オシッコラム

くろねずみ

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トイレ史

トイレのない時代

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ギリシャ、ローマ時代どころか古代バビロニアにもあったトイレがヨーロッパからなくなる。
そもそもの話、トイレは都市の美化のために必要とされたのであって、排泄したい人のためにできたわけではない。

トイレがないと道端で済ませることになるから作られた。

街中にうんこが転がっていても多くの方が気にしない時代になり、トイレを作る技術もいつの間にかなくなる。

中世ヨーロッパ、清潔感とか気にせず働くことが美徳とされた時代。風呂もトイレも軽視される。

庶民のみならず、宮廷からもトイレがなくなる。
これらの話題に精通した閲覧者諸兄姉にはお馴染みの話になるかも知れないが、女性の長い裾の広がったスカートと下着をつけないスタイルは人知れずおしっこを済ませるのに最適であった。

とはいえ、当時の記録を見ると
男性の場合、立ち止まり、作業を中断し、おしっこタイムを取るのが一般的だったようだが
女性の場合、屋外で談笑しながら等、いつの間にか水溜りを作っているということがしばしばある。

不自然な動きをせず、水音を立てず、悟らせることなくおしっこを済ませるには、技術も必要だろうし、恥じらいもあったということではないだろうか。

中世にトイレができ始める。正確に言えばおまるだが。椅子としてそこに座り、執務、会議をトイレで中断しないような形で進化する。食事もする。

屋内で柱や壁に向かっておしっこしてしまう男対策らしい。
女性も椅子型トイレを使うようになる。周りに人がいても気にせず使う。
溜まった排泄物はゴミとして処理される。

トイレに行き、そこでおしっこをするという考え方が主流になるのはかなり先になる。
恐らく人間の本能としては特定の場所でおしっこを済ませるような動物ではないのだろう。
おまるの時代、どこでもおしっこを済ませれる時代は続く。

結局トイレは伝染病対策として作られる。王の命令で各家庭にトイレ設置が義務つけられる。
それにも関わらず、各家庭にトイレが普及するのは19世紀。もうほぼ近代の話なのである。



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