メトロポリタン

暁エネル

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バーテンダーさんの家

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「弘樹そろそろ梅田町なんだけど・・・」


俺は信号で止まり返事のない弘樹を覗き込んだ




(あらら・・・ これは完全に寝てるなぁ~)




俺は道を引き返し 24時間営業のスーパーマーケットへ車を停めた


「弘樹 すぐ戻るから待ってて・・・」


俺は眠っている弘樹にそう言って ドアを静かに閉めスーパーマーケットへ急いだ


買い物を済ませて車へ


弘樹はすやすやと眠っていた




俺はマンションへと車を走らせ 地下駐車場へ車を停めた




(さてとどうするかなぁ~ 弘樹をここへ置き去りには出来ねぇ~から 荷物は後回しだなぁ~)




俺は弘樹を起こさない様に 助手席のドアを開けシートベルトをはずした


弘樹をゆっくりと俺の肩にのせエレベーターへ




(ずり落ちるなよ~)




俺はポケットから鍵を取り出し 弘樹をベッドへ寝かせ靴を脱がせた




(弘樹はぐっすりだなぁ~)




俺は駐車場へ戻り 買い物袋と弘樹のカバンを持ちエレベーターに乗った





(これは好都合だったかもなぁ~)




俺はそう思いながら鍵を開けた 


買い物袋をキッチンに置き 弘樹のカバンを持ち寝室へ


俺は間接照明を付け 弘樹のスーツを脱がせパジャマを着せた


弘樹の身体を触ってもまったく起きる気配はなかった




(そうとう疲れてんだなぁ~ 弘樹 おやすみ)




俺は弘樹のオデコにキスをして寝室を閉めシャワーを浴びた







 
俺はなぜか ツルツルしている物に触れながら目を覚ました




(なんだろうこれ・・・ 気持ちいい・・・)




俺は目を開けツルツルしている物を確認した





(な~んだ グレーの長い髪じゃん)




俺はそう思いまた目を閉じた




(グレーの長い髪・・・)




俺はびっくりして飛び起き その勢いで布団を引っ張ってしまい


バーテンダーさんが身体ごと俺の方へと向いてしまった


バーテンダーさんはゆっくりと目を開けた




(何で 何で俺バーテンダーさんと寝てるの・・・)




バーテンダーさんはゆっくりと起き上がった


「弘樹 おはよう」


「おっ おはようございます」


バーテンダーさんは長い髪の毛をかきあげた


「弘樹はシャワー浴びて来な・・・」


「あっはい ありがとうございます」


バーテンダーさんはゆっくりとベッドから下り部屋を出て行った





(何これどういう状況・・・ 何で俺バーテンダーさんと一緒に寝てたの? 待ってここもしかしなくてもバーテンダーさんの家だよねぇ~)




俺は部屋を見渡した




(えっこの部屋広っ・・・ これってセミダブル?ダブルベッド? 2つをくっつけた様な 何人寝られるのこのベッド・・・)




俺のベッドとは比べ物にならないくらいの広いベッドに 俺は寝ていたのだ


奥にはクローゼット 取っ手の部分に俺のスーツが掛けられてあった


小さな机の上にノートパソコンがポツンと置いてあった





(何だか殺風景な部屋だ・・・ 生活感がまるでない・・・)





俺はゆっくりとベッドから下りた





(えっちょっと待って何これ・・・)





俺は着ている物を腕を広げて見ていた





(えっバーテンダーさんと同じ物を着てるの もしかして俺・・・)




着ぐるみの様な それでいて動きやすい




(でもバーテンダーさんは 膝ぐらいの丈だったよなぁ~)




俺はスッポリ足首まで隠れてしまっていた




(え~ 俺が脱いだ訳じゃない バーテンダーさんが着せてくれた・・・ 待って 俺はバーテンダーさんと一緒に車に乗ったよ もしかして俺寝ちゃったのか車の中で・・・)




もう起きてしまった事は仕方なく 


俺はそ~っと部屋を出た 出た部屋の前にもドアがあった


いけない事だとはわかっていても この衝動は抑えきれず


俺は向かいのドアをそ~っと開けて見た




(えっ何ここ何もないじゃん 使ってない部屋があるんだ・・・ 何だかもったいない)




俺はまたそ~っとドアを閉め 隣のドアを開けて見た




(ここは納戸なのかなぁ~ 掃除機が置いてある)




俺はその隣のドアも開けてみた




(あっトイレだ)




俺は用をたした




(トイレも無駄に広いなぁ~ ドアから便器まで何歩あるくんだよ)




俺はトイレの隣の引き戸を開けてみた


奥にはバスマットらしき物がひかれてあった




(あっここだ洗面所)




俺の部屋よりも広いのには驚いた





(洗濯機も凄く大きいなぁ~ あっ洗面台がちゃんとある・・・ 俺の家には無いからなぁ~)




