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アレクシス(受け)視点
7.アレクシスの巣作り
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ヴォルフラムの手配でやってきた仕立て職人は、王都でも仕事をしているような有名な人物だった。屋敷の一室に通すと、アレクシスを下着姿にしてサイズを測っていく。
「ヴォルフラム様に呼んでいただき光栄です。ヴォルフラム様の大事な伴侶様の衣装を仕立てさせていただけるだなんて思いませんでした」
嬉しそうに言ってサイズを測った後は仕立て職人は布のサンプルを取り出して見せる。測っている間は場を外していたヴォルフラムだったが、布のサンプルが出て来ると戻ってきてアレクシスに合わせて選んでいた。
「アレクシスの褐色の肌には明るい色も似合うな。でも、おれもお揃いにするのだとすると、悩んでしまう」
「あなたのお好きな生地を選んでくださって構いませんよ」
「このグレイのストライプも上品に見えるし、青も悪くない。目の色に合わせて黒に近い濃い紫も似合うし、おれの目の色の緑を入れても悪くないな。アレクシスはいい男だから何でも似合ってしまって困る」
真剣に悩むヴォルフラムに仕立て職人が声をかける。
「これから夫夫で出かけることがあるでしょう。何着か作っておいてもよいのでは?」
「それもそうだな。グレイのストライプと、青と、黒に近い紫の三着にしようか」
「ヴォルフラム様はサイズは変わっていませんか? 測り直す必要はありますか?」
「おれも測ってもらおうかな。少し鍛えたので筋肉がついたかもしれない」
執務と屋敷の采配で忙しいはずなのに、ヴォルフラムは体を鍛えることまでしているという。余程時間の使い方が上手なのだろうと感心してしまうと共に、執務しかしていないのに全く筋肉の落ちる気配のない自分の体にアレクシスは疑問を抱く。アレクシスは筋肉がつきやすくて落ちにくい体質のようだ。
普通のオメガは逆で筋肉がつきにくく、落ちやすい体質のものが多いのだが、アレクシスはどうしても普通のオメガの枠に入りきれない。
「それでは、お茶会に間に合うようにお茶会で着るものは仕上げますので、どれを着るか教えていただけますか?」
仕立て職人に問われて、ヴォルフラムがアレクシスを見る。
「どれにしますか、アレクシス?」
「わたしはどれでも構いません」
「それなら、アレクシスの目の色に合わせた黒に近い濃い紫にしましょう」
アレクシスの目の色はアメジストに似た澄んだ紫色なのだが、それにちなんだ濃い紫の衣装が選ばれた。
チョーカーはヴォルフラムの目の色にそっくりのものを身に着けて、フロックコートはアレクシスの目の色にちなんだものを身に着けるというのは、夫夫としての二人を見せつけているようで恥ずかしくもなる。
まだ肉体的に結ばれていないし、白い結婚ではあったのだが、結婚してからアレクシスとヴォルフラムは初めて公の場に二人で出ることになる。ヴォルフラムの実家であるハインケス子爵家だからこそ、油断はできない。
まだ番になっていないことを悟られないようにしなければいけないし、ヒートのときに寝室を共にしなかったことも内緒にしておかなければいけない。
契約を破ったと分かれば借金を肩代わりしてもらっているのも反故にされるかもしれないし、ヴォルフラムと別れさせられるかもしれない。
オメガとしてとても魅力的だとはいえないアレクシスにとっては、ヴォルフラムとの結婚が最初で最後であろうし、ヴォルフラムと離婚したら本格的に身売りするしか方法はないような気がしている。
ヒートの期間中はアレクシスの食べられるものを考えてくれて、その後もひざ掛けをかけてくれたり、夜食を自分で作って届けてくれたり、アレクシスが執務室に入るときには部屋が温まっているように手配してくれたり、ヴォルフラムは細かな心遣いができる男性である。
こんな政略結婚で一緒になったオメガらしくないアレクシスにまで優しいし、アルファとしても優秀で、容姿は陶器で作られた人形かと思うくらい整っていて、身長も決して低い方ではないヴォルフラム。
引く手あまただったに違いないのに、どうしてアレクシスと結婚したのか。
侯爵位がそんなに魅力的だったのだろうか。
貴族として侯爵は、公爵に次ぐ地位を持っていて、領地も広いのだが、アレクシスの場合には父親の作った借金という大きな問題があったはずなのだ。それを補ってヴォルフラムはバルテル侯爵家に婿入りして来てくれた。
オメガらしくないアレクシスは自分が子どもを産むことを想像したこともない。
いつかはヴォルフラムとヒートのときに交わって子どもを望まなければいけないのだろうが、まだそれを考えられるだけの余裕はなかった。
頭の中に浮かぶのは十一年前に湖の畔の林で出会った少女。
彼女にアレクシスの心はまだ向いていた。
仕立て職人がいなくなった部屋にアレクシスは一人で残っていた。
ヴォルフラムは仕立て職人を見送りに行っている。
