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プロローグ
婚約者に逃げられました。
しおりを挟むルルーシュ様は去っていった。
次に彼の話が出たのは、父の口からだった。
「お前とルルーシュ卿の婚約は解消され、彼は廃嫡された」
「そうですか……」
「驚かないのだな……まあそうだろう」
解消にあたっての話し合いは知らぬ間に進んでいたが、思っていた以上にことが早いのは、おそらくルルーシュ様がなにかしら手を打っていたのだろう。
父の含みのある言い方がそれを物語っている。そして、近くに積まれた釣書と思しきものが。
「婚約は弟君のフェルナンド卿と継続するか、この中から選ぶか……どちらでも構わん」
幸いフェルナンド卿には婚約者はおらず、浮いた噂もないらしい。
元々政略だし、爵位はあちらの方が高い。
侯爵家的には有無を言わさず婚約者をすげ替えた方がいい筈……なのに、私に選ばせて貰えるという。
ルルーシュ様がきっちり対応してから去ったのが窺える。おそらく釣書のどれをとっても、侯爵家がきちんと選んだそれなりの相手だろう。
なんて真面目で優しい人なんだ。
小狡く生きてもWIN WINならオッケー!みたいな思想が少しでもあれば良かったのに………!!
御自身が廃嫡されるというのに、私にキッチリ出来ることをしてくれたルルーシュ様。
ひたすら優しい。
できればその優しさに甘えて一生のんべんだらりと過ごしたかった。
だが今となっては、それは詮無きこと、というやつだ。優しくない私も、せめてルルーシュ様の幸せを祈るよりない。
「とりあえず……フェルナンド卿とお話できたら嬉しく思います」
フェルナンド卿は昨年までの5年、騎士として王太子殿下に仕え隣国との戦に出ていた。
なので昔の記憶しかない(※そもそもそれ自体あまりない)が、一応は接したことがある。
他よりは大分マシだろう。
この婚約が彼にとって不本意であるなら話は別なのだが、当人に会わない限り本心はわからない。
父や侯爵様に尋ねたところで、家に都合のいい答えが返ってくるに決まっている。
二度も上手くいかないのは流石にまずいというのもあるので、『とりあえず』会ってみることにした。
どうせ会うのなら一度でどうにかしたい。
何度も見合いとか無理だ。
メンタルが死ぬ。
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