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レア属性とレアスキル
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二重属性者
この世界では人に魔力の才が有るか否かは家柄が関係していると言われており、魔法、魔術が扱えるのは貴族や王族といった現代で言うところの平民以上にのみ与えられる特権階級の象徴とされ、先天性の遺伝とも言える。ところが、極稀に後天的にその才が目覚める者がいる。しかもそれは決まって女性にのみ発現し、尚且つどの性質にも属さない光属性を有する者。この世界の伝承でそれを聖女と呼ぶ。此度現れた貧民の血筋であるセーラがまさにそれにあたる。
しかし、そんな聖女であっても持っている才は光属性のみなのだが、極々稀に二つの属性を有する者が現れる。それがデュアルエレメントと呼ばれる存在だとアネモネは語った。
「もう一つ興味深いのは、例の発火現象はアサクラ様の意思とは無関係に発動していらっしゃるということ。これもまた私の推測なのですがこの発火現象の正体はアサクラ様に宿る〝固有特性〟であると思われます」
デュアル何某ですらまだ完全に理解出来ていないのに、またまた知らない横文字が出て来て麻倉は少し混乱気味。しかしアネモネは話を続ける。
「効果は私や聖女が実証した通り、アサクラ様へ対して魔力の干渉を行なった者に対して自動的に火属性魔法で反撃するというもの。つまり、アサクラ様が相手から魔力を受けると己の意思とは関係なく誰であってもカウンターを放ってしまうと言うものでしょう」
自身に魔力を行使しようとするものに対して自動的に反撃するということは、未だ知り尽くし得ぬこの世界で身を守っていくという意味ではこの上なく有能なスキルのように思えた。しかし、アネモネの見解はどうも違うらしい。
「このスキルは護身の為なら最上と言えるでしょう。しかし、欠点もございます。特に学園生活においては」
「どう言うことですの?」
「このスキルが放つ反撃が火属性魔法のみであるのならば、同じ火属性の相手や水属性の相手には効果が薄いと言うことです。そしてもう一つ。これが一番厄介な部分なのですが、回復魔法や支援魔法をお嬢様にかけることが極めて困難になるということ。学園には治癒や回復魔法を学ぶ機会もございます。そうなると、実践で教員やご学友を聖女や私のように火だるまにしかねません」
「えっ、邪魔でしかないんですけど……このスキルを無くす方法とかってないのですか?」
「ユニークスキルとは一種の体質みたいなものですので基本的には無理です。近年の調べでは加齢と共に消失するという事例も僅かではありますが報告されている為、免疫系と何かしらの関係があるのではとされていますが少なくとも在学中にどうにかなるものではないでしょう」
これは参った。アレルギー感覚で無意識のうちに人を傷つけていては今後の対人関係に良くない影響が出てしまう。
「アサクラ様のユニークスキルに関しては予め学園側に説明しておいた方が無難でしょうね。問題があるとすれば、今後は否が応でもアサクラ様、もといロザリアお嬢様は良い意味でも悪い意味でも注目を集めることになるでしょうが」
聖女に次ぐ稀有な二重属性を有していること。
加えて、理由はどうあれ結果としてそのスキルのせいで聖女に危害を加えてしまったということ。
アネモネの言う通り、色んな意味で注目は免れないだろう。
「はぁ……次から次へと色んな問題が出て来て嫌になりますわ。まぁ、そもそも学科試験そのものに受かってなければ杞憂で済むからそれに越したことはないのだけれど。とにかく今日はもう休みましょう。この部屋はあなたに貸してあげるわ。わたくしは適当な部屋で休んで来ます。おやすみなさい、アネモネ」
慌ててロザリアのベッドから起きあがろうとするアネモネを無理やり寝かせ、ロザリアは自室を後にし空き部屋で毛布に包まって眠りについた。
翌日、朝一番で学園から合格通知が届いたことで正式にロザリアのルミナス学園へ入学が決まったのであった。
この世界では人に魔力の才が有るか否かは家柄が関係していると言われており、魔法、魔術が扱えるのは貴族や王族といった現代で言うところの平民以上にのみ与えられる特権階級の象徴とされ、先天性の遺伝とも言える。ところが、極稀に後天的にその才が目覚める者がいる。しかもそれは決まって女性にのみ発現し、尚且つどの性質にも属さない光属性を有する者。この世界の伝承でそれを聖女と呼ぶ。此度現れた貧民の血筋であるセーラがまさにそれにあたる。
しかし、そんな聖女であっても持っている才は光属性のみなのだが、極々稀に二つの属性を有する者が現れる。それがデュアルエレメントと呼ばれる存在だとアネモネは語った。
「もう一つ興味深いのは、例の発火現象はアサクラ様の意思とは無関係に発動していらっしゃるということ。これもまた私の推測なのですがこの発火現象の正体はアサクラ様に宿る〝固有特性〟であると思われます」
デュアル何某ですらまだ完全に理解出来ていないのに、またまた知らない横文字が出て来て麻倉は少し混乱気味。しかしアネモネは話を続ける。
「効果は私や聖女が実証した通り、アサクラ様へ対して魔力の干渉を行なった者に対して自動的に火属性魔法で反撃するというもの。つまり、アサクラ様が相手から魔力を受けると己の意思とは関係なく誰であってもカウンターを放ってしまうと言うものでしょう」
自身に魔力を行使しようとするものに対して自動的に反撃するということは、未だ知り尽くし得ぬこの世界で身を守っていくという意味ではこの上なく有能なスキルのように思えた。しかし、アネモネの見解はどうも違うらしい。
「このスキルは護身の為なら最上と言えるでしょう。しかし、欠点もございます。特に学園生活においては」
「どう言うことですの?」
「このスキルが放つ反撃が火属性魔法のみであるのならば、同じ火属性の相手や水属性の相手には効果が薄いと言うことです。そしてもう一つ。これが一番厄介な部分なのですが、回復魔法や支援魔法をお嬢様にかけることが極めて困難になるということ。学園には治癒や回復魔法を学ぶ機会もございます。そうなると、実践で教員やご学友を聖女や私のように火だるまにしかねません」
「えっ、邪魔でしかないんですけど……このスキルを無くす方法とかってないのですか?」
「ユニークスキルとは一種の体質みたいなものですので基本的には無理です。近年の調べでは加齢と共に消失するという事例も僅かではありますが報告されている為、免疫系と何かしらの関係があるのではとされていますが少なくとも在学中にどうにかなるものではないでしょう」
これは参った。アレルギー感覚で無意識のうちに人を傷つけていては今後の対人関係に良くない影響が出てしまう。
「アサクラ様のユニークスキルに関しては予め学園側に説明しておいた方が無難でしょうね。問題があるとすれば、今後は否が応でもアサクラ様、もといロザリアお嬢様は良い意味でも悪い意味でも注目を集めることになるでしょうが」
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加えて、理由はどうあれ結果としてそのスキルのせいで聖女に危害を加えてしまったということ。
アネモネの言う通り、色んな意味で注目は免れないだろう。
「はぁ……次から次へと色んな問題が出て来て嫌になりますわ。まぁ、そもそも学科試験そのものに受かってなければ杞憂で済むからそれに越したことはないのだけれど。とにかく今日はもう休みましょう。この部屋はあなたに貸してあげるわ。わたくしは適当な部屋で休んで来ます。おやすみなさい、アネモネ」
慌ててロザリアのベッドから起きあがろうとするアネモネを無理やり寝かせ、ロザリアは自室を後にし空き部屋で毛布に包まって眠りについた。
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