規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜

Saioonji

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青年期

第10:上位貴族の自己紹介

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「まずは、公爵と辺境伯の自己紹介をしよう」

父――皇帝はそう告げると、居並ぶ公爵たちに視線を向けた。

「では、私から参りましょう」

そう言って、一人の男が一歩前へ出る。

「ヴィクトル・アルノーと申します。帝国防衛大臣として、全軍総帥および近衛騎士団長を務めております」

引き締まった体躯に、爽やかな笑み。
筋肉質なその男は、帝国における“武”のすべてを一手に担う存在だった。

続いて、金髪の男が穏やかに前へ出る。

「セドリック・モンテリオです。生産大臣を拝命しております。また、本国の生産系ギルド統括――《グランドマスター》も兼任しております。殿下、これからよろしくお願いいたします」

有能さを自然に滲ませるその微笑みは、まさに“できる男”という印象を与えた。

三人目は、落ち着いた雰囲気を纏った中年の男だ。

「エドガー・ラインハルト。経済大臣を務めております。東方公爵として、商人連盟の会長も兼任しております」

柔らかな物腰の奥に、鋭さを隠した男。
帝国の“金と流れ”を掌握する人物だ。

三人が元の位置に戻ると、父は軽く頷いた。

その間、辺境伯たちは一歩後ろで静かに待っている。
前に立つ公爵たちと、控える辺境伯たち。
その立ち位置だけで、役割の違いははっきりしていた。

父は視線を辺境伯たちへ移す。

「次は辺境伯だ。
 お前が将来、直接向き合うことになる連中だ」

最初に前へ出たのは、体格のいい男だった。

「グラハム・アイゼンヴァルト辺境伯です。
 タン王国方面を預かっています」

「タン王国とは、今も緊張した関係にある。
 戦争にはなっていないが、国境は常に張りつめている」

父がそう言うと、アイゼンヴァルト辺境伯は深く一礼した。
その視線が、一瞬だけアルノー公爵の方へ向いたのを、俺は見逃さなかった。

「その最前線を任せている男だ」

次に、落ち着いた男が前に出る。

「ロドルフ・クレイヴェン辺境伯です。
 ブロドン共和国方面を担当しています」

「ブロドン共和国との関係は、今のところ安定している。
 平和と言っていい状況だ」

父は一拍置き、続けた。

「だが、平和な国境ほど油断しやすい」

クレイヴェン辺境伯は黙って頷く。

続いて、二人の辺境伯が並んで一歩前へ出た。

「アルベール・ヴァレンティス辺境伯です。
 アジス獣王国方面を預かっています」

「ディートリヒ・ブラウシュタイン辺境伯です。
 同じく、獣王国方面を防衛しています」

父の声が、わずかに低くなる。

「獣王国とは、現在進行形で戦争中だ」

二人は同時に、無言で頷いた。

「補給と兵の再編は、すでに手配しています」

短くそう補足したのは、アルノー公爵だった。
辺境伯たちは何も言わない。
その必要がないことを、全員が理解している。

次に、穏やかな雰囲気の男が名乗る。

「ユリウス・カーマイン辺境伯です。
 エストル樹国方面を管轄しています」

「表向きは独立国だが、実態は帝国の影響下にある。
 今は穏やかだ。無用な波風を立てる必要はない」

父の言葉に、カーマイン辺境伯は静かに一礼する。

さらに一人が進み出た。

「バルタザール・ノルトハイン辺境伯です。
 ダスメア海洋国方面を預かっています」

「ダスメアとは剣では戦っていない。
 だが交易と海では、常に競り合っている」

「商人連盟との調整は、こちらで進めています」

今度は、モンテリオ公爵が淡々と口を挟んだ。
ノルトハイン辺境伯は、何も言わずに頷くだけだった。

次の名を呼ぶとき、父は一瞬だけ言葉を選んだ。

「オスカー・リンドグレン辺境伯です。
 デスト魔王国方面を担当しています」

「魔王国については、分からないことが多い。
 だからこそ最も危険だ。
 “分からない”という状態を、決して甘く見るな」

場の空気が、わずかに張りつめる。

最後に、一人の男が静かに前へ出た。

「セシル・デュラン辺境伯です。
 シドル大公国方面を任されています」

「シドル大公国は帝国の属国だ。
 だが属国であっても、管理を誤れば火種になる」

すべてを言い終えると、父は改めて俺を見た。

「これが帝国の外縁だ。
 最前線を預かるのは辺境伯。
 それを束ね、動かすのが公爵だ」

そして、はっきりと告げる。

「――そして、そのすべての責任を負うのが皇帝であり、
 いずれはお前だ」

その言葉を聞きながら、俺は理解する。

辺境伯は壁だ。
公爵は歯車だ。
そして、父は――この巨大な装置そのもの。

――俺が継ぐのは、王座だけじゃない。
この国が抱える、“すべての最前線と支配構造”なのだ。
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