上 下
39 / 155
第四章

第四話 奴隷化計画

しおりを挟む
 国家警察の発足について、倉庫には車輪を中心に元レーサーやオヤジ、

住民が久々に集まって話し合っていた。もう我慢の限界である。政府

は暴力集団には好き放題やらせておいて、住民には法を守れと犯罪者に

抵抗するのを取り締まるのだ。暴力集団もこの前の壊滅作戦など何処

吹く風、好き勝手暴れられると狂喜乱舞している。


 とはいえ政府の事、どうせまた状況が変われば暴力集団とて簡単に

裏切られるのだ。現政権にとって一般国民など安価な労働力かつ税金

製造機、上流国民さえ安泰ならば何の問題も無い。ここまで来れば

流石に無気力無関心だった一般人もタガが外れるだろう。諸外国で

成功してきた「民主的に国民を奴隷にする方法」は崩れ始めていた。


 大昔の様に強圧的に国民を支配すれば、いずれ滅びる。権力者は

そうならないように支配するにはどうすれば良いかを何百年も研究

してきたのだ。その答えが気力を奪って少しずつ洗脳していく事で、

スラムは放置されていたのでは無く、初めから「奴隷化計画」を

実行されていただけだったのだ。


 日本人の場合、同調意識が強いので奴隷化計画は驚くほど簡単に

進んだ。だが大人しい者ほど一度怒ったら手が付けられない。この

重要な部分を現政権は忘れており、諸外国の国民と同じに考えて

いるのだろう。その「日本人らしさ」を薄める意味も込めて外国人

を大量に入国させたのだが、失策だった事に気付くのはまだ先だ。


 いずれにせよ警察による締め付けが始まると、今まで以上に苦戦

を強いられる事になる。車輪は国家警察の組織が整うまでに真友

連合を叩き潰し、この国を操って国民を奴隷足らしめんとした国賊

を討つ決意だ。元レーサーや住民達も、この地域だけでなく全国で

賛同する者と連携する計画を立てた。





しおりを挟む

処理中です...