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婚約破棄は嫌ですわ!

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煌びやかなパーティー会場では、嫌な噂が飛び交っていた。
「ねぇ、聞きまして?第一王子様はメイミー様との婚約破棄を考えられているそうですわ」
「まぁ、わたくしもその噂を聞きましたわ。メイミー様の対応があまりに冷たいのですもの。時間の問題なのかしら。」

なんですって?
婚約破棄なんて嫌ですわ…!
絶対に破棄させたくないと考えたわたくしは、幼馴染であるリリティアに相談をしてみましたわ。
「じゃあ、どうやったら婚約破棄を防げるか? ですね」
とリリティアが言うと、コクリと頷いた。
「その方法を考えていたのですか?」
「うーん、思いついていないですわ……とにかく冷たい対応の誤解を解くには……」
するとリリティアは、目を輝かせながら言った。
「わかったわ。この方法で間違いないわ!明日準備してきますわ!」
「流石、リリティアね。ありがとうございますわ!」
そう言ってリリティアがひらめいた作戦とは……

* * *
次の日、学園での昼休みにリリティアと話していた。
彼女は、メイミーと同じ学園に通う幼馴染である。
「いい? 作戦その1はね……相手と仲良くなることよ」
そう自信満々な顔で言いましたわ。
「どうやってですか?」
と聞いてみた。
「うーん……」
と考え込んでしまう。
しばらく悩んだ後、思いついた様子で、
「やっぱり仲良くなるには、プレゼントがいいと思うわ!」
まぁ確かにそういうイメージはあるよな……と思いましたわ。
しかしわたくしは、不安だった。
「それで何をあげるんですの?」
と聞くと、待っていましたと言わんばかりの勢いで
「それはね、第一王子には、この花をプレゼントするのよ」
そう言って彼女が指さしたのは、小さな青い花。
「どうしてこの花ですの?」
と尋ねると、彼女は微笑みながら答える。
「だってこの花はね、『あなたのことを心から大切に想っています』って意味が込められているんだよ」
「え!?」
彼女の発言に驚きましたわ! なんでそんなことを知っているのでしょう? そんな疑問を持ちながら聞いてみましたわ。「でも、どうしてその花をプレゼントしたら仲良くなれるんですの?」
「それはね、この花の花言葉に『愛』や『永遠』が含まれているからだよ」
そう言って彼女は説明し始めましたわ。
「『永遠の愛』とか『永遠の幸せ』なんて言われるこの花はね、とっても縁起がいいものなの! だから、この花をプレゼントすればきっと相手も喜んでくれるはずよ」
と自信満々に答えた彼女に感心してしまいましたわ。
(確かにプレゼントすれば、相手の心を掴めるかもしれませんわ……)
そう思ったわたくしは、彼女から花をもらい受けましたわ。
そして学園での勉学を終え、彼と2人で帰ることになりましたわ。
そこで早速花を贈ることにしましたの。
「あの……実はこの花をあなたに贈りたくて……」
そう言うと彼は驚いた様子で、わたくしの顔を覗き込んできましたわ。
(いきなりプレゼントなんて迷惑だったかしら?)
と不安になりながらも、勇気を出して言いましたわ。
「あなたのことを心から大切に想っています」と。
婚約者である第一王子様は、
「ありがとう。」と微笑みかけ、受け取ってくださりました。

* * *
次の日、学園に行くと、リリティアが話しかけてきましたわ。
「うまくいったかしら?」
と尋ねてきた彼女に、わたくしは満面の笑みで答えましたわ。
「もちろんですわよ!」
そう言うと彼女は安心した様子で微笑みましたわ。
(これでもう心配はありませんわね……)
そして彼と楽しく会話をしているわたくしを見て、リリティアは言いましたわ。
「よかったわね」と。
その後、彼とは仲睦まじく過ごすことができ、婚約破棄をされることもなく、幸せに過ごしましたわ。
* * *
「ねえ、リリティア」
と話しかけたら彼女は微笑みながら答えてくれたわ。
「どうしたの?」
「あの作戦はどうして思いついたんですか?」
そう聞くと彼女は、少し恥ずかしそうにしながら答えたの。
「それはね……昔読んだ物語でこんなシーンがあったのよ……それで真似してみたくなっただけよ……」
(なるほど……そういうことだったんですわね)
「でも、結果的にうまくいってよかったですわ!」
そう言うと、彼女は笑顔で頷いてくれたの。
その後、わたくし達は仲良く学園生活を過ごしましたわ。

* * *
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