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凄腕霊媒師、してやられる
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「ううーん、いけないねぇ、何か良くないところに行ったでしょ」
神妙な顔に低い声、わざと外した視線は彼女らの後ろに向けて完成だ。薄暗い照明に物悲しいジャズミュージックが向こうから微かに聴こえてくる。カーテンで間切られたこの空間は相談用のテーブルと椅子が用意されている。大切なのは清潔感とほんのちょっとの怪しさだ。
「なんでわかったんですか!?」
「だって、…憑いてきてるから」
指をその背後に指してやると、どいつもこいつも馬鹿みたいに騒ぎ出す。
「きゃーーー!」
「こらこら、静かに。後ろの人、刺激しちゃうよ?」
うるさい悲鳴を発するのは嫌いだ。だが金になるので良しとする。適当にそれらしい事を言えば弱っている人間は信じ込むのだ。
「ど、どうすればいいですか?」
(こいつらはプランBかなあ。ブランド物のバッグはどうせパパに買ってもらったんだろうし…)
品定めをじっくりすることは大切だ。顧客が一体いくらまでなら出せるのかは商売するにあたって重要な事である。
「うーん、どうしようも出来ないなあ。だって、自分らで連れてきちゃったんでしょ?それを祓うのは俺にもリスクがあるんだ」
「そこをなんとかしてください!私たち車で一時間もかけて来たんですよ!陽艶時さんならって思って…」
「…じゃあ、十五でどう?」
「いち、にい、さん…」
紙幣を数える時、唯一心に充足感を与える。外崎陽向は満足気な顔をして今日の業務を終えることにした。
知る人ぞ知る本物の霊媒師、何てものは大体が嘘だ。陽向はここ『スウィンドー』というバーの小部屋を間借りしてアコギな商売をしている。霊感商法って奴は案外引っかかる人間が一定数いるのだ。
「…今日はいくら稼いだんだ」
「えー?ひ、み、つ~。」
仕事終わりには必ず酒を飲む。カーテンを潜れば直ぐだ。陽向はいつもの定位置、ど真ん中の席に座った。
「…そのうち痛い目に合うぞ」
そう忠告する男はスウィンドーのバーテンであり、陽向の小、高校時代の同級生だ。雨辻和一、剣道部の部長で文武両道、硬派という言葉が似合っている男だ。今は叔父の店を手伝いで時々店に立っている。
「まあまあ、気にしない気にしない。」
「…はぁ」
陽向は彼に嫌われている。それは学生の頃から自覚があった。まさか間借りしているオーナーの親戚が和一とは陽向も思っていなかったが、それは相手も同じだろう。
「適当に一杯ちょうだい」
陽向は予約のメールを確認するが閑古鳥が鳴いている。まあそう簡単にはいかないのが世の常だ。
「…騙した金で酒を飲むのか」と和一は抑揚のない声で正論を述べるが、陽向にとってはなんのダメージにもならない。
「何言ってんの?働いた成果だ」
「…」
和一は軽蔑するようにこちらをぎっと睨む。陽向にそのような脅しは通用しない。それは和一も分かっているのか、口を噤んだ。そして嫌がらせのように酒ではなく水を差し出す。その時に左手薬指に光るリングが目に入り、陽向はすぐに視線を外した。
(うぇ、嫌なもん見た)
陽向を黙らせるにはどんな誹謗中傷よりそのリングだ。どうもそれを見ると嫌な気持ちになる。心がざわついて、落ち着かない。
剣を奮って、全く女等興味無い、礼儀正しく、近寄り難い存在だった男が女と愛し合って結婚。それは陽向には全く関係の無いことだが違和感だった。
「和~、俺酒頼んだんだけど」
明らかに陽向は覇気が無くなる。金が両手にあるのに気分が落ち込むのだ。
「…」
「無視か。ま、…いいケドね」
陽向はとりあえず出して貰った水を飲んで、腕時計を確認する。まだ二分しか針が進んでいない。嫌ならばさっさと帰れば良いのだが、陽向は意地でも居座るつもりでいた。
単純に気に食わないのだ。確かに陽向はどうしようもないクズだが、和一に何か酷いことをした訳でもないのに何故か嫌われている。
からんからんと、バーの扉が開いて他の客がやってきた。それに陽向はまたも嫌な気持ちになる。