体のサイズを測るときにヴォルフラムが脱いだまま忘れているジャケットが椅子の背に無造作にかけられている。
無意識に手を伸ばし、アレクシスはそれを自分の部屋に持って帰っていた。
ジャケットからは、あの日少女からした爽やかな好ましい香りが漂っていた。
ジャケットを自分の部屋に持ち帰ってしまってから、アレクシスは自分が何をしているのか分からなくなることが時々起きるようになった。
洗濯物の集められる部屋から少女の香りを求めるようにヴォルフラムのシャツを抜き取ってきたり、ヴォルフラムの使っていたペンを無意識のうちに部屋に持ち帰っていたり、ヴォルフラムの飲んだ後のカップを部屋に持ち帰ったり、自分でもなぜこんなことをしてしまうのか分からない。
ヴォルフラムの匂いがついたものを集めてベッドの上に並べて包まれると、よく眠れるのだ。
ヴォルフラムは男性であのときの少女ではない。
だが、ヴォルフラムの匂いが少女の香りと似すぎていて、アレクシスはヴォルフラムのものを集めることをやめられない。
「おれのアスコットタイが見当たらないのですが、アレクシスのものの中に混じっていませんか?」
無意識に集めたヴォルフラムのものでアレクシスのベッドが埋まってきているときに、朝食時に問いかけられてアレクシスは慌ててしまった。
「確認してみます」
「ジャケットも、シャツも、最近見当たらないものが多くて。おれが屋敷を取り仕切っているのに、申し訳ない」
「あなたが謝ることではないと思います」
心底そう思いつつアレクシスは答える。
アレクシスが無意識に集めてしまっているのだから、ヴォルフラムに落ち度は全くなかった。ヴォルフラムは紳士なのでアレクシスの部屋に入るようなことはないし、侍女たちも秘密は守るので口を閉ざしている。
集めてしまったヴォルフラムのものを返さなくてはいけない。
シャツもジャケットもアスコットタイもペンもティーカップもハンカチも全て返してしまってから、何もなくなったベッドを見て、アレクシスは一つのことに気付いていた。
これは、まるでオメガの巣作りではないか。
オメガは番や思いびとのアルファの匂いがついたものを集めて巣作りをしてその巣で安らぐ。
ヴォルフラムのことを好きなわけではないのに、あの少女と匂いが同じなためにアレクシスはどうやら勘違いしているようだ。
どうしてあの少女とヴォルフラムの匂いが同じなのか、アレクシスにも分からない。アレクシスにとってはあの匂いは運命を感じさせる世界でたった一人だけの香りのはずなのに、ヴォルフラムと少女の香りが同じだなんて信じられない。
頭を抱えながら、二度とこんなことをしないようにアレクシスは自分を戒めるのだった。
「ヴォルフラム様に呼んでいただき光栄です。ヴォルフラム様の大事な伴侶様の衣装を仕立てさせていただけるだなんて思いませんでした」
嬉しそうに言ってサイズを測った後は仕立て職人は布のサンプルを取り出して見せる。測っている間は場を外していたヴォルフラムだったが、布のサンプルが出て来ると戻ってきてアレクシスに合わせて選んでいた。
「アレクシスの褐色の肌には明るい色も似合うな。でも、おれもお揃いにするのだとすると、悩んでしまう」
「あなたのお好きな生地を選んでくださって構いませんよ」
「このグレイのストライプも上品に見えるし、青も悪くない。目の色に合わせて黒に近い濃い紫も似合うし、おれの目の色の緑を入れても悪くないな。アレクシスはいい男だから何でも似合ってしまって困る」
真剣に悩むヴォルフラムに仕立て職人が声をかける。
「これから夫夫で出かけることがあるでしょう。何着か作っておいてもよいのでは?」
「それもそうだな。グレイのストライプと、青と、黒に近い紫の三着にしようか」
「ヴォルフラム様はサイズは変わっていませんか? 測り直す必要はありますか?」
「おれも測ってもらおうかな。少し鍛えたので筋肉がついたかもしれない」
執務と屋敷の采配で忙しいはずなのに、ヴォルフラムは体を鍛えることまでしているという。余程時間の使い方が上手なのだろうと感心してしまうと共に、執務しかしていないのに全く筋肉の落ちる気配のない自分の体にアレクシスは疑問を抱く。アレクシスは筋肉がつきやすくて落ちにくい体質のようだ。
普通のオメガは逆で筋肉がつきにくく、落ちやすい体質のものが多いのだが、アレクシスはどうしても普通のオメガの枠に入りきれない。
「それでは、お茶会に間に合うようにお茶会で着るものは仕上げますので、どれを着るか教えていただけますか?」
仕立て職人に問われて、ヴォルフラムがアレクシスを見る。
「どれにしますか、アレクシス?」
「わたしはどれでも構いません」
「それなら、アレクシスの目の色に合わせた黒に近い濃い紫にしましょう」
アレクシスの目の色はアメジストに似た澄んだ紫色なのだが、それにちなんだ濃い紫の衣装が選ばれた。
チョーカーはヴォルフラムの目の色にそっくりのものを身に着けて、フロックコートはアレクシスの目の色にちなんだものを身に着けるというのは、夫夫としての二人を見せつけているようで恥ずかしくもなる。
