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アレクシス(受け)視点
6.思い出の香り
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ヴォルフラムにかけてもらったひざ掛けは、畳んで部屋のソファに置いておいたはずだった。
眠っている間にアレクシスは初恋の少女の夢を見ていた。
きらきらと輝く真っすぐな金髪を長く伸ばした少女が、白い頬を薔薇色に染めてアレクシスに向かって微笑みかける。少女はオメガなのか、アレクシスにとって好ましい爽やかな香りを放っていた。
「ヴィー、また来年もここに来る?」
「それは分からない。来年のお父様の休暇はどこで過ごすか分からないの」
「そうか……。わたしも来年は学園に入学するからここに来られるか分からないな」
もう二度と会うことはできないかもしれない。
そう考えるだけでアレクシスは少女と離れがたく感じてしまう。
「わたしたち、運命なんじゃないかな?」
「運命?」
「アレクシス様とわたしは、運命の番なの。アレクシス様からはいい香りがしてくるし、わたし、アレクシス様と一緒にいると幸せな気分になる」
運命の番ならば、アレクシスが少女の香りを好ましく思うのも納得ができる。
体の大きなアレクシスはアルファではないかと周囲から言われていた。オメガほど強いものではないがアルファからもフェロモンが出ていて、お互いのフェロモンを心地よく感じるのならば、運命の番というのも間違いではないだろう。
「運命の番でも、わたしはヴィーと結婚することはできない」
「そんなことない! わたし、アレクシス様を探す! アレクシス様に結婚してもらえるように頑張る!」
健気な少女に自分も同じ気持ちだと伝えたくても、アレクシスの胸には両親のことが重く圧し掛かる。家のため、領地のために政略結婚をした両親。愛などなくて義務として子作りをして、後は別々に暮らしている。
アレクシスはバルテル侯爵家のたった一人の後継者だから、政略結婚から逃げることができない。
少女と共に駆け落ちを考えるには十一歳のアレクシスはあまりにも幼すぎた。
「ヴィー、わたしのことは忘れて」
「忘れない。アレクシス様もわたしを覚えていて」
最後に渡された四つ葉のクローバーの刺繍の入ったハンカチからは、少女の爽やかな好ましい香りがしていた。
目を覚ますと、アレクシスはヴォルフラムにかけてもらったひざ掛けを抱き締めていた。ひざ掛けからはあの日少女から感じたような爽やかで好ましい香りがしている。
少女のことは運命の番だと思い込んでいたが、初めてのヒートが起きて、自分がオメガだと分かったときにそれが間違いだと理解した。
オメガのアレクシスには普通の男性としての機能は期待できなかったからだ。
筋骨隆々としたアレクシスがオメガだと判明したときに、周囲はとても信じられないという目でアレクシスを見てきた。影でこそこそと「あんなオメガいないだろう」とか、「あんなオメガを抱けるアルファはいないだろう」と陰口をたたく者もいたが、アレクシスは完全に無視していた。
目の前で言われたときには、腕力で叩き潰してきた。
オメガと分かってから学園の中でアレクシスは孤立し、縁談も無理だと諦めていた。
アレクシスをオメガとして求めるものはいない。成人男性の平均身長よりも頭一つ大きくて、体も筋骨隆々としていて、盛り上がった胸筋、割れた腹筋、筋肉の付いた丸い大殿筋、太い腕、太い太もも……全てが儚く可憐と言われるオメガらしくない姿だった。
だからこそ、母が亡くなり、父が出奔して、バルテル侯爵領の借金をアレクシスが背負うことになったときに、一番に考えたのは娼館への身売りだった。
借金を返せるようなよい縁談が舞い込むはずはなかったし、オメガとして求められることはないが、暴力を振るう相手として娼館で売れるようになって借金を返せればいい。そう思って後ろも拡張して万全の状態で娼館に身売りに行ったのに、アレクシスは娼館の店主から断られた。
抱き締めているひざ掛けからは、もう四つ葉のクローバーの刺繍の入ったハンカチからは消えてしまった爽やかで好ましい香りに似た香りがしている。
混乱しつつ、いつの間に自分がひざ掛けをベッドに引き入れてしまったのかとアレクシスはひざ掛けを畳んで着替えて朝の仕度をした。
