蒼い春も、その先も、

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歪む朧月

8-2

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 穂希に渡すプリントを持って、教室に戻る。
 席に着くなり、待ち伏せしていたかのように千冬が背後から近付いた。

「あれ? 今日もいなかったの?」

 くるりと向き直って頷くと、千冬は苦笑いを浮かべて、こめかみを掻いた。

「もしかして、私まずいこと言っちゃったかなぁ」
「え?」
「いや、此間こないだね、穂希くんとちょっと話したんだけど、その時『教室来なよ』みたいなこと言っちゃったから」
「……それはちょっと気になったかもね」

 蒼褪める胸中を隠し、椿も千冬と同じ表情をする。そうやって誤魔化すしかなかったのだ。

「やっぱりかー。うーん、難しいね。意外と普通だったから友達みたいに話しちゃったけど、ダメだったかぁ」

 千冬は明らかな困惑を示し、眉尻を下げた。

 彼女との会話には、度々“普通”と言う言葉が出てくる。その“普通”が、具体的には何を指しているのかを、椿は問い質したかった。

 ざわつく教室で感情を抑制し、再び机に向かった。
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