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最終章 王子と令嬢の結婚
6.アルマスの本気
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相談があるとアルマスから呼び出されたので、僕はヘンリッキとのことかと考えて、ロヴィーサ嬢も同席していいか聞いた。
「ぜひ、ロヴィーサ様も来てくれると助かる。本当にどうすればいいか相談したいんだ」
事態はかなり深刻なようだ。
僕はロヴィーサ嬢と一緒にバックリーン家に行った。
バックリーン家では居間のプランターからはみ出ながらリンクスのにゃんたが土に埋まっていて、メインクーンのねここがそれに寄り添っている。にゃんたの周りではマンドラゴラが円舞を踊っていた。
アルマスの相談とは何なのだろう。
これだけ仰々しく僕とロヴィーサ嬢を呼んだのだから、かなり深刻なものに違いない。もしかするとヘンリッキとの婚約を破棄するとか、そんな話だろうか。
先日のヘンリッキのお誕生日ではアルマスはヘンリッキととても仲睦まじかった。その様子を見ているだけに、アルマスがヘンリッキと婚約を破棄したいと言い出すとは思えない。
思えないのだが、アルマスの深刻そうな顔を見ていると心配になってくる。
「アルマス、何があったんだ?」
「聞いてくれるか、エドヴァルド殿下。俺はずっと考えていたんだ」
「何を考えていたんだ?」
僕の問いかけにアルマスがソファに座ったまま肘をついて手を組み、そこに顔を置く。顔が影になって表情が見えなくなる。
「人参マンドラゴラに、バレエを踊らせたいんだ」
「へ?」
あまりのことに、変な声が出てしまった。
まさかマンドラゴラのことで相談をされるとは思わなかった。
アクセリもアンニーナ嬢も出てきてアルマスの隣りに座る。
「エドヴァルド殿下、ロヴィーサ様、人参マンドラゴラに『白鳥の湖』を踊らせたいんです」
「白鳥と黒鳥を踊るのは人参二号に決まっているんですが、王子役がどうしても決まらないのです」
何を言っているのかちょっと分からない。
人参マンドラゴラに『白鳥の湖』を踊らせるために、配役をしようとしている。白鳥と黒鳥を踊るのは人参マンドラゴラの人参二号に決まっているが、王子役が決まらないとアクセリとアンニーナ嬢は言っている。
「大根一号じゃダメなの?」
「これは人参マンドラゴラのバレエなんだ。配役は人参マンドラゴラでないとダメだ!」
僕の提案はアルマスに力強く否定されてしまった。
「適当に選んだらダメなの?」
「これは真剣な話なんだ! 人参マンドラゴラの中で一番王子に相応しいものだけが、王子役を踊ることができるんだ」
「ちょっと、意味わかんないんだけどー!?」
人参マンドラゴラの中で一番王子に相応しいものって何なんだろう。
人参は人参ではないのか。
バレエの衣装を着た人参マンドラゴラの人参二号がアルマスの足元に躍り出る。つま先で踊る仕草はバレエダンサーそのものだった。
「エドヴァルド殿下、ロヴィーサ様、見てください。おいで、人参たち」
アルマスが手招きすると、にゃんたとねここの周囲で踊っていた人参マンドラゴラが一列に並ぶ。多少の大きさの差はあるが、どれも同じ人参にしか見えない。
「今から、人参オーディションを行う」
「えー!? 人参でオーデションなの!?」
「一人ずつ前に出てアピールするように」
「びゃい!」
アルマスの号令に人参マンドラゴラたちが一匹ずつ前に出て踊る。
高くジャンプをするものもいれば、優雅にお辞儀をするものもいる。ステップを踏むものもいれば、一回転するものもいる。
十数匹の人参マンドラゴラのアピールが終わって、アルマスが僕とロヴィーサ嬢に問いかけた。
「正直なところを聞かせてください。どれがいいと思いましたか?」
「正直、どれも同じにしか見えません」
「違いが分からないよ」
正直なロヴィーサ嬢と僕の答えに、アルマスがショックを受ける。
「一番右の人参は足の動きが素晴らしかった。二番目の人参は、葉っぱのアピールがすごかった。三番目の人参は、ブレのない回転だった。四番目の人参は、見事なジャンプだった。五番目の人参は……」
「ごめん、アルマス、僕には違いが分からない」
