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第2章 バリガンガルド編
75 ドワーフ謹製ニュー鎧
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突如現れたドラゴンは、突如東の空に飛び去った。
そしてバリガンガルドの街には平和が戻ったのでした。
めでたしめでたし!
いや、全然めでたくねえよ……。
エルフのクラクラがドラゴンにさらわれてしまったのだ。
ついでに俺の腕パーツも。
まあ俺のパーツはわりとどうでもいい。
ここは街なので、鎧の代わりは調達できるからな。
問題はクラクラだ。
ドラゴンがなんのつもりで彼女を拐っていったのかはよくわからない。
単純に考えれば食料なんだろうが。
どうも、そんな感じではなかった。
ドラゴンは彼女を見て『ライレンシア』と呼んでいた。
そして『変わらず美しい』とも。
完全に人違いだとは思うけど。
ともかくあいつは、クラクラを一個人として認識していた。
だとしたら、拐ってすぐに殺すこともないと思う。
え?
腕パーツで様子を探りゃいいじゃんって?
うん、もちろん俺もそうしようとしたさ。
けどドラゴンが空飛んでる途中で咆哮したせいで、また意識が喪失してしまった。
そして、それを境に、腕パーツと連絡が取れなくなってしまったのだ。
たぶん、距離が開きすぎたせいだと思う。
パーツ同士が離れても平気な距離は、ちゃんと確かめておいた方が良さそうだな。
とにかくそんなわけで、当面の目標はドラゴンの捜索。
そしてクラクラの救出だ。
しかし俺はなかなか困った状態だ。
エドから借りた鎧は全部ドラゴンの咆哮でバラバラ。
元々の身体も、ドラゴンに腕パーツがさらわれてしまった。
これじゃドラゴンの創作どころか、街を歩くのもままならん。
そんなわけで!
造ってもらいました!
ドワーフ謹製鎧!
そう。
このバリガンガルドの街の冒険者ギルドで偶然知り合ったドワーフ嬢のアルメル。
彼女はこの街でも優秀な鍛治師でもあったのだ。
というか、ギルドの受付嬢の方が副業っぽい。
といっても一から造ってもらう時間は流石にない。
なので、在庫を少し打ち直して改良してもらった。
「どうですか? 着心地……っていうのかわかりませんけど」
〈うん。すごく快適だ〉
アルメルの鍛治工房。
受付嬢のときとは全然違う、鍛治師っぽいワイルドな格好のアルメルに俺は答える。
ほんと、すごくいい感じ。
これまでの鎧が『合わないサイズを無理やり着ていた』と感じられるくらいだ。
「本来なら防御優先で、矢が刺さらないよう塞ぐところも少し開けて、全体的に可動域を大きくしてあります。同じように、薄くしても問題ないところは薄くして、重量も軽くなっています。強度は落とさないように工夫しました」
素晴らしい。
事実、鎧としての性能は落ちていないようだ。
久しぶりに冒険書のステータスを確認してみよう。
『リビングアーマー LV.25 名前:なし
HP:2108/2165(1409/1409)
MP:976/980(756/756)
物理攻撃力:687(321)
物理防御力:589(435)
魔法攻撃力:17(12)
魔法抵抗力:19(14)
スキル:霊体感覚+4、霊体操作+6、霊体転移+3、霊体分割+4
称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、生還者、決死者
称号特典:魔力習得率アップLV.2、魔力変換率アップLV.2、恐怖耐性LV.4、魔力生命力変換LV.1、生命力魔力変換LV.1』
全ての数値が上昇していた。
しかも最高記録!
まあ、それもそうだよな。
これまでの鎧は人間が中にいること前提の鎧だ。
当たり前だけど。
しかし今回はアルメルの手によって、いわば「リビングアーマー専用」に改造された。
つまり、これが俺の本来の実力……というか性能と言える。
ちなみに、スキルもちょこちょこ上昇してるな。
霊体感覚が+3から+4に。
霊体操作が+5から+6に。
霊体転移が+2から+3に。
霊体分割が+1から+4に。
ついでにいうとレベルも24から25に上がっていた。
……正直に言うと、ちょっとガッカリした気持ちだ。
だってドラゴンだよ?
あの巨体だよ?
あんなのと戦ったわりには、レベル一つだけ?
