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「あの…ご、ごめんね、ひろく、うぅ、ま、松本君、少し、言い方が、その、強くて…」
「どうしてかなちゃんが謝るの?」
「全然、気にしてないよ。相手にしてくれるだけ嬉しいから…藤野君は優しいね。松本君は、幸せ者だ」
松本大翔は昴を横目で睨みつけてから再びタブレットに向き直った。羨ましい。こうして庇って癒やしてくれる姫がすぐそばにいる。藤野佳奈多は姫として、松本大翔に寄り添っている。
「勇斗~、今なにしてんの?」
「火鷹!遅れてきておいて邪魔するんじゃない。お前は先生とやるぞ」
「はぁ!?やだよ!なんだよ、先生とヤるって!」
藤野佳奈多の背後で、遅れてきたジュンが勇斗に絡んでいた。勇斗はジュンをなだめていたが、すぐさま教師がジュンを引っ張って行ってしまった。ちらりと、勇斗と目があったが、勇斗はすぐに目をそらしてしまう。
「う…五十嵐君、ひろくんと一緒、うれしい?」
「もちろん。緊張したけどね。どうして?」
「ほんとは、ほ、他の人と、グループ、したかった、かなって、思、て。五十嵐君、内村君と、ひ、火鷹君、仲良し、だから」
昴は首を傾げた。昴はみなに平等に接している。ジュンと勇斗と、特別仲良くしているつもりはない。
「仲良く、見える?」
「う。五十嵐君、よく、内村君と、火鷹、君、お話、してる、から」
「そう…かな」
「五十嵐君、見てる。内村君と、火鷹、君。ひろくんのことも、見てる、けど…違う、目、してる」
藤野佳奈多はじっと昴を見つめている。大きな愛らしい瞳はまるで何かを見透かしているかのようだ。
話し方も背格好もどことなく勇斗に似ている藤野佳奈多は、話をしてみると勇斗とは全く違っていた。
勇斗はこんなに聡くない。
先程の、松本大翔との話し合いでわかったが、藤野佳奈多は中々知能の高い人間だ。真逆の意見を出し合う松本大翔と昴に、あえてお互いの意見を肯定するような意見を出すように求めてきた。扱い方のわかっている松本大翔をうまく誘導していたが、昴もまた藤野佳奈多に道筋をつけられてしまった。
いつも松本大翔の影に隠れて目立たない藤野佳奈多だが、実は聡明な人間らしい。
昴は返事ができず、黙ってしまった。隣で松本大翔が笑う気配がした。
「…見抜かれると思ってなかったみたいだな。人間らしい顔だ」
「ひろ、くん?」
「なんでもないよ、かなちゃん…できたぞ。核心を突かれてどんな気分だ?委員長様」
楽しそうに笑う松本大翔に問われて、昴はまた答えられなかった。タブレットを操作して画面を開く。松本大翔のレポートを読んで昴は頷いた。
「さすが、松本君。完璧だね………藤野君。俺、そんなに勇斗とジュンのこと、見てたかな」
「う…あと、あの、な、名前…名前、下の、呼ぶの、五十嵐君、内村君と、ひ、火鷹君、だけ、だから」
昴は息を呑んだ。
本当に聡い人だ。どこまでも見抜かれていた。
「おい、話しかけるな。もう用はない。かなちゃんも、話さないでいいよ。もう終わったから」
「ひ、ひろくん、でも、せっかく、グループ、だから……あの、ぼく、五十嵐君、お話できて、嬉しい。幼稚園の時、ひろくんも、五十嵐君も、助けて、くれたから」
遮る松本大翔をなだめて藤野佳奈多は笑った。藤野佳奈多をいじめて泣かせるジュンを何度か止めたことがある。藤野佳奈多を救うヒーローとして。いじわるをしてしまう可愛いジュンの視線をこちらに向けるため。
誰にも平等に。だれか特定の相手を愛してはいけない。
「あと、あの、い、五十嵐、君、あの…う、内村、君も、きっと…あの、う、ぅ、と…」
藤野佳奈多はなんども逡巡して、ついに黙ってしまった。いつも熱のこもった瞳で見つめてくれる勇斗。愛らしくて可愛い勇斗は、昴のことをどう思っているのか。藤野佳奈多にはどう見えているのだろう。
「…藤野君。俺は、松本君が羨ましいんだ。俺は…誰かを、愛していいのかな」
「彼に聞くな。自分で考えろ」
