君の傷はさめざめと

Rg

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最終話

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「たす、助けて……!」

 血塗れの君の手が、シャツの裾を掴んだ。愛する君の悶え苦しむ姿が、胸を掻き毟る。
 僕の呼吸が次第に乱れてゆくのと同時に、君の鼓動は弱まっていく。

 次第に裾を掴む力も無くなり、君は僕の方に倒れ込んだ。微かな吐息と温もりで、頭がパンクしそうになった。
 真っ青な顔でぐったりと横たわる君を、僕はずっと見つめていた。

 やがて、君の鼓動が止んだ。

 滲む冷や汗を拭う事もせず、震える指をスマートフォンに滑らせる。
 静けさの中、君の好きだった曲が流れ始めた。
 こうして二人で聴いていると、少しだけ、日常が戻ってくるような気がした。


“君の心を知らないまま 幸せになるのが怖いよ”
“君の心を知って 幸せが壊れてしまうのが怖いよ”
“そんな僕の心を覗いてみてよ そして僕を抱き締めて”


 曲が終わるまでの5分間、現実から逃れるように目を瞑る。
 君と過ごす5分とは、こんなにも長かったのか。
 あの頃は、あっという間だったのに。

 呼吸が速まり、手足が痺れだした。
 僕は錯乱状態に陥りながらも、君を助けるということだけはしなかった。

 今はただ、この曲が終わるのを待つだけだ。
 君がもう、この世界で泣かないために。
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みんなの感想(1件)

⚡RAIKA⚡
2024.02.28 ⚡RAIKA⚡

すっかり惹き込まれて一瞬で読み終わってしまいました、、
描写一つ一つの説明が簡潔ではあるのにしっかりと思い描ける、、、
なんとも表現しがたいですが、身の毛のよだつ思いです。
(マシュマロでもまた詳しく
他作品とまとめて感想送ります、、!)

Rg
2024.02.28 Rg

良い人すぎる……!本当にありがとうございます😭🙏
君傷は語り手が『僕』なので、シンプル寄りの文章にしてみた記憶があります…!情景が伝わったようで嬉しいです!!
マシュマロにまで……恐縮です…!でもお待ちしております!!もちろんご無理のない範囲でお願いします🙏幸せすぎる…

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