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俺の母ちゃん
玄関で音がした
「正臣・・・ 何 大きな声出してるの」
そう言いながら 榎本の部屋のドアが開いた
「母ちゃん お帰り」
僕は 慌てて座り直した
(榎本のお母さんだ・・・)
「はっ 初めまして 榎本君と同じクラスの高橋悠です お邪魔しています」
僕は座ったまま 頭を下げた
「お友達? ご丁寧に 初めまして 正臣の母です 靴が揃えてあったからさぁ~ 隆じゃ~ないな~って思っていたのよ~」
おばさんは 笑顔でそう言った
「母ちゃん 悠は 学年で1番 頭がいいんだ」
「まぁ~ そうなの 凄い・・・」
「いいえ ぜんぜん 僕なんか・・・」
僕は 恥ずかしくなり 下を向いた
(悠が ヤバい・・・ これ以上 母ちゃんのペースに 巻き込まれたら・・・)
「母ちゃん 俺ら 勉強してるんだ」
「その割には 大きな声が出てたけど~」
母ちゃんに 動く気配ががない
(このまま 母ちゃんに居座られたら・・・)
「悠君は 毎日 どれくらい勉強しているの? 正臣なんか 机に座った所 見た事ないのよ 荷物置きになっててねぇ~ 悠君に勉強みてもらって どのくらい正臣の成績が上がるのか 楽しみなところはあるけど・・・ 正臣 運動は出来るんだけどね 勉強がねぇ~」
おばさんは 腕組みをした
「母ちゃんが それ言う」
「あら それ どういう意味よ? 正臣」
俺は 母ちゃんを見上げた
「母ちゃん 俺は母ちゃんの子供なんだよ」
「えっ?」
母ちゃんは 一瞬 俺が 何を言っているのか 分からなかった様子で 俺は 笑った
「正臣」
母ちゃんは 大きな声を出した
「母ちゃん 俺ら勉強中」
「もう」
母ちゃんは 腕組みしていた手を離した
「正臣しっかり 悠君に勉強 教えてもらいなさいよ」
「あぁ 今回のテストは大丈夫だ なんたって 悠に教えてもらってるんだ」
榎本が 僕の顔を見ながら言った
「それじゃ~ 悠君 ごゆっくりね 正臣の事 よろしくお願いしますね」
「あっ はい」
おばさんは そう言いながら 榎本の部屋を出て行った
「母ちゃん うるさくて ごめんな」
僕は 首を振った
(榎本は お母さんに似ている 目元がそっくりだ それに 凄く明るい人だ)
僕は また榎本の教科書に 目を移し カラーペンでしるしを付けた
(範囲が狭い分 ここは まるまる出るかもしれない・・・)
(悠が 俺の部屋に居るとか・・・ マジ 夢みてぇ~だ)
僕は ふと 榎本の部屋の時計を見ると 6時を過ぎていた
(あっ いけない・・・)
「榎本・・・ そろそろ 僕 帰るよ」
(悠と少ししか 居られなかった・・・ でも これからだ)
僕は カバンにノートをしまった
「そうか・・・ 悠 送るよ」
「えっ いいよ まだ 明るいし」
(学校まで 戻れば道は分かるし・・・)
「悠・・・ 俺 昨日みたいに 心配するの嫌なんだよ 悠を ちゃんと家まで送り届ける」
(悠の家も知りたいし・・・ 悠ともう少し 一緒に居たい)
榎本は 僕の目を真っ直ぐ見て そう言った
僕は 少しドキドキしてしまった
「悠・・・ 忘れ物ない?」
「うん 大丈夫」
榎本は 立ち上がり 部屋のドアを開けた
「母ちゃん 悠 帰るって・・・ 俺 送って来る」
奥から エプロンで手をふきながら 榎本のお母さんがやって来た
「悠君 忘れ物ない?」
「はい 大丈夫です お邪魔しました」
僕は 頭を下げた
「あっ 母ちゃん 悠 明日も来るから・・・ なっ 悠」
榎本は笑顔で 僕にそう言った