バルテル侯爵家は父の代から資金難で人手が足りなかったのと、アレクシスが他人に触れられるのを好まないために、身支度は自分でできるようになっていた。ほとんどの貴族が学園に入学するときには、体育やダンスの授業で着替えをするために、自分で身支度ができるようになるのだが、アレクシスは五歳で乳母の手を離れてからほとんどのことは自分でしていた。
シャツを着てジャケットを羽織ると、ボタンを一つずつ留めていく。鏡に映る自分の首筋に光るエメラルドのチョーカーを見て、アレクシスは冷たいエメラルドの表面をそっと撫でる。
チョーカーの鍵はアレクシスが持っているので、伴侶であるヴォルフラムもこのチョーカーを無理やりに外すことはできない。
オメガにとってはうなじは急所でもあるので、普段から襟の詰まったシャツを着て守っていたが、ヴォルフラムのチョーカーがあるとそれだけで守られている気分になる。
アルファに守られて安心してしまうのは、オメガの本能として仕方がないことなのかもしれないが、ヴォルフラムの細やかな気遣いがあってこそ、アレクシスは安心できるのだと理解してきた。
ヴォルフラムはアレクシスと無理に距離を縮めてこようとしないし、アレクシスのことを気にかけてくれている。
政略結婚とはいえ、ヴォルフラムはアレクシスに誠実で優しくあろうとしているのは、理解できていた。
幼いころから理不尽な両親のもとに生まれて、腹の底を渦巻いている怒りが、ヴォルフラムの前では不思議と薄れるような気がして、アレクシスはチョーカーが見えないようにシャツの一番上のボタンまで留めてしまう。
心を許してしまうと、頑なに守っている怒りの炎で包まれた自分が壊れてしまいそうで怖かったのだ。
朝食はヴォルフラムと一緒だった。
ヴォルフラムはフォークとナイフの上げ下げから、パンのちぎり方まで優雅に見える。アレクシスも貴族としてのマナーは当然習っていたのだが、美しい外見も相まってヴォルフラムはとても優雅に見えた。
「うちの両親からお茶会の招待状が届いています。アレクシスが行きたくないのならば断わりますが、どうしますか?」
屋敷のことも取り仕切ってくれているヴォルフラムは、執事長よりもこの屋敷に詳しくなっていた。
ハインケス子爵も結婚から三か月以上経っているし、息子の結婚生活がどうなっているか心配なのだろう。借金を肩代わりしてもらっている恩もあるし、ヴォルフラムの実家でもあるので断るという選択肢はなかった。
「出席します」
「それなら、お揃いのフロックコートを仕立てませんか?」
「お揃いのフロックコートですか?」
「借金返済のめどがついたことですし、バルテル侯爵家も少し余裕が出てきています。格好いいアレクシスをみんなに見てもらいたいので」
遠回しに、これまで持っているアレクシスの衣装が流行遅れで子爵家とはいえ勢いのあるハインケス子爵のお茶会に相応しくないと言われていることにアレクシスは気付いていた。バルテル家の経済状態は確かに立て直ってきているし、結婚したのだからヴォルフラムとお揃いの衣装くらい着て周囲にアピールすることも必要だろう。
「衣装は仕立てて構わないのだが……」
「何か問題でも?」
「その……あなたが着るのに相応しい仕立て職人を紹介してくれないだろうか」
これまでアレクシスの衣装は値段を重視して一番安い仕立て職人にしか頼んだことはなかった。本当は古着でもよかったのだが、アレクシスの体格が規格外なのでサイズがなかったのだ。そのせいでアレクシスの持っている衣装はどれも安っぽく、流行遅れになっていた。
「もちろん、おれが仕立て職人を手配するよ。アレクシスに頼ってもらえて嬉しい」
余程嬉しかったのか敬語が消えて、笑顔になっているヴォルフラムに、アレクシスは眩しさを感じてしまう。ただでさえ美しい顔立ちなのに、微笑むと人間味が溢れて更に美しく見える。
「よろしくお願いします」
「アレクシスのためならば喜んで」
朝食を終えるとアレクシスは執務室にこもって仕事を始めた。
執務室の暖炉には火が点っていて、アレクシスが座るときには部屋は心地よい温度になっていた。これもヴォルフラムが手配してくれたのだろう。
ヴォルフラムからかけてもらったひざ掛けをかけると冷える足元も温かくなる。
「ヴォルフラム……」
まだ本人の前では呼んだことのない敬称なしの名前を小さく呟いて、アレクシスは自然とひざ掛けを手に持って嗅いでいた。初恋の少女とよく似た爽やかで好ましい香りが、昨日よりも薄れているようでなんとなく胸がすかすかとする。
