魔王に誘拐された花嫁

さらさ

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⑳アリアの決断

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ーーーーー痛い!怖い!!誰か助けて!!ーーー

ああ、また最後の夢ーーー


ーーーーーー・・・これで・・・やっとあなたに会えるのね・・・



「アリア!!アリア!!」

ふっと目を覚ますと心配そうに覗き込む魔王様が居た。

「魔王・・・さま・・・」

「ああ、目が覚めたか、良かった。・・・とてもうなされていたが?大丈夫か?」

そう言いながら私の額の汗を拭ってくれる。
いつの間にか私の部屋のベッドに寝かされている。
嫌な夢のおかげでまた汗でびっしょりになっている。
最近また嫌な夢を見るようになってしまったな・・・
でも、最後に今までにないことを思っていたような・・・なんだったかしら・・・?

「アリア、突然残酷なことを言ってすまなかった」

上半身を起こした私の髪にそっと触れるように優しく頭を撫でる魔王様。

「残酷なこと?」

なんの事かしら。

「魔王に嫁ぐ事が神から決められていたなんて、残酷でしかないよな」

申し訳なさそうに言う魔王様。

「でも、俺は神に告げられたからではなく、本当にアリアにそばにいて欲しいんだ」

確かに、残酷だわ。私が魔王様を愛してしまえば待っているのは辛い未来だもの。
気遣わしげに見つめてくる魔王様を見ていると、突然涙が込み上げてきた。
ダメ、泣いては・・・そう思うのに、高ぶってしまった感情を抑えることが出来なくて、ハラハラと涙が頬を伝う。

「アリア、どうした?そんなに俺と一緒になるのが嫌か?」

魔王様が驚いておずおずと優しく親指で涙を拭ってくれる。
でも、一度溢れ出した涙はそう簡単に止まってはくれない。
魔王様が嫌なわけじゃない。
フルフルと頭を横に振る。
ああ、ダメだ感情が溢れる。魔王様の優しさに、好きになってはいけないと押さえ込んでいた感情が抑えきれなくなる。

「魔王様の事は好きよ」

そう言った瞬間、魔王様は私を抱きしめた。

「では、何故泣いているんだ?」

魔王様の胸に抱かれながらしばらくその逞しい胸と腕の温かさを感じていた。
とても落ち着く場所。ずっとこのままで居たいと思う場所・・・

「アリア?」

魔王様の心配そうな声に顔を上げると、魔王様の眉目秀麗な顔が目の前にある。

私は心に嘘をつかなくてはならない。
そして魔王様を傷付けると分かっていて言わなければいけない。
それは、残酷な未来を現実にしないために。

「魔王様の事は好きだけれど、同じくらいジルベート様もアレン様も、リリアム様も大好きよ」

にっこり笑って答えると、今度は魔王様が硬直したように言葉を失った。

「やっぱり私はここに居てはダメみたいですね、魔王様に期待をさせてしまうもの。神様のお告げかも知れないけれど、私は魔王様と一緒になるつもりはありません。ごめんなさい」

一気に言った。心がズキズキと苦しく締め付けられるけれど、魔王様を、愛し愛されて長年一緒に居た人を置いて逝くより、ずっと一緒に居た人が居なくなるより、まだ始まってもない今お別れする方がずっと傷付かない。傷付けなくて済む。

「・・・・・・」

魔王様は無言のまま、私を抱く腕の力だけが抜けていく。私はその隙に魔王様の胸をそっと押して腕から逃れると、少し距離を取った。
そして、魔王様の陰った瞳を真っ直ぐに見つめた。

「魔王様、今までお世話になりました。私を国へ返していただけませんか?」



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