「えっ あっ うん はい」
榎本の言葉に どう答えたいいのか 分からず とにかく 返事をしてしまった
「まぁ~ 悠君 本当 じゃ~明日は 早く帰って来なくちゃ」
「何で母ちゃんが 早く帰って来なくちゃなんだよ」
「母ちゃんだって 悠君といっぱい おしゃべりしたいじゃない・・・ 悠君 かわいいし・・・」
(悠が かわいいとか そんなの当たり前なんだよ・・・)
「訳が分からねぇ~」
おばさんは 笑っていた
榎本とおばさんは 凄く仲が良い 僕は あまりお母さんと 言い合いをした事がなかった
「母ちゃん 悠が困ってる」
榎本が ドアを開けてくれた
「あぁ~ ごめんなさい 引き止めちゃって 悠君 気を付けて 帰ってね」
「はい お邪魔しました」
「母ちゃん 俺が送るんだ 心配ない」
「はいはい」
榎本が 玄関のドアを閉めた
エレベーターのドアが開き 僕と榎本が乗り込んだ
(俺・・・ また 強引だった 悠の都合も聞かずに)
「悠 ごめん・・・ 明日 本当 大丈夫?」
榎本と一緒に エレベーターを降りた
「うん 大丈夫 何もないから」
「良かった~」
榎本が 嬉しそうに笑った
僕と榎本は マンションを出て歩き出した
「榎本・・・ ありがとう」
「えっ 何が?」
「僕ね お友達の家に お邪魔したの 初めてなんだ」
「えっ 本当? 今まで一度も・・・」
(マジか・・・ ヤベ~ 嬉しい・・・ 悠の初めて ヤベ~)
僕はうなずき 榎本が驚いていた
「そうか・・・ じゃ~ これから どんどん 悠の初めてが 増えていく様に 俺 頑張るよ」
榎本が そう言って 嬉しそうに笑っていると 僕まで嬉しくなっていた
僕は 辺りを見回してながら 歩いていた
(この辺りは 来た事がないなぁ~)
「悠・・・ 悠は こっちの方 来たの初めて?」
「うん 初めて」
「そっかぁ~ そこ曲がると 隆ん家だよ」
榎本が 指をさした
(家・・・ 近いんだ だからいつも 一緒に来るのかなぁ~? 小学校の時も 仲良かったんだろうなぁ~)
「じゃ~ 悠 あそこは?」
榎本と角を曲がり 榎本が指をさした
僕が 榎本のさした方向を見ると 見覚えのある 建物が見えてきた
(ここは・・・ ここに 出るのかぁ~)
「悠 分かる?」
「うん」
そこは 駅まで続く商店街
榎本の家に近い商店街は アーケードになっていて 駅まで続いている たくさんのお店があり いつも にぎわっている
自転車での通り抜けは 禁止されていて みんなが自転車を押して歩いていた
駅の手前のケーキ屋さんに 僕は 頭を下げた
「悠 どうした?」
「ううん 何でもない」
ここのケーキ屋は 僕が小さな時から知っている
お店のおじさんも 僕に気づいて 手を上げてくれた
「悠の家 こっちでいいの?」
「うん」
駅を挟んで 反対側の商店街は 昔ながらの商店街と言った感じで 金物店に 床屋さん 喫茶店 お茶屋さんと 落ち着きのある商店街
僕の家に 近づくにつれ また 僕の中のモヤモヤが 大きくなった
(榎本は 昨日 僕に合わせてくれた 僕のこの気持ちは 大事にしまって置く そう決めたのに・・・ どうしよう そんな自分が 嫌だ このままじゃ~ また きっと 眠れなくなる)
「榎本」
僕は立ち止まり 榎本を呼び止めた
榎本は 振り返り 僕は 下を向いてしまった
(悠が おかしい・・・ 確か 母ちゃんが帰って来る前も 悠の様子がおかしかった 悠は もしかすると 昨日みたいに 溜め込んじまうタイプなんだ・・・ 俺が ちゃんと気づかねぇ~と やっと 悠と向かい合う事ができたんだ 悠をもうゼッテー 離さねぇ~)
