僕が魔族のレイと恋に落ちるまで

さらさ

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2話 3人目の魔族

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僕は魔族に助けられて、魔族の世界に連れてこられちゃったのか・・・

「・・・分かった、レイ、助けてくれてありがとう。僕はここに居てもいい? 」

背の高いレイを見上げて伺うと、レイは僕の頭を撫でた。

「ああ、だけど、しばらくはこの部屋から出るな、周りはここに人間がいることをまだ知らない。しばらく俺だけしか話し相手になってやれないが、我慢できるか? 」

この人は、人間の僕になんでこんなに優しいんだろう。
でも、この手は安心出来る。

「うん、十分だよ」

僕はレイの優しさに答えるように微笑んだ。

「・・・お前は強いな」

「え? 僕は弱いよ? 姉にも負けるし・・・」

「そういう意味じゃない。こんな状況に置かれても泣くことも無く、自分の状況を受けいれている。お前は強いよ」

そう言われてちょっと嬉しくなる。
でも、泣いたからと言って状況が変わる訳でもない。
泣いて行動するのは姉のレティシアの仕事だった。
僕は陰ながら意見を言って姉を助ける役目、だから常に冷静に周りを見ることに慣れていた。

「ありがとう、そう言って貰えると嬉しい」

僕が笑うと、レイはほっとしたように僕を見た。

「何か必要なものがあれば言ってくれ、俺もずっとここにいる訳にはいかないが、できるだけ来るようにする」

「うん、ありがとう」

僕の返事を聞くと、レイはゆっくり微笑んでから、用事があると出て行った。

本当に、レイはなんでこんなに僕に優しくしてくれるんだろう?
肌の色は青くて、耳も尖っていて僕と同じでない事は分かる。
魔族からしたら、僕みたいな肌の色の人間は不気味じゃないんだろうか?



それから、レイは毎日僕にご飯を運んで来てくれる。
そんで、少し話をすると、また出て行ってしまう。
だけど、来る時に食事だけでなく、ぬいぐるみや花、本なんかを毎回持ってきてくれるので、僕は寂しくはなかった。

3日目に包帯を交換してもらってる時、レイが申し訳無さそうに僕の胸の傷を見る。

「傷が残りそうだな・・・治癒魔法が使えたら治してやれるんだが、魔族は治癒魔法を使えない。・・・すまん」

「どうしてレイが謝るの? 魔法? 魔族は魔法が使えるの? 」

ん?治癒魔法が魔族は使えない?
じゃあ、誰が使えるの?

「なんだ、お前は魔法を知らないのか? 」

レイが驚いたように聞いてきた。

「うん、たぶん人間は使えないよ? 」

そんな話物語でしか聞いたことがない。

「・・・もしかして、人間にも魔法が使えるの? 」

「魔力を持っていれば、誰でも使える。魔力量には人それぞれあるけど、クリスはそこそこ持ってるんじゃないのか? 」

「え? そうなの? 」

驚いた、僕にも魔法が使えるかもしれないの?

「・・・ねぇ、レイ、僕に魔法を教えて。後、戦い方も教えて欲しい」

僕はレイを見上げて、真剣な目で訴えた。
レイはそんな僕を、驚いたように見る。

「・・・魔法は教えてやる・・・けど、戦い方? 」

「うん、レイならあの洞窟を抜けて人間の世界に行くことが出来るんでしょ? 」

「ああ、行くつもりは無いが、行くのは簡単だろうな」

「なら、僕を強くして! 僕一人でも帰れるように鍛えて欲しいんだ! お願い! 」

レイが人間の国に行く事が出来ないなら、僕が強くなって帰ればいい。
何時までもここに居ることなんて出来ないだろうし、自分で何とかしないと・・・

「分かった。だが、無理はするなよ」

「うん、ありがとう、レイ」

僕がにっこり笑うと、レイは微笑み返してくれる。
そして、頭を撫でてくれた。


その日から僕は、レイに魔法の使い方を教えて貰ったり、剣の持ち方の基礎を学んだ。

ご飯を運んでくるのは、レイの信頼出来ると言う侍女さんが運んでくるようになった。僕の身の回りの世話もしてくれる。
ルーラと言う侍女さんは、最初僕を見た時驚いていたけど、直ぐになれたようで、最近は話しかけてくるようになった。

「クリス様、このドレス可愛いと思いません? クリス様にお似合いになると思います」

水色のドレスを見せながら嬉しそうに話してくれる。
それまでにも、レイが持ってきてくれたもので、部屋中は可愛い物でいっぱいだったけど、ルーラはカーテンやベッドカバーなんかをピンク色に変えて、更に可愛らしい部屋にしてしまった。

勝手に変えたわけじゃない、レイに相談しているらしいけど、ルーラが来てから、僕は完全に女の子だって思われてるんだと思った。

「 水色なんて薄い色、私達には似合いませんけど、クリス様の雪のような肌ならとてもお似合いになります! 」

今更、男だって言ってルーラに警戒されるのも嫌だし、レイはそんな事気にしないだろけど、しばらくは女の子で通しとこう・・・男だって分かったら、危険だと思われるかもしれない。

ルーラがいない間は魔法の勉強をして過ごした。
そんな生活にも慣れて2ヶ月がたった頃、突然荒々しく部屋の扉が開いた。

「レイグランド王子が隠している女はここか? 」

そう言って入って来たのは割腹のいい、厳つい顔をしたおじさんだった。

レイグランド王子・・? 隠してる・・

え?・・・レイって魔王の息子?

「なんだ? このガキは・・・人間?? お前! どこから入った! 何故ここに居る! 」

厳ついおじさんは僕を見て明らかに嫌悪感を顕にした。



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