俺の知らなかった世界

暁エネル

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龍の日焼け

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俺は真彦と別れて家へと急いでいた



(う~真彦の言う通り顔が痛い・・・)



俺はヒリヒリする自分の顔を早く確かめたくて急いでいた


俺は門を開き玄関へ


「若 お帰りなさいやし・・・」


そう言って何人かの大人達に 俺は頭を下げられ声をかけられていた


俺は自分の部屋へ


鏡を取り出し自分の顔を確かめた



(これはヤバい・・・)



俺の顔は思っていた以上に赤く


逆に恥ずかしくなるくらいだった



(とにかくシャワーを浴びて それから世話係に相談だなぁ~ ヤケドだもんなぁ~冷やすのがいいんだろうけど・・・)



俺はシャワーを浴びに部屋を出た


「若 お帰りでしたか」


世話係が忍と一緒に俺の部屋へと歩いて来ていた


「若 お顔が・・・」


「あぁ~そうなんだ とりあえず俺はシャワーを浴びて来る」


「へい ではあっしは冷やす物を ご用意させていただきやす」


「あぁ~頼む・・・」


俺は急いで浴室へ



(腕はそうでもねぇ~なぁ~ ジャージを羽織ってたからなぁ~ 頭までジャージをかぶっていればこんな事にはならなかったのかぁ~? 失敗したなぁ~)



俺はシャワーを浴びながら少し反省をしていた





俺は浴室を出て部屋へ


すると忍が入って来た


「忍 世話係はどうした?」


「うん もうすぐ来る・・・」


「そうかぁ~」


「真彦さんは?」


「忍 残念ながら真彦は今日は来ねぇ~ でも明日は真彦が来るから遊んでもらえるからなぁ~」


「うん」


忍は嬉しそうに笑っていた


「若 失礼しやす」


そう言って世話係が俺の部屋へと入って来た


「若 今はこれで・・・」


保冷剤をタオルにくるみ渡してくれた


「熱をもってますんで 冷やすのが一番です 寝る時は冷えピタを張って寝て下さい ずれる心配がないと思いやすんで・・・」


「あぁ~そうするよ」


俺は世話係からタオルを受け取った


「若 運動会お疲れ様でした あっしは感動いたしやしたよ 忍さんも凄く喜んでいやしたし 帰って来てお昼ご飯を食べたら すぐにおやすみになられました あっしは運動会であんなに感動したのは初めてです 真彦さんや皆さんの優しさが伝わって来やしたねぇ~ あっしだけではなく周りで見ていらした方々も皆さんが 同じだったと思いやす・・・」



(そんなに言われるほどだったのかぁ~? やっていたこっちはわからねぇ~なぁ~)



「日差しも強かったし あんなに大勢の人を見たのは初めてで 忍も疲れたんだろう・・・」


「そうですね・・・」


「忍は俺が見てるから行って来い・・・」


「若 いつもすいやせん ではあっしはこれで・・・」


そう言って世話係は俺の部屋を出て行った


「さぁ~忍何して遊ぶ?」


「顔 痛いの?」


忍は俺の顔を見て心配そうな顔をしてそう言った


「そうだなぁ~ 痛い・・・ でも冷やしているから大丈夫だ・・・」


忍は俺の事を気づかいながら遊んでくれた


一方渚は俺の顔を見るなり思いっ切り笑っていた


寝る前も俺の顔はまだ熱く 世話係が用意してくれた冷えピタを張って寝た



(少しでも熱が収まればいいんだけどなぁ~)



俺はそう願って布団に入った






(龍の顔めちゃくちゃ熱かったなぁ~ 大丈夫なんだろうか あのまま熱を出して寝込んでねぇ~といいんだけどなぁ~)



俺は明日龍の家に行かれるのか不安で龍の事が心配だった


次の日 俺は少し遅い時間に起きた


学校が休みの日は寝坊が出来た


階段を下りると母さんが掃除機をかけていた


「母さん おはよう」


「ずいぶんとのんびりさんだ事・・・ それだけ昨日は疲れたって事なのかしら・・・」


「母さん これから龍の家に行くんだ・・・」


「そう・・・ いってらっしゃい・・・」


そう言って母さんはまた掃除機を動かしていた


俺は用意されている朝ご飯を食べた





「若おはようございます どうですか?」


俺はダイニングテーブルへ朝ご飯を食べに来た


「まだ少し熱い・・・」


「もう少し冷やした方がいいかもしれやせん また冷やしたタオルを当てておきましょう」


そこへ渚がやって来た


「龍 凄いねぇ~ 笑える・・・」


そう言って渚は俺の顔を見てまた笑っていた


「渚だって来年は中学生なんだ 来年の運動会で俺が笑ってやるよ・・・」


「渚は女の子だからそんなヘマはしません・・・ ちゃんと予防するから大丈夫です・・・」


「相変わらず口の減らねぇ~ヤツだなぁ~」


「若 その辺で・・・」


世話係が忍を見ながらそう言った


忍は俺と渚を見ながら口をへの字に曲げていた


「あぁ~わかってる」


俺と渚は忍に目を向け口を閉じ朝ご飯を食べはじめた



(この空気を何とかしねぇ~と・・・)