そう思いながらバスマットの上に立ち バスルームのドアを開けた


奥にはバスタブがあった




(えっちょっと待ってめっちゃ広い・・・ 足が伸ばせるじゃんこれ・・・)




お湯ははられてないものの 凄く広いバスタブに驚いた



俺はバスルームを出て 置いてあるカゴに着ている物を脱ぎ シャワーを出した




(ここもだ・・・ 置いてあるのはボディソープとシャンプーとコンディショナーだけ・・・)




やっぱりどことなくさみしさを感じていた


俺がシャワーを浴びバスマットの上に立つと


カゴの上には 丸くまるめられたバスタオルが置いてあった


洗濯機からも音が聞こえていた




(バーテンダーさんが用意してくてたんだなぁ~ 凄くいいニオイがする・・・)




俺は顔にバスタオルを押し当て バスタオルのニオイを嗅いでいた


俺は髪の毛をふき 上からスッポリと足首まで隠れるパジャマをまた着た


引き戸を開け洗面所を出た




(あっここが玄関だ)




俺の靴が置いてあった


明るい方へ進むと 窓の向こうには空が見えた




(えっ凄い・・・)




右を見ると大きなテレビと コの字型に置かれたソファーに 毛足の長いラグマット


俺はさらに驚いていた




(えっテレビデカ何インチよ・・・ ソファーも高そう・・・)




反対側を見るとテーブルがあり その奥でバーテンダーさんが


長い髪の毛を半分束ねて キッチンに立っていた


俺はその後ろ姿にも 目が離せなくなっていた




(本当にモデルさんみたいだなぁ~ 今一緒に居るとかウソみたいだ・・・)






「あっ弘樹」


バーテンダーさんが振り向き俺の目の前へ


「頭は良くふいて・・・」


そう言ってバーテンダーさん 俺の肩に掛けてあるバスタオルで 俺の髪の毛をふいていた


俺の顔をバスタオルで持ち上げた


「弘樹座って 朝ご飯が出来たよ」





(バーテンダーさんの顔が近い・・・)




バーテンダーさんはバスタオルを俺の肩からはずした



俺が椅子を引くと俺の前にフォークが置かれた


バーテンダーさんは腕をまくり 大きなお皿を2枚片手で持ち


小さなお皿には クロワッサンが乗っていた




(レストランで良く見る姿だよこれ・・・)




大きなお皿には サラダとソーセージにベーコン スクランブルエッグが乗っていた


「弘樹 コーヒーはミルクと砂糖はいる?」


「あっはい 両方下さい」


「OK」


バーテンダーさんはスティックの砂糖とミルクと 小さなスプーンを置いてくれた


「それじゃ~食べよう いただきます」


「いただきます」


俺はバーテンダーさんと一緒に手を合わせた




(スゲ~レストランの食事みたいだ・・・)




俺はコーヒーにミルクと砂糖を入れ スプーンでかき混ぜ飲み


クロワッサンを手に取り口へ運んだ




(このクロワッサン ちょっとあったかい)




「弘樹 今日は何か予定はある?」


バーテンダーさんにそう聞かれ 俺はクロワッサンをかじりながら首を振った


バーテンダーさんはクスっと笑った


「それじゃ~今日は俺に付き合ってくれる?」


俺はクロワッサンを飲み込んで返事をした


「はい」




(弘樹はまだ固いなぁ~ 無理もないかぁ~ 昨日会ったばかりだし 焦る事はないかぁ~ 今日は弘樹に楽しんでもらおう)




(えっ今日は何も予定はないけど いったいどこへ行くんだろう・・・)




俺はフォークを取りソーセージを真ん中に突き刺した




(今 肉汁が飛んだ・・・)



俺はソーセージにかじりついていた




俺はバーテンダーさんが キレイな食べ方をしている事に気が付いた




(えっ俺はクロワッサンが散らかっているのに 何であんなにお皿がキレイなの・・・)




見る見るうちに バーテンダーさんのお皿は何もなくなっていた


バーテンダーさんは食べ終わったお皿を重ねていた


「弘樹はゆっくり食べていて・・・ 俺は支度して来るから・・・」


そう言ってバーテンダーさんは お皿をシンクに置いて行ってしまった





(凄く広い部屋だなぁ~ ここで1人で住んでいるんだよね・・・ 生活感がないさみしい部屋だ・・・)




俺はゆっくりと朝ご飯を食べながら 広いリビングルームに目を向けていた


俺もお皿を重ねシンクへ




(えっスポンジは? 台所用の洗剤もない・・・ 俺の家も食器棚は無いけどなさすぎじゃねぇ~ キッチンに電子レンジだけとか・・・)




俺は俺の家の何倍もあるキッチンを見てそう思っていた



(つづく)


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