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22.アルバイト体験
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編集の鈴木さんとの打ち合わせで、僕は寛のお店に行っていた。
ネットでの打ち合わせだけでも構わなかったのだが、僕は出来るだけ寛のお店にお金を落としたいし、鈴木さんもこちらに来ることがあればできるだけ僕に会っておきたいという要望があった。
出張で九州の方に来ていた鈴木さんと時間を合わせて寛のお店で会う。
鈴木さんはしばらく来ていない間に増えたメニューに興味津々だった。
「鯛ラーメンですって。美味しそう。握りもあるのね。太巻きも、カリフォルニアロールも、アナゴの押し寿司も。全部美味しそうだわ」
「鈴木さん、炭水化物ばかりですよ」
「そうなんですよー! 私、炭水化物の虜なんです」
コース料理は頼まずに自由に注文していくと、鈴木さんはご飯が少なめの握り寿司を食べ、アナゴの押し寿司とカリフォルニアロールを僕とシェアし、締めに鯛ラーメンを食べていた。
「焼きおにぎりのお茶漬けも気になったんですけどね、流石に入らない」
「よく食べましたね」
「美味しいものはたっぷり食べておかないと、後悔しますからね。今日は飲まないって決めてたから、その分食べたんです」
よくもその細い小柄な体に入ったものだと驚きつつ、食後のお茶を飲み始めたところで、鈴木さんは打ち合わせに入った。
二人だけの座敷席で、鈴木さんが話す。
「最近は料理物が流行ってるじゃないですか。メープル先生も流行に乗って、料理物書いてみませんか?」
「料理物ですか?」
「異世界で料理屋を開くのでもいいし、妖の集う料理屋でもいいし、普通の料理屋でも。メープル先生なら甘く切ないロマンスが書けそうです」
僕に求められているのはロマンスなのだ。
その点に関しては安心する。
これがホラーを書いてくれとか、ミステリを書いてくれとか言われたら困ってしまう。
甘く切ない恋。
男女のこともあるし、同性同士のこともある。
どちらも僕が書きたいものはそれだけで、舞台が異世界であろうと、SFであろうと、現代ファンタジーであろうと、現代ものであろうと、ひとを書くのは同じなので変わらないと考えていた。
「小料理屋の板前さんと、アルバイトの恋とかどうですかね?」
「今回のレーベルは男女の恋愛なので、男女でお願いできますか?」
「それなら、板前さんが男性で、アルバイトの子が女性ですね」
「現代ものですね。いいと思います」
話はとんとん拍子に進んでいった。
鈴木さんをタクシーに乗せて送り出してから、僕は寛に正直に相談していた。
「次の仕事の話なんだけど、小料理屋の板前さんとアルバイトの女の子のロマンスを書くんだ。僕、バイトの経験もないし、料理屋って何をするのか分からないんだけど……」
僕が言えば寛は「ちょっと待ってろ」と言って奥に入って行った。
少しして女将さんと一緒に出て来る。
「一日、アルバイト体験をしてみる? 料理は家で寛くんに習えばいいでしょう?」
「いいんですか?」
「体験してみるのが一番早いからね」
僕は女将さんと寛の好意でこの料理屋でアルバイト体験をさせてもらえることになった。
料理は家で習えばいいと言われたが、それは後回しにして、一日アルバイトの準備を始めた。
料理屋で働くには検便が必要である。
「法的に決められてるわけじゃないんだけど、保健所の要請があったら必ずしなければいけないんだよな。そうじゃなくても、食中毒が出たら店のイメージダウンだから、一応、店で働いてくれるひとには受けてもらっている」
そういうことを寛は定期的にやっていたのか。
こんなことも僕は全然知らなかった。
検便の結果が出るまで一週間は、僕はプロットを練ったり、キャラクターを作ったりして過ごしていた。
結果が出てようやくアルバイト体験に入ることができる。
人間でないお客さんは怖いので、念のため、対処の仕方を猫又に聞いてみることにした。
タロットクロスを広げてタロットカードを混ぜると、ペンタクルのナイトの正位置が出る。
意味は、現実性。
絶対に裏切らない相手という意味もあった。
『不動明王様は絶対にあなたを裏切らないわ。不動明王様が目を配っている限り、あの店で暴れることはできないし、あの店で彼の作っているものを食べていると邪心が祓われるようになっているから安心よ』との猫又の答えに、僕は胸を撫で下ろした。
アルバイト体験に入ると、朝早くから仕込みの手伝いをする。
寛と女将さんの作った料理を小鉢に盛ってラップをして冷蔵庫に入れるのだが、それも単純ではない。
「五目煮は具材が均等に入るようにして」
「は、はい」
「小松菜のお浸しは、もっとふんわりこんもり中央が盛り上がるように盛って」
「はい」
具材の数とか、盛り方にも様々なやり方があるようだ。
ランチの時間になると、定食を目当てにお客さんがどっと入って来る。
