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101 ・・・颯、辛かったな・・。
しおりを挟む「・・フレイアさん・・加護がなくなったらどうなるんですか?」
移動しながら聞いてみた。
俺の移動速度と変わらない速さで移動できるみたいだな。
ポーン、ポーンと跳ねながら走ってる感じだ。
「まずは、寿命だな。
その交配した種族の寿命になる。
エルフは長命種族で、だいたい500年くらいは生きるからな。
後は、魔法などの制限を受け、初級くらいしか使えなくなるんじゃなかったかな?」
そうなんだ・・・。
そりゃ、デメリットが大きいな。
俺は素直にそう思った。
なるほど・・・女系で男が生まれない。
そりゃ、エルフ族こそ、男に免疫がないのかも?
そんなことを考えたりもした。
家が近づいてきた。
そのうち、いろいろと聞いていこう。
家の前で人が集まっていた。
俺が近づいて行く。
どうしたのかと思ってみていると、颯がそこで座っていた。
まずはご近所さんに挨拶だな。
「あ、こんにちは~」
「あ、町田さん、こんにち・・・」
!!!!!!!!!!!
全員の注目を浴びてしまった。
フレイアが、だ。
ま、そうなるわな・・・。
「あ、俺の友人のフレイアです」
とりあえず紹介しておこう。
段々と男の視線がきつくなるのは気のせいではないだろう。
フレイアが近寄って来て、挨拶をする。
「フレイアです、よろしく」
その一言で十分だろう。
みんな一目惚れだな。
フレイアが俺の方へ近寄って来て、服を引っ張る。
「テツ・・この星の住人って、こんな感じなのか?
気持ち悪いぞ・・」
小声で言った。
はい、その通りです。
みんな、あなたみたいなのに弱いんですよ。
さて、颯が気になる。
さっきから座ったまま動いていない。
「・・颯・・どうしたんだ?」
俺はそう声をかけた。
!!!
颯の目からは涙が溢れていた。
手には魔石を持っていた。
聞くと、颯は外にでて、スラちゃんとウルフと遊ぼうと思ったそうだ。
ウルフが普通の大きさに戻った時に、ご近所の人がワーウルフがいると思ったらしい。
即、討伐されたという。
まさかテイムされてるとは思わないだろう。
ご近所さんは悪くない。
颯も悪くない。
俺は言葉を失った。
フレイアが颯の横に行き、そっとしゃがみこんだ。
「・・君・・・その魔物が大好きだったんだね」
颯はうなずいていた。
「ちょっと、お姉さんにその魔石・・見せてもらえるかな?」
颯は言うがままに魔石をゆっくりとフレイアに差し出した。
フレイアはそのまま、その魔石に触って目と閉じた。
フレイアの魔石に触れてるところが光っている。
「・・なるほど・・ウルフっていうんだ」
フレイアは目を閉じたまま言う。
颯はまたうなずく。
!!!
颯は、名前なんて一言も言ってないぞ!
俺は驚きつつも、見ていた。
「君、名前は?」
フレイアは優しく聞く。
「颯・・」
「そう、ハヤテね・・。
ハヤテ・・ウルフはハヤテがとても好きだって。
短い時間だったけど、楽しかったって言ってるよ。
もうすぐ、いなくなるけど、ありがとうだって・・・」
フレイアはそういって颯を見つめた。
「ほんと?・・ウルフはそう言ってるの?」
フレイアは大きく頷いた。
颯は魔石を持ったまま、家の中へ入って行った。
ご近所さんもホッとしたようだ。
頭を下げたり、すみませんとか言葉が聞こえたりした。
嫁も気にしないでくださいとか言ってたような・・・。
ただ、男の目線は俺に殺気を込めてるな・・。
嫁がこちらへ来て、フレイアに礼を言っていた。
「ありがとうございます」
フレイアは微笑んで返した。
「で、パパさんは何してたの?
この人・・誰?」
俺の心を奪ったエルフです。
心の声です、はい。
「ま、家の中へ入ろう。
フレイアもどうぞ」
そう言って家の中へ入って行った。
優もフレイアに見とれていたようだ。
・・だろ?
美人だろ?
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