「悠・・・ 大丈夫だ ゆっくりでいいから話して 俺 待ってるから」
榎本の優しい声で 僕は顔を上げる事ができた
(ヤッベ~ 昨日の悠の顔も スゲー かわいかったけど・・・ 何で こんなに人通りがあるんだ・・・ 駅に近く帰る人が多いんだ 昨日の路地だったら どんなに良かったか 今のこの雰囲気が 台無しだ・・・ どっか移動するかぁ~)
(どうしよう 涙が出てきそうだ・・・ でも 泣いている場合じゃない 榎本に聞くんだ 聞いてスッキリするんだ)
「榎本・・・ 昨日は ぼっ 僕に 合わせてくれたんだよね 榎本は 優しいから 僕を 傷つけない様に 僕の事を思って 言ってくれたんでしょう」
(どうしよう 榎本が そうだと言ったら 僕は どうしたら・・・)
俺は 悠に近づき 小さな声で話した
「悠 俺は 優しくなんかないよ・・・ 俺は 悠が好きだ 何度でも言うよ 俺は 悠の傍に居たい 悠の1番近くに居たいんだ 悠とやっと 話せる様になったんだ 俺達は これからだろう」
(あぁ~ 悠に昨日みたいな キスしてぇ~ 抱きしめて悠を 安心させてぇ~ でも 悠の事を知ってる人が 通りかかるかもしれねぇ~し 下手な事は 出来ねぇ~)
「でも 僕は 榎本みたいに 友達も居ないし 人見知りだし 榎本が僕と一緒に居ても 少しもいい事なんかないよ」
(本当に涙が出てきそうだ)
「悠・・・ そんな事はさぁ~ どうでもいいんだよ 俺が 悠の事が好きなんだ 悠と一緒に居たいんだ 悠も 俺と同じだろう」
僕は 榎本の言葉にうなずき 涙がこぼれた
(僕は 榎本と一緒に居てもいいんだ)
(あぁ~ 悠の顔 ヤベ~ 抱きしめてあげてぇ~)
「悠・・・ 悠の家って この辺?」
榎本が 話題を変えてくれた 僕は 涙をふき うなずいた
家のすき間から 僕のマンションを指差した
「あの マンションか~」
榎本が 僕のマンションを見ながら どんどん 歩いく
(あぁ~もう何で・・・ いい雰囲気だったのに 誰も 居なかったら 悠を 抱きしめてキスしてるよ 絶対)
榎本が 僕のマンションの前まで来た
「悠の家 何階?」
榎本が 振り返った
「僕の家は 5階だよ」
榎本がエレベーターの前へ ボタンを押した
エレベーターが開くと 榎本がエレベーターに乗り込んだ
僕も 慌てて乗り込んだ
(えっ 榎本 僕の家に・・・)
エレベーターが開くと 榎本は僕の後ろを歩いた
僕は 玄関のドアの前へ
「榎本 僕の家ここだよ」
榎本は 僕の家の表札を見た
「本当だ・・・ 駅からは 近いんだな・・・ 学校は ここからだと遠くねぇ~?」
「えっ そうかなぁ~ 思った事ないよ」
「そっか」
榎本が 笑っていて 僕も つられて 笑っていた
「じゃ~な 悠 また 明日」
「うん 送ってくれ ありがとう 榎本も 気を付けて帰ってね」
「あぁ~ 大丈夫だ」
榎本がエレベーターに 乗り込んだ
僕は 榎本が出てくるのを 上から見ていた
榎本が見えると クルリと振り返り 僕に手を振った
僕も 榎本に振り返すと 榎本は 走って帰って行った
僕が 玄関のドアを開けると お母さんが 部屋から顔を出した
「ただいま お母さん」
「悠 お帰り・・・ 話声が聞こえたけど」
「うん 友達の家で 勉強していたんだ」
「そうなの」
「榎本って言う」
「榎本君?」
「うんそう クラスの人気者」
「クラスの人気者? 悠と友達?」
「うん」
「そう 直ぐ ご飯にするから 着替えて来て」
お母さんが 不思議そうな顔から 笑顔になって 僕は 自分の部屋へと入った