その感情がなんなのか、アレクシスにはまだよく分からなかった。
眠っている間にアレクシスは初恋の少女の夢を見ていた。
きらきらと輝く真っすぐな金髪を長く伸ばした少女が、白い頬を薔薇色に染めてアレクシスに向かって微笑みかける。少女はオメガなのか、アレクシスにとって好ましい爽やかな香りを放っていた。
「ヴィー、また来年もここに来る?」
「それは分からない。来年のお父様の休暇はどこで過ごすか分からないの」
「そうか……。わたしも来年は学園に入学するからここに来られるか分からないな」
もう二度と会うことはできないかもしれない。
そう考えるだけでアレクシスは少女と離れがたく感じてしまう。
「わたしたち、運命なんじゃないかな?」
「運命?」
「アレクシス様とわたしは、運命の番なの。アレクシス様からはいい香りがしてくるし、わたし、アレクシス様と一緒にいると幸せな気分になる」
運命の番ならば、アレクシスが少女の香りを好ましく思うのも納得ができる。
体の大きなアレクシスはアルファではないかと周囲から言われていた。オメガほど強いものではないがアルファからもフェロモンが出ていて、お互いのフェロモンを心地よく感じるのならば、運命の番というのも間違いではないだろう。
「運命の番でも、わたしはヴィーと結婚することはできない」
「そんなことない! わたし、アレクシス様を探す! アレクシス様に結婚してもらえるように頑張る!」
健気な少女に自分も同じ気持ちだと伝えたくても、アレクシスの胸には両親のことが重く圧し掛かる。家のため、領地のために政略結婚をした両親。愛などなくて義務として子作りをして、後は別々に暮らしている。
アレクシスはバルテル侯爵家のたった一人の後継者だから、政略結婚から逃げることができない。
少女と共に駆け落ちを考えるには十一歳のアレクシスはあまりにも幼すぎた。
「ヴィー、わたしのことは忘れて」
「忘れない。アレクシス様もわたしを覚えていて」
最後に渡された四つ葉のクローバーの刺繍の入ったハンカチからは、少女の爽やかな好ましい香りがしていた。
目を覚ますと、アレクシスはヴォルフラムにかけてもらったひざ掛けを抱き締めていた。ひざ掛けからはあの日少女から感じたような爽やかで好ましい香りがしている。
少女のことは運命の番だと思い込んでいたが、初めてのヒートが起きて、自分がオメガだと分かったときにそれが間違いだと理解した。
オメガのアレクシスには普通の男性としての機能は期待できなかったからだ。
筋骨隆々としたアレクシスがオメガだと判明したときに、周囲はとても信じられないという目でアレクシスを見てきた。影でこそこそと「あんなオメガいないだろう」とか、「あんなオメガを抱けるアルファはいないだろう」と陰口をたたく者もいたが、アレクシスは完全に無視していた。
目の前で言われたときには、腕力で叩き潰してきた。
オメガと分かってから学園の中でアレクシスは孤立し、縁談も無理だと諦めていた。
アレクシスをオメガとして求めるものはいない。成人男性の平均身長よりも頭一つ大きくて、体も筋骨隆々としていて、盛り上がった胸筋、割れた腹筋、筋肉の付いた丸い大殿筋、太い腕、太い太もも……全てが儚く可憐と言われるオメガらしくない姿だった。
だからこそ、母が亡くなり、父が出奔して、バルテル侯爵領の借金をアレクシスが背負うことになったときに、一番に考えたのは娼館への身売りだった。
借金を返せるようなよい縁談が舞い込むはずはなかったし、オメガとして求められることはないが、暴力を振るう相手として娼館で売れるようになって借金を返せればいい。そう思って後ろも拡張して万全の状態で娼館に身売りに行ったのに、アレクシスは娼館の店主から断られた。
抱き締めているひざ掛けからは、もう四つ葉のクローバーの刺繍の入ったハンカチからは消えてしまった爽やかで好ましい香りに似た香りがしている。
混乱しつつ、いつの間に自分がひざ掛けをベッドに引き入れてしまったのかとアレクシスはひざ掛けを畳んで着替えて朝の仕度をした。
バルテル侯爵家は父の代から資金難で人手が足りなかったのと、アレクシスが他人に触れられるのを好まないために、身支度は自分でできるようになっていた。ほとんどの貴族が学園に入学するときには、体育やダンスの授業で着替えをするために、自分で身支度ができるようになるのだが、アレクシスは五歳で乳母の手を離れてからほとんどのことは自分でしていた。