誰が見ても美人、と言うだろう。綺麗な黒髪、清潔で品のある服装、そして何よりその整った容姿は誰もが羨むものだ。そんな女性が颯爽とやって来たなら男だったら目で追うだろう。陽向も違う意味で彼女を凝視する。
「いらっしゃいませ…って玲実」
「和一さん、ごめんなさい。来ちゃった」
(なぁにが来ちゃった、だよ。どっか行け)
陽向の癇に障るのは雨辻玲実、和一の嫁だ。彼女は真ん中を陣取る陽向に譲って欲しそうな視線を送っている。勿論譲るわけはない。
「…おい、外崎。」と和一が違う席に行け、と言わんばかりに視線を向けるが、その行動はひねくれ者の陽向のへそを曲げる行動だ。
「はあ?なぁに?いっぱい席空いてるよ?ほか座れば?」
意地の悪い返答に和一は眉を寄せる。陽向はその表情が無表情の次に嫌いだった。玲実は「私はここでいいよ」と陽向の隣に座る。ふんわり香る甘い香水に顔を顰めた。この匂いも陽向は嫌いだ。
「…仕事、今日は早かったんだな」
「うん、久しぶりにね。…今度連休貰えることになったの」
二ヶ月前彼らは籍を入れたらしい。それらは陽向が気が付かぬうちに全て済まされていた。人伝にその事を聞いた時、一晩中腹が立って眠れなかったのだ。
「温泉とかいいなあ」と新婚ならではの会話は陽向の耳を腐らせていく。和一は優しい表情で彼女のどうだっていい話を聞いて、こちらの事など眼中に無い。それに彼女が身振り手振りする度にキラリと光るリングのせいで、陽向はとてもストレスを感じるのだ。
「それでね―」
「その指輪、どうしてそれにしたの?」
「…え?」
「いや、安いものしか買えなかったんだなあと思って。可哀想、買ってあげようか?」
ニッコリと笑顔を浮かべながら最低最悪な言葉を吐く陽向に、和一の顔は見る間に怒りで赤くなっていくのだ。玲実はショックを受けたのか瞳を潤ませてしまう。
陽向は自分が悪魔にでも何でもなり得ることを知っている。勿論そのツケは後で自分に返ってくることも理解した上でその発言をした。
「言っていいことと悪いことの区別もつかないのか。」
至極真っ当な意見に陽向は片眉を上げて肩をすくめた。そして「思ったこと言っただけだ」と嫌な奴の定型文を述べる。
「…クソ野郎」と暴言をその口から言わせれば成功だ。
「じゃ、俺は今日はこれで。可哀想だから金恵んでやるよ」と嫌味をもう一押し、陽向はテーブルに五万円を置いて和一の鬼の形相を確かめる。それに満足して颯爽と店を後にするのだ。
ここまでで分かるだろう。外崎陽向は根性のねじ曲がった人間であるということが。
金があるからとタクシーを使うなど愚の骨頂である。陽向は基本的に行ける範囲は徒歩だ。時々電車を使うが、自宅はスウィンドーから約二十分くらいなので運動不足解消にはちょうど良い。霊感商法をする以上、霊媒師が私腹を肥やしているとわかる体型では信ぴょう性が薄くなる。
ごちゃごちゃと色の煩い繁華街をさっさと駆け抜けて、家に帰らなければ。
「あ、あの!」と肩を叩いて陽向を足止めしたのはスラリとした長身の若者だ。影になって顔はよく見えないが、オシャレとは言えない黒縁メガネに、リュックを背負った彼はそこらの大学生だろう。
「…えーっと、…知り合いだった?」
「いえ…違います。…陽艶時さんですよね。…実は相談があって…」
陽向は分かるように大きくため息をついた。「ごめんね、今営業時間外だから。予約はスマホからよろしく」と吐き捨ててさっさと話を切り上げる。
(なんでプライベートを切り売りしなきゃならんのだ。)
金にもならないのに、陽向はこの若者に『時は金なり』と教えてやりたいくらいだ。
「待ってください!!」
普通ならばここで食い下がる人間は少ないが余程困っているのだろう、態々走って陽向の前に立ち塞がった。
「お願いします!…今じゃないと駄目なんです!」
「そう言われてもねえ…。」
「あなたにしか頼れないんだ!」
グッと強い力で陽向の肩を掴んで叫ぶ若者は、今にも泣き出しそうだった。情けない声に反して肩を掴んで離さず、ミシミシと骨が軋む。
「いてて…痛いんだけど…」
「あ、…ごめんなさい。」
ようやく開放された肩をぐるぐると回して陽向は時計に視線を落とす。針は午後九時を指した頃だ。本来ならばスウィンドーでまだ酒を煽っているはずだ。
