マイナー神は異世界で信仰されたい!

もののふ

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性剣の凄まじい効果

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「おーいっ、そっちが傾いてるぞ!もっと上げろお!」
「花は各所にセット済み?あ、そこの建物の二階!全裸で日光浴してる爺さんを隠して!」

その日のシャリアータの町は、いつも以上に騒々しかった。
ハビット公爵の居城に続く大通りは、掃き清められ、ゴミ一つ落ちていない。
その沿道には、花のプランターが等間隔に並べられ、建物の窓には花が飾られ、花を持った住民達が総出で何かを待っている。

町の出入り口である城門に取り付けられた大きな看板には、

『歓迎!!トールノア王国王太子御一行様』

とでかでかと書かれていた。

そう。今日は、王太子フッツメーン達が訪れる予定なのである。



「はあ、面倒な。王太子め。花の仕入れから看板代、王太子の接待費用。余計な出費をかけさせおる」
ハビット公爵邸の扉の前で、ルイドートが苦々しい顔で呟いた。
その隣でドロンズが言う。
「人の世界は面倒じゃの。わしらからすれば、身分で優劣を決める意味がわからぬわ」
クリソックスも、ドロンズに同意した。
「そうだよね。私達は完全に、信者数と、祈りや感謝の声の多さで、カーストが決まるよね」
「まさに、ネットの投稿小説サイトやSNSのような状態よの。強く求められる個神(こじん)が偉いのよ」
ルイドートは、ふう、と息を吐いた。
「王家も我々貴族も、高貴な血を重んじます。『為政者の血に恥じぬ生き方をせよ』。これは、私の父の言葉です。そういう為政者たれば、何の問題も無いのですが……」

その時、物見の塔から合図が送られたらしく、公爵家の騎士がガチャガチャと報告に来た。
「王太子様御一行が、城の門を今、通られました!」
「そうか。いよいよか。」
ルイドートは、苦々しい表情を引っ込め、『無』の表情になる。
「王族は偉いのだろ?愛想笑いせぬのか?」
尋ねるドロンズに、ルイドートは、
「馬鹿にわざわざ表情筋を使うのは、もったいないもので」
と答えた。


そのうち、向こうから来る馬鹿……いや、馬車が見えてきた。
百人の立派な騎士に囲まれて、いかにもVIPな登場である。

馬車はルイドート達の前に止まった。
扉が開き、白銀の甲冑を身につけた黒髪の若い男が、兜を抱えて降りてくる。

爽やかな口元。高く通った鼻筋。エメラルドのような瞳を持つ二重の美しい目。
それらは顔の中央に小さくまとまり、個人の造形を決める神がいるなら、「遊んでんじゃねえよっ」とぶん殴りたくなるような、残念仕様となっている。

「のう、あのバランスの顔、わしはインターネッツで見たことがあるような……」
「気のせいさ、ドロンズ。私は今、絶対にそれ以上は言ってはいけないような、そんな気がしてならないんだ」
「そうか。ならば、考えまいて」


呑気に雑談をしている二柱に、突然剣が突き付けられた。
見れば、王太子フッツメーンが腰に差していた剣を抜き、今にもそのどどめ色の刀身をクリソックスらに突き立てようとしている。

「無礼な爺どもめ。私を誰か知っていて、その態度であるか!」

二柱が何かを言う前に、ルイドートがフッツメーンを押し止めた。
「フッツメーン王太子よ。わが領においでいただき、光栄の極みに御座います。ところで、こちらの方達を知らずに無礼をしているのは、フッツメーン様も同じで御座いましょう」
フッツメーンのこめかみが、ぴくりと震えた。
「どういうことだ……?」
ルイドートはその辺りに飛んでいる虫を見るような眼をして、フッツメーンに告げた。