「あっそうだ あとで真彦が来る そしたら忍一緒に遊ぼうなぁ~」


忍はへの字から嬉しそうに笑っていた



(良かった忍の機嫌も良くなった・・・)



「では若 真彦さんのお昼ご飯の用意を・・・」


「さすがの真彦も今日は起きるのが遅いだろう・・・ 俺も真彦も忍のおやつと一緒で大丈夫だ 忍は俺と真彦で見るからお前は仕事していいぞ」


「若 助かりやす ではあっしはこれで失礼しやす・・・」


そう言って世話係はダイニングテーブルをあとにした





真彦はお昼過ぎに俺の家へとやって来た



(ヤベ~思ってたよりも遅くなった・・・)



俺はドタバタと廊下を走り龍の部屋へ


「龍」


俺はそう言って龍の部屋のフスマを開けた


龍の顔には覆いかぶす様にタオルが・・・


俺は龍の傍へ


「真彦うるさい 忍がびっくりするだろう・・・」


「あっごめん それよりも龍・・・」


龍はゆっくりと顔の隣に座った


「龍・・・ 大丈夫?」


俺がそう言って龍の顔を覗き込んだ


龍はゆっくりと当てていたタオルを取り 俺に顔を見せてくれた


俺は龍の顔に手のひらではなく


手の甲で龍の顔にふれた


「まだ少し熱いなぁ~」


「でも昨日よりはマシだ・・・」


「まだ痛そうだ・・・」


「こすれると痛い・・・」


俺はゆっくりと龍の顔から手を離していた



(ホントにまだ赤い 今日は顔のタオルが手放せねぇ~なぁ~)



俺は忍よりも龍に真っ先に目が行っていた事に気が付いた


「真彦 忍が遊びたがってる 俺はこの通りで忍の相手はあまり出来ねぇ~んだ・・・」


俺は龍の隣にちょこんと座って居る忍を見た



(ヤベ~今日は忍と遊ぶ為に来たのに 龍の顔みたら龍しか見えなくなって居たよ俺・・・ ヤベ~よなぁ~これ・・・)



俺は忍の傍へ


「忍ごめん一緒に遊ぼう・・・」


忍は嬉しそうに笑っていた


俺は忍と遊びながら龍の事が気になり見てしまっていた


龍は顔のタオルを当て時々タオルが顔から離れ


龍の赤い顔を覗かせていた



(龍のこの顔はレアだよなぁ~ なんだかカワイイんだよなぁ~ 忍のカワイさとは違う ヤベ~なぁ~俺龍ばっか見てる・・・)



「真彦 気になるか?」


そんな俺の事を龍が感じ取れない訳がなく


「あっごめん違う・・・」


「何が違うんだ?」



(言える訳がねぇ~じゃん)



「忍 違うおもちゃにするか・・・ 龍トランプあったよなぁ~」


「あぁ~ある・・・」


「トランプしよう・・・」


「忍にはまだ難しいと思うぞ・・・」


「大丈夫だよ 忍は龍と同じで頭がいいからすぐに理解が出来る・・・」



(良かった・・・ 焦った龍が怒り出したらどうしようかと思った・・・ なるべく龍の事を見ない様にしよう・・・)



俺はそう思いながら忍にトランプのルールを教えていた


忍は思った通り物覚えが早く


油断をしていると俺も龍も負けてしまう場面もあった


意外と忍も負けず嫌いな所があって


トランプでこんなに盛り上がれるのかと思うくらいに


俺と龍と忍のトランプ対決はおもしろかった



(いや~スゲー盛り上がった・・・ 忍だって負けたら悔しいよなぁ~男の子だもんなぁ~ それにしても俺は今日ヤベ~もんもんとしてる これはかなりヤベー龍を見ない様にしてるけど そんなレベルじゃ~ねぇ~よなぁ~)



そこへ世話係さんがおやつを持って来てくれた


「失礼しやす ずいぶんと盛り上がっていやしたねぇ~」


「忍が強くてびっくりなんですよ・・・」


「トランプですか?」


「忍も俺に負けず劣らず負けず嫌いだからなぁ~」


「若の兄弟ですからねぇ~ 忍さんも負けるのは悔しいですよねぇ~」


そう言いながら世話係さんがおやつを並べてくれた



(ヤベ~これはヤベ~ 何とかしねぇ~と・・・)



ここに居る事がいたたまれなくなって 


俺は龍にこう言った


「龍 これ食べたら俺今日は帰るよ」


「真彦もう帰るのかぁ~?」


「悪い龍・・・」


龍は俺の顔を見て視線を忍にうつした


「そうか・・・ 何があるのかは聞かねぇ~けど・・・ 忍また真彦と遊ぼうなぁ~」


「ありがとう龍・・・ 忍もまた遊ぼうな・・・」


「帰っちゃうの?」


忍はそう言って俺を見た


「忍 またトランプしような 今度は負けないからな・・・」


俺はそう言っておやつを食べ龍の部屋を出た


(つづく)


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