蒼い春も、その先も、

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花嵐に消えてゆく

15-2

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 モカの短い四肢が、太陽の熱がまだ残るアスファルトの上で、調子よく弾む。
 反対に、椿はモカに合わせていた歩速を緩め、持参していた水分を口に含んだ。

 夕暮れ時と言えど、夏ということに変わりはない。十分程度歩いただけで、額には汗が滲んでいた。
 木陰で一休みしようと方向を転換しかけた時、モカの動きが止まった。

 どうしたの、と問い掛けながら何気無く前方を見遣る。少女が、こちらに歩いてきている。夏らしい軽装だが、あれは紛れもなく――――朝比奈葉月だ。

 椿が葉月を認識した瞬間、葉月も驚いた顔を上げ、すぐに駆け寄ってくる。

「佳澄先輩! こんなところで会うなんて、びっくりしました!」

 椿が挨拶をする前に、モカが『遊ぼうよ!』と言わんばかりの表情で葉月の足元に前足を伸ばした。

「あ、コラ! モカ!」

 優しくリードを引っ張るが、モカは全身で拒み、葉月に近付こうとする。

「モカちゃんって言うんですね。可愛い。触ってもいいですか?」
「あ、うん。もちろん」

 穂希と同様、葉月も犬が好きなようだ。安堵し、モカを中心に戯れる。
 葉月は楽しげにモカを撫でていたが、次第にその手元は弱弱しくなっていった。

「あの……佳澄先輩」

 声色に、躊躇と不安が滲み出ている。意識的に穏やかな笑みを作り待っていると、彼女は一呼吸置いて口を開いた。

「ちょっと聞きたい事があるんですけど、いいですか?」
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