「…しょうがないな。聞いてやるよ。」
ここで親身な振りをしておけば次に繋がる可能性がある。その打算的な考えを知らずに彼は飛んで喜ぶ。
「ほんとですか!?嬉しい!」と素直に喜ぶ姿は陽向の『常に優位に立ちたい』願望をバッチリ満たすものだ。
「で?どこか店に入る?」
「あ、だったら―」
見上げるほど高いマンションの高層階。まさかこんな所に一人で住んでいるとは想像できない。部屋も不必要に広く、若造には勿体ないと言うのが陽向の感想だ。冷たいタイルの床、よく響く室内、街が見渡せる大きな窓。家具は黒と白を基調としたセンスの良いものばかりだ。
「えっと、…凄いところ住んでんだね」
「いえ、大したことは…どうぞ座ってください」
彼はL字型のソファーに座るよう促す。勿論それに従うが、陽向は呆気にとられている。
『良かったら、ここから近いのでうちに来ますか?』
簡単に言うものだから陽向は油断していた。どうせ小さなこじんまりしたアパートだろう、と。
(これは当たりを引いたかも)
じゅるりと心の中で舌なめずりをして、今後のことを考えるのだ。両手は金を数えたくてうずうずと落ち着かない。台所でせっせと茶を用意する背中に値段が書いてあればいいのに。
(それにしても…スタイルがいいな。モデル体型というか…)
姿勢もよく、所作も美しい。陽向もそこそこ背はあるが、育ちの良さはどう足掻いてもモノには出来ないだろう。勿体ないのはそのどうにもダサいメガネと服装だ。鼻や口は整っているのにそれらで台無しである。
彼はテーブルに紅茶を並べて対面に腰を下ろす。繊細な模様のティーカップはやはりいい値段がつきそうだ。
「そう言えば名前、何君だったかな?」
陽向は余裕のある大人、と言わんばかりに足を組んで優しく微笑む。ガキの面倒を見るのだ、それも金をたんまり貯め込んでいそうなガキだ。多少猫を被っても苦にならない。今は下品な口はチャックしておかなければ。
「あ、すみません。名乗ってなかったですね。俺は阿形雨音です。」
「ふーん、雨音君か。…それで?相談があるんだよね」
出された紅茶を一口頂く。正直それが美味しいのかよく分からないが「美味しい」ということにした。
「…実は、最近身の回りに良くないことが起きてるんです」
雨音は神妙な顔つきで部屋のあちこちに視線を向けた。そして「俺って、なにか取り憑いてますか?」と怯えたように肩を縮めた。
(…知るかそんなもん)
「うーん、あんまり怖がらせたくないから言いたくないけれど」
陽向はいつも大体使っている『血だらけの女の幽霊』が憑いていることにした。その女はとてもあなたを恨んでいて…と適当な嘘を並べ立ててそれらしく創作に肉付きする。
「俺、どうしたら?」
「強力な幽霊だからなあ…。正直お手上げだよ…」
陽向は残さず紅茶を飲み干して頭を抱えた。勿論それは演技だが、大体このような胡散臭い事柄を鵜呑みにしている人間は見破れない。
「だから……それ相応の…」
陽向は金額をさっさと提示しようとした。だが異様に舌が絡まって言葉が詰まるのだ。瞼も異様に重たくて、脳みそがぐるぐる回り出す始末である。
「大丈夫ですか?」と雨音は陽向の隣にゆったりと座る。介抱するつもりは一切ない、冷ややかな表情で苦しむ陽向を見ているだけだ。それは背筋がぞくりとするほど鋭い。
「…てめぇ…なに…」
本当ならばぶん殴ってやるところだ。だが今は目を開けていることすらままならない。
和一に言われた『そのうち痛い目に合う』、その言葉が早いうちに現実になったのだ。
体がムズムズする。触れるか触れないか、それは脇腹を通り、胸骨を撫で回す。その手つきは随分慣れたもので、触れて欲しい所には絶対に触れない。ゾワゾワと背筋が泡立ち、思わず呻きそうになる。
(最近ヤってねぇから溜まってんだなあ。…起きたら性感マッサージ行くかな…。)
ふわりと優しい手のひらはは陽向の胸に置かれる。ゴム手袋のような感触だが、感覚が研ぎ澄まされてゴムの引っ掛かりが堪らなく心地良い。
自分の呼吸が荒くなり、心臓がどんどんと強く脈打ち始める。その謎の手は痛い程陽向の両胸を揉み拉き、先程とは違い荒々しい。正直そちらの方が陽向の性癖には合っていたせいか、腰が徐々に浮いてくる。もっと強く乱暴な扱いが欲しい、その要望に応えるようにその指は隆起した先端をギリギリと摘むのだ。