(つづく)
「正臣・・・ 何 大きな声出してるの」
そう言いながら 榎本の部屋のドアが開いた
「母ちゃん お帰り」
僕は 慌てて座り直した
(榎本のお母さんだ・・・)
「はっ 初めまして 榎本君と同じクラスの高橋悠です お邪魔しています」
僕は座ったまま 頭を下げた
「お友達? ご丁寧に 初めまして 正臣の母です 靴が揃えてあったからさぁ~ 隆じゃ~ないな~って思っていたのよ~」
おばさんは 笑顔でそう言った
「母ちゃん 悠は 学年で1番 頭がいいんだ」
「まぁ~ そうなの 凄い・・・」
「いいえ ぜんぜん 僕なんか・・・」
僕は 恥ずかしくなり 下を向いた
(悠が ヤバい・・・ これ以上 母ちゃんのペースに 巻き込まれたら・・・)
「母ちゃん 俺ら 勉強してるんだ」
「その割には 大きな声が出てたけど~」
母ちゃんに 動く気配ががない
(このまま 母ちゃんに居座られたら・・・)
「悠君は 毎日 どれくらい勉強しているの? 正臣なんか 机に座った所 見た事ないのよ 荷物置きになっててねぇ~ 悠君に勉強みてもらって どのくらい正臣の成績が上がるのか 楽しみなところはあるけど・・・ 正臣 運動は出来るんだけどね 勉強がねぇ~」
おばさんは 腕組みをした
「母ちゃんが それ言う」
「あら それ どういう意味よ? 正臣」
俺は 母ちゃんを見上げた
「母ちゃん 俺は母ちゃんの子供なんだよ」
「えっ?」
母ちゃんは 一瞬 俺が 何を言っているのか 分からなかった様子で 俺は 笑った
「正臣」
母ちゃんは 大きな声を出した
「母ちゃん 俺ら勉強中」
「もう」
母ちゃんは 腕組みしていた手を離した
「正臣しっかり 悠君に勉強 教えてもらいなさいよ」
「あぁ 今回のテストは大丈夫だ なんたって 悠に教えてもらってるんだ」
榎本が 僕の顔を見ながら言った
「それじゃ~ 悠君 ごゆっくりね 正臣の事 よろしくお願いしますね」
「あっ はい」
おばさんは そう言いながら 榎本の部屋を出て行った
「母ちゃん うるさくて ごめんな」
僕は 首を振った
(榎本は お母さんに似ている 目元がそっくりだ それに 凄く明るい人だ)
僕は また榎本の教科書に 目を移し カラーペンでしるしを付けた
(範囲が狭い分 ここは まるまる出るかもしれない・・・)
(悠が 俺の部屋に居るとか・・・ マジ 夢みてぇ~だ)
僕は ふと 榎本の部屋の時計を見ると 6時を過ぎていた
(あっ いけない・・・)
「榎本・・・ そろそろ 僕 帰るよ」
(悠と少ししか 居られなかった・・・ でも これからだ)
僕は カバンにノートをしまった
「そうか・・・ 悠 送るよ」
「えっ いいよ まだ 明るいし」
(学校まで 戻れば道は分かるし・・・)
「悠・・・ 俺 昨日みたいに 心配するの嫌なんだよ 悠を ちゃんと家まで送り届ける」
(悠の家も知りたいし・・・ 悠ともう少し 一緒に居たい)
榎本は 僕の目を真っ直ぐ見て そう言った
僕は 少しドキドキしてしまった
「悠・・・ 忘れ物ない?」
「うん 大丈夫」
榎本は 立ち上がり 部屋のドアを開けた
「母ちゃん 悠 帰るって・・・ 俺 送って来る」
奥から エプロンで手をふきながら 榎本のお母さんがやって来た
「悠君 忘れ物ない?」
「はい 大丈夫です お邪魔しました」
僕は 頭を下げた
「あっ 母ちゃん 悠 明日も来るから・・・ なっ 悠」
榎本は笑顔で 僕にそう言った
「えっ あっ うん はい」
榎本の言葉に どう答えたいいのか 分からず とにかく 返事をしてしまった
