21 / 59
第二章 スローライフ希望のはずなのに、毎日それなりに忙しいのだが?
20.変身
しおりを挟む
「そんなことはない。ちゃんと変身出来ているはずだ。スキルを失う前の君にね。試してみなよ」
スキルを失う前の自分に変身???
何でもアリかと驚きつつ、いつの間にか流血していた頬を治療してみようと傷口に手を翳せば、忘れていた懐かしい感覚が戻っている事に気が付いた。
「ホントだ!! 使える! スキルがまた使えている!!!」
そう思わず叫ぶように言った後でハッと気が付いた。
どうせならもっと強い『伝説の何とか』に変身させてくれればよかったのでは?!
「残念ながら私よりも格上の相手には姿を変えることは出来ないんだよ。その精神に飲み込まれて発狂してしまうからね」
カルルがそう言ってサラッとトレーユの事を格下扱いした。
「それで?! 『守護』と『治癒』でどうやってアリアを取り戻せる?!」
前のめりになる俺に
「『守護』と『治療』では無理だろうな」
そう言ってカルルは肩を竦めてみた。
「もったいぶらずに教えてくれ! 俺は何をすればいい?!」
カルルに代わりトレーユが口を開く。
「以前から思っていたが、ハクタカは自身のスキルについて無知過ぎないか?」
無知??
「ハクタカのスキルの強みは何だと思っている?」
「強み?」
俺の『はずれ』スキルの強み??
「『守護』と『治癒』二つのスキルを使えるってことか??」
カルルが『やっぱり何も分かっていないな』とまた首を横に振りつつ言った。
「キミは以前『守護』と『治癒』の魔法を重ね掛けてあっさり使ってみせただろう? 本来ならば『守護』や『治癒』スキルを持つ者では使う事が出来ない魔法、『聖なる光』を」
『聖なる光』?
確かに以前、アリアの為に洞窟の虫を追っ払う為に確かに使ったが……。
あれで思念体が倒せるというのだろうか???
「ポイントはそこじゃない。ハクタカのスキルのユニークたる所以のまず一つ目。それは魔法の重ね掛け出来るところだ」
「重ね掛け?」
これまで特に意識してこなかったが、確かに言われてみればそれは可能だ。
でも『聖なる光』がポイントでないなら、それが何の役に立つと言うのだろう?
ピンとこない俺の表情を見て
「君は本当に察しが悪いなぁ」
カルルが呆れたように言った。
「『守護』と『治癒』の魔法を重ね掛けするんじゃなくて、『守護』と『守護』の魔法を。更に言えば『守護』や『治癒』の魔法を何段階にもわたり重ね掛けして強大な効力を持たせる事も、キミなら出来るんじゃないかって言ってるんだ」
同じ魔法を幾重にも重ね掛け強大な効果を持たせる?
……そんな使い方、誰も教えて等くれなかったし考えた事もなかった。
でもしかし、もし本当にそれが出来たなら、確かにアリアにスキルを使わせずあれを倒すことも叶うかもしれない。
◇◆◇◆◇
作戦はトレーユが立てた割には超シンプルだった。
三度ずつ守護を重ね掛けしたトレーユとカルルが捨て身でアリアに守護を使わせないよう抑え込みにかかり、その隙に俺が子どもの姿をした思念体を屠る。
「気の進まない作戦に無理に乗る必要も、何もハクタカがわざわざ子どもを切る嫌な役を無理に引き受ける必要はないんだぞ??」
トレーユにそう言われて首を横に振った。
今度こそ俺は、辛くとも自分の役割を引き受けるべきだと思っている。
そんな俺の表情を見て、トレーユがため息を付いた。
「以前ハクタカがパーティーを抜けると言った時も、今回の僕の服装の事を言いだした時も思ったんだが……。ハクタカはどうも僕の事を買いかぶり過ぎているようだ。残念ながら僕が下す判断がいつでも正しいという訳ではないんだぞ?」
トレーユのそんな言葉に首を傾げれば
「確かに、ハクタカはトレーユと違って素直でいい子過ぎるな。キミは自分の願いを飲み込む事を切り替えの良さだと勘違いしている節があるが、もっとキミはキミの直感を信じるべきだと思うよ?」
カルルまでもがそう言ってまた肩を竦めて見せのだった。
スキルを失う前の自分に変身???