討伐してないので、手に入れるべき魔力が放出されなかったってことなんだろうけど。
つまり、このレベルアップは周りで倒されてたキャノントータスの分。
そういうことなんだろうね。
と、そうだそうだ。
確認しとかなきゃな。
〈今回は、魔響震対策の術式は間違えてないよね?〉
「大丈夫です。他のドワーフにも確認してもらってますから」
二重チェックが行われてるなら安心……かな?
〈でも、代金は本当に払わなくていいの?〉
「もちろんです」
俺の問いに、アルメルは大きく頷く。
「前の鎧であんなご迷惑をおかけして……それに、街を救ってくれた英雄からお金なんて取れませんよ」
〈英雄ねぇ……〉
俺は結局なにもしてないんだけどな。
〈まあ、それならお言葉に甘えるよ〉
そもそも俺金持ってないしな。
銅貨が入ってた袋は地震のときギルドの建物に埋まってしまった。
「はい。そのうち、一からの注文を待ってますから」
しっかりしてるなぁ!
まあ、どこで宝箱とかゲットしたらな。
で、最後に確認しておくべきことを俺は聞いた。
〈で……本当についてくるつもりか?〉
そう。
アルメルは、なんとクラクラを助けに行く俺についてくると言い出したのだ。
あんなにリビングアーマーや、ドラゴンのことを怖がってたのに。
どういう心境の変化だ……。
「当然です! その鎧のメンテナンス、誰がするんですか!」
突然鼻息荒く言ってくるアルメル。
「前の鎧なんて、サビサビのボロボロだったじゃないですか! あんなんでドラゴンと戦おうだなんて無茶・無理・無謀ですよ!」
テンション変わりすぎでしょこの人……。
しょうがないじゃん、あの鎧、ダンジョンで拾ったやつなんだから。
しかし身体にしてた俺ですら気付かなかったが、あれはひどい状態だったらしい。
サビがあちこちに出てて。
接続用のベルトやなんかもボロボロで。
ドワーフの鍛治師としては気になって仕方なかったらしい。
「それに……クラクラさんだってこの街を助けるために戦ってくれたんです。見捨てるなんて、できませんよ」
…………まったく。
なんだかんだいっていい人なんだな。
しかしすっかりクラクラって名前が定着しつつある。
ちゃんとした名前なんだっけ……?
………………えーと。
ま、まあいいや。
そろそろ冒険者ギルドに行こう。
ロロコの方の準備もできてるはずだ。
そしてバリガンガルドの街には平和が戻ったのでした。
めでたしめでたし!
いや、全然めでたくねえよ……。
エルフのクラクラがドラゴンにさらわれてしまったのだ。
ついでに俺の腕パーツも。
まあ俺のパーツはわりとどうでもいい。
ここは街なので、鎧の代わりは調達できるからな。
問題はクラクラだ。
ドラゴンがなんのつもりで彼女を拐っていったのかはよくわからない。
単純に考えれば食料なんだろうが。
どうも、そんな感じではなかった。
ドラゴンは彼女を見て『ライレンシア』と呼んでいた。
そして『変わらず美しい』とも。
完全に人違いだとは思うけど。
ともかくあいつは、クラクラを一個人として認識していた。
だとしたら、拐ってすぐに殺すこともないと思う。
え?
腕パーツで様子を探りゃいいじゃんって?
うん、もちろん俺もそうしようとしたさ。
けどドラゴンが空飛んでる途中で咆哮したせいで、また意識が喪失してしまった。
そして、それを境に、腕パーツと連絡が取れなくなってしまったのだ。
たぶん、距離が開きすぎたせいだと思う。
パーツ同士が離れても平気な距離は、ちゃんと確かめておいた方が良さそうだな。
とにかくそんなわけで、当面の目標はドラゴンの捜索。
そしてクラクラの救出だ。
しかし俺はなかなか困った状態だ。
エドから借りた鎧は全部ドラゴンの咆哮でバラバラ。
元々の身体も、ドラゴンに腕パーツがさらわれてしまった。
これじゃドラゴンの創作どころか、街を歩くのもままならん。
そんなわけで!
造ってもらいました!
ドワーフ謹製鎧!