シャツを着てジャケットを羽織ると、ボタンを一つずつ留めていく。鏡に映る自分の首筋に光るエメラルドのチョーカーを見て、アレクシスは冷たいエメラルドの表面をそっと撫でる。
チョーカーの鍵はアレクシスが持っているので、伴侶であるヴォルフラムもこのチョーカーを無理やりに外すことはできない。
オメガにとってはうなじは急所でもあるので、普段から襟の詰まったシャツを着て守っていたが、ヴォルフラムのチョーカーがあるとそれだけで守られている気分になる。
アルファに守られて安心してしまうのは、オメガの本能として仕方がないことなのかもしれないが、ヴォルフラムの細やかな気遣いがあってこそ、アレクシスは安心できるのだと理解してきた。
ヴォルフラムはアレクシスと無理に距離を縮めてこようとしないし、アレクシスのことを気にかけてくれている。
政略結婚とはいえ、ヴォルフラムはアレクシスに誠実で優しくあろうとしているのは、理解できていた。
幼いころから理不尽な両親のもとに生まれて、腹の底を渦巻いている怒りが、ヴォルフラムの前では不思議と薄れるような気がして、アレクシスはチョーカーが見えないようにシャツの一番上のボタンまで留めてしまう。
心を許してしまうと、頑なに守っている怒りの炎で包まれた自分が壊れてしまいそうで怖かったのだ。
朝食はヴォルフラムと一緒だった。
ヴォルフラムはフォークとナイフの上げ下げから、パンのちぎり方まで優雅に見える。アレクシスも貴族としてのマナーは当然習っていたのだが、美しい外見も相まってヴォルフラムはとても優雅に見えた。
「うちの両親からお茶会の招待状が届いています。アレクシスが行きたくないのならば断わりますが、どうしますか?」
屋敷のことも取り仕切ってくれているヴォルフラムは、執事長よりもこの屋敷に詳しくなっていた。
ハインケス子爵も結婚から三か月以上経っているし、息子の結婚生活がどうなっているか心配なのだろう。借金を肩代わりしてもらっている恩もあるし、ヴォルフラムの実家でもあるので断るという選択肢はなかった。
「出席します」
「それなら、お揃いのフロックコートを仕立てませんか?」
「お揃いのフロックコートですか?」
「借金返済のめどがついたことですし、バルテル侯爵家も少し余裕が出てきています。格好いいアレクシスをみんなに見てもらいたいので」
遠回しに、これまで持っているアレクシスの衣装が流行遅れで子爵家とはいえ勢いのあるハインケス子爵のお茶会に相応しくないと言われていることにアレクシスは気付いていた。バルテル家の経済状態は確かに立て直ってきているし、結婚したのだからヴォルフラムとお揃いの衣装くらい着て周囲にアピールすることも必要だろう。
「衣装は仕立てて構わないのだが……」
「何か問題でも?」
「その……あなたが着るのに相応しい仕立て職人を紹介してくれないだろうか」
これまでアレクシスの衣装は値段を重視して一番安い仕立て職人にしか頼んだことはなかった。本当は古着でもよかったのだが、アレクシスの体格が規格外なのでサイズがなかったのだ。そのせいでアレクシスの持っている衣装はどれも安っぽく、流行遅れになっていた。
「もちろん、おれが仕立て職人を手配するよ。アレクシスに頼ってもらえて嬉しい」
余程嬉しかったのか敬語が消えて、笑顔になっているヴォルフラムに、アレクシスは眩しさを感じてしまう。ただでさえ美しい顔立ちなのに、微笑むと人間味が溢れて更に美しく見える。
「よろしくお願いします」
「アレクシスのためならば喜んで」
朝食を終えるとアレクシスは執務室にこもって仕事を始めた。
執務室の暖炉には火が点っていて、アレクシスが座るときには部屋は心地よい温度になっていた。これもヴォルフラムが手配してくれたのだろう。
ヴォルフラムからかけてもらったひざ掛けをかけると冷える足元も温かくなる。
「ヴォルフラム……」
まだ本人の前では呼んだことのない敬称なしの名前を小さく呟いて、アレクシスは自然とひざ掛けを手に持って嗅いでいた。初恋の少女とよく似た爽やかで好ましい香りが、昨日よりも薄れているようでなんとなく胸がすかすかとする。
その感情がなんなのか、アレクシスにはまだよく分からなかった。
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