きっとこの感覚が現実世界で得られたなら情けない声を上げている事だろう。
(…てか、俺なんで寝たんだ?…確かまだ今日の売上をちゃんと計算してないよな…?それにまだ…)
陽向の脳みそは我に帰る前に快楽に煮え滾り、ついにつま先から脳天まで突き抜けた電撃に昇天するのだ。
明晰夢なのだろうか、ビクビクと震える内腿、股の間からじんわりと滲む体液の生暖かさまで再現されている。これは朝一でパンツを洗濯しないと…とぼんやり考えていると、やけに鮮明な他人の声が耳元で囁かれた。
「…あーあ、良い服が汚れちゃった。ねーねー、起きてくださいよ~」
体を揺さぶられ、陽向はその余韻を残したまま重い瞼を開ける。視界には見知らぬ黒のシーリングファンがクルクル回っていた。陽向は嫌な予感がしてばっと体を起こし、状況を確認するのだ。
「起きました?」
陽向に馬乗りになった男はスマートフォン片手にこちらを見下ろしている。
「…は?…」
陽向は回らない頭で考えた。乱れてしわくちゃになったワイシャツ、露出された上半身と、シミのできたズボン。冷徹にほくそ笑んでいる男は明らかにカメラを回している。
(そういえば俺は阿形…雨音とか言うやつの相談を聞いている途中で…)
「…思い出した。………」
陽向は馬乗りになった男を殴ろうと振りかぶるがまだ体が思うように動かず簡単にベッドに磔にされる。それはあまりに屈辱的だ。その馬鹿力に腕はビクともしない。
「頭回ってないですよね、まさかあなたが紅茶一気飲みするとは思ってなかったんです。体には害はないと思うけどまだ思うようには動けないよ」
メガネを外した男は眩暈を覚えるほど端正な顔立ちだ。恐らくこちらを油断させる為にあのクソダサメガネをつけていたに違いない。親しみやすさのあるタレ目の奥はこちらをひたすらに軽蔑している。どうにかこうにかその腕を振り払おうとするが今度は手首がミシミシと悲鳴をあげた。プライドの高い陽向はぎっと睨んで抗議する。
「てめぇ、どうなるか分かってんだろうな」
「あはは、脅し?無駄ですよ。あなたが乳首で感じて出しちゃったところぜーんぶ撮りましたから。」
騙しやすそうな大学生だ、と高を括っていた。そもそも陽向は霊媒師を頼ってくる人間は見下していたのでこのようなしっぺ返しが来ることは想定していない。
仕事に対して舐めてきっていたと言える。
「一体なんの真似だ」
「俺の姉から騙し取ったお金、返してもらおうと思って。」
「はあ?人聞き悪い言い方だね。つーか痛いから腕退けろよ。別に逃げねーから」
雨音はゆっくり押さえつけていた腕を離してベッドの端に座る。解放された腕は血液が一気に指先に向かってむず痒い。痺れた腕で起き上がって、どうにか穏便にことを運べないか必死に思考するのだ。
(返せだと?ふざけるな!…クソ!俺の金だぞ!だが動画は痛いな…。もし万が一見られたら…)と葛藤の中導き出した答えは『返金』だ。
「えっと、俺は騙したつもりはないんだよ。でもそう思うならちゃんと返す。幾ら?」
詐欺師スマイルを忘れてはいけない。いつもより多少引きつっているが、虚勢は何事にも必要だと陽向は思っている。
「幾ら?じゃない。自分が取った金くらい自分で分かるでしょう。分からないなら調べてください。俺、名乗りましたよね。貴方と違って本名だから。」
雨音は陽向の保険証をヒラヒラと翳す。抜け目のないやつだ。本名も住所も知られて嫌な動悸がする。
(くそ、…今飛ぼうにも飛べねえしな…)
記憶を辿って今まで騙した客を必死に思い出そうとするが、名前だけで特定しろなんて到底無理である。常連でもなく一回コッキリの客なんざ誰が覚えてるというのか。
(阿形…阿形…あがたなんて客いたか?…あー、思い出せん。全部諭吉にしか見えねえ…)
「俺優しいので陽向さんに二日猶予をあげますね。明後日また家に来てください。もし約束を破ったらあなたのいやらしい動画、間違えて投稿しちゃうかもね。」
