ReFuse〜死に損ないの魔女は理不尽を許さない〜

矢凪來果

文字の大きさ
10 / 35
異端の子供達

異端という権力

しおりを挟む

チアリは、そんなメルの様子を微笑ましく眺めながら続けた。
「わたしとメルは孤児院にいた時から力はあって、大人にバレないように隠していたんだけど」
孤児院では、程度に差はあるが、力を持った子はそう珍しくなかったそうだ。中には、力が原因で教会に見つかるのを恐れた両親に預けられた子もいたらしく、子供たちは協力して、大人たちに力が見つからないように守り合っていた。
メルのような力がバレていなかったのも、上の年齢の子達が下の子達の面倒を見るようにして、物心がつかない子供が無意識に力を使う場面を、大人に見せないように、遠ざけていたと言う徹底ぶりだった。

しかし、ある時、メルと特に仲の良かった子が養子として引き取られることになり、見送りの時、メルはみんなの前で思わず泣き出してしまった。その場には当然大人もいた。
「メルの力を知ったシスターは、メルをお金持ちの養子に出そうとしたの」
チアリの表情を見る限り、養子といえば聞こえがいいが、要は教会に報告もせず、自分たちで保護することもなく、金儲けの道具として金持ちに売ることにしたのだろう。
「で、あまりに急に決まるもんだし、見送りの時の新しいお父さん?そいつが胡散臭くてさ、俺ら3人が引き止めようとしたんだけど、もみ合いになって、チアリがついそいつを吹っ飛ばしちゃったんだよなぁ」
ラークが少し誇らしげな顔でバーンというジェスチャーをするが、チアリの表情は固いままメルを見つめている。うっかり突き飛ばしたわけでは無いことが伝わった。
シリンの膝でうずくまるレオも、硬い声で呟いた。
「あのおじさん、ニコニコしてたけどやな感じだった。吹っ飛んだあとはすごい怒ってて、絵本の魔物みたいだった。」

「それで怒ったお金持ちがみんなを通報しちゃったの?」
シリンの問いかけに、3人がコクリと頷く。

「で、裁判もされずに、4人まとめて異端扱いにされたってわけ。」
「私はともかく、ラークとレオも異端として処刑までされちゃうとは思わなかったわ。」
メルを守ろうとした子供たちが、こんな簡単に殺されるなんて、あいつらは人の命をなんだと思っているのだろうか。誰も助けようとしなかったのだろうか。
腐った大人が牛耳るあの国がつくづく嫌になった。

「みんな、話してくれてありがとう。」
この子たちが、少しでも幸せな生活を送れるように力になりたい。シリンは無意識に拳を握り閉めた。
でも、自分に何ができるんだろうな…とシリンが思っていると、猪の処理を完了させたラークが「今度は俺が聞きたいんだけどさ」と、前置きをして問いかけた。

「昨日、シリンは雷で神官を倒してたけど、何の能力を持ってんの?」
言葉に、シリンとチアリがギョッとする。
「えっ!あれお姉さんの能力なの!?だったら、能力隠して損した!」
「あれは能力っていうか…ら、ラッキーだよ」
「お姉さんすごーい!」
「おええっ・・」
シリンは、あの時のことは正直あまり覚えていないが、油断した神官を物理的に締め上げたら、怯えた神官の力が暴走したのか、コントロールできなくなっただけだと思っている。
だが、それはそれで、暴力的だから子供には言えない。

でも、少なくとも…と、シリンはチラリと自分の足を見やる。
あの時燃やされていた足が無傷だったということは、多少の何かはあるのかもしれない。

これからは、この子達と自分の力だけで生きていかないといけない。

そのためには、
「私たちは、自分のこと色々知らなきゃ」

その機会は少し後に、割と早くやってくることになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

その狂犬戦士はお義兄様ですが、何か?

行枝ローザ
ファンタジー
美しき侯爵令嬢の側には、強面・高背・剛腕と揃った『狂犬戦士』と恐れられる偉丈夫がいる。 貧乏男爵家の五人兄弟末子が養子に入った魔力を誇る伯爵家で彼を待ち受けていたのは、五歳下の義妹と二歳上の義兄、そして王都随一の魔術後方支援警護兵たち。 元・家族の誰からも愛されなかった少年は、新しい家族から愛されることと癒されることを知って強くなる。 これは不遇な微魔力持ち魔剣士が凄惨な乳幼児期から幸福な少年期を経て、成長していく物語。 ※見切り発車で書いていきます(通常運転。笑) ※エブリスタでも同時連載。2021/6/5よりカクヨムでも後追い連載しています。 ※2021/9/15けっこう前に追いついて、カクヨムでも現在は同時掲載です。

処理中です...