出来損ないのローレライは愛を唄う

野中にんぎょ

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目の前の王子と、心の中の彼

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 ラウの体温にこの肌が焼けてしまいそうになったことを、ありありと思い出す。リカは海底から地上を想い、ため息を吐いた。
「今、ため息を吐いたか」
 ゼゼから鋭く問いかけられ、リカは首を振った。贅を尽くした海の恵みも、あの指から与えられたスミレを思うと味気なかった。
 王子からの求愛などなかったのだと思ってしまうほど、時が経っていた。けれど、そうではなかったらしい。兵を介してゼゼの怒りをしたためた知らせが届き、リカは彼の棲む城に馳せ参じることとなった。
「晩餐が気に入らないか」
「いいえ……」
「ではなんだ。なぜそんな顔をする。そういえば、ボクはおまえが笑っているところを見たことがない。笑って見せよ。そうすれば数々の無礼を許してやる」
 数々の無礼とは……? リカはゼゼを見やり、ため息を堪えた。
「どうした。早くしろ。このボクが譲歩しているのだぞ」
「おれも、ゼゼ様が笑ったところを見たことがないです」
「なんだ? ボクの話などしていない、話をすり替えるな」
「すり替えてなどいません。同じことだと思いませんか。おれもあなたも、互いの前で笑ったことがないんです。それは、互いに心を許してないからじゃないんですか……」
 しまった。王子を相手に言い過ぎた。ゼゼは瞳を見開き、「心」と、言葉の一片をなぞった。
「おまえも、ニンゲンに興味があるのか」
 思わぬ問いを向けられ、リカはたじろいだ。
「セレヌス様は、ニンゲンに強い関心を持っておられたと聞いている。おまえにも、その影響があるのかと思ってな。海と陸に分け隔てなく注がれた興味関心が、柔軟な政策の源泉となったのだろう」
 その言葉に、今までの印象が翻りかける。この海では祖母をよく思っていない者が多い。再び黙りこくったリカに、ゼゼは眉を歪めた。
「なんだ。また、気を悪くさせたか」
「……いや、驚いて。てっきり、現王族の方々は祖母をよく思っていないものだと……」
「セレヌス様は、強く、美しく、聡明なお方だったと聞いている。セレヌス様ほどの手腕がなければ、あの動乱の時代は乗り越えられなかっただろう。この海に平和が訪れたのは、ひとえに、セレヌス様が一手に政を引き受けていたからだ」
 そう語るゼゼの瞳に、偽りは感じられなかった。
「そんなことを言われたのは、初めてです」
「なんのことだ?」
「祖母のことを、そんなふうに受け止めている方は、少ないから……」
「それは、セレヌス様から王の座を奪うため、多くの人魚が画策していたからだろう。父上は、彼女の露払いほど大変な仕事はなかったと時折嘆く。まるで、今も彼女が生きていて、共に海を守っているかのように」
 ゼゼの面に、ほのかな温みが浮かぶ。
「おまえ、は、おやめください」
 ゼゼの面から感情が消え去り、「それはなぜだ」と投げかけられた。空気が張り詰め、額に汗が浮かぶ。
「おれとゼゼ様が番になれば、この城で共に過ごすことになりましょう。ゼゼ様が、おまえ、と呼べば、きっと大勢が振り向きます。ゼゼ様は、おれの名を知っておいででしょう。どうか、名でお呼びください」
 ゼゼは無表情のまま顎を摩り、頷いた。
「善処する。……が、ボクにも不満があるぞ」
「なんなりと」
「それだ」
 こちらを指差した人差し指は、まるで槍のようだった。
「リカはボクより年上だろう。だのに、なぜそのような言葉遣いを? 堅苦しいのはやめろ。友人に接するように砕けてくれて構わない」
「友人って……。おれにそんな人魚がいないことは、ゼゼ様だってご存じでしょう」
「なに? そうなのか? それなら、姉上に接するように、だ。……安心しろ。ボクも友人がいない。だが、それで問題が起きたことなど一度もない。リカだってそうだろう?」
 ずれたポイントで得意げにするゼゼに、隔てていた壁がどしゃっと崩れた。
「ふはっ。なんですか、それ。声高く自慢するようなことじゃないですよ」
 クツクツ笑うと、ゼゼは大きくした瞳でリカを覗き込んだ。
「笑った」
「……え?」
「リカが、笑ったぞ」
 ご馳走を並べたテーブルを越え、ゼゼが眼前まで迫って来る。戸惑っているうち両手で両頬を包まれ、リカはキュッと息を詰めた。
「ゼゼ様、あの、」
「ゼゼでよい。父上も母上には名を飾らず呼ばせていた。リカ、おまえは、笑うと、こう……。そうだ、幼いウミグモのように、なんというか……、」
 ウ、ウミグモ? リカは指先ほどのウミグモを思い浮かべ、疑問符を散らした。
「そうだ。ニンゲンの言葉で、アイ、というのがある。きっとそれだ。リカの笑顔は、ボクにアイを感じさせる」
 耳の先に熱が灯る。ゼゼは「リカに見せたいものがある」と言い、奥へ進んだ。
「ゼゼ様、どちらへ」
「ゼゼでよいと言っただろう。同じことを二度言わせるな。……この塔には書庫があってな。ボクはニンゲンの言葉がほんの少ししか分からないが、リカならあるいは、と」
「……おれをからかっておいでで?」
 この海で「書物」と言えば、それはニンゲンが書いたもののこと。なぜ、そんなものが、王の住処であるこの塔に?
「おかしなことを言う。リカをからかってなんになる」
 名前を呼んでとは言ったけど、そう何度も呼ばれると……。リカは頬を火照らせ、押し黙った。ゼゼはそんなリカには構わずに、「見よ」と、リカの背に手を添えた。
「わ……!」
 高く吹き抜けた場所に、整然と本が並んでいる。それも、並みの数ではない。
 ばーちゃんの書庫の何倍もある……!瞳を輝かせるリカに、ゼゼは今こそはっきりと微笑んだ。
「こんなに、本が……! 信じられない! 見つかったとしても、並べられるほど形のよいものはそうそうないのに!」
「ここにある書物はすべて、父上の魔力を振りかけてある。それで朽ちないのだろう」
「まさか。ありえない」
「ボクもにわかに信じられないが、そのようだ。手に取ってみるがよい」
 おそるおそる背表紙に触れる。ピンと弾かれたような感覚の後、それは見る間に指先に馴染んで、リカは衝動のまま本を開いた。
「すごい。文字がこんなにはっきり残ってるなんて……!」
 それは草花の図鑑だった。淡くはなっているが、確かに色彩が残っている。文字の羅列を夢中で追うと、砂漠に囲まれた遠い異国、そこに生息するたくましい草花が、瞼の裏に浮かんだ。
「魔力を常に与え続けなければ、こんなことはありえません!」
「うむ。父上の無尽蔵の魔力がなければ、これらはとっくの昔に海の藻屑となっていただろう」
 祖母が生きていた頃。小さな書庫にはひっきりなしに書物が出入りし、祖母はそこにある本すべてに魔力を込めていた。幼心にも、頁を捲る祖母の心が浮き立っているのが分かって、リカもまた、「ニンゲンの世界とは、どんなにすばらしいものだろう」と夢想するようになった。
「気に入ったか」
「気に入るもなにも……! 素晴らしいとしか言いようがありません! ニンゲンの世界から学ぶべきことはたくさんあります! 彼らは魔力を持たない代わりに、智慧を持っているのです! 彼らの技術や知識、考え方を学ぶことで今一度魔力の使い道を模索しよりよい世界を、」
 ひとりで喋っていたことに気付き、リカは口を噤んだ。ゼゼは目を細め、「よい。続けよ」と、穏やかな声で言った。
「も、申し訳ありません。つい、興奮して」
「構わぬ。……元来、多くの人魚が魔力を持ち合わせている。そのためか、セレヌス様やリカのように外界から学ぼうとする者はごく少ない。力でなく智慧を重んじる者が、次の時代に必要だ。セレヌス様の統治を経て、いま再び、時代は変わろうとしている」
 語り始めたゼゼの瞳にきらめきが宿る。リカはゼゼに向き合い、聞き入った。
「リカ。地上で魔女狩りがあったことは覚えているな。その当時、セレヌス様は魔女たちを海へ逃がし、救済したという。技術的進歩を経て魔女狩りはなくなり、地上に戻った彼女らは、魔力と智慧という二つの武器を手にした。地上と海の魔力の均衡を保つためにも、セレヌス様の血筋にあり、かつ、彼女の意思を受け継ぐ者、つまり、リカ。魔女たちと通じ合うためにも、おまえが必要だ。魔力を持っていないことも、元はニンゲンである彼女らとの外交にはいいように作用するだろう」
 ゼゼの言葉が信じがたく、けれどその言葉はこの胸の奥底まで響いた。
「おれに、そんなことができるのでしょうか……。だっておれは、魔力も、美しさも、持っていない……」
 ゼゼはそんな弱気をかかと笑い飛ばした。
「そのようなこと。ボクが持っているものを、リカは持っていない。だが、ボクが持っていないものを、リカは持っている。それで十分であろう。なぜそのように惑う?」
「ですが……」
「美醜など、要素のひとつにすぎぬ。均衡が崩れれば多くの人魚が魔力を失うのだから、魔力というのも絶対ではない。ないものを数えるな。おまえが数えているのは、常に移ろう霞のようなもの。実にくだらぬ」
 おれを番に選んだのは、おれの生まれや性質を考慮した上で? そう感じると、ゼゼと番になることが現実味を帯びた。
「ゼゼ様……、いや、ゼゼは、おれが赤髪だということを知ってたけど、おれを以前から知ってたのか?」
「……!」
 ゼゼは瞳をらんと輝かせた。
「リカがひとりきりで歌っているところを見たことがあってな。……いや。聴いたことがあると言った方が正確か。ボクが知っていたのはリカの歌声と後ろ姿だけで、その人魚がセレヌス様の子孫にあたるなど、思ってもみなかった」
 ひとり奮闘していたところを見られていたなんて。リカは赤い顔を顰めた。
「雌と踊らされていた時、偶然リカを見つけた。その晩、城に訪れていた者を隈なく調べ、念には念を入れて兵に海中を回らせた。リカがセレヌス様の子孫だと分かった時、身体の芯を電流に貫かれたようになった。リカこそがボクの番になる人魚なのだと、はっきりと予感した」
「リルリルは……」
「彼女は美しく聡明な人魚だ。が……、なんというのだろう、ボクには……、」
 漆黒の瞳が、リカをはっきりと映し出す。ゼゼは一転して口ごもり、玉座の王のように胸を反らした。
「ボクはリカがよかったんだ。誰と比べるまでもなく」
 桃色に染まった目元と、彼にしては崩れた言葉に、心臓が不規則に跳ねた。
「リカはいつ、この城に来る」
「急がなきゃならない? ねーちゃんとの時間が欲しい」
 それは嘘ではない。なのに、ゼゼを裏切ったかのように胸が痛んだ。脳裏にラウの微笑みが過る。海の掟に従ってゼゼと番になることと、海の掟に背いてラウと逢い続けることは、相反している。けれど、それだけじゃなく……。
 ――リカ。
 あの声を思い起こすだけで、ちりちりと胸の奥が痺れる。離れていても、そばにある。この胸のどこかに、ラウは棲んでいる。
「構わない。けれど忘れるな。おまえはボクの番だ」
 頷くと、ゼゼは安堵したように表情の強張りをといた。
「リカの家族はボクの家族だ。悪いようにはしないとだけ、姉上に伝えてくれるか」
「うん、分かった」
「こちらの準備は整えてある。いつでも、その身ひとつで来るがよい。それから……」
 ゼゼは言い淀み、眉をぎゅっと寄せた。
「いや。急ぐことはない。また、リカが城に来てから話そう。……今日は、来てくれて嬉しかった。門まで送ろう」
 その言葉には、王子である彼と、ゼゼその人が、交差していた。
 差し出されたゼゼの手を取り、彼と踊っていた雌たちのように隣に並ぶ。手慣れたその仕種は、かえってリカを安心させた。しんと冷たい手は、なぜかラウの手の熱さを思い起こさせた。
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