生徒Cの生と死

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僕と君と時々太陽

彼女と僕

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僕の名前は…
なんてことはいいんだ。今の状況を説明しよう。


ここは屋上。

僕の前には長い黒髪の美少女。

彼女は

現在。いつ落ちてもおかしくないくらいの崖っぷちにいる。


「あ……あの!」

勇気を出して声をかけてみる。

「ん~~?」

思ったより柔らかい声に少し焦りを感じながらも今の状況について聞いてみた。

「何をしているんですか?」

彼女はニッコリと笑い。
まるで朝の挨拶をするかのようにこう言い放った。

「死のうと思ってさぁ~」

やっぱり自殺か…

「何で自殺なんですか?何か理由があるんですか?」

僕の知る限りだと彼女は、
成績も優秀。友達も多く。先生にだって好かれているはず。
なぜ自殺なんて……。まさかイジメにでもあっているのだろうか…

「嫌になったから。この世界が。」

……え?
世界が?どういうこと?やっぱりイジメなのかな?

「私はね。この世界はエゴの塊だと思うの。その世界に私は合わないみたい。こんな世界の未来なら。私はいらないわ」

「でも…自殺なんて、生きていれば幸せなことだってまだまだありますよ!勿体ないです!」

「それだよ、君。その君の考え方が私には合わないんだ」


彼女の雰囲気が変わったことに驚いたが、
少しするとまた先程までの雰囲気に戻り、続けてこう言った。


「生きていれば幸せなことがありますよ。って、あなたを含め世界の人々は言うけれど。その人の幸せを決めるのは他人じゃなく、自分自身なんだよ。」

「…でも…」

「未来には幸せがあると言われて、その人は希望を持てると思うかい?
 未来に希望なんてない、そう思った人が自殺をしようとしているのに。
今死ぬことが自分にとっての幸せ。最善策だと思ったから死のうとするんだ。
それをなんの確証もない無責任な未来の話で方をつけようだなんて、おかしいと思わないかい?」

「それは…」

彼女の言葉に納得した自分がいた。
確かにその通りだ。考えに考え抜いて、未来の希望が無いことに耐えきれずその未来を絶とうとする。
そんな人に未来の話をするのは、それまでのその人の考えを否定するのと同じなのだ。
その人だって悩んで、苦しんで、もがいて、それでも死ぬのが一番自分にとっての幸せだと考えたのだ。


「よくあるでしょ、テレビ番組なんかで自殺を警察や消防官が身をていして止める映像とか。みんなでマットとか用意してどうにかして死なないようにするのとか。
私はあれ大嫌いなんだ
せっかく死のうと心を決めた人を引き止めるだなんて。
引き止められ、警察に怒られ、世間の見世物にされ。死ねなかった人はこれから先どう生きていけばいいの?
自殺を止めた人の自己満足のためだけに生かされる。その人の価値観の押し付けによって更に辛い人生を歩む。
そのくせ助けた人はヒーロー扱いされる。私はその人は殺人鬼と同じだと思うの。死ぬほど辛い拷問をまた続けさせているのと同じじゃない?」


僕はただ話を聞くことしか出来なかった。


「『生きたくても死んでしまう人もいるんだぞ』とか大層な言葉並べてるけど、【死にたくても生かされる人】のことも考えて欲しいよね。」


僕は彼女の言葉に耳を奪われていった。


「あとは道徳とかね。授業とかでよくやったでしょ?
あれで命についてとかやるわよね。それこそ自殺の話とかあるでしょう?
『自殺についてあなたはどう思いますか?』
なんて質問に先生は『正解なんてないからね。自分の思ったことを書いていいよ』なんて言うけれど。
結局はみんな『残された人が可哀想だからしない方がいい』だとか、『生きていれば幸せなことはある』とか書くじゃない。
先生もそれを期待しているのよ。
模範通りの回答。
自由に書いていいなんて言って、自由なんて無いのと同じじゃない。
そして模範通りの、死のうと思ったことのない人の考え方をあたかも全員の考えのように話す。私は昔からあの授業が嫌いだったわ。一般的な人とは考えが違う人のことなんて考えていない。」

「それでも僕は君みたいな人が自殺するのはいやだよ….」

「ここまで聞いててもまだ言うの。変わってるのね、君。
あ、君はこの言葉はどう思う?『人はみな平等』って言葉」

「えっと、今の話を聞く限り平等では無いんですかね。」

「そうだね。平等なんてない。

例えば、働けない歳になった人は年金が出るよね。【生きるために】

じゃあ【死にたい人は?】死にたい人のために国は何かをしてくれる?楽に死ねる場所。迷惑にならずに死ねる場所。そんな場所を国は用意してくれる?してくれないよね。人の考え方が180度違うだけで、国の対応も180度違うんだ。人はみな平等なんて無いんだよ。だって、それを訴える国が人に対して不平等なんだから。」


そして彼女はひと段落付いたようにしてこう言った


「他にもあるけどとりあえずはこんなものね。だから私は死にたいの。これでもまだこの未来に希望があると思う?」


僕は黙ってしまった。
このまま彼女を自殺させることしか出来ないのだろうかと考えていると。彼女は


「でもまあ、ここまで話を聞いてくれたのは君くらいだからね。お礼をしないと。うーん。そうだねぇ~








【私を殺していいよ】」










僕は驚いた。いや、驚いたなんてものではなかった。


「何言ってるんですか!どうして…どうして…」

「いやぁ~私のこと殺したいのかなぁ~って思ってね。」







「どうしてわかったんだよww絶対バレないようにしてたのにwww」





バレちったw





「そっちのあなたの方が素敵よ。
だってあなた、さっきから私の【自殺】は止めようとするけど、私が【死ぬこと】は止めようとしないじゃない。」

「あぁぁぁ。なるほどねぇ……それは盲点だったわぁ…」

「それにあなた、私が自殺をするのを【もったいない】って言ったよね。普通の人が自殺しそうな人を前にしていう言葉とは思わないもの。」

「なるほどねぇ。そうだよ、俺はお前を殺したい。お前みたいな女が自殺するのは惜しい。自殺するくらいなら俺がこの手で存在を消したい。だってさ!誰もが憧れるような人の【死ぬ瞬間】は俺しか知らないことになるんだぜ」

「やっぱりあなたもこの世界には合わない人なのね。安心したわ。」

と言い彼女はこちらに近づいてくる

「どうせ私は自殺希望だからね。殺されても何も言わないよ。」

あぁ、なんて俺は幸運なんだろう。
彼女の首にゆっくりと手をかける。
何も抵抗をしない彼女に少しずつ力を加えていく。
次第に彼女の手の力が抜けていく。
そして最後に


「ありがとう」


そう言い残して彼女は【人】から【肉塊】へと変わった。
言葉に出来ないほどの快感が俺の中を駆け巡る。
その快感が無くならないうちに僕は、彼女を抱きかかえて、






屋上から飛び降りた。






これで彼女も満足だろうか。
それにしても、
話に聞いてたとおり自殺も案外悪くないもんだな。


そこからは考えることは出来なかった。




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