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第七章

第八話 鉄橋

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 列車上の敵を倒した車輪は、線路が道路と並走する地点が無いか

神経を尖らせながら、コンテナ貨車の端部に座って体力を回復させる。

列車は無人運転のディーゼル発電機関車なので、線路上に異常が無い

限り、銃撃戦の騒ぎ等無かったかの様に走り続ける。すると進行方向

右側に並走する道路が出現、やはり車に乗った追手が来た。


 「居たぞ、あそこだっ」、、車輪を発見するや機関銃で狙い撃ち

してくる殺し屋。車輪は急いでコンテナに上りうつむけに伏せるが、

相手の車からだと弾がギリギリ当らない角度、このままでは被弾

してしまう。かと言って反対側のコンテナ側面に、左手だけでブラ

下がるのは危険だ。うつむけでコンテナ上にへばりつくしか無い。


 道路は次第に線路から離れ、敵の車も離れていった。しかしすぐ

また現れるだろう。今のうちに列車の後方へ移動し、スピードが

落ちた時に最後尾から飛び降りる事にした。横から飛び降りると

線路脇に何があるか分からないので危険だからだ。だが最後尾まで

移動すると、鉄橋の上でブレーキ音を出し急停車してしまった。


 特殊警察からの連絡で、鉄道指令センターはこのコンテナ列車を

停止させたのだった。全長400mの列車は幅600mの河の鉄橋

に完全に収まり、車輪の逃げ場は無い。特殊警察の殺し屋は次々と

応援を呼び、鉄橋の両端から機関銃を持って迫って来た。しかし

車輪は最後尾のコンテナ車の連結器にある解放ピンを外す。


 連結器を外すと、背中を貨車に付け両足で解放したコンテナ車を後方

に向かって思い切り押し込んだ。ゆっくり動き出し次第に時速10キロ

程になるコンテナ車に車輪は飛びつき、後ろから迫る殺し屋は「うわっ、

バックして来たっ」「何故だ!?危ない河へ飛び込めっ」と片っ端から

河へ飛び込み、コンテナ車はそのまま車だけ残した対岸まで辿り着いた。

 
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