悠と榎本

暁エネル

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運動会③

音楽が流れ 1000メートルを走る 1年生~3年生の女子が入場して来た


副ちゃんが こっちに向かって手を振った


みんなも副ちゃんに 手を振り声をかけた


全クラスから1人ずつ 選手が選ばれ人数も多い


副ちゃんがもう どこに居るのわからなくなっていた




ピストルの音が鳴り みんなが一斉に走り出した




「ねぇ~委員長 副ちゃんは どの辺で飛び出して来るかなぁ~?」


リーダーが 走る生徒を見ながらそう言った


「そうだねぇ~ 今のところは様子みだね・・・ 陸上部の人も居るみたいだし・・・ 難しいかもしれないねぇ~」





(委員長はよく見てるなぁ~・・・ それにしても こんなに長い距離をよく走れるなぁ~・・・ 僕は トラック1周しただけで ヘトヘトだったのに・・・)






「ねぇ~委員長 副ちゃんのどこが好き」


今度は須藤さんが 何気なく委員長に聞いていた


須藤さんの言葉に 僕と大塚君は 目を合わせていた


「副ちゃんとはさぁ~ 家も近所で小さな頃から一緒に居るんだ・・・ だから 傍に居るのがもう当たり前になってて・・・ 俺は前みたいに ひとみって呼びたいんだけど 副ちゃんがみんなに合わせてって・・・ もちろん俺は 副ちゃんの事が大好きだよ」





(そうやって言い切れる所・・・ 委員長はやっぱり凄い 僕がもしそんな事聞かれたら 恥ずかしい気持ちが どうしても勝ってしまって とても委員長みたいには言えない)






みんなが黙ってしまうと 須藤さんが切り出した


「副ちゃん みんなに合わせる事ないのにねぇ~ 恥ずかしいのかなぁ~ 副ちゃん」


須藤さんの言葉に みんながうなずいた


「副ちゃんにも いろいろあるんじゃない」


リーダーが言い切った




グランドに目を移すと まとまりがだんだんと崩れ一列になり 副ちゃんの姿が見やすくなった


「やっぱり 陸上部出てきたなぁ~」


副ちゃんの前を1人 凄い速さで走っていた


「ねぇ~ あと何周?」


須藤さんが心配そうに言った


副ちゃんも 陸上部の人の後ろを追いかけている





(頑張って副ちゃん)





僕が 祈る様に副ちゃんを見ていると ラスト1周のベルが鳴らされた


副ちゃんは凄い勢いで走り出し 見ていた女子は 一斉に立ち上がり


みんなが副ちゃんを応援した


僕はただ副ちゃんの姿を 見てる事しか出来なかった




パンパンと音が鳴り 立ち上がっていた女子は バラバラと座った


「副ちゃんは 何位だったんだの・・・」


大塚君がリーダーに声をかけた


「副ちゃん多分2位だと思う・・・ やっぱり抜けなかったみたいだね・・・ 委員長 副ちゃんが帰って来たら いっぱい褒めてあげようね」


リーダーは 大塚君から視線を委員長へ


「ねぇ~委員長 副ちゃんの事惚れ直した?」


今度は須藤さんが委員長へ


「そうだね・・・ 副ちゃんを褒めてあげたいし・・・ 副ちゃんは 凄く素敵な人だよ」


委員長は 堂々と自分の気持ちを言い切った





(僕がもし誰かに 同じ質問をされたら・・・ 僕は 下を向いたまま 答えられないんだろうなぁ~)







前で副ちゃんを応援していた女子が 立ち上がった


今度は僕達男子が前の席に座る


「高橋 ここに来てくれ」


「えっあっうん」


大塚君が一番前の席へ 僕はその隣に座った




「みんな~ ちょっと聞いてくれ」


大塚君が みんなの方を向き 両手を広げ立ち上がった


「正臣がこれから走る・・・ でも正臣 走っているうちに 自分が何周なのか 訳わかんなくなるらしい・・・ もちろん表示してくれるんだが 正臣はそんなの見ねぇ~しなぁ~ だからみんな 俺が合図したら 声をそろえて 言ってほしい・・・ 正臣あと2周だ頑張れって言ってやってくれ」