ニッコリと微笑んだ男は、陽向の保険証をはい、と手渡した。そして「歩けるようになるまで寝ててもいいですよ」と変な気遣いを見せる。勿論足がガクガクしていようがこんな所にいつまでもいる気はなかった。
神妙な顔に低い声、わざと外した視線は彼女らの後ろに向けて完成だ。薄暗い照明に物悲しいジャズミュージックが向こうから微かに聴こえてくる。カーテンで間切られたこの空間は相談用のテーブルと椅子が用意されている。大切なのは清潔感とほんのちょっとの怪しさだ。
「なんでわかったんですか!?」
「だって、…憑いてきてるから」
指をその背後に指してやると、どいつもこいつも馬鹿みたいに騒ぎ出す。
「きゃーーー!」
「こらこら、静かに。後ろの人、刺激しちゃうよ?」
うるさい悲鳴を発するのは嫌いだ。だが金になるので良しとする。適当にそれらしい事を言えば弱っている人間は信じ込むのだ。
「ど、どうすればいいですか?」
(こいつらはプランBかなあ。ブランド物のバッグはどうせパパに買ってもらったんだろうし…)
品定めをじっくりすることは大切だ。顧客が一体いくらまでなら出せるのかは商売するにあたって重要な事である。
「うーん、どうしようも出来ないなあ。だって、自分らで連れてきちゃったんでしょ?それを祓うのは俺にもリスクがあるんだ」
「そこをなんとかしてください!私たち車で一時間もかけて来たんですよ!陽艶時さんならって思って…」
「…じゃあ、十五でどう?」
「いち、にい、さん…」
紙幣を数える時、唯一心に充足感を与える。外崎陽向は満足気な顔をして今日の業務を終えることにした。
知る人ぞ知る本物の霊媒師、何てものは大体が嘘だ。陽向はここ『スウィンドー』というバーの小部屋を間借りしてアコギな商売をしている。霊感商法って奴は案外引っかかる人間が一定数いるのだ。
「…今日はいくら稼いだんだ」
「えー?ひ、み、つ~。」
仕事終わりには必ず酒を飲む。カーテンを潜れば直ぐだ。陽向はいつもの定位置、ど真ん中の席に座った。
「…そのうち痛い目に合うぞ」
そう忠告する男はスウィンドーのバーテンであり、陽向の小、高校時代の同級生だ。雨辻和一、剣道部の部長で文武両道、硬派という言葉が似合っている男だ。今は叔父の店を手伝いで時々店に立っている。
「まあまあ、気にしない気にしない。」
「…はぁ」
陽向は彼に嫌われている。それは学生の頃から自覚があった。まさか間借りしているオーナーの親戚が和一とは陽向も思っていなかったが、それは相手も同じだろう。
「適当に一杯ちょうだい」
陽向は予約のメールを確認するが閑古鳥が鳴いている。まあそう簡単にはいかないのが世の常だ。
「…騙した金で酒を飲むのか」と和一は抑揚のない声で正論を述べるが、陽向にとってはなんのダメージにもならない。
「何言ってんの?働いた成果だ」
「…」
和一は軽蔑するようにこちらをぎっと睨む。陽向にそのような脅しは通用しない。それは和一も分かっているのか、口を噤んだ。そして嫌がらせのように酒ではなく水を差し出す。その時に左手薬指に光るリングが目に入り、陽向はすぐに視線を外した。
(うぇ、嫌なもん見た)
陽向を黙らせるにはどんな誹謗中傷よりそのリングだ。どうもそれを見ると嫌な気持ちになる。心がざわついて、落ち着かない。
剣を奮って、全く女等興味無い、礼儀正しく、近寄り難い存在だった男が女と愛し合って結婚。それは陽向には全く関係の無いことだが違和感だった。
「和~、俺酒頼んだんだけど」
明らかに陽向は覇気が無くなる。金が両手にあるのに気分が落ち込むのだ。
「…」
「無視か。ま、…いいケドね」
陽向はとりあえず出して貰った水を飲んで、腕時計を確認する。まだ二分しか針が進んでいない。嫌ならばさっさと帰れば良いのだが、陽向は意地でも居座るつもりでいた。
単純に気に食わないのだ。確かに陽向はどうしようもないクズだが、和一に何か酷いことをした訳でもないのに何故か嫌われている。
からんからんと、バーの扉が開いて他の客がやってきた。それに陽向はまたも嫌な気持ちになる。
誰が見ても美人、と言うだろう。綺麗な黒髪、清潔で品のある服装、そして何よりその整った容姿は誰もが羨むものだ。そんな女性が颯爽とやって来たなら男だったら目で追うだろう。陽向も違う意味で彼女を凝視する。
「いらっしゃいませ…って玲実」
