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4話 リリアンナの決意(リリアンナ)
しおりを挟むシルル様にお揃いの服を着ようと言われて戸惑った。
自分でも分かってる。
私は太っているからシルル様の隣に立つとシルル様を引き立てるどころか、シルル様の素敵なイメージを崩してしまう。それなのに、2人でお揃いの服なんて着たらもっと無様なことになる。
そう思ったけれど、シルル様は全然気にした様子はなく、用意して頂いたドレスもとても可愛いものだった。
これで私が細ければもっと可愛く着こなせると思うんだけど、シルル様は一応可愛いと褒めてくださる。
それが何だか申し訳なくて、最近少し自分を甘やかしすぎたかなと思ってしまう。
シルル様にエスコートされてパーティー会場に入ると、近親者の方が既に集まっていらっしゃって、拍手で迎えられた。
「シルル様、おめでとうございます 」
「誕生日おめでとう 」
「シルル、おめでとう 」
一斉にみんながシルル様にお祝いの言葉を告げる。
「ありがとうございます 」
シルル様が天使のような微笑みでみんなに返すと、みんなシルル様の笑顔に顔を綻ばせて、そして隣にいる私に目が行く。
「シルル、みんなに婚約者を紹介してやってくれないか? 」
国王陛下がシルル様に促すと、シルル様が頷いて私を見る。
シルル様は私に目配せで合図を送ってからみんなの方へ向き直った。
「僕の婚約者のリリアンナだよ、僕達が結婚したら一族になるからよろしくね 」
シルル様の紹介に、私も隣で淑女の礼をとる。
「皆さま、よろしくお願い致します 」
私の挨拶に、「可愛らしい」と答えてくれる方とくすくすと笑う声が混じる。
顔を上げると、ご年配の方は笑顔だけれど、若い方は嘲笑を含んだ表情に見える。
その表情に、私も顔が赤くなるのを感じて俯く。
やっぱり私はシルル様の隣に立つのには相応しくないのだわ。
「ちょっと、みんな、リリアンナが傷つくから笑わないでくれる? とっても恥ずかしがり屋なんだから、ほら、俯いちゃって顔を上げてくれないじゃないか! 」
シルル様の言葉に、シルル様を見ると、真剣な顔で怒っている。
私のために怒ってくださるの?
私がこんな体型なのは自分を甘やかした結果、自業自得なのに・・・それとも、私が笑われると自分も恥ずかしくなるから?
「リリアンナ、気にしなくていいよ、少なくとも僕は気にしないからね 」
シルル様はそう仰るけれど、それでも私の事でシルル様まで笑われることになるのは嫌だ。
今はっきりとそう思った。
いくら政略結婚で、私が努力しなくてもシルル様の隣に立てるとはいえ、私ももう少し努力しなくては、本当にお飾りの妃になってしまう。
愛されないとわかっていても、そばにいるのに相応しくなろう。
今心からそう思った。
「シルル様、ごめんなさい 」
「ん? リリアンナが謝ることなんてないよ、僕もリリアンナのケーキを美味しそうに食べる姿が可愛くて好きでついつい進めちゃうし 」
シルル様の言葉に、私は思わず顔を上げてシルル様を見た。
可愛い? この私が? どんなお顔でそんなお世辞が言えるの? そう思った。
なのに、シルル様は本当に愛おしいものを見るような優しい眼差しで私のことを見ていた。
その表情に思わず息を飲むのと同時に、顔が火照る。
本当にシルル様は心の広い方ね、こんな私の事も受け入れてくれているというのかしら・・・それとも、素晴らしい方だからあえて表情には出さないだけかしら・・・
どちらにしても、シルル様は誰にでも笑顔で対応されるので本当の所がわからない。
でも、社交辞令だとわかっていてもシルル様に優しくされると余計恥ずかしくなる。
みんなに笑われるのも嫌だけど、シルル様に気を使わせてしまっているのが本当に申し訳なくて嫌だと思った。
「シルル様・・・今日はお招き頂きありがとうございました。そして、私にまでお気を使って頂き申し訳ございませんでした 」
シルル様の誕生日パーティーが終わって、エントランスまでお送り頂いてから、シルル様に向き直って改めてお辞儀をした。
「なんで謝るの? リリアンナは何も謝ることないよ、今日はとても楽しかった。こちらこそありがとう。しばらく会えなくなってしまうから寂しいけど、リリアンナが入学してくるのを楽しみに待ってるよ 」
シルル様は相変わらず素敵な笑顔を私に向け、そして、本当に寂しそうな表情をする。
「はい、私もシルル様にお会い出来る日を楽しみに致します 」
そう言って淑女の礼をした後、馬車に乗り込んだ。
・・・シルル様に再びお会いする日まで2年、目標が出来たわ!
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