スーパーシティ ～放置国家～

第十章

第十話 絶対阻止

　頑丈なシャッターによって袋の鼠となった車輪達は、職員がこの車

なら無理矢理だが線路の上を走れると言ったのを思い出した。最新の

電気自動車は車高が低く、想定外の場所を走ると自動運転システムが

壊れる可能性があるが、何十年も前の４リッターガソリンエンジンの

セルシオならば不可能では無いかもしれない。


　元レーサーはハンドルを右に切って、植栽で出来た中央分離帯を乗り

超え反対車線に躍り出た。後ろから追ってきた武装車両は数発弾を発射

し、セルシオの後部に２発当ったが逃走を阻止するには至らなかった。

「線路ならあそこにあるぞ！」、、高速を出てすぐの道路の脇に線路を

認めるや、道路を横切り車ごと線路に乗り上げて出口方面へ向かった。


　案の定、線路にはシャッターの様な物は無かった。そこまで想定は

していなかったのだろう。幸い外の世界を行き来する貨物列車も本数

が少ないので、前や後ろから迫って来る事も無さそうだ。「あの職員、

いいヒントをくれたぜ」、、車輪は後部座席から助手席に移ったが、

その時１台のドローンがセルシオを追い抜いて行った。


　「どうせモニター見ながら動向監視つもりだろ」、、スーパーシティ

の出口を過ぎ、鉄橋の上を落ちない様に元レーサーは慎重に車を走らせ

た。出口では武装ロボットが数体銃を構えたが、その時セルシオを追い

抜いたドローンが前方の鉄橋を爆破、破片がフロントガラスに当る。

「しまった、油断させておいてその為のドローンだったか」、、


　こうなると濠に飛び込んで岸まで泳いで逃げるしか無い。「飛び降り

ようっ」、、車輪がドアを開けると、元レーサーは車を停めた。「いや、

２人とも飛び込んだ所を奴らは上からマトにするつもりだろう。だが車

がバックして突っ込んで来たらパニくってそれ所じゃねえ、その間に

泳いでる奴は逃げ切れる」、、