「和一さん、ごめんなさい。来ちゃった」
(なぁにが来ちゃった、だよ。どっか行け)
陽向の癇に障るのは雨辻玲実、和一の嫁だ。彼女は真ん中を陣取る陽向に譲って欲しそうな視線を送っている。勿論譲るわけはない。
「…おい、外崎。」と和一が違う席に行け、と言わんばかりに視線を向けるが、その行動はひねくれ者の陽向のへそを曲げる行動だ。
「はあ?なぁに?いっぱい席空いてるよ?ほか座れば?」
意地の悪い返答に和一は眉を寄せる。陽向はその表情が無表情の次に嫌いだった。玲実は「私はここでいいよ」と陽向の隣に座る。ふんわり香る甘い香水に顔を顰めた。この匂いも陽向は嫌いだ。
「…仕事、今日は早かったんだな」
「うん、久しぶりにね。…今度連休貰えることになったの」
二ヶ月前彼らは籍を入れたらしい。それらは陽向が気が付かぬうちに全て済まされていた。人伝にその事を聞いた時、一晩中腹が立って眠れなかったのだ。
「温泉とかいいなあ」と新婚ならではの会話は陽向の耳を腐らせていく。和一は優しい表情で彼女のどうだっていい話を聞いて、こちらの事など眼中に無い。それに彼女が身振り手振りする度にキラリと光るリングのせいで、陽向はとてもストレスを感じるのだ。
「それでね―」
「その指輪、どうしてそれにしたの?」
「…え?」
「いや、安いものしか買えなかったんだなあと思って。可哀想、買ってあげようか?」
ニッコリと笑顔を浮かべながら最低最悪な言葉を吐く陽向に、和一の顔は見る間に怒りで赤くなっていくのだ。玲実はショックを受けたのか瞳を潤ませてしまう。
陽向は自分が悪魔にでも何でもなり得ることを知っている。勿論そのツケは後で自分に返ってくることも理解した上でその発言をした。
「言っていいことと悪いことの区別もつかないのか。」
至極真っ当な意見に陽向は片眉を上げて肩をすくめた。そして「思ったこと言っただけだ」と嫌な奴の定型文を述べる。
「…クソ野郎」と暴言をその口から言わせれば成功だ。
「じゃ、俺は今日はこれで。可哀想だから金恵んでやるよ」と嫌味をもう一押し、陽向はテーブルに五万円を置いて和一の鬼の形相を確かめる。それに満足して颯爽と店を後にするのだ。
ここまでで分かるだろう。外崎陽向は根性のねじ曲がった人間であるということが。
金があるからとタクシーを使うなど愚の骨頂である。陽向は基本的に行ける範囲は徒歩だ。時々電車を使うが、自宅はスウィンドーから約二十分くらいなので運動不足解消にはちょうど良い。霊感商法をする以上、霊媒師が私腹を肥やしているとわかる体型では信ぴょう性が薄くなる。
ごちゃごちゃと色の煩い繁華街をさっさと駆け抜けて、家に帰らなければ。
「あ、あの!」と肩を叩いて陽向を足止めしたのはスラリとした長身の若者だ。影になって顔はよく見えないが、オシャレとは言えない黒縁メガネに、リュックを背負った彼はそこらの大学生だろう。
「…えーっと、…知り合いだった?」
「いえ…違います。…陽艶時さんですよね。…実は相談があって…」
陽向は分かるように大きくため息をついた。「ごめんね、今営業時間外だから。予約はスマホからよろしく」と吐き捨ててさっさと話を切り上げる。
(なんでプライベートを切り売りしなきゃならんのだ。)
金にもならないのに、陽向はこの若者に『時は金なり』と教えてやりたいくらいだ。
「待ってください!!」
普通ならばここで食い下がる人間は少ないが余程困っているのだろう、態々走って陽向の前に立ち塞がった。
「お願いします!…今じゃないと駄目なんです!」
「そう言われてもねえ…。」
「あなたにしか頼れないんだ!」
グッと強い力で陽向の肩を掴んで叫ぶ若者は、今にも泣き出しそうだった。情けない声に反して肩を掴んで離さず、ミシミシと骨が軋む。
「いてて…痛いんだけど…」
「あ、…ごめんなさい。」
ようやく開放された肩をぐるぐると回して陽向は時計に視線を落とす。針は午後九時を指した頃だ。本来ならばスウィンドーでまだ酒を煽っているはずだ。
「…しょうがないな。聞いてやるよ。」
ここで親身な振りをしておけば次に繋がる可能性がある。その打算的な考えを知らずに彼は飛んで喜ぶ。
