22 / 78
恋愛は面白い
「これやから恋愛は、」
「おもろいやろ?」
ヘラヘラと笑う優人の顔を見て確信した。こいつ、俺のこの状況を完全に楽しんでるな。
「俺はもうこりごりやけどな。特に社内恋愛は」
「それ、今めっちゃ身に染みてるわ。ずっと一緒に居れるからええもんやと思ってたけど、それって気まずい時でも顔合わせなあかんってことやもんなぁ……」
「まあ、俺は部署がちゃうからマシやったけどな。どうにか避けることもできるし。もとちゃん程やないわ」
「優人、モテるのにもったいないよな。あーあ、俺はどこに勤めててもええから、はよ彼女と別れて俺と付き合ってほしいわ……」
半沢くんが「大好き」だと言ってくれた俺たち三人は、ミステリアスでもセクシーでもない。ドラマみたいな理想の上司なんかじゃなくて、ただの恋愛下手な普通の男やねん。
「いや、でもさ。半沢くんがもとちゃん選ぶとは思ってなかったわ。どう考えても、仲の良さからいけば優人じゃない?」
「消去法やんな? 一番いけそう、っていう」
「それ、地味に傷つくんですけど☆」
優人を指差してウィンクした瞬間、入り口から半沢くんが入ってきて心臓が跳ねた。喧嘩中やのに、こんな反省の色ゼロな姿を見られるなんて。ごめんなさい、反省してます。……何に対してかは分からんけど。
「どうしたん? 忘れ物?」
「……お弁当持ってきてたんで。捨てるくらいなら、食べてもらおかなって」
「え!? 俺に!?」
マジか! やっぱり俺のこと大好きなんやん!
満面の笑みで手を差し出したら、またしても無慈悲に無視された。ちょっと待て、人生でこんな屈辱ないぞ。
「……違います。上重くん、手作りのお弁当が大好きらしくて」
そう言い残して、半沢くんは嵐のように去っていった。
「……やって、優人」
「知ってる。あいつには何回も作ったわ。やば、思い出して涙出そう」
そう言いながら、優人は大きな口を開けて笑ってる。俺、優人が悲しい顔をしてるところを見たことがない。いっつも笑ってる。……上重くんの前では、一回くらい正直に泣けたんかな。
「で、もとちゃん、飯どうする? 半沢くんにもらった体で、食べるふりしとく?」
「エアー弁当ってこと?」
「そこまでまだ頭狂ってない」
あーそれにしても、マジでショックや。家族も友達も、俺の周りはいい奴ばっかりやった。無視されるとか、睨まれるとか、ほんまに初めてのことばかりでどうしていいか分からへん。
今まで出会った中で一番の天使やと思ったのに。
「あ、仲直り作戦で、あれせえへん? 手作り弁当で、どっちが半沢くん落とせるか勝負。ええ肉仕入れたんよ。俺、絶対勝てるわ」
「そんなんできるわけないやろ。俺ら二人とも、今あんなに嫌われてんのに」
「やから、するんやん。胃袋から掴むって言うやろ?」
「おもろいやろ?」
ヘラヘラと笑う優人の顔を見て確信した。こいつ、俺のこの状況を完全に楽しんでるな。
「俺はもうこりごりやけどな。特に社内恋愛は」
「それ、今めっちゃ身に染みてるわ。ずっと一緒に居れるからええもんやと思ってたけど、それって気まずい時でも顔合わせなあかんってことやもんなぁ……」
「まあ、俺は部署がちゃうからマシやったけどな。どうにか避けることもできるし。もとちゃん程やないわ」
「優人、モテるのにもったいないよな。あーあ、俺はどこに勤めててもええから、はよ彼女と別れて俺と付き合ってほしいわ……」
半沢くんが「大好き」だと言ってくれた俺たち三人は、ミステリアスでもセクシーでもない。ドラマみたいな理想の上司なんかじゃなくて、ただの恋愛下手な普通の男やねん。
「いや、でもさ。半沢くんがもとちゃん選ぶとは思ってなかったわ。どう考えても、仲の良さからいけば優人じゃない?」
「消去法やんな? 一番いけそう、っていう」
「それ、地味に傷つくんですけど☆」
優人を指差してウィンクした瞬間、入り口から半沢くんが入ってきて心臓が跳ねた。喧嘩中やのに、こんな反省の色ゼロな姿を見られるなんて。ごめんなさい、反省してます。……何に対してかは分からんけど。
「どうしたん? 忘れ物?」
「……お弁当持ってきてたんで。捨てるくらいなら、食べてもらおかなって」
「え!? 俺に!?」
マジか! やっぱり俺のこと大好きなんやん!
満面の笑みで手を差し出したら、またしても無慈悲に無視された。ちょっと待て、人生でこんな屈辱ないぞ。
「……違います。上重くん、手作りのお弁当が大好きらしくて」
そう言い残して、半沢くんは嵐のように去っていった。
「……やって、優人」
「知ってる。あいつには何回も作ったわ。やば、思い出して涙出そう」
そう言いながら、優人は大きな口を開けて笑ってる。俺、優人が悲しい顔をしてるところを見たことがない。いっつも笑ってる。……上重くんの前では、一回くらい正直に泣けたんかな。
「で、もとちゃん、飯どうする? 半沢くんにもらった体で、食べるふりしとく?」
「エアー弁当ってこと?」
「そこまでまだ頭狂ってない」
あーそれにしても、マジでショックや。家族も友達も、俺の周りはいい奴ばっかりやった。無視されるとか、睨まれるとか、ほんまに初めてのことばかりでどうしていいか分からへん。
今まで出会った中で一番の天使やと思ったのに。
「あ、仲直り作戦で、あれせえへん? 手作り弁当で、どっちが半沢くん落とせるか勝負。ええ肉仕入れたんよ。俺、絶対勝てるわ」
「そんなんできるわけないやろ。俺ら二人とも、今あんなに嫌われてんのに」
「やから、するんやん。胃袋から掴むって言うやろ?」
あなたにおすすめの小説
旦那様と僕
三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。
縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。
本編完結済。
『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
白砂の夜に踊る
晴なつちくわ
BL
芸を売り、各国を渡り歩く一座きっての踊り子・ヴェルナ。彼は、今は亡き国・ウル皇国の末の皇子であり、皇族唯一のΩであった。そんな彼らはある時、ラナキア王国へと招かれた。夜の宴に呼ばれたりで、初日を忙しなく過ごしていたヴェルナだったが、夜が更け月が出た頃、一人で踊っていると一人の男に声を掛けられる。月明かりに照らされたその端正な顔は、ラナキア王国の第三王子であり『一夜王子』との異名を持つミュトラで――。
という第三王子α×踊り子Ωの異国ファンタジー恋物語です。
差別的な言動をするモブが出ますが、受け(ヴェルナ)が正論パンチで返り討ちにしたりします。
差別的言動を助長する意図は全くございません。物語の一要素としてところどころに出てくる可能性がありますので、苦手な方はご注意ください。
性描写には※がつきます。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。