「申し訳ありません、アルマス様。アルマス様が選んだ人参が一番いいとわたくしは思うのです」
熱を込めて語るアルマスについて行けない。僕もロヴィーサ嬢も白旗を上げて降参していた。
どう見ても人参は人参で、違いが分からないのだ。
「私では決められないのです。どの人参も優劣つけがたく……」
苦悩するアルマスに、ロヴィーサ嬢が提案した。
「こういうものは相性が大事と言います。人参二号さんが踊って決めたらいいのではないですか?」
「人参二号に決めさせるのですね」
「きっと素晴らしい王子を選ぶと思います」
苦し紛れに言ったロヴィーサ嬢の意見が通った。
アルマスは人参マンドラゴラの人参二号の背中を押す。
「行っておいで、人参二号」
「びゃい!」
歩み出た人参二号は並ぶ人参マンドラゴラ一匹一匹と手を取って踊ってみる。人参二号をリフトするもの、人参二号と一緒に回転するもの、人参二号の前に跪くもの、様々な人参マンドラゴラがいた。
人参二号はその中から一匹を選んで、手を引いてアルマスのところに戻って来た。
「人参二号、その人参をパートナーに決めたのか?」
「びゃい!」
人参二号のパートナーの王子は無事に決まったようだった。
残りの人参たちは他の配役を当てられて、『白鳥の湖』を人参マンドラゴラ全体で作り上げるとアルマスは張り切っていた。
「ところで、次は蕪マンドラゴラなんだが」
「大根マンドラゴラは大根一号に、蕪マンドラゴラは蕪三号に選ばせたらいいと思うよ!」
「やっぱりそうか。ありがとうございました、エドヴァルド殿下、ロヴィーサ様」
先回りして僕が言うとアルマスは納得していた。
妙に疲れて僕とロヴィーサ嬢はソファに座り込んだ。
使用人さんが僕とロヴィーサ嬢に紅茶を淹れてくれる。菫の描かれたカップに紅茶を注いでもらって、僕とロヴィーサ嬢はゆっくりと紅茶を飲んだ。
「アルマスはどうして人参で『白鳥の湖』を急に踊らせたくなったんだい?」
「俺の誕生日にマンドラゴラを躍らせただろう? あれがかなり好評だったんだ。自分たちの家のパーティーでもマンドラゴラを踊らせたいという依頼がバックリーン家に来るようになったんだ」
春のアルマスのお誕生日では、アルマスはマンドラゴラの衣装の宣伝を兼ねて、マンドラゴラを踊らせた。それを見ていた貴族たちが、自分たちの家のパーティーでも出し物としてマンドラゴラを踊らせたいと依頼してきたのだ。
依頼に応えるべく、アルマスはマンドラゴラの選別を行い、練習を始めることにした。
「今後、バックリーン家はマンドラゴラを貸し出すってことになるのかな?」
「マンドラゴラ舞踏団を作って、依頼された家で踊らせるようにしようと思っている。俺はバックリーン家を離れるが、アクセリとアンニーナに残してやれたらと思ったんだ」
結婚してバックリーン家を離れることが決まっているアルマスは、弟妹のアクセリとアンニーナにマンドラゴラ舞踏団を残して行こうとしていた。それはマンドラゴラを売りにしているバックリーン家にとっては大きな財産になるのではないだろうか。
「アルマスはちゃんと考えているんだね」
「まだ先のことだけど、マンドラゴラにダンスを完璧に教えるには時間がかかるからな」
一年近く先のこともアルマスはきちんと考えていた。
ミエト家に帰ってから、僕はロヴィーサ嬢とお茶を飲んで、焼き菓子を摘まみながら、話していた。
「ロヴィーサ嬢、素晴らしいアイデアを出しましたが、人参マンドラゴラの違いについては分かっていましたか?」
「いいえ、わたくし、どの人参マンドラゴラも同じに見えていました」
「僕もそうなのです。アルマスはあんなに熱く語っていたけれど、違いが全然分からなくて」
「わたくしもです。でも、相談されているので、何とかお答えしたくて、人参二号さんに選んでもらうことを提案しました」
アルマスは以前からマンドラゴラのことになるとやたらと熱が入る性格だった。その性格のおかげでモンスターの肉や魔力の宿った食材から毒素を抜く研究や、逆に人間の食べ物を魔族が食べられるようにする研究が進んだのだから、僕は感謝するしかないのだが、それでもアルマスのマンドラゴラにかける熱量は尋常ではない。
「アルマス様はマンドラゴラに選ばれたお方なのかもしれませんね」
