僕が魔族のレイと恋に落ちるまで

さらさ

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21話 ナルサスとレイ

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翌日ナルサスに出会った時、ちょっと動揺してしまった。

「あれ? クリス・・・魔王様に抱かれたか? 」

僕を見るなり突然直球な質問・・・

「な、なんで?? 」

僕、顔に出てたんだろうか?
なんで分かったの?
焦る僕を、ナルサスはにこにこと微笑みながら見る。

「いや、クリスの魔力が上がってるから、多分そうだろうなと思ったんだけど、違うか? 」

「レイもだけど・・・魔族は魔力が見えるの? 」

どうして分かるんだろう?

「魔族が全員見えてる訳じゃないから安心しろ、特殊能力だから、この辺りじゃ、俺と魔王様以外には見えてないよ」

「そうなんだ、ナルサスは凄いんだね」

ナルサスは結構なんでも出来て、スマートにこなしてしまうから、ちょっとカッコイイ。
僕も見習わないとって思う事が沢山ある。

そう思いながらナルサスを見てふと、レイとの関係を思い出す。
ひょっとして、今までナルサスに会った事が無かったのはレイが会わせないようにしていたのかもしれない・・・

「ん? どうしたんだ? 」

不意に僕を見つめるナルサスに、思わず顔を赤らめてしまう。

「え? まじでどうしたん? 」

「何でもない」

僕はレイとナルサスのいけないシーンを想像してしまって思わず顔を背けた。

「 クリス顔赤いぞ? 俺の事意識してる? 」

「いや、違うから! 」

慌てて否定したけど、確かに、意識してるのかも・・・ナルサスはレイの事をどう思ってるんだろう?
僕の事は? ナルサスからしたら、僕はナルサスからレイを取った人じゃないんだろうか?

「・・・ねぇ、ナルサスはレイのことをどう思ってるの? 」

僕は思い切って聞いてみることにした。

「ん? 魔王様の事? どおって? 」

ナルサスは突然なんの事を聞かれているのか分からないというふうに返してくる。
これ・・・言っちゃっていいのかな・・・

「ナルサスは・・・その・・・レイと抱き合ったりしてたんでしょ? 付き合ってたの? 」

「ああ、何? レイから聞いたん? それとも、お前感がいいから気付いちゃった? 俺とレイは付き合ってたわけじゃないよ」

ナルサスはレイと同じ回答を返す。

「でも・・・僕がレイに抱かれるの何とも思わない? 」

「え? レイにもちゃんと愛する人が出来て良かったなって思うけど? 」

ナルサスは大人だな・・・
何でそんなふうに思えるんだろう?
そんなに、あっさりした関係なの?
ナルサスは大人だから、僕に気を使わせないようにそう言ってるのかもしれない。

「・・・僕、ナルサスからレイを取っちゃった? 」

こんなことを言うのもおこがましいかも知れないけど、僕がナルサスの居場所を奪ってしまったんじゃないだろうか?

「そんな心配しなくても大丈夫だよ、それより、今俺はお前に惹かれてるんだから、クリスとどうにかなれる方が俺は嬉しいんだけどな」

口角を上げてニカッと笑うナルサスは本当に何とも思ってない感じに見える。

「ナルサスはとてもいい人だと思うけど、僕はレイが好きなんだからね! ナルサスとどうにかなる気は無いよ!  」

「わかってるよ、別に無理に奪う気は無いから安心しろよ」

ナルサスはにっこり笑って言うけど、もっと他の人と恋愛すればいいのに、何考えてるんだろう?

「それより、お前は大丈夫なのか? 俺がこんな近くにいて、俺に対して思うことあるだろ」

「そりゃ、最初はヤキモチ妬いたけど、過去の事をどうこう言っても仕方ないし、今がちゃんとみんな納得出来てるならそれでいい」

レイとナルサスの過去についてはちょっと気になるけど、気にしてもしょうがないし、今はレイに愛されてる事を喜んだ方が絶対幸せだと思うから、気にしない。

「お前・・・大人だな」

ナルサスはそう言うと、僕の頭をくしゃくしゃと撫でる。

「昔から物事を客観的に見てしまう性格なんだからしょうがないよ、過去なんて変えられる訳じゃないし、それなら今をもっと楽しく過ごす事を考えた方が幸せじゃない? 」

「うん、やっぱお前いいわ、その年でそんな考え方出来るってやっぱ凄いわ、お前ならレイの事も幸せにしてやれそうだな」

ナルサスはにこにこと嬉しそうに僕を褒めてくれる。
きっと、ナルサスもレイの事が好きなんだ。
好きな人に幸せになってもらいたい思いが強いんだね。

「うん、僕、レイのこと幸せにしてあげたい」







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