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五章 十六歳の性教育
6.ヘンリッキの十七歳のお誕生日
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ヘンリッキの十七歳のお誕生日。
僕はちょっとだけヘンリッキが羨ましかった。
ヘンリッキはアルマスとキスをしているし、早く十七歳になる。
僕は夏休みの終わりに十六歳になったばかりで、高等学校を卒業してもロヴィーサ嬢とすぐには結婚できず、お誕生日を待つことになる。
ヘンリッキはお誕生日が早いし、アルマスは僕とヘンリッキよりも一歳年上だ。アルマスとヘンリッキは高等学校を卒業したらすぐに結婚できるのが羨ましいのだ。
そんな気持ちでヘンリッキのお誕生日会に行くと、僕は素直に感情が顔に現れてしまうらしい。ヘンリッキに問いかけられてしまった。
「エドヴァルド殿下のお好きな腸詰にしていないソーセージはありますよ。何か足りませんでしたか?」
ここで食べ物が足りていないと思われてしまうのはちょっと不本意だったが、それでも僕はヘンリッキに言ってみた。
「ヘンリッキとアルマスは、高等学校を卒業したらすぐに結婚するんだろう。僕はお誕生日まで待たないといけない」
むくれる僕にヘンリッキが笑い出す。
「エドヴァルド殿下の臣籍降下は国でも大きな行事になります。私やアルマスがその前に結婚することはできません」
「そうなの?」
「身分の高いものの結婚を差し置いて結婚することはできないのですよ」
僕がミエト家に臣籍降下することは、この国にとって大きな行事になる。そのため公爵家の嫡男であろうともヘンリッキが僕より先に結婚することは許されない。
貴族社会ではそういう細かなこともきっちりと決まっているようなのだ。
「そうなんだ。羨ましがってごめんね、ヘンリッキ」
「気にしていません」
「十七歳のお誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
ヘンリッキから話を聞けば僕も心からヘンリッキをお祝いすることができるようになっていた。
隣りに立つロヴィーサ嬢もヘンリッキにお祝いを言っている。
「ヘンリッキ様の一年が素晴らしいものになりますように」
「ありがとうございます、ロヴィーサ様。エドヴァルド殿下はロヴィーサ様に夢中ですね」
「そんな、お恥ずかしい……」
結婚の件で拗ねていた僕を馬鹿にするのではなく、ロヴィーサ嬢に夢中すぎるからと言ってくれるヘンリッキ。話を聞いていたアルマスが苦笑している。
「俺も……じゃない、私も高等学校を卒業してすぐに結婚できないのは知りませんでした。貴族には序列があるのですね」
「ロヴィーサ様は公爵家の当主、エドヴァルド殿下は王家から臣籍降下する。私は公爵家の嫡男だし、アルマスは伯爵家の子息です。そうなると、どちらの結婚が優先されるか、分かるでしょう」
「エドヴァルド殿下とロヴィーサ様のお子は、王太子殿下になるかもしれないのですよね。それは結婚が私たちよりも重視されても仕方がない」
ヘンリッキの説明にアルマスも納得していた。
僕はロヴィーサ嬢との間に生まれた子どもが王太子になる可能性があることを改めて実感する。
「ロヴィーサ嬢、僕とロヴィーサ嬢の子どもは王太子になるかもしれないのですね」
「ミエト家は代々女性が継いでいます。女性が生まれなかった場合には、親戚から女性の子どもを養子にとって、男性の子どもと将来結婚させる約束で次期当主に据えます。わたくしの子どもが男の子だったら王太子殿下に、女の子だったらミエト家の次期当主になるのではないでしょうか」
そうだった。
ミエト家にも当主は女性だという因習があったのだ。
それを守り続けることがこの先正しいのかどうかは別として、ロヴィーサ嬢と僕との間の子どもが男の子だったらエリアス兄上とユリウス義兄上の養子になって、女の子だったらミエト家の次期当主となるのはロヴィーサ嬢の中では決定のようだった。
「エルランド兄上のお子が王太子になるかもしれません」