「まぁ~ 悠君 本当 じゃ~明日は 早く帰って来なくちゃ」
「何で母ちゃんが 早く帰って来なくちゃなんだよ」
「母ちゃんだって 悠君といっぱい おしゃべりしたいじゃない・・・ 悠君 かわいいし・・・」
(悠が かわいいとか そんなの当たり前なんだよ・・・)
「訳が分からねぇ~」
おばさんは 笑っていた
榎本とおばさんは 凄く仲が良い 僕は あまりお母さんと 言い合いをした事がなかった
「母ちゃん 悠が困ってる」
榎本が ドアを開けてくれた
「あぁ~ ごめんなさい 引き止めちゃって 悠君 気を付けて 帰ってね」
「はい お邪魔しました」
「母ちゃん 俺が送るんだ 心配ない」
「はいはい」
榎本が 玄関のドアを閉めた
エレベーターのドアが開き 僕と榎本が乗り込んだ
(俺・・・ また 強引だった 悠の都合も聞かずに)
「悠 ごめん・・・ 明日 本当 大丈夫?」
榎本と一緒に エレベーターを降りた
「うん 大丈夫 何もないから」
「良かった~」
榎本が 嬉しそうに笑った
僕と榎本は マンションを出て歩き出した
「榎本・・・ ありがとう」
「えっ 何が?」
「僕ね お友達の家に お邪魔したの 初めてなんだ」
「えっ 本当? 今まで一度も・・・」
(マジか・・・ ヤベ~ 嬉しい・・・ 悠の初めて ヤベ~)
僕はうなずき 榎本が驚いていた
「そうか・・・ じゃ~ これから どんどん 悠の初めてが 増えていく様に 俺 頑張るよ」
榎本が そう言って 嬉しそうに笑っていると 僕まで嬉しくなっていた
僕は 辺りを見回してながら 歩いていた
(この辺りは 来た事がないなぁ~)
「悠・・・ 悠は こっちの方 来たの初めて?」
「うん 初めて」
「そっかぁ~ そこ曲がると 隆ん家だよ」
榎本が 指をさした
(家・・・ 近いんだ だからいつも 一緒に来るのかなぁ~? 小学校の時も 仲良かったんだろうなぁ~)
「じゃ~ 悠 あそこは?」
榎本と角を曲がり 榎本が指をさした
僕が 榎本のさした方向を見ると 見覚えのある 建物が見えてきた
(ここは・・・ ここに 出るのかぁ~)
「悠 分かる?」
「うん」
そこは 駅まで続く商店街
榎本の家に近い商店街は アーケードになっていて 駅まで続いている たくさんのお店があり いつも にぎわっている
自転車での通り抜けは 禁止されていて みんなが自転車を押して歩いていた
駅の手前のケーキ屋さんに 僕は 頭を下げた
「悠 どうした?」
「ううん 何でもない」
ここのケーキ屋は 僕が小さな時から知っている
お店のおじさんも 僕に気づいて 手を上げてくれた
「悠の家 こっちでいいの?」
「うん」
駅を挟んで 反対側の商店街は 昔ながらの商店街と言った感じで 金物店に 床屋さん 喫茶店 お茶屋さんと 落ち着きのある商店街
僕の家に 近づくにつれ また 僕の中のモヤモヤが 大きくなった
(榎本は 昨日 僕に合わせてくれた 僕のこの気持ちは 大事にしまって置く そう決めたのに・・・ どうしよう そんな自分が 嫌だ このままじゃ~ また きっと 眠れなくなる)
「榎本」
僕は立ち止まり 榎本を呼び止めた
榎本は 振り返り 僕は 下を向いてしまった
(悠が おかしい・・・ 確か 母ちゃんが帰って来る前も 悠の様子がおかしかった 悠は もしかすると 昨日みたいに 溜め込んじまうタイプなんだ・・・ 俺が ちゃんと気づかねぇ~と やっと 悠と向かい合う事ができたんだ 悠をもうゼッテー 離さねぇ~)
「悠・・・ 大丈夫だ ゆっくりでいいから話して 俺 待ってるから」
