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夏が来れば思い出す

カルテ4 迷子の子狐3

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どうにか次の道の駅の開店時間ギリギリに着けたので飲み物の購入とハンコを押してキャンピングカーに戻った。

「お兄ちゃん、キムルたちのトイレお願いね」そう言ってサヨリは俺たちのご飯の用意を始めてくれた。
仕方がない二匹づつ連れ出そう。夜間トイレはあるから俺たちはいいが、子狐たちキムルたちの糞の始末が問題だ。下手に始末したら後で問題になると厄介だし…やっぱお持ち帰りだよな。うん
「お兄ちゃんちゃんと処理してきてよ。マナーが悪くて出入り禁止になんてされちゃあ他の飼い主さんに迷惑をかけ
るんだから」
「ああわかっているよこの袋にまとめて持って行けばいいんだろ」そういて袋を二重にしたものを数枚とおしっこをした後の処理用の水を持って30分かけて散歩を兼ねたトイレタイムをしたのだが、まず糞をしない。一体どうしたのかと体を確認しなければと思い4匹の散歩の後身体検査をすることになった。

まず問診から
「今日何を食べたの?」と聞くと
「魚でしょ草でしょ、後カニをこれから食べるよ」キムルが代表として答えた
「僕らと会う前にトイレをした?」
「なんかね僕らあまり糞をしないみたい。野狐のお兄ちゃんたちはいつもびっくりしているよ」とのこと
「食べたものはどうなっているの?消化はできているのかな?」
「わかんない。たまにどんと出ることもあるし、今日みたいに待ったくおしっこだけっていうこともある」う~む
「じゃあ一回触診させてもらっていいかな?」
「「「「うんいいよ」」」」そう答えてくれたのですぐに一匹づつ簡易診療台に乗せて触診を始めた。
やっぱり天狐の子供だけある。まず食べたものは消化され尽くしているみたいだ。だからといって虫がいるわけでもない。(痩せ細ってもお腹が異常に膨れているわけでもない)今回は魚と草を食べただけなので完全に消化されたのだろう。ということはカニなどの甲殻類や貝の殻が消化できない部類に入るのだとすると、今日のカニは殻を外して与えないとならないことになる。
「さてみんなの結果はいたって健康、虫の心配もないから。ただ、消化できないものがあるみたいなのでひとまずカニの身をほぐしてあげるからそれを食べてね。後、トイレはがマンしないこと。場所は作っておくからきちんとしてね」というと
「「「「は~い」」」」と元気よく答えてくれた。とにかく問題は何もないみたいなのでひとまず安心。
よその子を預かるってほんと大変。
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