あざとい僕の甘い罠

とと

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恋愛は面白い

「これやから恋愛は、」

「おもろいやろ?」

ヘラヘラと笑う優人の顔を見て確信した。こいつ、俺のこの状況を完全に楽しんでるな。

「俺はもうこりごりやけどな。特に社内恋愛は」

「それ、今めっちゃ身に染みてるわ。ずっと一緒に居れるからええもんやと思ってたけど、それって気まずい時でも顔合わせなあかんってことやもんなぁ……」

「まあ、俺は部署がちゃうからマシやったけどな。どうにか避けることもできるし。もとちゃん程やないわ」

「優人、モテるのにもったいないよな。あーあ、俺はどこに勤めててもええから、はよ彼女と別れて俺と付き合ってほしいわ……」

半沢くんが「大好き」だと言ってくれた俺たち三人は、ミステリアスでもセクシーでもない。ドラマみたいな理想の上司なんかじゃなくて、ただの恋愛下手な普通の男やねん。

「いや、でもさ。半沢くんがもとちゃん選ぶとは思ってなかったわ。どう考えても、仲の良さからいけば優人じゃない?」

「消去法やんな? 一番いけそう、っていう」

「それ、地味に傷つくんですけど☆」

優人を指差してウィンクした瞬間、入り口から半沢くんが入ってきて心臓が跳ねた。喧嘩中やのに、こんな反省の色ゼロな姿を見られるなんて。ごめんなさい、反省してます。……何に対してかは分からんけど。

「どうしたん? 忘れ物?」

「……お弁当持ってきてたんで。捨てるくらいなら、食べてもらおかなって」

「え!? 俺に!?」

マジか! やっぱり俺のこと大好きなんやん!
満面の笑みで手を差し出したら、またしても無慈悲に無視された。ちょっと待て、人生でこんな屈辱ないぞ。

「……違います。上重くん、手作りのお弁当が大好きらしくて」

そう言い残して、半沢くんは嵐のように去っていった。

「……やって、優人」

「知ってる。あいつには何回も作ったわ。やば、思い出して涙出そう」

そう言いながら、優人は大きな口を開けて笑ってる。俺、優人が悲しい顔をしてるところを見たことがない。いっつも笑ってる。……上重くんの前では、一回くらい正直に泣けたんかな。

「で、もとちゃん、飯どうする? 半沢くんにもらった体で、食べるふりしとく?」

「エアー弁当ってこと?」

「そこまでまだ頭狂ってない」

あーそれにしても、マジでショックや。家族も友達も、俺の周りはいい奴ばっかりやった。無視されるとか、睨まれるとか、ほんまに初めてのことばかりでどうしていいか分からへん。
今まで出会った中で一番の天使やと思ったのに。

「あ、仲直り作戦で、あれせえへん? 手作り弁当で、どっちが半沢くん落とせるか勝負。ええ肉仕入れたんよ。俺、絶対勝てるわ」

「そんなんできるわけないやろ。俺ら二人とも、今あんなに嫌われてんのに」

「やから、するんやん。胃袋から掴むって言うやろ?」
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