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テレポート

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桜の花びらが風に運ばれて舞っている。

そんな春の静けさと共に時は流れ、ここにひとり。

Kは平日の午後、東京都内のスーパー「忠実屋」の屋上にあるゲームコーナーで物思いに耽っていた。


「よくがんばったな」

1回20円と彫られた形跡がおぼろげな、息を吹き返す術のないであろう、わたがし製造機を見つめていた。


その中でも、当時好きだったオバQの乗り物が特にお気に入りだった。探してみたら、古めかしい毛が3本のオバQが隅の方で佇んでいた。その表情がどことなく印象的だったが・・・


古いものから新しいものへ目を移すまで、どれくらいの時間が経ったのだろう。


「あなたは風に吹かれて不思議な体験したいと思いませんか?あなたを占います。」


いまにも倒れそうな睡魔で衰弱した両耳が、その異様なキャッチフレーズを捉え、思わず魅入ってしまった。



「あなたの前世は画家、未来を変えるにはテレポートが吉、方角は西。」


テレポート?

折しも季節は春、新しい生活を始めるのにちょうどいい。
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