殺人鬼を殺す為に異世界へ

リーグロード

文字の大きさ
1 / 1

プロローグ

しおりを挟む
私は物語でいうところのモブだった。
何か不思議な事に出会っただとかクラスで人気者だったなどという話は無い。それなりに友達もいたし、親友と呼べるくらい仲の良い奴もいた、好きになって結婚した妻もいた、子供はまだいないが何処にでもある普通の幸せを送るただの普通の一般人だったのだ。
だったというのはその話が過去の話だからだ。
あの日の夜から私の普通は消え去ってしまったのだ。

いつもと変わらない日常を送るはずだった、朝は妻と一緒に食事をし、昼は会社で親友と仕事をこなし、夜はその親友を家に呼び妻と三人で夕食を食べた。
そんな当たり前の日で終わる筈だった。だったのだ。
たまたま酒のつまみが無くなったから少々遠いコンビニへ買い物に行ったほんの少しの時間に私の全てが奪い取られていた。
家に帰ってみると玄関のドアが開けっ放しになっていたので何かあったのかとリビングに行くと血だらけで倒れている親友とその隣で静かに倒れている妻の姿があった。
私は混乱した、ただ呆然と事態が把握出来ずにテレビか何かの撮影だと思ってしまった。
「おい!嘘だろ。俺を騙してるんだろ。テレビかなんかの撮影か?それなら大成功だ!もう十分驚いただから起き上がれるよ…なあ……おい」
何度呼び掛けても返事を返してくれない妻と親友の姿に私はついには大声で泣き出してしまった。
その騒ぎを聞きつけて近所の人が駆けつけ警察に電話したらしい。
それ以降の事はよく覚えていない。
目覚めると自分の布団の上だった、私はあれは夢だったんだと思う間も無く警察が部屋の中に入ってきた。
寝室からリビングに移動すると親友と妻の遺体は無く変わりに遺体のあった場所に白いテープが貼ってあった。
警察から話を聞くと妻と親友を殺した犯人は荻野 邦治という大学生で最近事件を起こしている快楽殺人鬼らしい。
それから妻と親友の葬式や義理の母と父に謝罪をしに行ったりと忙しい日々を過ごした。
それらが終わり暇な時間が出来ると家の中がとても広く感じ死んだ妻と親友の顔が思い浮かび涙を流す。
何故俺だけを置いて死んでしまったんだや俺はこれからどうすればいいと声に出して泣いた。
ひとしきり泣き終えて、頭に浮かんだのは悲しいとか寂しいなどでは無く、復讐という2文字が浮かび上がった。
妻と親友を殺した奴を殺すという単純な思想が頭の中を埋め尽くした。
そのために俺は殺人鬼を探し出すため会社を辞めた。会社を辞めて出来た金と時間で殺人鬼の身内や知り合いを調べ上げ、妻が死んで手に入った生命保険の金で探偵を雇ったりとできる事を全てやった。
それから数か月後に探偵から殺人鬼の情報を手に入れた。
どうやら殺人鬼は皮肉にも私があの日買い物に行ったコンビニの近くに身を潜めていたようだ。 
私はその日のうちに行動を開始した、殺人鬼の家の前で待ち伏せをし殺人鬼が出て来るのをひたすらに待った。
もし私が考えなしに殺人鬼の家に入っても人を殺したことのない私では逆に殺されるのがオチだ。
だから私はチャンスを待った。
日が落ち辺りが暗くなり町の街灯が光り出し始めた頃に家のドアがゆっくり開く。
そこから出てきたのは帽子とマスクをしているが手配書に書かれている顔そのまんまだった。
奴を尾行してみるとどうやら奴は晩飯を買いにコンビニへ向かっているようだ。
そのコンビニに行って俺は全てを失ったならあいつも全てを失わなければ不公平じゃないか。
俺はコンビニ袋片手に出てきたあのクソ野郎に感情に任せて後ろから飛びかかる。
突然の事に驚いたのかほとんど抵抗せずに俺に押し倒され道路に飛び出す殺人鬼に馬乗りになって組み伏せる。
道路の真ん中で暴れ回るが上に乗っている俺が邪魔で上手く動けないでいる殺人鬼に俺は思いっきり首を掴み「死ね!死んじまえ!!この殺人鬼が!!!」と叫ぶと目の前が急に眩しくなり体中に痛みが走り出し全身が冷たくなっていくのを感じながら横を向くと首が変な方向を向いて血だらけになっている殺人鬼を見て俺はゆっくりと目を閉じる。
暗くなった視界の中で脳裏に浮かぶのはあの殺人鬼の死体だった。
俺は上手く動かない口で声を出してこう言った。




『ざまあみろ』



目を開けると見た事の無い場所に俺は立っており目の前には鬼のような大男が椅子に座って木槌を机に叩きつける。
「判決を下す!罪人 大神 和也に焦熱地獄180年の刑を言い渡す!」
俺は理解出来ずに疑問の言葉を口に出す。
「はぁ?」
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...