5 / 5
最終話
しおりを挟む
「たす、助けて……!」
血塗れの君の手が、シャツの裾を掴んだ。愛する君の悶え苦しむ姿が、胸を掻き毟る。
僕の呼吸が次第に乱れてゆくのと同時に、君の鼓動は弱まっていく。
次第に裾を掴む力も無くなり、君は僕の方に倒れ込んだ。微かな吐息と温もりで、頭がパンクしそうになった。
真っ青な顔でぐったりと横たわる君を、僕はずっと見つめていた。
やがて、君の鼓動が止んだ。
滲む冷や汗を拭う事もせず、震える指をスマートフォンに滑らせる。
静けさの中、君の好きだった曲が流れ始めた。
こうして二人で聴いていると、少しだけ、日常が戻ってくるような気がした。
“君の心を知らないまま 幸せになるのが怖いよ”
“君の心を知って 幸せが壊れてしまうのが怖いよ”
“そんな僕の心を覗いてみてよ そして僕を抱き締めて”
曲が終わるまでの5分間、現実から逃れるように目を瞑る。
君と過ごす5分とは、こんなにも長かったのか。
あの頃は、あっという間だったのに。
呼吸が速まり、手足が痺れだした。
僕は錯乱状態に陥りながらも、君を助けるということだけはしなかった。
今はただ、この曲が終わるのを待つだけだ。
君がもう、この世界で泣かないために。
血塗れの君の手が、シャツの裾を掴んだ。愛する君の悶え苦しむ姿が、胸を掻き毟る。
僕の呼吸が次第に乱れてゆくのと同時に、君の鼓動は弱まっていく。
次第に裾を掴む力も無くなり、君は僕の方に倒れ込んだ。微かな吐息と温もりで、頭がパンクしそうになった。
真っ青な顔でぐったりと横たわる君を、僕はずっと見つめていた。
やがて、君の鼓動が止んだ。
滲む冷や汗を拭う事もせず、震える指をスマートフォンに滑らせる。
静けさの中、君の好きだった曲が流れ始めた。
こうして二人で聴いていると、少しだけ、日常が戻ってくるような気がした。
“君の心を知らないまま 幸せになるのが怖いよ”
“君の心を知って 幸せが壊れてしまうのが怖いよ”
“そんな僕の心を覗いてみてよ そして僕を抱き締めて”
曲が終わるまでの5分間、現実から逃れるように目を瞑る。
君と過ごす5分とは、こんなにも長かったのか。
あの頃は、あっという間だったのに。
呼吸が速まり、手足が痺れだした。
僕は錯乱状態に陥りながらも、君を助けるということだけはしなかった。
今はただ、この曲が終わるのを待つだけだ。
君がもう、この世界で泣かないために。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
すっかり惹き込まれて一瞬で読み終わってしまいました、、
描写一つ一つの説明が簡潔ではあるのにしっかりと思い描ける、、、
なんとも表現しがたいですが、身の毛のよだつ思いです。
(マシュマロでもまた詳しく
他作品とまとめて感想送ります、、!)
良い人すぎる……!本当にありがとうございます😭🙏
君傷は語り手が『僕』なので、シンプル寄りの文章にしてみた記憶があります…!情景が伝わったようで嬉しいです!!
マシュマロにまで……恐縮です…!でもお待ちしております!!もちろんご無理のない範囲でお願いします🙏幸せすぎる…