ご飯を食べたあとは男の人と一緒にお屋敷の庭を散歩したり裏山に連れていってもらったりした。お昼はおにぎりを山の中で食べた。日が暮れて夕飯を食べると女の人が露天風呂に連れていってくれた。露天風呂なんて滅多に入れないからはしゃぎまくって布団に入ると私はすぐに眠りに落ちた。
次の日、昨日と同じように女の人に着替えさせられて男の人がいる部屋に連れていかれたけど、私は食欲がなかった。ひとりで食べるご飯は美味しくなかった。
「家に帰りたいか?」
なかなか食べない私に男の人が尋ねる。私はうつむいたまま膝の上で手を握りしめた。
「帰れないよ。お母さん、きっと私のこと嫌いになったもん」
「そうか?お前はいつも神社にくるとき母親と手をつないで楽しそうに笑っていた。母親も笑っていた。お前の母親は、少し喧嘩をしたくらいでお前を嫌いになるほど薄情なのか?」
男の人の言葉に私の目から涙がポロポロこぼれ落ちた。
「お前は母親が嫌いになったのか?」
「違う!違うよお!」
ぶんぶん首を振って泣きじゃくる私の頭を男の人は優しく撫でてくれた。
「私、お母さん大好きだもん!」
「ならば帰って仲直りするといい」
男の人がそう言うと、目の前の景色がパッと変わって、そこは最初にいた社の中になっていた。
「さ、お帰り。仲直りしたらまたいつものようにお参りにおいで」
そう言って男の人が社の戸を開けると目が眩むほどの光が入ってきた。思わず目を閉じて、また目を開けるともう男の人はどこにもいなかった。
「それから私は社を出て家に帰ったの。帰ったらもう大騒ぎ。私はまる1日行方不明になっててたみたいで警察に捜索願をだされたのよ。警察や消防団が探し回ってくれたけど、私は見つからなくて、誘拐されたか川に落ちたかって捜索範囲を広げる相談をしてたところにひょっこり帰ってきたもんだから、両親は号泣するし警察には何があったのかって聞かれてね」
「そりゃそうですよね。あれ、でも先輩、さっき2日泊まったって言ってませんでした?」
「そうよ。私が感じた時間と実際の時間がずれてたの。で、私は社の中にずっといたって答えたわ。男の人のことは言わなかった。言ったってどうせ信じてくれないと思ったし」
私がそう言って肩をすくめると後輩は「それでそれで?」と身を乗り出した。
「病院で検査とかもされたけど異常はなくて、迷子だったってことになったわ。でも、夜は氷点下まで気温が下がるところだから、凍死してもおかしくなかったし凍傷もなかったからお年寄りたちは神隠しにあって帰ってきたんだろうって両親に言ってた。で、そのあとちゃんと母と仲直りして神社にお参りに行ったわ。まあ、その男の人に会ったのはそれきりだし、そのあと不思議な体験とかもしてないけどね」
「先輩はその男の人、神様だと思いますか?」
目を輝かせて尋ねる後輩に、私は「そう思う」と即答した。
「あの男の人は私が母とお参りしてるのを知ってたし、神様じゃなくてもあの神社の神様にお仕えする狐だったのかもって思ってる。どう?面白かった?」
「はい!素敵な話を聞かせてくれてありがとうございます!」
満足そうにうなずく後輩に笑って時計に目をやった私は慌てて立ち上がった。
「ヤバい!もう昼休み終わるよ!」
「え!うそー!」
慌てて食べかけの弁当をしまった後輩と一緒に私は仕事に戻った。しばらく地元には戻ってないから、今度の休みに久しぶりに帰ってあの稲荷神社にお参りに行こうと思いながら。
そう言ったのは会社の後輩だった。30代半ばに差し掛かった私と違ってまだ20代で若く可愛らしい後輩は、見た目に反してかなりのオカルト好きだった。
「ん~?あなたが面白いと感じる話かあ」
昼休みに入って早々に弁当を食べ終えた私は食後のコーヒーを飲みながら呟く。そして、ふと子どもの頃のことを思い出した。
「あ…」
「何ですか?何かあります!?」
私の反応に後輩が目をキラキラさせる。私はその反応に若干引きながら話し出した。
「私が子どもの頃の話なんだけどさ。私、神隠しにあったことあるんだ」
私は地方の田舎の生まれだった。一軒家に両親と私の3人で暮らしていた。家の近くには神主もいない小さな稲荷神社があった。正月や祭りの時にお参りに行く程度だったが、やはり神社というのは子どもながらに特別な場所だと思っていた。
あれは7歳になったばかりの冬のことだった。些細なことで母とケンカをしたのだ。私は勢いで家を飛び出したが行くあてなどなく、近所の稲荷神社に行った。ただ、そこにいるだけだとすぐに見つかってしまうと思い、普段閉じられている社の中に忍び込んだ。母は私のことが嫌いに違いない。いなくなっても悲しまない。そんな風に考えて、決して帰るものかと思っていた。
夕方になり日が傾いてくると閉じられた社の中はすぐ暗くなった。ケンカをしたまま飛び出したこともあり上着すら持っていなかった私はすっかり凍えていた。それでも社から出なかったのは意地だった。
社の中でうずくまって震えていると、ふと空気が揺らいだのを感じて顔を上げた。社の戸が開いた音はしなかった。それなのに、目の前に男の人が立っていた。私はその人は狐の神様だと思った。だって、長い銀髪にまるで平安時代の服みたいな真っ白な服を着ていたし、何より頭に耳があったから。ややつり目だがとても綺麗なその人は、ポカンと見つめる私の前に膝をついた。
「お前、こんなところで何をしている?この寒さでは人の子などすぐ死んでしまうぞ?親はどうした?心配しているのではないか?」
「っ…お母さんは、私のことなんか嫌いだもん。心配なんかしないよ」
私が言うとその人は少し驚いた顔をしたけど、すぐにクスクス笑いだした。
「喧嘩でもしたのか?まあいい。ここで夜を過ごすわけにもいかないだろう。家に帰りたくないなら私とくるか?」
そう言って差し出された手を、私はとった。男の人が私の手を引っ張る。思わず立ち上がると、私は社の中じゃなくて大きなお屋敷の門の前に立っていた。
「え?うそ。私、神社にいたのに」
「ここは私の屋敷だ。好きなだけいるといい」
男の人はそう言うと私の手を引いて門をくぐった。お屋敷は時代劇で見るお屋敷みたいでとても広かった。廊下にも部屋にも灯りがついていてとても明るくて暖かかった。部屋のひとつに入るとどこからか十二単を着た綺麗な女の人がたくさん料理がのったお膳を持ってきてくれた。
「食べなさい」
そう言われて私は躊躇うことなく食べ始めた。今思うと信じられないけど、あの時は危ないかもしれないなんて考えはなかった。
暖かい料理は冷えきった体を温めてくれた。私が食べている間、男の人は手酌で酒を飲んでいた。
「ごちそうさまでした」
お腹がいっぱいになって手を合わせると、男の人は満足そうにうなずいた。
「あの、あなたは神様?」
「さて、どうかな。お前を化かすただの狐かもしれないぞ?」
そう悪戯っぽく笑って盃をおいたその人が手を叩くと、またどこからか女の人がきた。
「風呂に入って今夜はもう寝るといい」
その言葉に疑問や警戒を抱くことはなく、促されるまま風呂に入ってふかふかの布団でぐっすり眠った。
次の日、目が覚めて夢だったのかと思ったけど、目に入ってきたのは見知らぬ天井だった。
起き上がると昨日の女の人が入ってきて綺麗な花柄の着物に着替えさせられた。そのまま昨日の部屋に連れていかれると、男の人はもうそこにいて、空いた座布団の前には湯気が上がるお膳があった。
「おはよう。よく眠れたようだな」
「おはようございます」
