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児童誘拐殺人事件 篇
アイラのおでかけ③
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その直後に聞こえたのは一発の銃声。若造は怒りに任せて遂に銃の引き金を引いたのだ。
「アイラ!」
慌てて店内へと飛び出したウィリアムだったが、二人のガンマンは何故か忽然と姿を消していた。肝心のアイラはといえば、何事も無かったかのように先ほど稼いだ五百ドラム硬貨をバーテンに渡してグラスに入ったミルクを受け取っている。
まるで狐につままれたようにポカンとしていたウィリアムだったが、先ほどの二人が立っていた場所に上からポタポタと水が滴っていることに気づいた。おそるおそる天井を見上げると、そこには黒い糸が首に巻き付いた二人の賞金稼ぎが涎を垂らしながらぶら下がっているではないか。暗がりに目を細めると、天井にぶら下がっている人物がもう一人。虎皇会の暗殺担当、凶星であった。
得体の知れない細い糸で大の男二人の首を瞬時に吊り上げたスピードとパワー。そして仕掛ける瞬間を誰にも悟らせない技量は見事の一言。こんなことが出来るのは彼女の他にはスパイダーマンくらいのものだろう。
逆さ吊りの状態で天井に張り付いている凶星は訝しげな様子で見つめているウィリアムと目が合うと、若干気恥ずかしそうにして口元に人差し指を当てた。
そんな凶星の意外性たっぷりの仕草に不覚にも可愛いじゃないかと思っていた矢先、先ほどからアイラに裾を引っ張られていたことに気づく。
「ウィル、こんなところで何してるの?」
「それはこちらのセリフだよバンビーナ」と喉元まで出かかった言葉をグッと飲み込み、ウィリアムはアイラの頭を撫でる。
「い、いや、たまたま近くに買い出しの用があってさ。そのついでに立ち寄っただけだよ」
「そうなんだ。じゃあ、ごゆっくり」
アイラはそう言うと、ミルクの入ったコップを持って店を出て行った。
アイラが酒場を出て少ししてから、ウィリアムは再度尾行を開始。繁華街を通り抜けて五分ほど行ったところで、ある建物が見えてきた。そこはつい最近までデュランが入院していた病院。ウィリアムは冗談のつもりで言った自分の言葉を思い出していた。
「もしかして、ホントに同年代の彼氏とか? いやいやそんなまさか……」
確かにアイラは、デュランの見舞いに来るたび僅かな時間だが一人で院内を歩き回っていた。近頃はジェイルタウンに篭りきりだったので探検でもしたい年頃なのだろうと特に気にも留めていなかったが、そこで〝素敵な出会い〟があったとしても何ら不思議ではない。一歩、また一歩と病院へ近づく度、呟いた独り言が信憑性を増していく感覚が強くなっていくのを感じた。
しかし、ウィリアムの予想に反してアイラは病院の敷地に入りこそしたが、入り口を通らず横道へと進んでいった。建物を外側からぐるりと周ってちょうど裏手辺り。ゴミ集積所の近くにある茂みの前でしゃがんだアイラは、茂みの中に手を突っ込み薄汚れた平皿を取り出すとそこにグラスのミルクを注いだ。
「おいで。ごはんだよ」
アイラの呼びかけに応えるように、茂みの中から一匹の子猫が飛び出してきた。猫の頭を撫でるアイラと美味しそうにミルクを飲む猫を見て、ウィリアムは世の中の娘を持つ父親たちの気持ちが少しだけだが理解出来た気がした。
「僕もデュランのこと、笑えなくなっちゃったなぁ」
一足先に店に戻ったウィリアムはデュランに結果の報告。それを聞いたデュランは興味なさそうな素振りをしながらも、翌日からアイラが出かける際には丁寧に骨を取った魚の切り身を持たせようと考えていた。
しかしその日、ディナーの時間になってもアイラは店に帰って来ることはなかった。
「アイラ!」
慌てて店内へと飛び出したウィリアムだったが、二人のガンマンは何故か忽然と姿を消していた。肝心のアイラはといえば、何事も無かったかのように先ほど稼いだ五百ドラム硬貨をバーテンに渡してグラスに入ったミルクを受け取っている。
まるで狐につままれたようにポカンとしていたウィリアムだったが、先ほどの二人が立っていた場所に上からポタポタと水が滴っていることに気づいた。おそるおそる天井を見上げると、そこには黒い糸が首に巻き付いた二人の賞金稼ぎが涎を垂らしながらぶら下がっているではないか。暗がりに目を細めると、天井にぶら下がっている人物がもう一人。虎皇会の暗殺担当、凶星であった。
得体の知れない細い糸で大の男二人の首を瞬時に吊り上げたスピードとパワー。そして仕掛ける瞬間を誰にも悟らせない技量は見事の一言。こんなことが出来るのは彼女の他にはスパイダーマンくらいのものだろう。
逆さ吊りの状態で天井に張り付いている凶星は訝しげな様子で見つめているウィリアムと目が合うと、若干気恥ずかしそうにして口元に人差し指を当てた。
そんな凶星の意外性たっぷりの仕草に不覚にも可愛いじゃないかと思っていた矢先、先ほどからアイラに裾を引っ張られていたことに気づく。
「ウィル、こんなところで何してるの?」
「それはこちらのセリフだよバンビーナ」と喉元まで出かかった言葉をグッと飲み込み、ウィリアムはアイラの頭を撫でる。
「い、いや、たまたま近くに買い出しの用があってさ。そのついでに立ち寄っただけだよ」
「そうなんだ。じゃあ、ごゆっくり」
アイラはそう言うと、ミルクの入ったコップを持って店を出て行った。
アイラが酒場を出て少ししてから、ウィリアムは再度尾行を開始。繁華街を通り抜けて五分ほど行ったところで、ある建物が見えてきた。そこはつい最近までデュランが入院していた病院。ウィリアムは冗談のつもりで言った自分の言葉を思い出していた。
「もしかして、ホントに同年代の彼氏とか? いやいやそんなまさか……」
確かにアイラは、デュランの見舞いに来るたび僅かな時間だが一人で院内を歩き回っていた。近頃はジェイルタウンに篭りきりだったので探検でもしたい年頃なのだろうと特に気にも留めていなかったが、そこで〝素敵な出会い〟があったとしても何ら不思議ではない。一歩、また一歩と病院へ近づく度、呟いた独り言が信憑性を増していく感覚が強くなっていくのを感じた。
しかし、ウィリアムの予想に反してアイラは病院の敷地に入りこそしたが、入り口を通らず横道へと進んでいった。建物を外側からぐるりと周ってちょうど裏手辺り。ゴミ集積所の近くにある茂みの前でしゃがんだアイラは、茂みの中に手を突っ込み薄汚れた平皿を取り出すとそこにグラスのミルクを注いだ。
「おいで。ごはんだよ」
アイラの呼びかけに応えるように、茂みの中から一匹の子猫が飛び出してきた。猫の頭を撫でるアイラと美味しそうにミルクを飲む猫を見て、ウィリアムは世の中の娘を持つ父親たちの気持ちが少しだけだが理解出来た気がした。
「僕もデュランのこと、笑えなくなっちゃったなぁ」
一足先に店に戻ったウィリアムはデュランに結果の報告。それを聞いたデュランは興味なさそうな素振りをしながらも、翌日からアイラが出かける際には丁寧に骨を取った魚の切り身を持たせようと考えていた。
しかしその日、ディナーの時間になってもアイラは店に帰って来ることはなかった。
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