「この方達こそ、異界の神、ドロンズ様とクリソックス様で御座います」


フッツメーンは驚愕した。
「この爺どもが、だと……?!」

一人は背の低い、つるりとした頭の丸顔の爺だ。
もう一人は、白髪白髭の背の高い爺である。
威厳も何も感じられぬ、そこらに転がっていそうな爺だ。

(この爺達が邪神!?……いや、邪神は狡猾だ。正体がバレぬよう、こんななりをしているに違いない。だとすれば、あまり刺激して藪をつつくのはまずい)

フッツメーンは、とりあえず剣を収めた。
「神か。何を司る神か」

「泥団子じゃ」
「クリスマスプレゼントの靴下だよ」

(方便にしても、何故、そんなものを司ることにしたんだ、邪神よ……!)

どんな反応を返せばいいか見当もつかず、フッツメーンは頭を抱えた。
だが、そこへ救いの神が現れた。
ルイドートである。

「フッツメーン様、まずは中へお入り下さい。話はそちらで伺いましょう」

「お、おお。そうだな!中で仕切り直しだ!」
いつもは苛立つルイドートの仏頂面が、なんだか神々しい。
フッツメーンは、張り切ってハビット公爵邸の中に足を踏み入れたのである。



さて、ハビット公爵といえば、美術品の収集家として有名である。
公爵邸の中は、多くの価値の高い美術品が見られると楽しみにしていたフッツメーンは、邸内のお宝達に唖然とした。

そこには、美しい玉が飾られていた。
延々と。
玉ばかりが。

「た、玉しかない……」
「おお、フッツメーン様。これが、ドロンズ様の司る泥団子で御座います!見てくだされ。この美しい照り艶を!ここまで育てるのに、大分苦労しましたよっ」

「お前の作品かよ!!」
フッツメーンは、盛大に突っ込んだ。

「おい、お前は美術品の収集家だろう!他の美術品はどうしたんだ!?」
「は?あんなもの、泥団子の芸術性に比べれば、ゴミカスも同然。売って、神殿の建設費用にあてましたよ」
あの芸術狂いのルイドートの言葉とは思えぬ。

散財し、美術品を売り払い、泥団子を増産するルイドート・ハビット。

異常だ。人が変わってしまったとしか思えぬ。
フッツメーンは、思い至った。
(泥団子……。そういえば、ドロンズとかいう丸顔爺は、泥団子の神…』)
「洗脳かっ!おのれ、邪神!」

フッツメーンはギロリとドロンズを見た。
「まさか奥に連れ込み、私にも泥団子の洗脳を!?」
ドロンズは、呆れたようにフッツメーンに言った。
「急に何を言っておるのじゃ?落ち着け」
フッツメーンを宥めようと、ドロンズが伸ばした手をかわして、少し距離をとる。
「私を害する気か?させん!私は、勇者だ!逆にこの『性剣エクスカリバー』をもって、お前達邪神を、倒してやる!」
そう言って、エクスカリバーを引き抜いた。


「フッツメーン様、我らも加勢致しますっ」
フッツメーンの連れてきた騎士達がわらわらと集まり、臨戦態勢になる。
騎士の一人が飾られていた泥団子にぶつかった。

「ああっ!一番のお気に入りが!!」
ルイドートは、棚から落ちる泥団子を救いに走った。
同時にフッツメーンがエクスカリバーを振り下ろす。
ルイドートは、ドロンズとフッツメーンの間を横切ろうとし……、

エクスカリバーに斬られた。

性剣エクスカリバーの効果が発動する。


パアンッッ!!!


なんと!
ルイドートの身に付けていたものが、全て細切れになり、ルイドートは全裸になった!

「イヤアアアア!!!」
ルイドートは股間を押さえてうずくまった。
だが、ルイドートは気づいてしまった。

ルイドートの身に付けていた古代遺物アーティファクト『アデラネイチャー』も細切れになっている。

ルイドートは、全力でハゲ散らかしてしまった。

「イヤアアアア!!!」
ルイドートは、頭を押さえて、地面に突っ伏した。
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