ビリー・ホリディとアレサ・フランクリンの映画を見て思った事

齋藤 遊雨晴

文字の大きさ
1 / 1

ビリー・ホリディとアレサ・フランクリンの映画を見て思った事

しおりを挟む
ビリー・ホリディとアレサ・フランクリンの映画を見て思った事
                    齋藤 遊雨晴

昨日、アップリンク吉祥寺でアレサ・フランクリンの“アメージング グレイス”を、一昨日は、ビリー・ホリディの“ビリー”を観た。
ビリー・ホリディは、レディ・デイの呼称で知られ、女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家の1人に数えられる。彼女はその生涯を通して、人種差別、薬物依存、アルコール依存症との闘いなど壮絶な人生を送った。
“ビリー”を観て僕が強く感じたのは、ビリーが抱える“渇き”と“孤独”である。愛を求めながらも、満たされないビリーは“渇き”と“孤独”の中で自分を、曝け出し、歌い続ける。
そのアグレッシブな姿には、感動すら覚えるのだ。
暴力夫に支配されながらも歌い続けるビリー、生きるとは、ここまで壮絶なものなのだろうか、神が与えた試練なのだろうか。
ビリーの代表曲の一つにGOD BLESS’THE CHILDがある。その曲の歌詞にはこうある。

But God bless’the child that got his own 
すなわち、神は自ら稼ぐものを祝福するのだと。
ビリーは差別に耐え、稼ぎ、生きた。その聖なる何かが、いまだに多くのミュージシャンがビリーの曲をカバーし、今も受け継がれているのだと思うのだ。
ビリーの魂の勝利が、そこにあったのだと僕は祝福をしたいと思う。

そして翌日、アレサ・フランクリンの“アメイジング・グレイス”を観た。アレサ・フランクリンは、その圧倒的な歌声で、“クイーン・オブ・ソウル”の異名を持ち、“ローリング・ストーン誌が選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー”において第1位に選ばれている。
この映画は、すでにソウルシンガーとして地位を確立した後、ニューヨークの教会でゴスペルのコンサートを自ら企画したドキュメンタリー映画である。アレサはソウルシンガー、ロックシンガーとしても、その名を馳せているが、原点はゴスペルである。
この映画を観て、強く感じたのは、アレサは愛に包まれているという事だ、特に印象深かったのが牧師である父親が、このコンサートに現れ、スピーチをするのだが、父のアレサに対しての敬意、誇り、愛情を強く感じてしまうのだ。
そして、それを聞いているアレサは、まるで子供のような表情で父の言葉を真剣に聞いている。
この映画では強調されていなかったのだが、アレサも、黒人なので、差別や偏見は当然の如く、あったのだと想像する事ができる。
僕には、アレサは、きっとこんな風に考えていたのでないかと想像するのだ。
「フン、差別なんか、気にならない。だって、私には、神様がついているんだからね」

この二つの映画を二日続けて観る事ができた事は、何かしら僕に気づきを与えてくれた。
ビリーの生き方、アレサの生き方のどちらが、良いとか悪いとか、幸せとか不幸とかを考えるのでなく、与えられた境遇を懸命に生きる事が、この二つの映画に共通している事であり、それは人生を生きるという事なのかもしれない。
だって、自分の境遇は選べないのだから。
人それぞれ、異なる境遇が与えられるのだが、目指すところは一つなのかもしれない。

                         以上
1


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

カクヨムでアカウント抹消されました。

たかつき
エッセイ・ノンフィクション
カクヨムでアカウント抹消された話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

アルファポリスの禁止事項追加の件

黒いテレキャス
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスガイドライン禁止事項が追加されるんでガクブル

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...