「マンドラゴラ勇者とか?」
「あり得ます」
真顔で答えるロヴィーサ嬢に、僕もそれはあり得ない話ではないと思い始めていた。
「ぜひ、ロヴィーサ様も来てくれると助かる。本当にどうすればいいか相談したいんだ」
事態はかなり深刻なようだ。
僕はロヴィーサ嬢と一緒にバックリーン家に行った。
バックリーン家では居間のプランターからはみ出ながらリンクスのにゃんたが土に埋まっていて、メインクーンのねここがそれに寄り添っている。にゃんたの周りではマンドラゴラが円舞を踊っていた。
アルマスの相談とは何なのだろう。
これだけ仰々しく僕とロヴィーサ嬢を呼んだのだから、かなり深刻なものに違いない。もしかするとヘンリッキとの婚約を破棄するとか、そんな話だろうか。
先日のヘンリッキのお誕生日ではアルマスはヘンリッキととても仲睦まじかった。その様子を見ているだけに、アルマスがヘンリッキと婚約を破棄したいと言い出すとは思えない。
思えないのだが、アルマスの深刻そうな顔を見ていると心配になってくる。
「アルマス、何があったんだ?」
「聞いてくれるか、エドヴァルド殿下。俺はずっと考えていたんだ」
「何を考えていたんだ?」
僕の問いかけにアルマスがソファに座ったまま肘をついて手を組み、そこに顔を置く。顔が影になって表情が見えなくなる。
「人参マンドラゴラに、バレエを踊らせたいんだ」
「へ?」
あまりのことに、変な声が出てしまった。
まさかマンドラゴラのことで相談をされるとは思わなかった。
アクセリもアンニーナ嬢も出てきてアルマスの隣りに座る。
「エドヴァルド殿下、ロヴィーサ様、人参マンドラゴラに『白鳥の湖』を踊らせたいんです」
「白鳥と黒鳥を踊るのは人参二号に決まっているんですが、王子役がどうしても決まらないのです」
何を言っているのかちょっと分からない。
人参マンドラゴラに『白鳥の湖』を踊らせるために、配役をしようとしている。白鳥と黒鳥を踊るのは人参マンドラゴラの人参二号に決まっているが、王子役が決まらないとアクセリとアンニーナ嬢は言っている。
「大根一号じゃダメなの?」
「これは人参マンドラゴラのバレエなんだ。配役は人参マンドラゴラでないとダメだ!」
僕の提案はアルマスに力強く否定されてしまった。
「適当に選んだらダメなの?」
「これは真剣な話なんだ! 人参マンドラゴラの中で一番王子に相応しいものだけが、王子役を踊ることができるんだ」
「ちょっと、意味わかんないんだけどー!?」
人参マンドラゴラの中で一番王子に相応しいものって何なんだろう。
人参は人参ではないのか。
バレエの衣装を着た人参マンドラゴラの人参二号がアルマスの足元に躍り出る。つま先で踊る仕草はバレエダンサーそのものだった。
「エドヴァルド殿下、ロヴィーサ様、見てください。おいで、人参たち」
アルマスが手招きすると、にゃんたとねここの周囲で踊っていた人参マンドラゴラが一列に並ぶ。多少の大きさの差はあるが、どれも同じ人参にしか見えない。
「今から、人参オーディションを行う」
「えー!? 人参でオーデションなの!?」
「一人ずつ前に出てアピールするように」
「びゃい!」
アルマスの号令に人参マンドラゴラたちが一匹ずつ前に出て踊る。
高くジャンプをするものもいれば、優雅にお辞儀をするものもいる。ステップを踏むものもいれば、一回転するものもいる。
十数匹の人参マンドラゴラのアピールが終わって、アルマスが僕とロヴィーサ嬢に問いかけた。
「正直なところを聞かせてください。どれがいいと思いましたか?」
「正直、どれも同じにしか見えません」
「違いが分からないよ」
正直なロヴィーサ嬢と僕の答えに、アルマスがショックを受ける。
「一番右の人参は足の動きが素晴らしかった。二番目の人参は、葉っぱのアピールがすごかった。三番目の人参は、ブレのない回転だった。四番目の人参は、見事なジャンプだった。五番目の人参は……」
「ごめん、アルマス、僕には違いが分からない」
「申し訳ありません、アルマス様。アルマス様が選んだ人参が一番いいとわたくしは思うのです」
熱を込めて語るアルマスについて行けない。僕もロヴィーサ嬢も白旗を上げて降参していた。
どう見ても人参は人参で、違いが分からないのだ。