そう。
このバリガンガルドの街の冒険者ギルドで偶然知り合ったドワーフ嬢のアルメル。
彼女はこの街でも優秀な鍛治師でもあったのだ。
というか、ギルドの受付嬢の方が副業っぽい。
といっても一から造ってもらう時間は流石にない。
なので、在庫を少し打ち直して改良してもらった。
「どうですか? 着心地……っていうのかわかりませんけど」
〈うん。すごく快適だ〉
アルメルの鍛治工房。
受付嬢のときとは全然違う、鍛治師っぽいワイルドな格好のアルメルに俺は答える。
ほんと、すごくいい感じ。
これまでの鎧が『合わないサイズを無理やり着ていた』と感じられるくらいだ。
「本来なら防御優先で、矢が刺さらないよう塞ぐところも少し開けて、全体的に可動域を大きくしてあります。同じように、薄くしても問題ないところは薄くして、重量も軽くなっています。強度は落とさないように工夫しました」
素晴らしい。
事実、鎧としての性能は落ちていないようだ。
久しぶりに冒険書のステータスを確認してみよう。
『リビングアーマー LV.25 名前:なし
HP:2108/2165(1409/1409)
MP:976/980(756/756)
物理攻撃力:687(321)
物理防御力:589(435)
魔法攻撃力:17(12)
魔法抵抗力:19(14)
スキル:霊体感覚+4、霊体操作+6、霊体転移+3、霊体分割+4
称号:駆け出し冒険者、初級冒険者、魔物討伐者、生還者、決死者
称号特典:魔力習得率アップLV.2、魔力変換率アップLV.2、恐怖耐性LV.4、魔力生命力変換LV.1、生命力魔力変換LV.1』
全ての数値が上昇していた。
しかも最高記録!
まあ、それもそうだよな。
これまでの鎧は人間が中にいること前提の鎧だ。
当たり前だけど。
しかし今回はアルメルの手によって、いわば「リビングアーマー専用」に改造された。
つまり、これが俺の本来の実力……というか性能と言える。
ちなみに、スキルもちょこちょこ上昇してるな。
霊体感覚が+3から+4に。
霊体操作が+5から+6に。
霊体転移が+2から+3に。
霊体分割が+1から+4に。
ついでにいうとレベルも24から25に上がっていた。
……正直に言うと、ちょっとガッカリした気持ちだ。
だってドラゴンだよ?
あの巨体だよ?
あんなのと戦ったわりには、レベル一つだけ?
討伐してないので、手に入れるべき魔力が放出されなかったってことなんだろうけど。
つまり、このレベルアップは周りで倒されてたキャノントータスの分。
そういうことなんだろうね。
と、そうだそうだ。
確認しとかなきゃな。
〈今回は、魔響震対策の術式は間違えてないよね?〉
「大丈夫です。他のドワーフにも確認してもらってますから」
二重チェックが行われてるなら安心……かな?
〈でも、代金は本当に払わなくていいの?〉
「もちろんです」
俺の問いに、アルメルは大きく頷く。
「前の鎧であんなご迷惑をおかけして……それに、街を救ってくれた英雄からお金なんて取れませんよ」
〈英雄ねぇ……〉
俺は結局なにもしてないんだけどな。
〈まあ、それならお言葉に甘えるよ〉
そもそも俺金持ってないしな。
銅貨が入ってた袋は地震のときギルドの建物に埋まってしまった。
「はい。そのうち、一からの注文を待ってますから」
しっかりしてるなぁ!
まあ、どこで宝箱とかゲットしたらな。
で、最後に確認しておくべきことを俺は聞いた。
〈で……本当についてくるつもりか?〉
そう。
アルメルは、なんとクラクラを助けに行く俺についてくると言い出したのだ。
あんなにリビングアーマーや、ドラゴンのことを怖がってたのに。
どういう心境の変化だ……。
「当然です! その鎧のメンテナンス、誰がするんですか!」
突然鼻息荒く言ってくるアルメル。
「前の鎧なんて、サビサビのボロボロだったじゃないですか! あんなんでドラゴンと戦おうだなんて無茶・無理・無謀ですよ!」
テンション変わりすぎでしょこの人……。
しょうがないじゃん、あの鎧、ダンジョンで拾ったやつなんだから。
しかし身体にしてた俺ですら気付かなかったが、あれはひどい状態だったらしい。
サビがあちこちに出てて。
接続用のベルトやなんかもボロボロで。
ドワーフの鍛治師としては気になって仕方なかったらしい。
「それに……クラクラさんだってこの街を助けるために戦ってくれたんです。見捨てるなんて、できませんよ」
…………まったく。
なんだかんだいっていい人なんだな。
しかしすっかりクラクラって名前が定着しつつある。
ちゃんとした名前なんだっけ……?
………………えーと。
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