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この俺が開発なんてされるはずがない

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アルフレッドと名乗る狼男に腕を掴まれ、扉の奥へと引きずられるようにして連れていかれる。
抵抗?していない筈はないのに、全くアルフレッドの足は止まらない。まるで大人に子供が手を引かれるように意図も簡単に部屋を後にした。
隣の部屋には窓はなく、朝日を浴びていた目が慣れず真っ暗闇の様に感じられる。
突き飛ばされた先に硬いベッド。
じゃらりと首輪の鎖が鳴る。

「っ、ぐぅ…」 

鎖を引かれて喉に首輪が食い込む感触。
目の前に、獣の目があった。
すくんだ様に動けなくなった俺の服をいとも簡単に引き裂く爪は太さはあるのに鋭かった。

「その辺に行き倒れていたのを拾ってやったのになぁ、この俺様に感謝の言葉一つ無しか」

いや、そんなの知らないし…。
俺は引き裂かれてボロボロになった服を搔き合せた。
暗闇の中に置かれて時間が経過するとともに少し目が慣れてきた。
狭い部屋にはベッドが一つ、後はテーブルとか棚が簡素に置かれているだけだ。
娼館…と言ったか。

どうやらここは異世界に違いなく、俺は娼館の主人に行き倒れていたところを運悪く拾われたらしい。
さっき引き裂かれた服も、布を適当に繋ぎ合わせただけの簡素なものだった。

「まぁ、そう怯えるなよ。商品に傷はつけない様にしているからなぁ。俺は紳士だぜ?」
「はっ、どこが紳士かよ、笑わせる」

震えそうな声を精一杯絞り出した。
人の服を引き裂いて首輪で繋いで世界の紳士に謝れ。
前世の業をって言われたが、このアルフレッドの方がよっぽど業が深そうだ。

「ワーウルフってのは気性が荒いんだ。そん中でもおれはとびきり紳士だ…が、可愛げのないやつには優しく出来ないかもなぁ」

熱い舌が、おれの頬を舐めた。まるで味見をするかの様に。
アルフレッドの舌は熱く、人間のそれより長かった。
服をかき合わせた両手首を片手で簡単に抑え込まれ、磔にされた。

「っ…」

ヌルヌルとした舌が耳やら首を這い回る。執拗に舐めまわされておれは思わず息をのんだ。
両手首はピクリとも動かせない。奴の口から時折見える牙の前ではそれなりに鍛えてきた筈の身体も脆弱なものに過ぎない。

喰われる…

本能的な恐怖がおれを震え上がらせ、肌を敏感にしていく。
アルフレッドの片手が、俺のなけなしの衣類を完全に取り払ってしまう。

「漸く大人しくなったか?ここはこんなに縮こまっちまって…」

二度目の命の危険を感じて、俺の息子は小さく萎んでしまっている。
そこを、奴の舌が捕らえた。

「っ…ひぃっ」

今まで自分が出したこともない様な情けない声が出た。

「ここは男の娼館だからな、男を楽しませてられなけりゃ商品にならねぇからな」

娼館は娼館でも、男娼の館か。
さしずめ、さっき目覚めた場所は通りに面していて、客が外から物色出来るようにしてあるのだろう。
ヌメヌメとした舌が執拗に俺のペニスをこねくり回す様に舐め回す。次第に硬くなっていく俺のものを見て、アルフレッドは嗤った。

犬でも笑ったような表情をして見せることもあるが、あれとは全く違う恐ろしさを感じた。

「硬くなってもまだちいせぇな」

断固として俺のペニスは小さくない…、だが、奴の体格からしたら小さく感じられるのかもしれない。
いくら脳内で否定しても、俺は顔が赤くなるのを感じる。
正直言って、今までに感じたことのない羞恥だった。
どんな女の子のフェラよりもコイツの舌使いは男の快感を知っている。しかも長くて熱い舌に包まれてしまうとまるで生でセックスしているかのような快感の波が押し寄せる。

「っ、くぅ、…ふぅ…やめ…やめろぉっ」

アルフレッドの手が、俺の片足を掴み上げた。
一旦ペニスから離れた舌が、足の付け根から尻の方まで舐め回してくる。
気づけばもう、俺のものは限界まで張り詰めていた。

「そんな気持ち良さそうにしてここはそうは言ってないんじゃないか?」

くつくつと低く笑われる。
確かに…もう早く達してしまいたくて俺のペニスは露をこぼしている。
コンコン、不意にノック音が響いた。

「なんだ」

隣の部屋にいたのはさっきNo.245と名乗った狐耳しか居なかったはずだ。

「アルフレッド、さん…その…」
「なんだ、要件を言え」

消え入りそうな声が、少し黙る。

「あの、僕も手伝わせて下さい」

え、手伝うって何を…?これを…?

「…入って良いぞ」

入ってきた245の彼の耳は伏せがちで、明らかにアルフレッドに怯えている。

「僕の指なら、彼を傷つけなくて済むと思うので…」

よく分からないやり取りが続けられ、そっとNo.245がベッド側まで歩み寄ってくる。
アルフレッドは無言で俺の手を離し、代わりに俺の両足を掴んで大きく開いた。
露わになった俺のペニスへはアルフレッドの舌が再び降りてくる。
No.245の指が俺の尻に触れて…

「大丈夫、痛くしないから」

俺の先走りとアルフレッドの涎で濡らされたそこに少し冷たい指がずるりと滑り込む。 

「っあ、ぁ?」

異様な感覚と、ペニスに与えられる快楽とが混ざり、俺は混乱した様な上ずった声を上げた。
冷たい指が俺の中を探る様に動き、ある一点をなぞる。
ゾクゾクっとした快感に、俺は堪らず吐精した。

「うぁっ、あぁぁぁっ」

吐精してもなお指は止まらず中の気持ちいいポイントを刺激してくる。

「大丈夫、怖くないからここの気持ちいいの覚えておいた方がいいよ」

吐精して一度柔らかくなったペニスが再び硬くなっていく。
まるで女の様に足を開かされナカを探られ、俺は背をそらした。そうでもしないと快楽を逃す先がない。
もうペニスへの刺激は無くなり、アルフレッドはニヤニヤとしながら俺の様子を眺めている。
No.245の指が増やされ、中のコリコリとしたところを執拗にいじくりまわされ、俺のペニスが再びはちきれそうになる。 

「お前、仕込みの方が才能がありそうだな」

優しく冷たい指が俺のを扱き、俺はNo.245の指を汚した。



頭がぼぅっとして動かないでいる俺に、No.245が微笑みと共にナツメだと名乗った。
いや、もう本当に名前はいいから指抜いて…
気づけばアルフレッドは俺の足を離していた。しかし、二回も吐精して足を閉じる気力がわかない。

「もう少しこうして拡げておかないと、夜君が大変だから…」
「よる…?」
「早速夜には客をとってもらうからなぁ。まぁ最初はうちの常連さんに買ってもらうといい」

その前に、とアルフレッドが立ち上がる。

「これでも突っ込んでおけ」

戸棚から取り出された、張り型はいわゆるアナルプラグに酷似しており、俺は言葉を呑んだ。

「この国では珍しい黒髪に黒い目、顔も悪くねぇし男ウケしそうだからお前、売れるだろうなぁ。いろんなサイズのやつがいるから、拡げとけ」
「ごめんね、こうしておかないと…」

ナツメがプラグを手にし、指の代わりに俺にあてがう。
いや、もう本当に…それ入れちゃうのーー…?
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