挨拶をして促されるままご飯を食べる。食べながら私は寂しいと思った。家ではいつもお父さんとお母さんとご飯を食べていた。お父さんが仕事で遅くなっても、お母さんはいつも私とご飯を食べてくれた。でも、今目の前にいる男の人はご飯を食べていない。昨日もお酒を飲んだだけだった。
「神様はご飯を食べないの?」
「私は食べない。ひとりで食べるのは寂しいか?」
私の心を見透かしたように言われて私はとっさに首を振った。男の人はそれを見て笑っていた。
ご飯を食べたあとは男の人と一緒にお屋敷の庭を散歩したり裏山に連れていってもらったりした。お昼はおにぎりを山の中で食べた。日が暮れて夕飯を食べると女の人が露天風呂に連れていってくれた。露天風呂なんて滅多に入れないからはしゃぎまくって布団に入ると私はすぐに眠りに落ちた。
次の日、昨日と同じように女の人に着替えさせられて男の人がいる部屋に連れていかれたけど、私は食欲がなかった。ひとりで食べるご飯は美味しくなかった。
「家に帰りたいか?」
なかなか食べない私に男の人が尋ねる。私はうつむいたまま膝の上で手を握りしめた。
「帰れないよ。お母さん、きっと私のこと嫌いになったもん」
「そうか?お前はいつも神社にくるとき母親と手をつないで楽しそうに笑っていた。母親も笑っていた。お前の母親は、少し喧嘩をしたくらいでお前を嫌いになるほど薄情なのか?」
男の人の言葉に私の目から涙がポロポロこぼれ落ちた。
「お前は母親が嫌いになったのか?」
「違う!違うよお!」
ぶんぶん首を振って泣きじゃくる私の頭を男の人は優しく撫でてくれた。
「私、お母さん大好きだもん!」
「ならば帰って仲直りするといい」
男の人がそう言うと、目の前の景色がパッと変わって、そこは最初にいた社の中になっていた。
「さ、お帰り。仲直りしたらまたいつものようにお参りにおいで」
そう言って男の人が社の戸を開けると目が眩むほどの光が入ってきた。思わず目を閉じて、また目を開けるともう男の人はどこにもいなかった。
「それから私は社を出て家に帰ったの。帰ったらもう大騒ぎ。私はまる1日行方不明になっててたみたいで警察に捜索願をだされたのよ。警察や消防団が探し回ってくれたけど、私は見つからなくて、誘拐されたか川に落ちたかって捜索範囲を広げる相談をしてたところにひょっこり帰ってきたもんだから、両親は号泣するし警察には何があったのかって聞かれてね」
「そりゃそうですよね。あれ、でも先輩、さっき2日泊まったって言ってませんでした?」
「そうよ。私が感じた時間と実際の時間がずれてたの。で、私は社の中にずっといたって答えたわ。男の人のことは言わなかった。言ったってどうせ信じてくれないと思ったし」
私がそう言って肩をすくめると後輩は「それでそれで?」と身を乗り出した。
「病院で検査とかもされたけど異常はなくて、迷子だったってことになったわ。でも、夜は氷点下まで気温が下がるところだから、凍死してもおかしくなかったし凍傷もなかったからお年寄りたちは神隠しにあって帰ってきたんだろうって両親に言ってた。で、そのあとちゃんと母と仲直りして神社にお参りに行ったわ。まあ、その男の人に会ったのはそれきりだし、そのあと不思議な体験とかもしてないけどね」
「先輩はその男の人、神様だと思いますか?」
目を輝かせて尋ねる後輩に、私は「そう思う」と即答した。
「あの男の人は私が母とお参りしてるのを知ってたし、神様じゃなくてもあの神社の神様にお仕えする狐だったのかもって思ってる。どう?面白かった?」
「はい!素敵な話を聞かせてくれてありがとうございます!」
満足そうにうなずく後輩に笑って時計に目をやった私は慌てて立ち上がった。
「ヤバい!もう昼休み終わるよ!」
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