「それでも構わないと思いますよ。エルランド殿下のお子とわたくしとエドヴァルド殿下の子どもは、従兄弟同士になりますし」
僕が王家から外れて臣籍降下したとしても、エリアス兄上ともエルランド兄上ともヒルダ姉上とも血が繋がっている事実は消えない。王家のものとしては除籍されるが、公爵家の当主の配偶者として生きていけるのだから、エリアス兄上と父上には感謝しなければいけなかった。
ヘンリッキがロヴィーサ嬢の指輪を盗んだとき、エリアス兄上と父上はミエト家を公爵家にする算段を整えてくれた。
侯爵家だったミエト家は、ヘンリッキの兄のハンヌの反逆罪での修道院行きと引き換えに公爵家になった。
あれももう四年も前のことになるのかと考えると、僕も育ったものである。
十二歳で高等学校に行きたいとそれだけを願っていた幼かった僕が、もう十六歳になっている。
「それにしてもヘンリッキはいいなぁ。早く十七歳になれて」
「誰でもお誕生日が来ないと年は取らないのですよ」
「僕も早く十七歳になりたい! ロヴィーサ嬢と並んでも子どもだと思われない年になりたい」
拗ねたように言う僕に、ヘンリッキとアルマスが笑っている。
二人は僕を間に挟むようにして立った。
「気付いてますか、エドヴァルド殿下。エドヴァルド殿下は私たち三人の中で一番背が高いのですよ」
「十六歳と思えないくらい立派な大人の顔をしていますよ」
言われて見て比べると、確かに僕はヘンリッキよりもアルマスよりも背が高かった。魔族のダミアーン伯父上も背が高いし、母上も背が高かったという。ヒルダ姉上もエリアス兄上もエルランド兄上も背が高いし、魔族は背が高いものが多いので、僕は身体だけは大きく育っているようだ。
「まだダミアーン伯父上に届かないから、僕は大きくないのだと思っていた」
「エドヴァルド殿下は身長が伸びていますよ」
「きっとダミアーン王太子殿下くらいに大きくなりますよ」
僕は大きくなりたいのだが、そうなったらロヴィーサ嬢との身長の差が広がってしまう。
「ロヴィーサ嬢、大きい男は嫌いですか?」
「エドヴァルド殿下が好きです」
「僕が好き?」
「はい。大きくても小さくても、エドヴァルド殿下が好きです。わたくし、初めてエドヴァルド殿下に出会ったとき、なんて可愛らしい方だと思ったのですよ。それが立派に成長なさって、これから先も楽しみです」
僕が僕である限りロヴィーサ嬢は好きでいてくれる。
その言葉は心強いものだった。
安心して料理を取りに行った僕に、ロヴィーサ嬢もついて来てくれる。
僕は真っすぐに腸詰にしていないソーセージの置いてあるテーブルに行った。腸詰にしていないソーセージをパンに挟んでザワークラウトも挟んで、ケチャップと粒マスタードで味を調える。
一口齧ると、腸詰にしていないソーセージのスパイスの味と、肉の食感が口の中に広がる。
「ロヴィーサ嬢、美味しいですよ」
「エドヴァルド殿下はこのソーセージがお好きですね」
「ハーヤネン家のパーティーとなると、このソーセージのイメージがあります」
もぐもぐと食べる僕の隣りで、ロヴィーサ嬢も腸詰にしていないソーセージをパンに挟んでいる。
お上品に食べようとしても、パンに挟んでいるのでどうしてもかぶり付かなければいけない。僕は豪快にかぶり付いて口いっぱいに頬張っているが、ロヴィーサ嬢はちまちまと齧って食べている。
「美味しいですね。わたくしもミエト家で作りましょうか?」
「いいえ、これはハーヤネン家で食べる特別なものにしたいのです」
「ハーヤネン家でしか食べられないもの。それも素敵ですね」
腸詰にしていないソーセージを食べたいから、僕がずっとヘンリッキと友情を保つなんて言ったら、ヘンリッキに笑われそうだけれど、そう言いたいくらいに腸詰にしていないソーセージは美味しかった。
「来年はヘンリッキ様は十八歳ですね」
「特別な成人の年です」
「来年もヘンリッキ様をお祝いしましょうね」
「腸詰にしていないソーセージも食べに来ないと」
僕が言えばロヴィーサ嬢がころころと笑う。
「ソーセージが目当てではなくて、お祝いがメインでしょう?」
「そうだといいですね」
「もう、エドヴァルド殿下は」
笑うロヴィーサ嬢に僕は冗談めかして言ったのだった。
僕はちょっとだけヘンリッキが羨ましかった。
ヘンリッキはアルマスとキスをしているし、早く十七歳になる。
僕は夏休みの終わりに十六歳になったばかりで、高等学校を卒業してもロヴィーサ嬢とすぐには結婚できず、お誕生日を待つことになる。
ヘンリッキはお誕生日が早いし、アルマスは僕とヘンリッキよりも一歳年上だ。アルマスとヘンリッキは高等学校を卒業したらすぐに結婚できるのが羨ましいのだ。
そんな気持ちでヘンリッキのお誕生日会に行くと、僕は素直に感情が顔に現れてしまうらしい。ヘンリッキに問いかけられてしまった。
「エドヴァルド殿下のお好きな腸詰にしていないソーセージはありますよ。何か足りませんでしたか?」
ここで食べ物が足りていないと思われてしまうのはちょっと不本意だったが、それでも僕はヘンリッキに言ってみた。
「ヘンリッキとアルマスは、高等学校を卒業したらすぐに結婚するんだろう。僕はお誕生日まで待たないといけない」
むくれる僕にヘンリッキが笑い出す。
「エドヴァルド殿下の臣籍降下は国でも大きな行事になります。私やアルマスがその前に結婚することはできません」
「そうなの?」
「身分の高いものの結婚を差し置いて結婚することはできないのですよ」
僕がミエト家に臣籍降下することは、この国にとって大きな行事になる。そのため公爵家の嫡男であろうともヘンリッキが僕より先に結婚することは許されない。
貴族社会ではそういう細かなこともきっちりと決まっているようなのだ。
「そうなんだ。羨ましがってごめんね、ヘンリッキ」
「気にしていません」
「十七歳のお誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」
ヘンリッキから話を聞けば僕も心からヘンリッキをお祝いすることができるようになっていた。
隣りに立つロヴィーサ嬢もヘンリッキにお祝いを言っている。
「ヘンリッキ様の一年が素晴らしいものになりますように」
「ありがとうございます、ロヴィーサ様。エドヴァルド殿下はロヴィーサ様に夢中ですね」
「そんな、お恥ずかしい……」
結婚の件で拗ねていた僕を馬鹿にするのではなく、ロヴィーサ嬢に夢中すぎるからと言ってくれるヘンリッキ。話を聞いていたアルマスが苦笑している。
「俺も……じゃない、私も高等学校を卒業してすぐに結婚できないのは知りませんでした。貴族には序列があるのですね」
「ロヴィーサ様は公爵家の当主、エドヴァルド殿下は王家から臣籍降下する。私は公爵家の嫡男だし、アルマスは伯爵家の子息です。そうなると、どちらの結婚が優先されるか、分かるでしょう」
「エドヴァルド殿下とロヴィーサ様のお子は、王太子殿下になるかもしれないのですよね。それは結婚が私たちよりも重視されても仕方がない」
ヘンリッキの説明にアルマスも納得していた。
僕はロヴィーサ嬢との間に生まれた子どもが王太子になる可能性があることを改めて実感する。
「ロヴィーサ嬢、僕とロヴィーサ嬢の子どもは王太子になるかもしれないのですね」
「ミエト家は代々女性が継いでいます。女性が生まれなかった場合には、親戚から女性の子どもを養子にとって、男性の子どもと将来結婚させる約束で次期当主に据えます。わたくしの子どもが男の子だったら王太子殿下に、女の子だったらミエト家の次期当主になるのではないでしょうか」
そうだった。
ミエト家にも当主は女性だという因習があったのだ。
それを守り続けることがこの先正しいのかどうかは別として、ロヴィーサ嬢と僕との間の子どもが男の子だったらエリアス兄上とユリウス義兄上の養子になって、女の子だったらミエト家の次期当主となるのはロヴィーサ嬢の中では決定のようだった。
「エルランド兄上のお子が王太子になるかもしれません」
「それでも構わないと思いますよ。エルランド殿下のお子とわたくしとエドヴァルド殿下の子どもは、従兄弟同士になりますし」
僕が王家から外れて臣籍降下したとしても、エリアス兄上ともエルランド兄上ともヒルダ姉上とも血が繋がっている事実は消えない。王家のものとしては除籍されるが、公爵家の当主の配偶者として生きていけるのだから、エリアス兄上と父上には感謝しなければいけなかった。
ヘンリッキがロヴィーサ嬢の指輪を盗んだとき、エリアス兄上と父上はミエト家を公爵家にする算段を整えてくれた。
侯爵家だったミエト家は、ヘンリッキの兄のハンヌの反逆罪での修道院行きと引き換えに公爵家になった。
あれももう四年も前のことになるのかと考えると、僕も育ったものである。
十二歳で高等学校に行きたいとそれだけを願っていた幼かった僕が、もう十六歳になっている。
「それにしてもヘンリッキはいいなぁ。早く十七歳になれて」
「誰でもお誕生日が来ないと年は取らないのですよ」
「僕も早く十七歳になりたい! ロヴィーサ嬢と並んでも子どもだと思われない年になりたい」
拗ねたように言う僕に、ヘンリッキとアルマスが笑っている。
二人は僕を間に挟むようにして立った。
「気付いてますか、エドヴァルド殿下。エドヴァルド殿下は私たち三人の中で一番背が高いのですよ」
「十六歳と思えないくらい立派な大人の顔をしていますよ」
言われて見て比べると、確かに僕はヘンリッキよりもアルマスよりも背が高かった。魔族のダミアーン伯父上も背が高いし、母上も背が高かったという。ヒルダ姉上もエリアス兄上もエルランド兄上も背が高いし、魔族は背が高いものが多いので、僕は身体だけは大きく育っているようだ。
「まだダミアーン伯父上に届かないから、僕は大きくないのだと思っていた」
「エドヴァルド殿下は身長が伸びていますよ」
「きっとダミアーン王太子殿下くらいに大きくなりますよ」
僕は大きくなりたいのだが、そうなったらロヴィーサ嬢との身長の差が広がってしまう。
「ロヴィーサ嬢、大きい男は嫌いですか?」
「エドヴァルド殿下が好きです」
「僕が好き?」
「はい。大きくても小さくても、エドヴァルド殿下が好きです。わたくし、初めてエドヴァルド殿下に出会ったとき、なんて可愛らしい方だと思ったのですよ。それが立派に成長なさって、これから先も楽しみです」
僕が僕である限りロヴィーサ嬢は好きでいてくれる。
その言葉は心強いものだった。
安心して料理を取りに行った僕に、ロヴィーサ嬢もついて来てくれる。
僕は真っすぐに腸詰にしていないソーセージの置いてあるテーブルに行った。腸詰にしていないソーセージをパンに挟んでザワークラウトも挟んで、ケチャップと粒マスタードで味を調える。
一口齧ると、腸詰にしていないソーセージのスパイスの味と、肉の食感が口の中に広がる。
「ロヴィーサ嬢、美味しいですよ」
「エドヴァルド殿下はこのソーセージがお好きですね」
「ハーヤネン家のパーティーとなると、このソーセージのイメージがあります」
もぐもぐと食べる僕の隣りで、ロヴィーサ嬢も腸詰にしていないソーセージをパンに挟んでいる。
お上品に食べようとしても、パンに挟んでいるのでどうしてもかぶり付かなければいけない。僕は豪快にかぶり付いて口いっぱいに頬張っているが、ロヴィーサ嬢はちまちまと齧って食べている。
「美味しいですね。わたくしもミエト家で作りましょうか?」
「いいえ、これはハーヤネン家で食べる特別なものにしたいのです」
「ハーヤネン家でしか食べられないもの。それも素敵ですね」
腸詰にしていないソーセージを食べたいから、僕がずっとヘンリッキと友情を保つなんて言ったら、ヘンリッキに笑われそうだけれど、そう言いたいくらいに腸詰にしていないソーセージは美味しかった。
「来年はヘンリッキ様は十八歳ですね」
「特別な成人の年です」
「来年もヘンリッキ様をお祝いしましょうね」
「腸詰にしていないソーセージも食べに来ないと」
僕が言えばロヴィーサ嬢がころころと笑う。
「ソーセージが目当てではなくて、お祝いがメインでしょう?」
「そうだといいですね」
「もう、エドヴァルド殿下は」
笑うロヴィーサ嬢に僕は冗談めかして言ったのだった。
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