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最終章

最終話 生き残り

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 侵略軍の最後の仕上げの前に突然富士山は噴火、車輪は屋上から投げ

出され、ピラミッドはオヤジを乗せたまま崩壊し、東京近辺は2m近い

火山灰が降り注いだ。それから一夜明け、風雨は収まったが、崩壊した

スーパーシティやスラムは灰に覆われ、まるで砂漠に飲み込まれた町の

様だ。その砂漠を一人歩く男、それは奇跡的に生き残ったオヤジだった。


 オヤジは丸一日、灰に覆われた廃墟を車輪を求めて探し歩いた。だが

車輪どころか人の影は全く無い。何時間経ってもどんよりした雲の下、

灰にまみれ廃墟となったかつての日本がそこに静かにあるだけだった。

オヤジはとうとう膝をつき、大粒の涙をボタボタと流した。足元の灰は

ゆっくりとその涙を吸収していく。


 「ううぅっ、車輪っ、俺はお前が死んだとは思っちゃいねェ、誰も

お前の最後を確実に見たワケじゃねェんだ、、、他の人達だってそうだ、

俺の様に奇跡的に生き残った人間が必ず居るハズだ、、、だがその生き

残りもこの状況で長く生き延びられるのは更に限られて来るだろう、、、

だが俺はやってやるぜ、こうして命ある以上はまだ終わっちゃいねェ、


 まだ負けちゃあいねェんだっ!!俺は絶対に負けねェぞっ!!自分が

心底負けたと思わねェ以上は本当の負けじゃねェんだっ、侵略軍だろうが

大災害だろうが上等だぜ、必ず生き残った人達を探し出して日本を再起

させてやるからなっ!!、、、俺とお前が会う事はもう二度と無ェかも

しれねェが、俺はお前が必ずどこかで生きてるのを信じてるぜっ」、、、


 雲一面だった空は、少しだけ太陽の光が差し込む様になっていた。

                               完



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