16 / 30
16話 噂(リリアンナ)
しおりを挟むシルル様の事を思わず避けてしまってから、なんだか気まづくなって、あれからシルル様とまともにお話が出来ていない。
婚約者として失格だわ。
あれほどシルル様の事は意識しないようにしてきたのに、何故かとても意識してしまう。
これではダメだ思えば思うほど、どうしていいか分からなくなってしまった。
最近はシルル様もあまり私の所へは来られなくなった。
今はその方がいいかもしれない。
セイラ様のためにも、私がシルル様と親しくするのは良くないだろうし、このままでいいのかもしれない。
そんな事を思っていたある日、
「リリアンナ様、リリアンナ様にこんな事言っていいのか悩んだんですけど・・・ 」
クリスティナ様が少し遠慮がちに話しかけてきた。
ロザンナ様も一緒です。
「どうかされまして? 」
私が話を促しても少しの間何かを言い淀んでいるような感じです。
そして、クリスティナ様が勇気を振り絞ったように話し出す。
「あの、お気を悪くなさらないでくださいね、シルル様と噂になっている方がいらっしゃって・・・ 」
まぁ、セイラ様のことですわね?
噂になるほど仲良しなのね、・・・何?何故か心が重い。
「ええ、存じ上げてますわ 」
「え? リリアンナ様、知ってらっしゃったんですか? 」
2人が驚いて目を丸くして前のめりに問いかけてくる。
「ええ、シルル様も好きな方くらいいらっしゃるでしょ 」
「それはリリアンナ様ではないの? リリアンナ様がいらっしゃるのに、別の方と仲良くされるなんて・・・ こう言っては失礼ですけど、シルル様は酷いと思います! 」
ロザンナ様は自分の事のように怒りを顕に訴えている。
「でも、噂なのでしょ? 本人に直接確認した訳では無いのだし・・・ あまり噂に振り回されるのはよくないと思うの 」
私はシルル様の印象が悪くならないように、フォローをしたつもりだったけれど、心が少し和らいだ気がした。 私もその言葉を待っていたのかしら・・・
私もシルル様からはっきりと聞いた訳では無い。
「それは・・・ リリアンナ様のおっしょる通りですわ・・・ 」
「それにしても、シルル様はあまりリリアンナ様にお会いにならないわ 」
クリスティナ様、それは私のせいでもあるのよ・・・
「そんな事ないわ、シルル様はちゃんと私の事も気を使ってくださっているのよ、シルル様もお忙しい身なのだから、こちらにあまり来られないのをそういうふうに捉えては可哀想だわ 」
「リリアンナ様は本当にお優しいわね、どんな時もシルル様の事を想っていらっしゃるもの 」
「それはシルル様の婚約者として当たり前の事よ、私が特別なのではないわ 」
そう言うと、2人が私を感嘆の表情で見つめる。
「リリアンナ様は令嬢の鏡ね、それに引替え、セイラ様はシルル様と近しいのを自慢していらっしゃるご様子でしたわ! 」
そうなんだ、でも、ご自慢げにされるって事はやっぱりそういう仲なのかしら・・・
私は控えておいた方がいいわよね・・・
そんな事を思って折々の挨拶くらいで、大して関わりを持つことの無いまま、2年が過ぎました。
私は15歳になり、シルル様は17歳になられました。
シルル様のカッコ良さは益々女性がため息を着く様な素晴らしい方に成長されています。
そして、ある日、私の耳にとんでもない言葉が飛び込んできました。
「リリアンナ様! リリアンナ様がセイラ様を虐めてるって噂が流れてるんです! 酷いです! 」
クリスティナ様がすごい剣幕で私に報告に来てくれた。
「え? どういうことですの? 」
私も初めて聞く事に何が何だか分からない。
火のない所に煙は立たないって言うけれど、その火に私は心当たりがないわ。
「何故か、リリアンナ様がセイラ様に嫉妬して虐めてるって噂を聴いて、私とても腹だたしくて! リリアンナ様がそんなことなさるはずありませんのに! 」
「ええ、クリスティナ様、信じてくれてありがとう 」
「当然ですわ! お優しいリリアンナ様がそんな事なさるはずありません! 」
ロザンナ様も力いっぱい否定してくださる。私は本当にいいお友達を持ったわね。
2人の言葉に嬉しさをかみ締めていると、シルル様の執事のアグリが教室に現れた。
「リリアンナ様、シルル様がお呼びです。来ていただけますか? 」
10
あなたにおすすめの小説
強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します
天宮有
恋愛
私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。
その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。
シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。
その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。
それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。
私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。
断罪の準備は完璧です!国外追放が楽しみすぎてボロが出る
黒猫かの
恋愛
「ミモリ・フォン・ラングレイ! 貴様との婚約を破棄し、国外追放に処す!」
パルマ王国の卒業パーティー。第一王子アリオスから突きつけられた非情な断罪に、公爵令嬢ミモリは……内心でガッツポーズを決めていた。
(ついにきたわ! これで堅苦しい王妃教育も、無能な婚約者の世話も、全部おさらばですわ!)