「私では決められないのです。どの人参も優劣つけがたく……」
苦悩するアルマスに、ロヴィーサ嬢が提案した。
「こういうものは相性が大事と言います。人参二号さんが踊って決めたらいいのではないですか?」
「人参二号に決めさせるのですね」
「きっと素晴らしい王子を選ぶと思います」
苦し紛れに言ったロヴィーサ嬢の意見が通った。
アルマスは人参マンドラゴラの人参二号の背中を押す。
「行っておいで、人参二号」
「びゃい!」
歩み出た人参二号は並ぶ人参マンドラゴラ一匹一匹と手を取って踊ってみる。人参二号をリフトするもの、人参二号と一緒に回転するもの、人参二号の前に跪くもの、様々な人参マンドラゴラがいた。
人参二号はその中から一匹を選んで、手を引いてアルマスのところに戻って来た。
「人参二号、その人参をパートナーに決めたのか?」
「びゃい!」
人参二号のパートナーの王子は無事に決まったようだった。
残りの人参たちは他の配役を当てられて、『白鳥の湖』を人参マンドラゴラ全体で作り上げるとアルマスは張り切っていた。
「ところで、次は蕪マンドラゴラなんだが」
「大根マンドラゴラは大根一号に、蕪マンドラゴラは蕪三号に選ばせたらいいと思うよ!」
「やっぱりそうか。ありがとうございました、エドヴァルド殿下、ロヴィーサ様」
先回りして僕が言うとアルマスは納得していた。
妙に疲れて僕とロヴィーサ嬢はソファに座り込んだ。
使用人さんが僕とロヴィーサ嬢に紅茶を淹れてくれる。菫の描かれたカップに紅茶を注いでもらって、僕とロヴィーサ嬢はゆっくりと紅茶を飲んだ。
「アルマスはどうして人参で『白鳥の湖』を急に踊らせたくなったんだい?」
「俺の誕生日にマンドラゴラを躍らせただろう? あれがかなり好評だったんだ。自分たちの家のパーティーでもマンドラゴラを踊らせたいという依頼がバックリーン家に来るようになったんだ」
春のアルマスのお誕生日では、アルマスはマンドラゴラの衣装の宣伝を兼ねて、マンドラゴラを踊らせた。それを見ていた貴族たちが、自分たちの家のパーティーでも出し物としてマンドラゴラを踊らせたいと依頼してきたのだ。
依頼に応えるべく、アルマスはマンドラゴラの選別を行い、練習を始めることにした。
「今後、バックリーン家はマンドラゴラを貸し出すってことになるのかな?」
「マンドラゴラ舞踏団を作って、依頼された家で踊らせるようにしようと思っている。俺はバックリーン家を離れるが、アクセリとアンニーナに残してやれたらと思ったんだ」
結婚してバックリーン家を離れることが決まっているアルマスは、弟妹のアクセリとアンニーナにマンドラゴラ舞踏団を残して行こうとしていた。それはマンドラゴラを売りにしているバックリーン家にとっては大きな財産になるのではないだろうか。
「アルマスはちゃんと考えているんだね」
「まだ先のことだけど、マンドラゴラにダンスを完璧に教えるには時間がかかるからな」
一年近く先のこともアルマスはきちんと考えていた。
ミエト家に帰ってから、僕はロヴィーサ嬢とお茶を飲んで、焼き菓子を摘まみながら、話していた。
「ロヴィーサ嬢、素晴らしいアイデアを出しましたが、人参マンドラゴラの違いについては分かっていましたか?」
「いいえ、わたくし、どの人参マンドラゴラも同じに見えていました」
「僕もそうなのです。アルマスはあんなに熱く語っていたけれど、違いが全然分からなくて」
「わたくしもです。でも、相談されているので、何とかお答えしたくて、人参二号さんに選んでもらうことを提案しました」
アルマスは以前からマンドラゴラのことになるとやたらと熱が入る性格だった。その性格のおかげでモンスターの肉や魔力の宿った食材から毒素を抜く研究や、逆に人間の食べ物を魔族が食べられるようにする研究が進んだのだから、僕は感謝するしかないのだが、それでもアルマスのマンドラゴラにかける熱量は尋常ではない。
「アルマス様はマンドラゴラに選ばれたお方なのかもしれませんね」
「マンドラゴラ勇者とか?」
「あり得ます」
真顔で答えるロヴィーサ嬢に、僕もそれはあり得ない話ではないと思い始めていた。
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