冷蔵庫から出して電子レンジで温めた小鉢をお盆に乗せて、メインの料理であるアナゴの卵焼きも乗せて、ご飯を均等に盛って、お味噌汁も注いで、席に持っていく。
「かーくん、一個ずつでいいからな。無理するなよ」
「分かった。ありがとう、ゆーちゃん」
初めてでアルバイト体験なので、寛は僕に優しい声をかけてくれる。
寛が板前さんで、僕がアルバイトの女の子ならば、これだけで話が進むのではないだろうか。
初めてのアルバイトで緊張する女の子に板前さんが声をかける。
『初めてなんだから無理することないからな。一個ずつ持って行っていいよ』
『ありがとうございます!』
もう恋が生まれそうな雰囲気が頭の中にあった。
一個ずつしかお盆が持てないので、かなり時間がかかってしまったが、最後のテーブルにお盆を持って行ったところで、僕は椅子の脇に大事に置かれている紙袋に目が行った。
僕がものすごく好きで、寛と一緒に美術展にも行ったキャラクターグッズのお店の紙袋だったのだ。
「このキャラクター、好き? 見て、このカモさんとブタさんのスリッパ!」
嬉しそうにスリッパを出して見せて来る女子高生のような格好をした相手が人間ではないことは気付いていた。気付いていたのだが、僕はそれよりもキャラクターのグッズに夢中になってしまった。
「それ、限定品じゃないですか!」
「そうなのよー! 日曜日の朝に、十一歳の男の子が一人でお店に行って、並んで、私のために買って来てくれたの! めちゃくちゃ嬉しくない?」
「それは嬉しいですよね」
僕が同意すると、女子高生のような格好をした相手は満面の笑みを見せている。
「フェラガモにルブタンの靴が欲しいって言ったのを、ブタさんとカモさんと間違えるなんて、可愛すぎる! 大人になったら、絶対婿に貰うわ!」
人間とひとではないものの間にも恋愛感情があって、将来は結婚するとかいう話になっている。
きっとその男の子もひとではないものが見える子なのだろう。
「そうだ、アルバイトの女の子をひとではなくしたら……」
スリッパを抱き締めて喜ぶ女子高生のような格好をした相手を見て、僕は思い付いていあ。
アルバイトの女の子は、実は人間ではなかった。
山の中で板前さんにお腹を空かせているところを助けられた獣で、人間に化けて恩返しをしようとしている。
人間ではないことに負い目を持って恋愛がじりじりと進まなくて、切ない感じも書けるし、今流行りの妖ものも書けるし、一石二鳥な気がしていた。
「素敵なものを見せてもらってありがとうございます」
僕が女子高生のような格好をした相手にお礼を言うと、彼女はスリッパを片付けながら微笑んでいる。
「給食がなければ、あの子も連れて来れるのになぁ」
僕と女子高生のような格好をした相手が喋っていると、寛が顔を出す。仕事をさぼって話していたので怒られるかと思えば、寛は女子高生のような格好をした相手に声をかけていた。
「学校、ちゃんと行けよ」
「えー……このひと、気付いてないの?」
「なんのことだ?」
女子高生のような格好をした相手の後ろに、百足の影が見えた気がする。震え上がる僕に、女子高生のような格好をした相手は、ウインクして見せる。
彼女は百足の妖怪だったようだ。
百足だから足がたくさんあって靴が好きなのか。
さすがに小説の中のアルバイトの女の子を百足にしようとは思わなかったけれど、百足も恋をするのだと僕は知った。
まだ十一歳の男の子に好かれて、プレゼントまでもらっている百足。
十一歳のお小遣いからしてみれば、ブタさんとカモさんのスリッパは決して安くなかったはずだ。
それを躊躇いなく渡せるくらいに彼女は愛されている。
百足と言う設定は活かせないが、僕はスリッパを渡す妖に恋した子の話も番外編で考えていた。
僕のアルバイト体験は、ランチの時間続いて、ランチが終わると食器を食洗器に入れて、それからようやく賄いが食べられた。
「賄いは先に食べておくところと、後で食べるところがある。うちは、夜の営業で賄いを食べないから、この時間に食べてる」
「もしかして、僕のため?」
「それもあるけど、まぁ、家で晩ご飯は食べたいからな」
誤魔化しているが僕には寛が僕のために賄いをお店で食べなくて、帰ってから食べてくれているように思えてならなかった。
ネットでの打ち合わせだけでも構わなかったのだが、僕は出来るだけ寛のお店にお金を落としたいし、鈴木さんもこちらに来ることがあればできるだけ僕に会っておきたいという要望があった。
出張で九州の方に来ていた鈴木さんと時間を合わせて寛のお店で会う。
鈴木さんはしばらく来ていない間に増えたメニューに興味津々だった。
「鯛ラーメンですって。美味しそう。握りもあるのね。太巻きも、カリフォルニアロールも、アナゴの押し寿司も。全部美味しそうだわ」
「鈴木さん、炭水化物ばかりですよ」
「そうなんですよー! 私、炭水化物の虜なんです」
コース料理は頼まずに自由に注文していくと、鈴木さんはご飯が少なめの握り寿司を食べ、アナゴの押し寿司とカリフォルニアロールを僕とシェアし、締めに鯛ラーメンを食べていた。
「焼きおにