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ヴォルフラム(攻め)視点
7.乗馬の後
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春になってアレクシスは乗馬でピクニックに誘ってくれた。
狐狩りや兎狩りでない辺りがアレクシスらしい。
アレクシスは青毛の馬で、ヴォルフラムは葦毛の馬で並走すると、アレクシスがかなりの馬術を持っていることが分かる。大きな体で軽々と馬を操るアレクシスの姿に惚れ惚れする。
冬の間にヴォルフラムとアレクシスはやり直しの結婚式の衣装を誂えさせるために仕立て職人を呼んでいた。ヴォルフラムの贔屓の仕立て職人は結婚式をやり直すと聞いてやる気になってくれていた。
「若様が……いえ、もう旦那様とお呼びするべきですね、旦那様がわたしに結婚式の衣装を任せてくださるとは思いませんでした。心を込めてお作りします」
「最初の結婚式のときにはバルテル侯爵家で用意された衣装を着たんだ。それがあまり気に入っていなくて、今回はちゃんと気に入るものを頼みたい」
「もちろんでございます。生地のサンプルも何種類もお持ちしました」
最初の結婚式のときには伝統的な白い衣装だったのだが、それも古めかしく感じられてヴォルフラムは不満だった。もっとアレクシスを引き立てる衣装があるはずなのに、アレクシスは古めかしい衣装を着て表情も硬く、とても幸せな結婚をするオメガとは思えなかった。
今はアレクシスのヴォルフラムに向ける視線は柔らかなものになっている。
ヒートで体を交わしてから、ヒートでない日もアレクシスを誘えば、翌日が休みならば受け入れてくれるようになった。
閨の中で「愛してる」と繰り返し言えば、時々「わたしも」と返ってくるようになった。
甘い新婚生活を結婚から一年近く経ってやっとヴォルフラムは味わっていた。
町から離れた草原の丘の上の木に馬を繋ぎ、二人で降りてバルテル侯爵家から持ってきた昼食を食べる。敷物を敷いて並んで座ると、乗馬で少し汗ばんだアレクシスから瑞々しい桃の香りが強く漂ってくる。
誘われているような気持になるが、ここは外だと必死に我慢して、昼食を食べる。
フィリップに誘われて何度か狐狩りや兎狩りに出たことはあったが、あまり好きではなかった話をすれば、アレクシスも狐狩りや兎狩りは好きではないようだ。ただ馬を走らせて二人で食事をするだけでも十分楽しくて、ヴォルフラムは満たされていた。
帰りに町に寄ったときに、娼館の近くの道を通ってしまったことがヴォルフラムにとっては大きな問題をもたらした。
娼館の店主がアレクシスを見て、声をかけてきたのだ。
「あ! あのときのオメガの旦那じゃないですか! いいお相手が見つかったんですね!」
嫉妬で目の前が真っ白になるかと思った。
後ろの経験があると言っていたアレクシスは、ここで相手を探したのだろうか。
自分がどんな顔をしているか分からないが、店主が「ひっ!」と悲鳴を上げて店の中に逃げ込んだから、恐らくは酷い顔をしていたのだろう。
「アレクシス? ここに通っていたのか?」
「通ってはいません。一度来ただけです」
責めないように、威圧しないように、必死に声を抑えて問いかけたが、声が低くなってしまうのは仕方がない。アレクシスの答えに、一度だけかと安心する気持ちと、一度だけでもアレクシスは他の男に抱かれて痴態を見せたのかという嫉妬が入り混じる胸の中は穏やかではなかった。
「一度だけ……そうか」
優しい態度が摂れそうにないのでヴォルフラムはアレクシスから視線を背け、必死に荒れ狂う嫉妬の炎に耐えていた。
「あの……汚らわしいと思うかもしれませんが……」
「いや、分かっている。オメガのヒートは苦しいものだと。それをおれが助けられなかったのだから、アレクシスのせいじゃない」
アレクシスの方も気にしているのか、汚らわしいなどと言って来るが、他の男に抱かれたからといってアレクシスが汚れたなどと思うようなヴォルフラムではなかった。これからアレクシスを抱くのは自分以外いない。番になったのでアレクシスは他の男に抱かれると拒否反応を起こすのを知っている。
何よりヴォルフラムがそばにいられない時期で、ヒートに苦しむアレクシスが体を慰めるために一夜の相手を求めたとしても仕方がないことだった。
「それ以上何も言わないでくれ。嫉妬でおかしくなりそうだ」
言い訳をされればされるほど嫉妬に狂ってしまうし、相手のことなど知ったらどんな手を使ってもアレクシスから遠ざけようとしてしまいそうな気がして、ヴォルフラムはアレクシスに黙ってもらった。
用事を済ませて屋敷に戻ると、ヴォルフラムはアレクシスを強引に夫夫の寝室に連れて行った。
ジャケットのボタンを外し、ゆっくりと胸の厚みを確かめるようにしながら撫でて肩まで手を入れてジャケットを落とし、シャツのボタンを外していくヴォルフラムにアレクシスが身をよじって抵抗する。
「今から、ですか?」
「今、あなたを抱きたい」
「帰ったばかりです。せめてシャワーを浴びてから……」
「そのままでいい。アレクシスのフェロモンが濃くなっていていい香りだ」
拒まれたくない。
アレクシスが自分のものだと確かめたい。
ヴォルフラムの稚気にアレクシスは戸惑っているようだ。
何度も口付けてシャツのボタンを全開にして首筋に唇を落とすと、ヴォルフラムに抱かれ慣れたアレクシスの体は反応して、アメジストのような紫色の目がとろんと蕩けてくる。
ベッドサイドのテーブルの引き出しからチョーカーの鍵を出して、ヴォルフラムはアレクシスの首からチョーカーを外してしまった。
露わになるうなじには、消えない噛み跡がある。
ヴォルフラムの所有の証を舌で舐めると、アレクシスが甘い声を上げる。
「ふっ……あぁっ!」
「アレクシス……おれのものだ。誰にも渡さない」
うなじに歯を立てると、アレクシスの体から力が抜けていくのをいいことに、ヴォルフラムはアレクシスの服を全部脱がせてベッドに横たえた。
身長差はあるが、ベッドで横になるとさほど気にならなくなる。
豊かな胸を揉み、乳首を舐めて舌で押し潰し、手でこねるとアレクシスがびくびくとシーツの上で体を跳ねさせる。
ベッドの上にはヴォルフラムが協力して渡しているヴォルフラムの服が配置してあって、ベッドは完全にアレクシスのオメガの巣になっていた。
ヴォルフラムのシャツの上に倒れ込むアレクシスの体が艶めかしくてヴォルフラムはめまいがする。この体を自分以外が知っているだなんて許せない気がするのだが、一度だけだと言っていたし、行為のたびに「ここは触れられたことがあるのか?」と聞いた場所全てがアレクシスはヴォルフラムだけだと答える。
胸に触れたのもヴォルフラムだけのようだ。
執拗に胸をいじっていると、アレクシスが太ももを自分で持って後孔を晒してくる。
「ヴォルフラム、こっちにさわって……」
「ここかな?」
「うぁっ!? ちが、うぅ!」
兆している中心に手を添えて扱き上げると、先端から透明な液体が滲んでくる。オメガとはいえアレクシスは男性なので、そちらで感じることもできる。異性やオメガを妊娠させる器官としては役に立たないが、男性オメガはそちらでも達せることをヴォルフラムは知っていた。
根元を扱き上げながら先端に舌を這わせると、アレクシスが腰を揺らして嫌がる。
「そこじゃないぃっ! ヴォルフラム、だめぇっ!」
「気持ちよくない?」
「いいっ! いいけどぉ!」
あくまでも触れてほしいのは愛液で濡れ始めている後孔だと主張するアレクシスにヴォルフラムは後孔に指を差し入れながら、アレクシスのオメガのものとは思えない太く立派な中心を口に含んだ。
舐めながら喉の奥まで受け入れても、根元までは飲み込むことができない。番のオメガの体液はフェロモンを含んでいるので、先走りの独特な味もヴォルフラムには甘美に感じられる。
喉奥で絞めながらアレクシスの中心を追い上げ、同時に後孔に差し込んだ指も中を擦り上げると、アレクシスが悲鳴を上げる。
「どうじ、だめぇ! でちゃう! ヴォルフラム、くち、はずして! でるっ!」
質量を増す中心を口から放すことなく喉奥で刺激し、指は後孔の中を探っていると、アレクシスの中心がヴォルフラムの口の中で弾けた。喉奥に遠慮なく吐き出される熱いしぶきは、アレクシスのフェロモンを含んでいるので甘く感じられる。
尿道に残るものまで吸い上げて口を解放すると、アレクシスが唖然とした表情になっていた。
「の、飲んだんですか!?」
「あぁ、美味しかった」
「美味しいわけないじゃないですか! 吐き出してください!」
「アレクシスのフェロモンの香りがして、おれには美味しかったんだ。こういうことを誰かにされたことは?」
「あるわけないじゃないですか!」
慌てて言うアレクシスは肌の色が濃いので目立たないが、恐らくは赤面しているのだろう。
後孔から引き抜いた指のぬめりも舐めようとすると、アレクシスがごくりと喉を鳴らして、ヴォルフラムの股座に顔を寄せてきた。
「アレクシス?」
「あ、あなたがしたんだから、わたしもします」
まだジャケットも脱いでいないヴォルフラムのスラックスの前を寛げて、アレクシスが兆しているヴォルフラムの中心を取り出す。舌を這わされて、ヴォルフラムはぞくぞくと興奮が高まるのを感じた。
「嫌じゃないか?」
「あなたもしたじゃないですか」
「無理にすることはない」
「ヴォルフラムのここ、フェロモンの匂いが強い」
うっとりとヴォルフラムの中心に頬ずりをして舌を這わすアレクシスは嫌がっている様子は全くない。アルファのものは長大だが、アレクシスは体格がいいので口も大きいようで先端は咥えてしまえる。
舌で刺激しながら先端を咥えて舐め続けるアレクシスに、このままアレクシスの口腔内を犯してしまいたい欲と、早くアレクシスの中に入りたい欲が拮抗して、ヴォルフラムは落ち着かなくなる。
「あぁっ……アレクシス、もうやめてくれ」
「気持ちよくなかったですか?」
「そうじゃない。気持ちよかったから、出すのは中で出したい」
自分の股座に蹲るアレクシスの体を倒して、ヴォルフラムは指で探って柔らかく解したアレクシスの後孔に中心の先端を宛がった。中に入ってくる衝撃に備えて、アレクシスが身を固くする。
「愛してる、アレクシス」
口付けながら性急に押し入ったアレクシスの中は柔らかくきつくヴォルフラムを受け入れて、口付けたアレクシスの唇はヴォルフラムの香りが強くしていた。
狐狩りや兎狩りでない辺りがアレクシスらしい。
アレクシスは青毛の馬で、ヴォルフラムは葦毛の馬で並走すると、アレクシスがかなりの馬術を持っていることが分かる。大きな体で軽々と馬を操るアレクシスの姿に惚れ惚れする。
冬の間にヴォルフラムとアレクシスはやり直しの結婚式の衣装を誂えさせるために仕立て職人を呼んでいた。ヴォルフラムの贔屓の仕立て職人は結婚式をやり直すと聞いてやる気になってくれていた。
「若様が……いえ、もう旦那様とお呼びするべきですね、旦那様がわたしに結婚式の衣装を任せてくださるとは思いませんでした。心を込めてお作りします」
「最初の結婚式のときにはバルテル侯爵家で用意された衣装を着たんだ。それがあまり気に入っていなくて、今回はちゃんと気に入るものを頼みたい」
「もちろんでございます。生地のサンプルも何種類もお持ちしました」
最初の結婚式のときには伝統的な白い衣装だったのだが、それも古めかしく感じられてヴォルフラムは不満だった。もっとアレクシスを引き立てる衣装があるはずなのに、アレクシスは古めかしい衣装を着て表情も硬く、とても幸せな結婚をするオメガとは思えなかった。
今はアレクシスのヴォルフラムに向ける視線は柔らかなものになっている。
ヒートで体を交わしてから、ヒートでない日もアレクシスを誘えば、翌日が休みならば受け入れてくれるようになった。
閨の中で「愛してる」と繰り返し言えば、時々「わたしも」と返ってくるようになった。
甘い新婚生活を結婚から一年近く経ってやっとヴォルフラムは味わっていた。
町から離れた草原の丘の上の木に馬を繋ぎ、二人で降りてバルテル侯爵家から持ってきた昼食を食べる。敷物を敷いて並んで座ると、乗馬で少し汗ばんだアレクシスから瑞々しい桃の香りが強く漂ってくる。
誘われているような気持になるが、ここは外だと必死に我慢して、昼食を食べる。
フィリップに誘われて何度か狐狩りや兎狩りに出たことはあったが、あまり好きではなかった話をすれば、アレクシスも狐狩りや兎狩りは好きではないようだ。ただ馬を走らせて二人で食事をするだけでも十分楽しくて、ヴォルフラムは満たされていた。
帰りに町に寄ったときに、娼館の近くの道を通ってしまったことがヴォルフラムにとっては大きな問題をもたらした。
娼館の店主がアレクシスを見て、声をかけてきたのだ。
「あ! あのときのオメガの旦那じゃないですか! いいお相手が見つかったんですね!」
嫉妬で目の前が真っ白になるかと思った。
後ろの経験があると言っていたアレクシスは、ここで相手を探したのだろうか。
自分がどんな顔をしているか分からないが、店主が「ひっ!」と悲鳴を上げて店の中に逃げ込んだから、恐らくは酷い顔をしていたのだろう。
「アレクシス? ここに通っていたのか?」
「通ってはいません。一度来ただけです」
責めないように、威圧しないように、必死に声を抑えて問いかけたが、声が低くなってしまうのは仕方がない。アレクシスの答えに、一度だけかと安心する気持ちと、一度だけでもアレクシスは他の男に抱かれて痴態を見せたのかという嫉妬が入り混じる胸の中は穏やかではなかった。
「一度だけ……そうか」
優しい態度が摂れそうにないのでヴォルフラムはアレクシスから視線を背け、必死に荒れ狂う嫉妬の炎に耐えていた。
「あの……汚らわしいと思うかもしれませんが……」
「いや、分かっている。オメガのヒートは苦しいものだと。それをおれが助けられなかったのだから、アレクシスのせいじゃない」
アレクシスの方も気にしているのか、汚らわしいなどと言って来るが、他の男に抱かれたからといってアレクシスが汚れたなどと思うようなヴォルフラムではなかった。これからアレクシスを抱くのは自分以外いない。番になったのでアレクシスは他の男に抱かれると拒否反応を起こすのを知っている。
何よりヴォルフラムがそばにいられない時期で、ヒートに苦しむアレクシスが体を慰めるために一夜の相手を求めたとしても仕方がないことだった。
「それ以上何も言わないでくれ。嫉妬でおかしくなりそうだ」
言い訳をされればされるほど嫉妬に狂ってしまうし、相手のことなど知ったらどんな手を使ってもアレクシスから遠ざけようとしてしまいそうな気がして、ヴォルフラムはアレクシスに黙ってもらった。
用事を済ませて屋敷に戻ると、ヴォルフラムはアレクシスを強引に夫夫の寝室に連れて行った。
ジャケットのボタンを外し、ゆっくりと胸の厚みを確かめるようにしながら撫でて肩まで手を入れてジャケットを落とし、シャツのボタンを外していくヴォルフラムにアレクシスが身をよじって抵抗する。
「今から、ですか?」
「今、あなたを抱きたい」
「帰ったばかりです。せめてシャワーを浴びてから……」
「そのままでいい。アレクシスのフェロモンが濃くなっていていい香りだ」
拒まれたくない。
アレクシスが自分のものだと確かめたい。
ヴォルフラムの稚気にアレクシスは戸惑っているようだ。
何度も口付けてシャツのボタンを全開にして首筋に唇を落とすと、ヴォルフラムに抱かれ慣れたアレクシスの体は反応して、アメジストのような紫色の目がとろんと蕩けてくる。
ベッドサイドのテーブルの引き出しからチョーカーの鍵を出して、ヴォルフラムはアレクシスの首からチョーカーを外してしまった。
露わになるうなじには、消えない噛み跡がある。
ヴォルフラムの所有の証を舌で舐めると、アレクシスが甘い声を上げる。
「ふっ……あぁっ!」
「アレクシス……おれのものだ。誰にも渡さない」
うなじに歯を立てると、アレクシスの体から力が抜けていくのをいいことに、ヴォルフラムはアレクシスの服を全部脱がせてベッドに横たえた。
身長差はあるが、ベッドで横になるとさほど気にならなくなる。
豊かな胸を揉み、乳首を舐めて舌で押し潰し、手でこねるとアレクシスがびくびくとシーツの上で体を跳ねさせる。
ベッドの上にはヴォルフラムが協力して渡しているヴォルフラムの服が配置してあって、ベッドは完全にアレクシスのオメガの巣になっていた。
ヴォルフラムのシャツの上に倒れ込むアレクシスの体が艶めかしくてヴォルフラムはめまいがする。この体を自分以外が知っているだなんて許せない気がするのだが、一度だけだと言っていたし、行為のたびに「ここは触れられたことがあるのか?」と聞いた場所全てがアレクシスはヴォルフラムだけだと答える。
胸に触れたのもヴォルフラムだけのようだ。
執拗に胸をいじっていると、アレクシスが太ももを自分で持って後孔を晒してくる。
「ヴォルフラム、こっちにさわって……」
「ここかな?」
「うぁっ!? ちが、うぅ!」
兆している中心に手を添えて扱き上げると、先端から透明な液体が滲んでくる。オメガとはいえアレクシスは男性なので、そちらで感じることもできる。異性やオメガを妊娠させる器官としては役に立たないが、男性オメガはそちらでも達せることをヴォルフラムは知っていた。
根元を扱き上げながら先端に舌を這わせると、アレクシスが腰を揺らして嫌がる。
「そこじゃないぃっ! ヴォルフラム、だめぇっ!」
「気持ちよくない?」
「いいっ! いいけどぉ!」
あくまでも触れてほしいのは愛液で濡れ始めている後孔だと主張するアレクシスにヴォルフラムは後孔に指を差し入れながら、アレクシスのオメガのものとは思えない太く立派な中心を口に含んだ。
舐めながら喉の奥まで受け入れても、根元までは飲み込むことができない。番のオメガの体液はフェロモンを含んでいるので、先走りの独特な味もヴォルフラムには甘美に感じられる。
喉奥で絞めながらアレクシスの中心を追い上げ、同時に後孔に差し込んだ指も中を擦り上げると、アレクシスが悲鳴を上げる。
「どうじ、だめぇ! でちゃう! ヴォルフラム、くち、はずして! でるっ!」
質量を増す中心を口から放すことなく喉奥で刺激し、指は後孔の中を探っていると、アレクシスの中心がヴォルフラムの口の中で弾けた。喉奥に遠慮なく吐き出される熱いしぶきは、アレクシスのフェロモンを含んでいるので甘く感じられる。
尿道に残るものまで吸い上げて口を解放すると、アレクシスが唖然とした表情になっていた。
「の、飲んだんですか!?」
「あぁ、美味しかった」
「美味しいわけないじゃないですか! 吐き出してください!」
「アレクシスのフェロモンの香りがして、おれには美味しかったんだ。こういうことを誰かにされたことは?」
「あるわけないじゃないですか!」
慌てて言うアレクシスは肌の色が濃いので目立たないが、恐らくは赤面しているのだろう。
後孔から引き抜いた指のぬめりも舐めようとすると、アレクシスがごくりと喉を鳴らして、ヴォルフラムの股座に顔を寄せてきた。
「アレクシス?」
「あ、あなたがしたんだから、わたしもします」
まだジャケットも脱いでいないヴォルフラムのスラックスの前を寛げて、アレクシスが兆しているヴォルフラムの中心を取り出す。舌を這わされて、ヴォルフラムはぞくぞくと興奮が高まるのを感じた。
「嫌じゃないか?」
「あなたもしたじゃないですか」
「無理にすることはない」
「ヴォルフラムのここ、フェロモンの匂いが強い」
うっとりとヴォルフラムの中心に頬ずりをして舌を這わすアレクシスは嫌がっている様子は全くない。アルファのものは長大だが、アレクシスは体格がいいので口も大きいようで先端は咥えてしまえる。
舌で刺激しながら先端を咥えて舐め続けるアレクシスに、このままアレクシスの口腔内を犯してしまいたい欲と、早くアレクシスの中に入りたい欲が拮抗して、ヴォルフラムは落ち着かなくなる。
「あぁっ……アレクシス、もうやめてくれ」
「気持ちよくなかったですか?」
「そうじゃない。気持ちよかったから、出すのは中で出したい」
自分の股座に蹲るアレクシスの体を倒して、ヴォルフラムは指で探って柔らかく解したアレクシスの後孔に中心の先端を宛がった。中に入ってくる衝撃に備えて、アレクシスが身を固くする。
「愛してる、アレクシス」
口付けながら性急に押し入ったアレクシスの中は柔らかくきつくヴォルフラムを受け入れて、口付けたアレクシスの唇はヴォルフラムの香りが強くしていた。
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