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255.初夜③
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クチュクチュと水音が響く。
ノアの服はリボンが全てほどかれて、今はもうほとんど肌を隠してくれていない。
胸の尖りに吸い付くサミュエルの頭に必死に縋りながら、ノアはすすり泣きのような甘い吐息をもらす。
「ふ、ぁ……ん、やぁ……!」
サミュエルの肩にかけられた片脚が、潤んだ視界の中で揺れているのをぼんやりと眺める。なんだか現実味がないのに、サミュエルがもたらす刺激だけは、耐え難いほど鮮明に快感をもたらし、ノアを惑乱させた。
先走りを纏った指先が、奥の方へと這うのに気づいて、ノアはビクッと身体を震わせる。固く閉ざされた後孔をほぐすように撫でる仕草に、むしろ緊張感が高まってしまった。
「……ノア、ここ、少し緩めて」
「む、り、です……っ」
胸元から顔を上げたサミュエルに、小さく首を傾げながら頼まれたところで、ずっと前から身体の制御を見失っていたノアにはどうすることもできない。
指先につつかれ、ひっかかれる度に、ビクッと腰が跳ねる。グッと圧をかけられると、その分だけ身体が強ばってしまう。ノアの方こそ、どうすればいいのか教えてほしいくらいだった。
「うーん……ノアは、感じやすいのかな」
「は……?」
「敏感すぎるのは、可愛いけど、ちょっと困るね」
「え……?」
戸惑うノアに微笑みかけるサミュエルの表情に、困った雰囲気は微塵もない。むしろ嬉々とした雰囲気が漂っていて、ノアはポカンと口を開けて戸惑う。
それを見てサミュエルが小さく笑い、ちゅっと口づけた。唇に舌を這わせる動きに、反射的に目を伏せて応える。
「んっ!?」
キスに気を取られたのを見逃さず、サミュエルの指先が後孔にグリッと入り込む。それをきゅっと締めつけてしまう自分の身体の動きを感じ取り、ノアは恥ずかしさに目を潤ませた。
「ちょっと滑りが足りないかな……」
「ふっ、ぁ、ん」
「ノア」
身の内に蟠る熱に焦らされて、もじもじと身体を動かすノアを見下ろし、サミュエルが怪しげな笑みを浮かべる。
それを見つめ返し、ノアは嫌な予感を覚えて逃げをうった。弱いところを全て捕らえられてしまっているから、ほんの些細な抵抗にしかならなかったけれど。
「ここを舐めるのと、香油を使うの、どっちがいいかい?」
「っ、それ、聞く必要、ありますかっ!?」
ノアはあまりに明け透けで淫らな問いに、目眩がした。想像してしまった自分が憎い。後孔がきゅっと指に絡みついてしまうのを感じ取り、隠せない欲に顔から火が出そうなほど恥ずかしさを覚える。
サミュエルはにこにこと笑み、後孔の周りをマッサージするように親指を押し当てた。
「それは、舐めてほしいということ?」
「違いますっ!」
「残念。……でも、いつかさせてね」
肩をすくめたサミュエルがベッドサイドに手を伸ばす。でも、ノアはその動きを気にする余裕がなかった。サミュエルの言葉が頭の中で反芻されて、思考が停止してしまっていたのだ。
(いつか、させて、ね? なに、を? え……本気で?)
悶々と考え込んでいたノアの意識を引き戻すように、不意にトロリとした感触が下腹を撫でた。ビクッと身体を震わせたノアの鼻に、甘い香りが届く。
香油は股の間を滴り落ち、サミュエルの指を食む後孔まで広がっていく。
「んっ」
「……うん、いい感じだ」
指を小刻みに動かし、香油を後孔に少しずつなじませたサミュエルが、嬉しそうに呟く。少しずつ深いところまで指が埋まっていくのを感じた。
「ぁあっ、ん、ふっ……!」
胸の尖りに硬いものが当たる。痛みを感じないギリギリの強さで噛まれ、ノアは咄嗟にサミュエルに抱きついた。
後孔から意識が逸れて少し緩んだのを逃さず、二本目の指が入り込む。グッと押し上げるように内壁を刺激され、これまで感じたことのない重い痺れが下腹に走った。
「やあっ! あ、なにっ……!?」
「ここ、男が感じるところだって、習わなかったかい?」
乳首を舌先で転がす合間に、サミュエルが囁く。それは閨教育で確かに習ったことで、ノアは場違いに『なるほど……』と納得してしまった。すぐにそんな余裕はなくなったけれど。
グ、グ、と腹の内側を押されていると、じわじわと熱が込み上げてくる。それは解放するすべもなく、溜まり続けていった。
「ひっ、ぁ……!」
「ちゃんと感じられて、いい子だね」
逃げたくて仕方なくて、ノアはシーツを蹴る。でも、その動きはなんなく押さえられてしまい、そればかりかダラダラと先走りを零す先端を擦られて、声にならない悲鳴を上げるしかなかった。
胸と、中心と、後孔を同時に刺激されて、ノアはもうどうしたらいいか分からなくなる。溢れる嬌声が恥ずかしいのに、それを止めることさえできない。
後孔を探る指先は、奥の方まで入り込み、内壁を広げるように動き回る。無意識でカクカクと動く腰に合わせるように奥を突かれ、ノアは一瞬呼吸を忘れた。
きゅっと締めつける動きを楽しむように、サミュエルの指が後孔の奥の方まで暴いていく。
「ひぅ……っ、ぁ、ああっ!」
強すぎる快感に追い立てられて、頭の中が真っ白になった。前から放つ解放感に、思考が溶けていく。ビクビクと腰が跳ね、無意識でサミュエルの腰に擦りついていた。
「ふ、ぁ……ん、ぁ」
「上手に出せたね。可愛い顔だったよ」
瞼に唇が触れる。気づかない内に溢れていた涙を拭うように目尻を舐められて、ノアは荒い息で胸を上下させながら、少し口元を緩めた。
サミュエルの感想はともかく、慰撫するように触れられるのは心地良い。
でも、まどろんでいられたのは、ほんの少しの間だけだった。
「――それじゃあ、こっちでも、もっと感じられるようになろうか」
「ああっ!? ま、って……!」
ノアが呼吸を整える間大人しくしていた指が、グチュと淫らな音を立てて動き始める。放ったばかりで敏感になっていた襞を刺激され、ノアが甘い声を上げてしまうのは、当然のことだった。
ノアの服はリボンが全てほどかれて、今はもうほとんど肌を隠してくれていない。
胸の尖りに吸い付くサミュエルの頭に必死に縋りながら、ノアはすすり泣きのような甘い吐息をもらす。
「ふ、ぁ……ん、やぁ……!」
サミュエルの肩にかけられた片脚が、潤んだ視界の中で揺れているのをぼんやりと眺める。なんだか現実味がないのに、サミュエルがもたらす刺激だけは、耐え難いほど鮮明に快感をもたらし、ノアを惑乱させた。
先走りを纏った指先が、奥の方へと這うのに気づいて、ノアはビクッと身体を震わせる。固く閉ざされた後孔をほぐすように撫でる仕草に、むしろ緊張感が高まってしまった。
「……ノア、ここ、少し緩めて」
「む、り、です……っ」
胸元から顔を上げたサミュエルに、小さく首を傾げながら頼まれたところで、ずっと前から身体の制御を見失っていたノアにはどうすることもできない。
指先につつかれ、ひっかかれる度に、ビクッと腰が跳ねる。グッと圧をかけられると、その分だけ身体が強ばってしまう。ノアの方こそ、どうすればいいのか教えてほしいくらいだった。
「うーん……ノアは、感じやすいのかな」
「は……?」
「敏感すぎるのは、可愛いけど、ちょっと困るね」
「え……?」
戸惑うノアに微笑みかけるサミュエルの表情に、困った雰囲気は微塵もない。むしろ嬉々とした雰囲気が漂っていて、ノアはポカンと口を開けて戸惑う。
それを見てサミュエルが小さく笑い、ちゅっと口づけた。唇に舌を這わせる動きに、反射的に目を伏せて応える。
「んっ!?」
キスに気を取られたのを見逃さず、サミュエルの指先が後孔にグリッと入り込む。それをきゅっと締めつけてしまう自分の身体の動きを感じ取り、ノアは恥ずかしさに目を潤ませた。
「ちょっと滑りが足りないかな……」
「ふっ、ぁ、ん」
「ノア」
身の内に蟠る熱に焦らされて、もじもじと身体を動かすノアを見下ろし、サミュエルが怪しげな笑みを浮かべる。
それを見つめ返し、ノアは嫌な予感を覚えて逃げをうった。弱いところを全て捕らえられてしまっているから、ほんの些細な抵抗にしかならなかったけれど。
「ここを舐めるのと、香油を使うの、どっちがいいかい?」
「っ、それ、聞く必要、ありますかっ!?」
ノアはあまりに明け透けで淫らな問いに、目眩がした。想像してしまった自分が憎い。後孔がきゅっと指に絡みついてしまうのを感じ取り、隠せない欲に顔から火が出そうなほど恥ずかしさを覚える。
サミュエルはにこにこと笑み、後孔の周りをマッサージするように親指を押し当てた。
「それは、舐めてほしいということ?」
「違いますっ!」
「残念。……でも、いつかさせてね」
肩をすくめたサミュエルがベッドサイドに手を伸ばす。でも、ノアはその動きを気にする余裕がなかった。サミュエルの言葉が頭の中で反芻されて、思考が停止してしまっていたのだ。
(いつか、させて、ね? なに、を? え……本気で?)
悶々と考え込んでいたノアの意識を引き戻すように、不意にトロリとした感触が下腹を撫でた。ビクッと身体を震わせたノアの鼻に、甘い香りが届く。
香油は股の間を滴り落ち、サミュエルの指を食む後孔まで広がっていく。
「んっ」
「……うん、いい感じだ」
指を小刻みに動かし、香油を後孔に少しずつなじませたサミュエルが、嬉しそうに呟く。少しずつ深いところまで指が埋まっていくのを感じた。
「ぁあっ、ん、ふっ……!」
胸の尖りに硬いものが当たる。痛みを感じないギリギリの強さで噛まれ、ノアは咄嗟にサミュエルに抱きついた。
後孔から意識が逸れて少し緩んだのを逃さず、二本目の指が入り込む。グッと押し上げるように内壁を刺激され、これまで感じたことのない重い痺れが下腹に走った。
「やあっ! あ、なにっ……!?」
「ここ、男が感じるところだって、習わなかったかい?」
乳首を舌先で転がす合間に、サミュエルが囁く。それは閨教育で確かに習ったことで、ノアは場違いに『なるほど……』と納得してしまった。すぐにそんな余裕はなくなったけれど。
グ、グ、と腹の内側を押されていると、じわじわと熱が込み上げてくる。それは解放するすべもなく、溜まり続けていった。
「ひっ、ぁ……!」
「ちゃんと感じられて、いい子だね」
逃げたくて仕方なくて、ノアはシーツを蹴る。でも、その動きはなんなく押さえられてしまい、そればかりかダラダラと先走りを零す先端を擦られて、声にならない悲鳴を上げるしかなかった。
胸と、中心と、後孔を同時に刺激されて、ノアはもうどうしたらいいか分からなくなる。溢れる嬌声が恥ずかしいのに、それを止めることさえできない。
後孔を探る指先は、奥の方まで入り込み、内壁を広げるように動き回る。無意識でカクカクと動く腰に合わせるように奥を突かれ、ノアは一瞬呼吸を忘れた。
きゅっと締めつける動きを楽しむように、サミュエルの指が後孔の奥の方まで暴いていく。
「ひぅ……っ、ぁ、ああっ!」
強すぎる快感に追い立てられて、頭の中が真っ白になった。前から放つ解放感に、思考が溶けていく。ビクビクと腰が跳ね、無意識でサミュエルの腰に擦りついていた。
「ふ、ぁ……ん、ぁ」
「上手に出せたね。可愛い顔だったよ」
瞼に唇が触れる。気づかない内に溢れていた涙を拭うように目尻を舐められて、ノアは荒い息で胸を上下させながら、少し口元を緩めた。
サミュエルの感想はともかく、慰撫するように触れられるのは心地良い。
でも、まどろんでいられたのは、ほんの少しの間だけだった。
「――それじゃあ、こっちでも、もっと感じられるようになろうか」
「ああっ!? ま、って……!」
ノアが呼吸を整える間大人しくしていた指が、グチュと淫らな音を立てて動き始める。放ったばかりで敏感になっていた襞を刺激され、ノアが甘い声を上げてしまうのは、当然のことだった。
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