藤野佳奈多への問いは松本大翔にかき消されてしまった。怒気が込められていて、松本大翔の苛立ちが感じられる。藤野佳奈多は松本大翔の手を取り握った。
「どうしてかなちゃんが謝るの?」
「全然、気にしてないよ。相手にしてくれるだけ嬉しいから…藤野君は優しいね。松本君は、幸せ者だ」
松本大翔は昴を横目で睨みつけてから再びタブレットに向き直った。羨ましい。こうして庇って癒やしてくれる姫がすぐそばにいる。藤野佳奈多は姫として、松本大翔に寄り添っている。
「勇斗~、今なにしてんの?」
「火鷹!遅れてきておいて邪魔するんじゃない。お前は先生とやるぞ」
「はぁ!?やだよ!なんだよ、先生とヤるって!」
藤野佳奈多の背後で、遅れてきたジュンが勇斗に絡んでいた。勇斗はジュンをなだめていたが、すぐさま教師がジュンを引っ張って行ってしまった。ちらりと、勇斗と目があったが、勇斗はすぐに目をそらしてしまう。
「う…五十嵐君、ひろくんと一緒、うれしい?」
「もちろん。緊張したけどね。どうして?」
「ほんとは、ほ、他の人と、グループ、したかった、かなって、思、て。五十嵐君、内村君と、ひ、火鷹君、仲良し、だから」
昴は首を傾げた。昴はみなに平等に接している。ジュンと勇斗と、特別仲良くしているつもりはない。
「仲良く、見える?」
「う。五十嵐君、よく、内村君と、火鷹、君、お話、してる、から」
「そう…かな」
「五十嵐君、見てる。内村君と、火鷹、君。ひろくんのことも、見てる、けど…違う、目、してる」
藤野佳奈多はじっと昴を見つめている。大きな愛らしい瞳はまるで何かを見透かしているかのようだ。
話し方も背格好もどことなく勇斗に似ている藤野佳奈多は、話をしてみると勇斗とは全く違っていた。
勇斗はこんなに聡くない。
先程の、松本大翔との話し合いでわかったが、藤野佳奈多は中々知能の高い人間だ。真逆の意見を出し合う松本大翔と昴に、あえてお互いの意見を肯定するような意見を出すように求めてきた。扱い方のわかっている松本大翔をうまく誘導していたが、昴もまた藤野佳奈多に道筋をつけられてしまった。
いつも松本大翔の影に隠れて目立たない藤野佳奈多だが、実は聡明な人間らしい。
昴は返事ができず、黙ってしまった。隣で松本大翔が笑う気配がした。
「…見抜かれると思ってなかったみたいだな。人間らしい顔だ」
「ひろ、くん?」
「なんでもないよ、かなちゃん…できたぞ。核心を突かれてどんな気分だ?委員長様」
楽しそうに笑う松本大翔に問われて、昴はまた答えられなかった。タブレットを操作して画面を開く。松本大翔のレポートを読んで昴は頷いた。
「さすが、松本君。完璧だね………藤野君。俺、そんなに勇斗とジュンのこと、見てたかな」
「う…あと、あの、な、名前…名前、下の、呼ぶの、五十嵐君、内村君と、ひ、火鷹君、だけ、だから」
昴は息を呑んだ。
本当に聡い人だ。どこまでも見抜かれていた。
「おい、話しかけるな。もう用はない。かなちゃんも、話さないでいいよ。もう終わったから」
「ひ、ひろくん、でも、せっかく、グループ、だから……あの、ぼく、五十嵐君、お話できて、嬉しい。幼稚園の時、ひろくんも、五十嵐君も、助けて、くれたから」
遮る松本大翔をなだめて藤野佳奈多は笑った。藤野佳奈多をいじめて泣かせるジュンを何度か止めたことがある。藤野佳奈多を救うヒーローとして。いじわるをしてしまう可愛いジュンの視線をこちらに向けるため。
誰にも平等に。だれか特定の相手を愛してはいけない。
「あと、あの、い、五十嵐、君、あの…う、内村、君も、きっと…あの、う、ぅ、と…」
藤野佳奈多はなんども逡巡して、ついに黙ってしまった。いつも熱のこもった瞳で見つめてくれる勇斗。愛らしくて可愛い勇斗は、昴のことをどう思っているのか。藤野佳奈多にはどう見えているのだろう。
「…藤野君。俺は、松本君が羨ましいんだ。俺は…誰かを、愛していいのかな」
「彼に聞くな。自分で考えろ」
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