我らダンジョン攻略部〜もしも現実世界にダンジョンができたら〜

一日千秋

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48話 各国の動き

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アメリカ、ホワイトハウス地下作戦会議室。


夜にもかかわらず、部屋の中央にあるディスプレイには戦闘映像が次々と映し出されていた。


「、、、報告を続けろ」


低く通る声で命じたのは、アメリカ合衆国大統領。
隣には国防総省長官と統合参謀本部議長、そして経済政策顧問の面々が並ぶ。


「6階層に到達した部隊が、初めてポーションと呼ばれる液体を回収しました。現地での治癒効果も確認済みです。負傷した兵士が数秒で回復を、、、まるでSF映画のようでした。」


参謀本部議長が信じられないという顔で言葉を続けた。


「ドロップ率は低いながらも、現時点で20本を確保。現在、科学班が分析を、、、」


その瞬間、大統領が椅子の背にもたれ、深く息をついた。


「やっとだ、、、ようやく成果が見えたな。」


部屋の空気がわずかに緩む。
しかし次の瞬間、大統領は机を指で叩きながら続けた。

「よし、ポーションをできる限り確保しろ。軍だけで独占するな。製薬企業、医療ベンチャー、どこでもいい。あらゆる企業に投資させろ。経済を回すんだ。」


経済顧問が目を輝かせる。

「つまり、これを新たな産業に?」


「そうだ。ポーション産業だ。命を救う飲み物、、、これほど強力な市場はない。」

大統領の声には確信があった。


「だが満足するな。」


彼は視線を鋭くして軍幹部を見回した。


「もっと下へ行け。もっと成果を出せ。世界はアメリカの動きを見ている。8階層、9階層、、、何があろうと先に進め!」


沈黙ののち、参謀たちが一斉に立ち上がった。


「了解!」


会議室の照明が落ちる。



~~~~~



中国、北京市、国家軍事委員会本部。

深夜、重厚な会議室の空気は張りつめる。

長机の先端に座るのは、中国人民解放軍総司令官が
机を叩く音が響いた。


「なぜだ! なぜ我が軍はまだ4階層すら突破できんのだ!!!」


報告書を持つ参謀が小さく震えた。

「は、はい、、、道中モンスターの数が多く、損耗が予想以上で、、、」


「言い訳をするな!!!」


劉将軍の怒号が会議室を揺らした。


「アメリカはすでに6階層を突破し、ポーションなる奇跡の薬を回収している。日本ですら民間探索者が5階層を攻略しているというのに、我々は何をしている!!!」


誰も口を開かない。
ただ沈黙と冷汗だけが広がる。


「戦術が悪いのか? 兵が弱いのか? それともお前たちの頭が腐っているのか!!」

拳が机を打ち、資料の束が宙に舞った。


「報告ばかり上げて成果はゼロだ! 国家の威信が地に落ちていることが分からんのか!?」


副司令が震える声で答えた。

「、、、新しい武装ユニットを編成し、エネルギー兵器を持ち込めば、次の突入で突破できる見込みが、、、」


「見込みだと? そんな言葉で主席を納得させられると思うな!」


総司令官は椅子から立ち上がり、鋭い目で全員を見渡した。

「アメリカに遅れを取るなど断じて許されん! 次の突入で結果を出せ。失敗すれば貴様ら全員、現地送りだ。」


その言葉に、室内の温度がさらに数度下がったようだった。
誰も息をする音すら出せない。


中国の焦燥と苛立ちは、静かに、しかし確実に膨れ上がっていた。


~~~~~



日本、首相官邸の地下危機管理センター。

壁一面に設置されたモニターには、各地のダンジョンから送られてくる映像と、ネットニュースの速報が並んでいた。

その中には「民間探索者、ポーション発見」「政府、強制回収に抗議デモの兆し」といった見出しもあった。


「これは、まずいな。」

額に手を当てたのは内閣総理大臣。
疲れの滲む声に、周囲の空気が一気に重くなる。


「自衛隊でもポーションの回収が始まりました。民間探索者の間では国に奪われる前に売れという内容の話が広がっており、オークションサイトで一本数百万円の取引も確認されています。」


経済産業大臣が報告書をめくりながら説明する。


「ですから、政府で一度回収するのは理解できますがこのままでは横取りだと叩かれます。現金補償を急がないと、本当にデモが起きかねません。」


「現金支払いの準備は?」


総理が尋ねると、財務大臣が渋い顔で答えた。

「予算の枠が今の時点では一部しか対応できません。1本いくらに設定するか、それを決めないことには、、、」


「そ、それを今決めろと言っているんだ!」

総理が思わず声を荒げた。

「民間の不満が爆発したら、国の信頼が吹き飛ぶ!」


ダンジョン庁長官が、おそるおそる口を開く。

「現場からの報告によると、効果に個体差があります。同じポーションでも、治癒力が弱いものもありました。正確な査定をしないまま買い上げれば、偽物が市場に氾濫する危険もあります。」


「そんなこと言ってる場合か!」

官房長官が机を叩いた。

「SNSでは政府がポーションを独占してるってハッシュタグがトレンド入りしてるんだぞ!」


場が一気にざわつく。

「とにかく、明日の記者会見までに補償の方針を出す。金額は暫定でもいい!」


「支払い窓口をどうする? 地方自治体に回すのか?」


「いや、自治体は混乱する。ダンジョン庁で一括管理を、、、」


「そんな予算も人手もないですよ!」


会議室はもはや修羅場のようだった。
誰もが焦り、誰もが答えを持たない。


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