まだ肉体的に結ばれていないし、白い結婚ではあったのだが、結婚してからアレクシスとヴォルフラムは初めて公の場に二人で出ることになる。ヴォルフラムの実家であるハインケス子爵家だからこそ、油断はできない。
まだ番になっていないことを悟られないようにしなければいけないし、ヒートのときに寝室を共にしなかったことも内緒にしておかなければいけない。
契約を破ったと分かれば借金を肩代わりしてもらっているのも反故にされるかもしれないし、ヴォルフラムと別れさせられるかもしれない。
オメガとしてとても魅力的だとはいえないアレクシスにとっては、ヴォルフラムとの結婚が最初で最後であろうし、ヴォルフラムと離婚したら本格的に身売りするしか方法はないような気がしている。
ヒートの期間中はアレクシスの食べられるものを考えてくれて、その後もひざ掛けをかけてくれたり、夜食を自分で作って届けてくれたり、アレクシスが執務室に入るときには部屋が温まっているように手配してくれたり、ヴォルフラムは細かな心遣いができる男性である。
こんな政略結婚で一緒になったオメガらしくないアレクシスにまで優しいし、アルファとしても優秀で、容姿は陶器で作られた人形かと思うくらい整っていて、身長も決して低い方ではないヴォルフラム。
引く手あまただったに違いないのに、どうしてアレクシスと結婚したのか。
侯爵位がそんなに魅力的だったのだろうか。
貴族として侯爵は、公爵に次ぐ地位を持っていて、領地も広いのだが、アレクシスの場合には父親の作った借金という大きな問題があったはずなのだ。それを補ってヴォルフラムはバルテル侯爵家に婿入りして来てくれた。
オメガらしくないアレクシスは自分が子どもを産むことを想像したこともない。
いつかはヴォルフラムとヒートのときに交わって子どもを望まなければいけないのだろうが、まだそれを考えられるだけの余裕はなかった。
頭の中に浮かぶのは十一年前に湖の畔の林で出会った少女。
彼女にアレクシスの心はまだ向いていた。
仕立て職人がいなくなった部屋にアレクシスは一人で残っていた。
ヴォルフラムは仕立て職人を見送りに行っている。
体のサイズを測るときにヴォルフラムが脱いだまま忘れているジャケットが椅子の背に無造作にかけられている。
無意識に手を伸ばし、アレクシスはそれを自分の部屋に持って帰っていた。
ジャケットからは、あの日少女からした爽やかな好ましい香りが漂っていた。
ジャケットを自分の部屋に持ち帰ってしまってから、アレクシスは自分が何をしているのか分からなくなることが時々起きるようになった。
洗濯物の集められる部屋から少女の香りを求めるようにヴォルフラムのシャツを抜き取ってきたり、ヴォルフラムの使っていたペンを無意識のうちに部屋に持ち帰っていたり、ヴォルフラムの飲んだ後のカップを部屋に持ち帰ったり、自分でもなぜこんなことをしてしまうのか分からない。
ヴォルフラムの匂いがついたものを集めてベッドの上に並べて包まれると、よく眠れるのだ。
ヴォルフラムは男性であのときの少女ではない。
だが、ヴォルフラムの匂いが少女の香りと似すぎていて、アレクシスはヴォルフラムのものを集めることをやめられない。
「おれのアスコットタイが見当たらないのですが、アレクシスのものの中に混じっていませんか?」
無意識に集めたヴォルフラムのものでアレクシスのベッドが埋まってきているときに、朝食時に問いかけられてアレクシスは慌ててしまった。
「確認してみます」
「ジャケットも、シャツも、最近見当たらないものが多くて。おれが屋敷を取り仕切っているのに、申し訳ない」
「あなたが謝ることではないと思います」
心底そう思いつつアレクシスは答える。
アレクシスが無意識に集めてしまっているのだから、ヴォルフラムに落ち度は全くなかった。ヴォルフラムは紳士なのでアレクシスの部屋に入るようなことはないし、侍女たちも秘密は守るので口を閉ざしている。
集めてしまったヴォルフラムのものを返さなくてはいけない。
シャツもジャケットもアスコットタイもペンもティーカップもハンカチも全て返してしまってから、何もなくなったベッドを見て、アレクシスは一つのことに気付いていた。
これは、まるでオメガの巣作りではないか。
オメガは番や思いびとのアルファの匂いがついたものを集めて巣作りをしてその巣で安らぐ。
ヴォルフラムのことを好きなわけではないのに、あの少女と匂いが同じなためにアレクシスはどうやら勘違いしているようだ。
どうしてあの少女とヴォルフラムの匂いが同じなのか、アレクシスにも分からない。アレクシスにとってはあの匂いは運命を感じさせる世界でたった一人だけの香りのはずなのに、ヴォルフラムと少女の香りが同じだなんて信じられない。
頭を抱えながら、二度とこんなことをしないようにアレクシスは自分を戒めるのだった。
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