「わかった いいよ」


みんなは 口々にそう言った


「みんな頼む・・・」


大塚君は みんなを見渡して 僕の隣に座った


「高橋 俺が合図したら」


「えっあっ 正臣あと2周頑張れって言うんでしょう」


「そうだ頼んだぞ 出来るだけ大きな声でな 頼むな」


「うん わかった」


僕は 大塚君にそう言った





副ちゃんが戻って来ると みんなが副ちゃんを拍手で出迎えた


「委員長 副ちゃんにも言っておいてくれ」


大塚君がそう言うと 委員長は手を上げた





(さっき榎本が言ってた事って このことだったんだ・・・ 榎本がこれから入場して来る 何でだろう 僕が走る訳じゃ~ないのに 僕がドキドキして来た・・・)






「高橋 どうした?」


僕の隣で 大塚君が心配そうに見ていた


「もしかして高橋 具合が悪いのか?」


「えっあっ ごめん僕は大丈夫・・・ これから榎本が走るのにね 何だか僕が落ち着かないんだよ おかしいでしょう」


「正臣なら 心配いらねぇ~よ」


大塚君は笑顔でそう言った





(大塚君は 榎本の事よく理解している・・・ いろんな榎本を知っている・・・ 大丈夫なのはわかってる だけど・・・ 僕のドキドキが止まらない・・・)






音楽が流れ 先生方と生徒達が入場して来た


「1500メートル走を走る生徒と 毎年恒例の先生方によるリレーです 午前の部 最後の競技です みなさん 応援しましょう」


放送が流れた





(いよいよ榎本が走る)





榎本は 榊先生と村上先生と話ながら 入場門から出て来た


先頭でバトンを持っている先生は 女の先生 その先生が男子生徒と一緒に走る


榊先生は前の方に座り 村上先生は後ろから 2番目に座っていた




ピストルの音が鳴り みんなが走り出した


バトンを持った女の先生が飛び出し 手を振りながら走っていた 榎本はまとまった先頭集団に居た


女の先生は 少し生徒を引き離し バトンを次の先生へと渡した


榊先生が立ち上がった


「高橋おもしろいものが 見られるかもしんねぇ~ぞ」


大塚君は ひとりごとの様に僕に言った


榊先生にバトンが渡り


榎本が集団から飛び出し 榊先生が振り返りながら走っていた


クラスのみんなが立ち上がり 2人を応援した





(凄い榎本 もう少しで榊先生に追いつきそうだ)





榊先生は榎本から逃げ切り 次の先生にバトンを渡した


榎本は徐々にスピードを落とし また集団に戻った


「榎本 大丈夫かなぁ~」


「おもしろかったなぁ~ もう少しで正臣 先生抜けたぞ」


大塚君は嬉しそうにそう言った


僕は大塚君の顔を見た


「高橋 そんなに心配するな・・・ 正臣は今多分充電中だ」





(充電中?)





先生方が次々とバトンを繋いでいく


まとまって走っていた生徒達も バラバラになった


村上先生が立ち上がり バトンが渡り 大塚君も立ち上がった


「みんな正臣が ここを通ったら頼む」


榎本がこっちへ向かって走って来た


大塚君の手が上がった


「正臣~あと2周頑張れ~」


みんなの声が揃い 榎本が僕達の方を見ると 凄い速さで走り出し 村上先生をあっさりと抜き去った


それを見ていた榊先生が 手をたたいて喜んでいた




(榎本 凄い)





ラスト1周のベルが鳴り 榎本はそのままのスピードでゴールテープを切った


クラスのみんなが立ち上がり喜んだ





(凄いよ榎本 本当に凄い・・・ 何であんなに速く走れるの・・・)





榎本は 榊先生のところへ座って 先生と話をしていた


そこへ村上先生が 脇腹を押さえてやって来ると 榎本が立ち上がり 村上先生が榎本のお尻を蹴り飛ばしていた


すると今度は 榊先生の周りを 榎本と村上先生はグルグル回っていた


「ねぇ~あれ 榎本何?やってんの? 超~ウケる」


須藤さんが声を上げ


みんなも榎本を見て笑っていた


パンパンとピストルの音が鳴り


全員が走り終えた




「なぁ~高橋 何にも心配いらなかっただろう」


大塚君が 僕の顔を見てそう言った


「うん 榎本凄かったね 僕には 絶対に真似できないよ~」


大塚君が嬉しそうに笑っていた




先生方と生徒が退場すると みんなが拍手をし 先生方は保護者の方に向かって 手を振っていた




「以上をもちまして 午前の部を終了致します 午後の部は1時15分から 始めさせていただきます なお係の生徒は1時に本部に集合してください では生徒のみなさんは 教室へ移動してください」


放送が流れ


僕達は立ち上がり みんなはグランドを横切り 校舎へと向かって行った



(つづく)

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