「ほんとですか!?嬉しい!」と素直に喜ぶ姿は陽向の『常に優位に立ちたい』願望をバッチリ満たすものだ。
「で?どこか店に入る?」
「あ、だったら―」
見上げるほど高いマンションの高層階。まさかこんな所に一人で住んでいるとは想像できない。部屋も不必要に広く、若造には勿体ないと言うのが陽向の感想だ。冷たいタイルの床、よく響く室内、街が見渡せる大きな窓。家具は黒と白を基調としたセンスの良いものばかりだ。
「えっと、…凄いところ住んでんだね」
「いえ、大したことは…どうぞ座ってください」
彼はL字型のソファーに座るよう促す。勿論それに従うが、陽向は呆気にとられている。
『良かったら、ここから近いのでうちに来ますか?』
簡単に言うものだから陽向は油断していた。どうせ小さなこじんまりしたアパートだろう、と。
(これは当たりを引いたかも)
じゅるりと心の中で舌なめずりをして、今後のことを考えるのだ。両手は金を数えたくてうずうずと落ち着かない。台所でせっせと茶を用意する背中に値段が書いてあればいいのに。
(それにしても…スタイルがいいな。モデル体型というか…)
姿勢もよく、所作も美しい。陽向もそこそこ背はあるが、育ちの良さはどう足掻いてもモノには出来ないだろう。勿体ないのはそのどうにもダサいメガネと服装だ。鼻や口は整っているのにそれらで台無しである。
彼はテーブルに紅茶を並べて対面に腰を下ろす。繊細な模様のティーカップはやはりいい値段がつきそうだ。
「そう言えば名前、何君だったかな?」
陽向は余裕のある大人、と言わんばかりに足を組んで優しく微笑む。ガキの面倒を見るのだ、それも金をたんまり貯め込んでいそうなガキだ。多少猫を被っても苦にならない。今は下品な口はチャックしておかなければ。
「あ、すみません。名乗ってなかったですね。俺は阿形雨音です。」
「ふーん、雨音君か。…それで?相談があるんだよね」
出された紅茶を一口頂く。正直それが美味しいのかよく分からないが「美味しい」ということにした。
「…実は、最近身の回りに良くないことが起きてるんです」
雨音は神妙な顔つきで部屋のあちこちに視線を向けた。そして「俺って、なにか取り憑いてますか?」と怯えたように肩を縮めた。
(…知るかそんなもん)
「うーん、あんまり怖がらせたくないから言いたくないけれど」
陽向はいつも大体使っている『血だらけの女の幽霊』が憑いていることにした。その女はとてもあなたを恨んでいて…と適当な嘘を並べ立ててそれらしく創作に肉付きする。
「俺、どうしたら?」
「強力な幽霊だからなあ…。正直お手上げだよ…」
陽向は残さず紅茶を飲み干して頭を抱えた。勿論それは演技だが、大体このような胡散臭い事柄を鵜呑みにしている人間は見破れない。
「だから……それ相応の…」
陽向は金額をさっさと提示しようとした。だが異様に舌が絡まって言葉が詰まるのだ。瞼も異様に重たくて、脳みそがぐるぐる回り出す始末である。
「大丈夫ですか?」と雨音は陽向の隣にゆったりと座る。介抱するつもりは一切ない、冷ややかな表情で苦しむ陽向を見ているだけだ。それは背筋がぞくりとするほど鋭い。
「…てめぇ…なに…」
本当ならばぶん殴ってやるところだ。だが今は目を開けていることすらままならない。
和一に言われた『そのうち痛い目に合う』、その言葉が早いうちに現実になったのだ。
体がムズムズする。触れるか触れないか、それは脇腹を通り、胸骨を撫で回す。その手つきは随分慣れたもので、触れて欲しい所には絶対に触れない。ゾワゾワと背筋が泡立ち、思わず呻きそうになる。
(最近ヤってねぇから溜まってんだなあ。…起きたら性感マッサージ行くかな…。)
ふわりと優しい手のひらはは陽向の胸に置かれる。ゴム手袋のような感触だが、感覚が研ぎ澄まされてゴムの引っ掛かりが堪らなく心地良い。
自分の呼吸が荒くなり、心臓がどんどんと強く脈打ち始める。その謎の手は痛い程陽向の両胸を揉み拉き、先程とは違い荒々しい。正直そちらの方が陽向の性癖には合っていたせいか、腰が徐々に浮いてくる。もっと強く乱暴な扱いが欲しい、その要望に応えるようにその指は隆起した先端をギリギリと摘むのだ。
きっとこの感覚が現実世界で得られたなら情けない声を上げている事だろう。