榎本の優しい声で 僕は顔を上げる事ができた
(ヤッベ~ 昨日の悠の顔も スゲー かわいかったけど・・・ 何で こんなに人通りがあるんだ・・・ 駅に近く帰る人が多いんだ 昨日の路地だったら どんなに良かったか 今のこの雰囲気が 台無しだ・・・ どっか移動するかぁ~)
(どうしよう 涙が出てきそうだ・・・ でも 泣いている場合じゃない 榎本に聞くんだ 聞いてスッキリするんだ)
「榎本・・・ 昨日は ぼっ 僕に 合わせてくれたんだよね 榎本は 優しいから 僕を 傷つけない様に 僕の事を思って 言ってくれたんでしょう」
(どうしよう 榎本が そうだと言ったら 僕は どうしたら・・・)
俺は 悠に近づき 小さな声で話した
「悠 俺は 優しくなんかないよ・・・ 俺は 悠が好きだ 何度でも言うよ 俺は 悠の傍に居たい 悠の1番近くに居たいんだ 悠とやっと 話せる様になったんだ 俺達は これからだろう」
(あぁ~ 悠に昨日みたいな キスしてぇ~ 抱きしめて悠を 安心させてぇ~ でも 悠の事を知ってる人が 通りかかるかもしれねぇ~し 下手な事は 出来ねぇ~)
「でも 僕は 榎本みたいに 友達も居ないし 人見知りだし 榎本が僕と一緒に居ても 少しもいい事なんかないよ」
(本当に涙が出てきそうだ)
「悠・・・ そんな事はさぁ~ どうでもいいんだよ 俺が 悠の事が好きなんだ 悠と一緒に居たいんだ 悠も 俺と同じだろう」
僕は 榎本の言葉にうなずき 涙がこぼれた
(僕は 榎本と一緒に居てもいいんだ)
(あぁ~ 悠の顔 ヤベ~ 抱きしめてあげてぇ~)
「悠・・・ 悠の家って この辺?」
榎本が 話題を変えてくれた 僕は 涙をふき うなずいた
家のすき間から 僕のマンションを指差した
「あの マンションか~」
榎本が 僕のマンションを見ながら どんどん 歩いく
(あぁ~もう何で・・・ いい雰囲気だったのに 誰も 居なかったら 悠を 抱きしめてキスしてるよ 絶対)
榎本が 僕のマンションの前まで来た
「悠の家 何階?」
榎本が 振り返った
「僕の家は 5階だよ」
榎本がエレベーターの前へ ボタンを押した
エレベーターが開くと 榎本がエレベーターに乗り込んだ
僕も 慌てて乗り込んだ
(えっ 榎本 僕の家に・・・)
エレベーターが開くと 榎本は僕の後ろを歩いた
僕は 玄関のドアの前へ
「榎本 僕の家ここだよ」
榎本は 僕の家の表札を見た
「本当だ・・・ 駅からは 近いんだな・・・ 学校は ここからだと遠くねぇ~?」
「えっ そうかなぁ~ 思った事ないよ」
「そっか」
榎本が 笑っていて 僕も つられて 笑っていた
「じゃ~な 悠 また 明日」
「うん 送ってくれ ありがとう 榎本も 気を付けて帰ってね」
「あぁ~ 大丈夫だ」
榎本がエレベーターに 乗り込んだ
僕は 榎本が出てくるのを 上から見ていた
榎本が見えると クルリと振り返り 僕に手を振った
僕も 榎本に振り返すと 榎本は 走って帰って行った
僕が 玄関のドアを開けると お母さんが 部屋から顔を出した
「ただいま お母さん」
「悠 お帰り・・・ 話声が聞こえたけど」
「うん 友達の家で 勉強していたんだ」
「そうなの」
「榎本って言う」
「榎本君?」
「うんそう クラスの人気者」
「クラスの人気者? 悠と友達?」
「うん」
「そう 直ぐ ご飯にするから 着替えて来て」
お母さんが 不思議そうな顔から 笑顔になって 僕は 自分の部屋へと入った
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