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映画、漁港の肉子ちゃんを見て思う事

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映画、“漁港の肉子ちゃん”を見て思う事

映画“漁港の肉子ちゃん”を観て来ました。
最近、涙腺が緩くなり、涙が溢れてしまいました。

この映画の企画・プロヂューサーは、明石家さんまさん、主役の肉子を演じる声優は大竹しのぶさんです。
ご存知の方も多いと思いますが、この二人は、かつて夫婦であった事があります。
二人には、さんまさんと、血の繋がりのない、二千翔さんという男の子と、二人の間に生まれたIMALさんの二人の子供がいます。
さんまさんが、しのぶさんに出した離婚の条件は、一月に三〇日、子供に会わせろというほど、子供好きと聞いた事があります。
僕は、この映画を見て感じたのは、さんまさんの、子供に対する思いというものが、テーマになっていると思いました。

まだ、この映画をご覧になっていない方は、このエッセイは、映画をご覧になってから、お読みいただいた方が良いかもしれません。
一方、どんな映画なのか知りたい方は、読んでいただけたら嬉しい限りです。

“漁港の船に住む、ちょっと訳ありな、母娘が紡ぐハートフルコメディ”
と映画のポスターに紹介がありますが、この表現が的確です。
親子と言いながら全く似ていない二人。
母は見事に太っていて、おおらか。
一方娘は、小学生ながら華奢で繊細で、可愛いのです。
おそらく、この映画を見る多くの方が、この母娘は、血の唾がりがあるのだろうかとの疑念を抱くのだと想像します。
肉子は、男に騙され続ける人生なのですが、おおらかで優しく、娘に対しても、愛情を持ちながら、憚る事なく娘に接します。
娘は、ありがたいなと思いつつも、少し息苦しさを感じたりもしたりします。
実際の親子でも、よくある関係というか、風景かもしれませんね。
さんまさんには、血の繋がりのない二千翔さんがいて、とても優しく接し、今に至っていると聞いた事があります。

血の繋がりは、確かに濃いものなのかもしれません。
ただ血の繋がりがなくても、人と人との結びつきというのは成立する。
それは、ひたむきな思いから生まれるのかもしれません、それは、見返りを求めない思いから生まれる行動ではないでしょうか。

なんというのか・・・今の時代を生きる事って大変な事ですよね。
軋轢、誹謗、中傷・・・
いろんな、嫌な事を見たり、経験したりしませんか。肉子は、見返りなど求めず、血の繋がりのない娘であるキクコを懸命に育て、キクコからも何かを与えられます。それもキクコが見返りを求めない何かです。
言葉を変えるなら、自然な発露とも言うべき事かもしれません。
この二人は、どこかで、与えあっているのですね。
でも二人は、その事に気がついてはいない、僕は、こうゆう人と人との関係性を素敵だなと思います。

お互いが、与えあえる関係性。

そして、さらに、僕が、この映画で素敵だなと思ったのは、主人公の肉子の声を担当しているのが、元妻の大竹しのぶさんなのです。心温まるものがありました。
聞くところによると、さんまさんと、しのぶさんは離婚しているものの、関係は良好と聞きます。
しのぶさんは、さんまさんが行って来た、二千翔さんへの思いを、近くで見て来たからなのでしょうか・・・肉子と、さんまさんの、心情を重ねた演技というか、もっと、その心情に寄り添っているのだと感じました。
やはり、そういうものって映画を見ていて、伝わるのだと。

もう少しだけ、書かせていただきますと、結婚とか法律上の親子関係に縛られない、人と人との繋がりについて、思いを巡らす事って大切ですよね。
法律を無視すべきだと言っている訳ではありませんが、人と人との繋がりは、法律の枠に囚われないという考えというか意識を僕たちは大切にしなければならないのだと思うのです。
だって、僕らは人なので、何にせよ、縛りを望む事はないのだと考える次第です。
自発的のものを求めるのが良い。
明るくも、素敵な余韻を残しながら、痛切にその事を感じた映画でした。
生きているだけで、素晴らしい事なのですから。

たくさんの人に見て、もらいたいなと思います。

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