【完結】ゲーム序盤に殺されるモブに転生したのに、黒幕と契約結婚することになりました〜ここまで愛が重いのは聞いていない〜
紅城えりす☆VTuber
恋愛
激甘、重すぎる溺愛ストーリー!
主人公は推理ゲームの序盤に殺される悪徳令嬢シータに転生してしまうが――。
「黒幕の侯爵は悪徳貴族しか狙わないじゃない。つまり、清く正しく生きていれば殺されないでしょ!」
本人は全く気にしていなかった。
そのままシータは、前世知識を駆使しながら令嬢ライフをエンジョイすることを決意。
しかし、主人公を待っていたのは、シータを政略結婚の道具としか考えていない両親と暮らす地獄と呼ぶべき生活だった。
ある日シータは舞踏会にて、黒幕であるセシル侯爵と遭遇。
「一つゲームをしましょう。もし、貴方が勝てばご褒美をあげます」
さらに、その『ご褒美』とは彼と『契約結婚』をすることで――。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
もし「続きが読みたい!」「スカッとした」「面白い!」と思って頂けたエピソードがありましたら、♥コメントで反応していただけると嬉しいです。
読者様から頂いた反応は、今後の執筆活動にて参考にさせていただきます。
乙女ゲームに転生したので、推しの悲恋EDを回避します〜愛され令嬢は逆ハーはお断りです!
神城葵
恋愛
気づいたら、やり込んだ乙女ゲームのサブキャラに転生していました。
体調不良を治そうとしてくれた神様の手違いだそうです。迷惑です。
でも、スチル一枚のサブキャラのまま終わりたくないので、最萌えだった神竜王を攻略させていただきます。
※ヒロインは親友に溺愛されます。GLではないですが、お嫌いな方はご注意下さい。
※完結しました。ありがとうございました!
※改題しましたが、改稿はしていません。誤字は気づいたら直します。
表紙イラストはのの様に依頼しました。
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
転生賢妻は最高のスパダリ辺境伯の愛を独占し、やがて王国を救う〜現代知識で悪女と王都の陰謀を打ち砕く溺愛新婚記〜
紅葉山参
恋愛
ブラック企業から辺境伯夫人アナスタシアとして転生した私は、愛する完璧な夫マクナル様と溺愛の新婚生活を送っていた。私は前世の「合理的常識」と「科学知識」を駆使し、元公爵令嬢ローナのあらゆる悪意を打ち破り、彼女を辺境の落ちぶれた貴族の元へ追放した。
第一の試練を乗り越えた辺境伯領は、私の導入した投資戦略とシンプルな経営手法により、瞬く間に王国一の経済力を確立する。この成功は、王都の中央貴族、特に王弟公爵とその腹心である奸猾な財務大臣の強烈な嫉妬と警戒を引き寄せる。彼らは、辺境伯領の富を「危険な独立勢力」と見なし、マクナル様を王都へ召喚し、アナスタシアを孤立させる第二の試練を仕掛けてきた。
夫が不在となる中、アナスタシアは辺境領の全ての重責を一人で背負うことになる。王都からの横暴な監査団の干渉、領地の資源を狙う裏切り者、そして辺境ならではの飢饉と疫病の発生。アナスタシアは「現代のインフラ技術」と「危機管理広報」を駆使し、夫の留守を完璧に守り抜くだけでなく、王都の監査団を論破し、辺境領の半独立的な経済圏を確立する。
第三の試練として、隣国との緊張が高まり、王国全体が未曽有の財政危機に瀕する。マクナル様は王国の窮地を救うため王都へ戻るが、保守派の貴族に阻まれ無力化される。この時、アナスタシアは辺境伯夫人として王都へ乗り込むことを決意する。彼女は前世の「国家予算の再建理論」や「国際金融の知識」を武器に、王国の経済再建計画を提案する。
最終的に、アナスタシアとマクナル様は、王国の腐敗した権力構造と対峙し、愛と知恵、そして辺境の強大な経済力を背景に、全ての敵対勢力を打ち砕く。王国の危機を救った二人は、辺境伯としての地位を王国の基盤として確立し、二人の愛の結晶と共に、永遠に続く溺愛と繁栄の歴史を築き上げる。 予定です……
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる