上 下
87 / 426

87 実際チートになったら、言葉がなくなったな・・・

しおりを挟む





たった半日で、みんないろいろあったなと思った。



さて、レベル上げの話で、優の顔が明るくなってきた。

余程しんどい思いをしたんだろうな・・・。



ご近所さんはどうであれ、アニム王が転移してきた当時の脅威はなくなりつつある。

日常に近い状態とは言えないが、都市部に比べれば天国に近い。



個人的な職やスキルに関する情報は、みんな出したがらない。

当然だろう。

だが、颯のテイマーの情報などは共有してもいいんじゃないかと思った。

ワーウルフをテイムしておくと、そのレベル以下の魔物の脅威が減る。

これは大きなメリットだろう。



家に犬を飼っている人などにテイマーの職が多いらしく、増えれば安心して睡眠がとれる。

テイマーって、レアじゃなかったっけ?

アニム王国ではペットの習慣はなかったのかもな・・・。



回復系の職業もある程度でてきてるようだ。

やっぱみんなゲーム世代だな。

ただ、盗賊を選ぶ人が少ないみたいだが・・。

速度・・おいしいんだけどな。

あ、そうか。

俺の職業を言ってなかったな。

まぁ、いいだろう。

そんなことをみんなと話しながら、今日は普通に食事が取れた。

まさか、あったかいものが食べれるとは思っていなかった。



IHキッチンが、じいちゃんの電気箱で使えるからだ。

これはありがたい。

そのうち、スーパーなどに提供しても・・・いや、これはやめておいた方がいいな。

他の家では、魔法で火を熾したりしているという。

・・・問題ないな。



時間は午後19時を過ぎていた。

俺の家族は、嫁のお義母さんと一緒に2階へ移動した。

ばあちゃんは食器の後片付けをしていた。

水道は無事みたいだな。

まぁ、いつ止まるかわからないが・・・。



「ばあちゃん・・半日だったけど、本当にありがとう」

俺は正直にそう思った。

「・・どういたしまして」

ばあちゃんはそう言うと、お茶を机に置き座った。

俺も頂いている。

「お前の会って来た、王様・・そんなにいい人だったのかい?」

ばあちゃんは覗き込むように俺を見た。

「うん。そりゃもう・・・」

「・・・お前・・洗脳されてないよね?」



!!!



「・・ばあちゃん!!」

俺は一瞬カッとなったが、すぐに戻った。

ばあちゃんの言うことももっともだ。



「・・ありがとう、ばあちゃん。

でも、大丈夫だよ。

そんなことはないから・・。

もし、おかしいと思ったら言ってくれ」

俺はそれだけ答えた。

ばあちゃんはホッとしたのか、普通の目に戻った。

じいちゃんはリビングでゴロンと横になっていた。

いろいろ作ってたみたいだから、少し疲れたのかもな。



「そうそう、ばあちゃん。

優とね、明日レベル上げに行って来るよ。

半日くらいかかると思う」

「・・そうかい。

無理しないようにね・・」

そう会話を交わすと、俺は2階へ移動していった。



2階では、嫁のお義母さんが凛と遊んでくれていた。

凛の魔法を見ながら褒めまくっていた。

嫁にテイマーの情報をご近所さんと共有したらどうかと言ってみた。

嫁もそれはいいかもということで、明日にでも知らせるということだ。



さて、優だな。

「優・・明日のレベル上げだが、俺が敵を弱らせるから止めを頼む」

・・・・

あれ?

さっきと違ってうれしそうじゃないな。

「おっさん・・・

結局、レベルいくつになったの?

嘘はやめてくれよ・・」

なるほど・・・



俺は迷ってしまった。

言っていいものやら・・・

優に、人差し指でこっちに来てと合図して、招き寄せた。

嫁たちは、ウルフ達と一緒に戯れている。



「優・・お前とだけの秘密だ。

絶対、誰にも言うなよ。

ママにもだぞ!」

優は力強くうなずいた。

「実はな・・・レベル34になってる・・」



!!!!!



優は言葉がでないようだ。

固まってしまった。

いつもなら、チート、チートというのに、実際にチートになったらダメみたいだった。




しおりを挟む

処理中です...