(…てか、俺なんで寝たんだ?…確かまだ今日の売上をちゃんと計算してないよな…?それにまだ…)
陽向の脳みそは我に帰る前に快楽に煮え滾り、ついにつま先から脳天まで突き抜けた電撃に昇天するのだ。
明晰夢なのだろうか、ビクビクと震える内腿、股の間からじんわりと滲む体液の生暖かさまで再現されている。これは朝一でパンツを洗濯しないと…とぼんやり考えていると、やけに鮮明な他人の声が耳元で囁かれた。
「…あーあ、良い服が汚れちゃった。ねーねー、起きてくださいよ~」
体を揺さぶられ、陽向はその余韻を残したまま重い瞼を開ける。視界には見知らぬ黒のシーリングファンがクルクル回っていた。陽向は嫌な予感がしてばっと体を起こし、状況を確認するのだ。
「起きました?」
陽向に馬乗りになった男はスマートフォン片手にこちらを見下ろしている。
「…は?…」
陽向は回らない頭で考えた。乱れてしわくちゃになったワイシャツ、露出された上半身と、シミのできたズボン。冷徹にほくそ笑んでいる男は明らかにカメラを回している。
(そういえば俺は阿形…雨音とか言うやつの相談を聞いている途中で…)
「…思い出した。………」
陽向は馬乗りになった男を殴ろうと振りかぶるがまだ体が思うように動かず簡単にベッドに磔にされる。それはあまりに屈辱的だ。その馬鹿力に腕はビクともしない。
「頭回ってないですよね、まさかあなたが紅茶一気飲みするとは思ってなかったんです。体には害はないと思うけどまだ思うようには動けないよ」
メガネを外した男は眩暈を覚えるほど端正な顔立ちだ。恐らくこちらを油断させる為にあのクソダサメガネをつけていたに違いない。親しみやすさのあるタレ目の奥はこちらをひたすらに軽蔑している。どうにかこうにかその腕を振り払おうとするが今度は手首がミシミシと悲鳴をあげた。プライドの高い陽向はぎっと睨んで抗議する。
「てめぇ、どうなるか分かってんだろうな」
「あはは、脅し?無駄ですよ。あなたが乳首で感じて出しちゃったところぜーんぶ撮りましたから。」
騙しやすそうな大学生だ、と高を括っていた。そもそも陽向は霊媒師を頼ってくる人間は見下していたのでこのようなしっぺ返しが来ることは想定していない。
仕事に対して舐めてきっていたと言える。
「一体なんの真似だ」
「俺の姉から騙し取ったお金、返してもらおうと思って。」
「はあ?人聞き悪い言い方だね。つーか痛いから腕退けろよ。別に逃げねーから」
雨音はゆっくり押さえつけていた腕を離してベッドの端に座る。解放された腕は血液が一気に指先に向かってむず痒い。痺れた腕で起き上がって、どうにか穏便にことを運べないか必死に思考するのだ。
(返せだと?ふざけるな!…クソ!俺の金だぞ!だが動画は痛いな…。もし万が一見られたら…)と葛藤の中導き出した答えは『返金』だ。
「えっと、俺は騙したつもりはないんだよ。でもそう思うならちゃんと返す。幾ら?」
詐欺師スマイルを忘れてはいけない。いつもより多少引きつっているが、虚勢は何事にも必要だと陽向は思っている。
「幾ら?じゃない。自分が取った金くらい自分で分かるでしょう。分からないなら調べてください。俺、名乗りましたよね。貴方と違って本名だから。」
雨音は陽向の保険証をヒラヒラと翳す。抜け目のないやつだ。本名も住所も知られて嫌な動悸がする。
(くそ、…今飛ぼうにも飛べねえしな…)
記憶を辿って今まで騙した客を必死に思い出そうとするが、名前だけで特定しろなんて到底無理である。常連でもなく一回コッキリの客なんざ誰が覚えてるというのか。
(阿形…阿形…あがたなんて客いたか?…あー、思い出せん。全部諭吉にしか見えねえ…)
「俺優しいので陽向さんに二日猶予をあげますね。明後日また家に来てください。もし約束を破ったらあなたのいやらしい動画、間違えて投稿しちゃうかもね。」
ニッコリと微笑んだ男は、陽向の保険証をはい、と手渡した。そして「歩けるようになるまで寝ててもいいですよ」と変な気遣いを見せる。勿論足がガクガクしていようがこんな所にいつまでもいる気はなかった。
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