何でもアリかと驚きつつ、いつの間にか流血していた頬を治療してみようと傷口に手を翳せば、忘れていた懐かしい感覚が戻っている事に気が付いた。
「ホントだ!! 使える! スキルがまた使えている!!!」
そう思わず叫ぶように言った後でハッと気が付いた。
どうせならもっと強い『伝説の何とか』に変身させてくれればよかったのでは?!
「残念ながら私よりも格上の相手には姿を変えることは出来ないんだよ。その精神に飲み込まれて発狂してしまうからね」
カルルがそう言ってサラッとトレーユの事を格下扱いした。
「それで?! 『守護』と『治癒』でどうやってアリアを取り戻せる?!」
前のめりになる俺に
「『守護』と『治療』では無理だろうな」
そう言ってカルルは肩を竦めてみた。
「もったいぶらずに教えてくれ! 俺は何をすればいい?!」
カルルに代わりトレーユが口を開く。
「以前から思っていたが、ハクタカは自身のスキルについて無知過ぎないか?」
無知??
「ハクタカのスキルの強みは何だと思っている?」
「強み?」
俺の『はずれ』スキルの強み??
「『守護』と『治癒』二つのスキルを使えるってことか??」
カルルが『やっぱり何も分かっていないな』とまた首を横に振りつつ言った。
「キミは以前『守護』と『治癒』の魔法を重ね掛けてあっさり使ってみせただろう? 本来ならば『守護』や『治癒』スキルを持つ者では使う事が出来ない魔法、『聖なる光』を」
『聖なる光』?
確かに以前、アリアの為に洞窟の虫を追っ払う為に確かに使ったが……。
あれで思念体が倒せるというのだろうか???
「ポイントはそこじゃない。ハクタカのスキルのユニークたる所以のまず一つ目。それは魔法の重ね掛け出来るところだ」
「重ね掛け?」
これまで特に意識してこなかったが、確かに言われてみればそれは可能だ。
でも『聖なる光』がポイントでないなら、それが何の役に立つと言うのだろう?
ピンとこない俺の表情を見て
「君は本当に察しが悪いなぁ」
カルルが呆れたように言った。
「『守護』と『治癒』の魔法を重ね掛けするんじゃなくて、『守護』と『守護』の魔法を。更に言えば『守護』や『治癒』の魔法を何段階にもわたり重ね掛けして強大な効力を持たせる事も、キミなら出来るんじゃないかって言ってるんだ」
同じ魔法を幾重にも重ね掛け強大な効果を持たせる?
……そんな使い方、誰も教えて等くれなかったし考えた事もなかった。
でもしかし、もし本当にそれが出来たなら、確かにアリアにスキルを使わせずあれを倒すことも叶うかもしれない。
◇◆◇◆◇
作戦はトレーユが立てた割には超シンプルだった。
三度ずつ守護を重ね掛けしたトレーユとカルルが捨て身でアリアに守護を使わせないよう抑え込みにかかり、その隙に俺が子どもの姿をした思念体を屠る。
「気の進まない作戦に無理に乗る必要も、何もハクタカがわざわざ子どもを切る嫌な役を無理に引き受ける必要はないんだぞ??」
トレーユにそう言われて首を横に振った。
今度こそ俺は、辛くとも自分の役割を引き受けるべきだと思っている。
そんな俺の表情を見て、トレーユがため息を付いた。
「以前ハクタカがパーティーを抜けると言った時も、今回の僕の服装の事を言いだした時も思ったんだが……。ハクタカはどうも僕の事を買いかぶり過ぎているようだ。残念ながら僕が下す判断がいつでも正しいという訳ではないんだぞ?」
トレーユのそんな言葉に首を傾げれば
「確かに、ハクタカはトレーユと違って素直でいい子過ぎるな。キミは自分の願いを飲み込む事を切り替えの良さだと勘違いしている節があるが、もっとキミはキミの直感を信じるべきだと思うよ?」
カルルまでもがそう言ってまた肩を竦めて見せのだった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる