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占守島の戦いを忘れてはいけない
西暦1945年(昭和20年)8月15日。
第二次世界大戦は日本の敗戦をもって終結した。 内地・外地の部隊では局地的な戦闘行動はあるものの武装解除、将兵の復員へと向けて動き始める。
それは北東最前線、千島列島の最北東端の占守島でも同様だった。
8月16日。朝、昼の2度にわたりソ連軍戦闘機が占守島の陣地上空を低空で旋回。
17日、午後1時。ソ連軍戦闘機5機が侵入。陣地めがけ小型爆弾を投下して去った。
幸いにして爆弾は少しはずれた湿地に落ちる。また、対岸のロバトコ岬のソ連軍砲台より、占守島沖の座礁船へ向け何度も砲撃が加えられたが 届かず海に落ちた。
日本側は「試射であろう」とさほど気にはとめなかった。
「もう戦争は終わった。国へ、家族の元へ還れる」 将兵たちの胸中は同じであった。
18日午前2時。砲弾の炸裂が響く。
ソ連軍による奇襲、艦砲射撃。
「艦砲の支援のもとに敵は、竹田浜に上陸を開始せり」
切り立った崖に守られた地形、敵上陸ならば竹田浜地域。と、占守島ではあらかじめ準備値が整えられていた。
しかしながら終戦後のまさかの奇襲。この地の防備は防熊本出身の陸士48期生の村上則重が指揮する独立歩兵第282大隊。
竹田浜付近に布陣されていた村上大隊第3中隊の2個小隊は良く闘うも壊滅。
独立臼砲第18大隊第2中隊国端分遣小隊も、ソ連兵数10人を殺傷後に全滅。
ソ連軍は竹田浜に橋頭堡を築き前進を開始し、午前6時には4キロ先の村上大隊が守る四嶺山戦闘指揮所・遊撃隊本部を包囲した。
ソ連軍迫撃砲の集中砲火、続く重機関銃。数千の敵歩兵が前進する。
日本陣地の3門の高射砲の的確な攻撃に曝されながらもソ連軍狙撃部隊が突入し30メートルと接近したままの銃撃戦となる。
応戦し敵を倒しつつも、直撃を受け次々と肉片と化す日本兵達。
そこに援軍到着の快報が届く。
援軍は池田戦車隊。戦車第十一連隊長の池田末男大佐とその部下達。
通称士魂部隊。
「十一という隊号を「士』となぞらえ、士をもって国難に殉ずる」
を創設以来の信条とした部隊だ。
学徒兵や少年戦車兵出身者も多く、若い彼らは敗戦の報に地にひれ伏して泣いた。
そして18日に愛車を海中に沈めるべく無線、弾薬、燃料、砲を外す等の準備を進めていた。
「ソ連軍ついに不法侵入す」
午前2時10分、旅団本部からの報告。
20分後、敵撃滅命令を受けた池田連隊長は戦車の整備を命じ、総動員で出撃準備。
準備完了した中隊から順次集合、連隊長車が先頭となり戦場へ向かう。
四嶺山の村上大隊はすでにソ連軍からの攻撃に曝されていた。
「戦車第十一連隊はこれより直ちに突撃を開始する。祖国の彌榮を祈る。
そう師団長に送信した後に池田連隊長は突撃を命令。
戦場は濡れるような重い濃霧で戦車の小さな覗き窓からは敵も前方すら把握できない。
目視のため天蓋から上半身を乗り出した戦車兵はソ連軍狙撃兵の格好の的となった。
そして13ミリ対戦車ライフルなどの攻撃。キャタピラに敵兵を巻き込み動けなくなり狙われ炎上する戦車。
友の遺体を失わぬ為に砲塔に縛り戦い続ける戦車。
戦車を失い、脱出後に小銃で戦い倒れた者。
激戦が続く中、先ほどまで優勢であったソ連軍は戦車隊と友軍に蹂躙され竹田浜へ退却を始める。
日本軍勝利の兆しであった。
占守島の戦いは旧日本軍対ソ戦唯一の勝利戦であり、この勝利が無ければソ連軍は当初の計画通りに南進を続け北海道に上陸したかもしれない。
そうなれば日本は米国とソ連の2カ国に分割統治されていたかもしれない。
日本側の死傷者約800名。ソ連側の死傷者約3000名。
占守島の日本軍将兵たちは、この戦いの後シベリアに数年間抑留された。
士魂部隊の戦死者池田連隊長以下96人、隊員の13%。
生き残った者は戦死した友の親指を切り落として網の上で丁寧に焼き遺骨とし、手縫いの白い袋に入れシベリアに一緒に連れて行った。
極寒の収容所の強制労働に倒れた者も出た。
生き残った者は数年後の帰国の時は友の遺骨も連れ帰り遺族にその死に様を報告した。
戦勝国米国による占領下の祖国日本。
反軍人思想が吹き荒れる中への帰国。無駄な戦いしたと白眼視されたり、友は無駄死にだとそしられる者も。
共産圏抑留者に脳を疑われる事もあり、。それは士魂部隊の者だけが経験したことではなく、 シベリアに抑留された多くの者が経験した事だろう。
今でも日本とロシアは友好関係にない、平和条約を結んでいない。
先の戦争でロシアが北方領土を不法占拠しているからであり、ある意味で戦争状態が続いているようなもので、これはお互いに〝敵国〟のままということ。
四六時中領海・領空侵犯してくるロシアは日本にとって驚異でしかなく、ロシアに侵略されるウクライナの姿は明日の日本の姿なのかもしれない。
1806年にロシアが樺太や択捉の日本人居留地を襲撃、略奪をした文化露寇を皮切りに日露関係はロシアの侵略からはじまっている。
樺太は250年に渡り松前藩が治めていた土地にも関わらずロシアは1853年に一方的に樺太の領有を宣言、ロシアと戦う力の無かった明治政府は1875年の樺太・千島交換条約でいたしかたなく樺太を放棄させられる。
樺太も千島も日本固有の領土なのに〝日本の領土と日本の領土を交換〟してロシア領にするなど道理に合わない。
これは武力を背景に侵略した土地を正式な条約で割譲されたように偽装している、いかにも悪辣で狡猾な所業だ。
第二次世界大戦は日本の敗戦をもって終結した。 内地・外地の部隊では局地的な戦闘行動はあるものの武装解除、将兵の復員へと向けて動き始める。
それは北東最前線、千島列島の最北東端の占守島でも同様だった。
8月16日。朝、昼の2度にわたりソ連軍戦闘機が占守島の陣地上空を低空で旋回。
17日、午後1時。ソ連軍戦闘機5機が侵入。陣地めがけ小型爆弾を投下して去った。
幸いにして爆弾は少しはずれた湿地に落ちる。また、対岸のロバトコ岬のソ連軍砲台より、占守島沖の座礁船へ向け何度も砲撃が加えられたが 届かず海に落ちた。
日本側は「試射であろう」とさほど気にはとめなかった。
「もう戦争は終わった。国へ、家族の元へ還れる」 将兵たちの胸中は同じであった。
18日午前2時。砲弾の炸裂が響く。
ソ連軍による奇襲、艦砲射撃。
「艦砲の支援のもとに敵は、竹田浜に上陸を開始せり」
切り立った崖に守られた地形、敵上陸ならば竹田浜地域。と、占守島ではあらかじめ準備値が整えられていた。
しかしながら終戦後のまさかの奇襲。この地の防備は防熊本出身の陸士48期生の村上則重が指揮する独立歩兵第282大隊。
竹田浜付近に布陣されていた村上大隊第3中隊の2個小隊は良く闘うも壊滅。
独立臼砲第18大隊第2中隊国端分遣小隊も、ソ連兵数10人を殺傷後に全滅。
ソ連軍は竹田浜に橋頭堡を築き前進を開始し、午前6時には4キロ先の村上大隊が守る四嶺山戦闘指揮所・遊撃隊本部を包囲した。
ソ連軍迫撃砲の集中砲火、続く重機関銃。数千の敵歩兵が前進する。
日本陣地の3門の高射砲の的確な攻撃に曝されながらもソ連軍狙撃部隊が突入し30メートルと接近したままの銃撃戦となる。
応戦し敵を倒しつつも、直撃を受け次々と肉片と化す日本兵達。
そこに援軍到着の快報が届く。
援軍は池田戦車隊。戦車第十一連隊長の池田末男大佐とその部下達。
通称士魂部隊。
「十一という隊号を「士』となぞらえ、士をもって国難に殉ずる」
を創設以来の信条とした部隊だ。
学徒兵や少年戦車兵出身者も多く、若い彼らは敗戦の報に地にひれ伏して泣いた。
そして18日に愛車を海中に沈めるべく無線、弾薬、燃料、砲を外す等の準備を進めていた。
「ソ連軍ついに不法侵入す」
午前2時10分、旅団本部からの報告。
20分後、敵撃滅命令を受けた池田連隊長は戦車の整備を命じ、総動員で出撃準備。
準備完了した中隊から順次集合、連隊長車が先頭となり戦場へ向かう。
四嶺山の村上大隊はすでにソ連軍からの攻撃に曝されていた。
「戦車第十一連隊はこれより直ちに突撃を開始する。祖国の彌榮を祈る。
そう師団長に送信した後に池田連隊長は突撃を命令。
戦場は濡れるような重い濃霧で戦車の小さな覗き窓からは敵も前方すら把握できない。
目視のため天蓋から上半身を乗り出した戦車兵はソ連軍狙撃兵の格好の的となった。
そして13ミリ対戦車ライフルなどの攻撃。キャタピラに敵兵を巻き込み動けなくなり狙われ炎上する戦車。
友の遺体を失わぬ為に砲塔に縛り戦い続ける戦車。
戦車を失い、脱出後に小銃で戦い倒れた者。
激戦が続く中、先ほどまで優勢であったソ連軍は戦車隊と友軍に蹂躙され竹田浜へ退却を始める。
日本軍勝利の兆しであった。
占守島の戦いは旧日本軍対ソ戦唯一の勝利戦であり、この勝利が無ければソ連軍は当初の計画通りに南進を続け北海道に上陸したかもしれない。
そうなれば日本は米国とソ連の2カ国に分割統治されていたかもしれない。
日本側の死傷者約800名。ソ連側の死傷者約3000名。
占守島の日本軍将兵たちは、この戦いの後シベリアに数年間抑留された。
士魂部隊の戦死者池田連隊長以下96人、隊員の13%。
生き残った者は戦死した友の親指を切り落として網の上で丁寧に焼き遺骨とし、手縫いの白い袋に入れシベリアに一緒に連れて行った。
極寒の収容所の強制労働に倒れた者も出た。
生き残った者は数年後の帰国の時は友の遺骨も連れ帰り遺族にその死に様を報告した。
戦勝国米国による占領下の祖国日本。
反軍人思想が吹き荒れる中への帰国。無駄な戦いしたと白眼視されたり、友は無駄死にだとそしられる者も。
共産圏抑留者に脳を疑われる事もあり、。それは士魂部隊の者だけが経験したことではなく、 シベリアに抑留された多くの者が経験した事だろう。
今でも日本とロシアは友好関係にない、平和条約を結んでいない。
先の戦争でロシアが北方領土を不法占拠しているからであり、ある意味で戦争状態が続いているようなもので、これはお互いに〝敵国〟のままということ。
四六時中領海・領空侵犯してくるロシアは日本にとって驚異でしかなく、ロシアに侵略されるウクライナの姿は明日の日本の姿なのかもしれない。
1806年にロシアが樺太や択捉の日本人居留地を襲撃、略奪をした文化露寇を皮切りに日露関係はロシアの侵略からはじまっている。
樺太は250年に渡り松前藩が治めていた土地にも関わらずロシアは1853年に一方的に樺太の領有を宣言、ロシアと戦う力の無かった明治政府は1875年の樺太・千島交換条約でいたしかたなく樺太を放棄させられる。
樺太も千島も日本固有の領土なのに〝日本の領土と日本の領土を交換〟してロシア領にするなど道理に合わない。
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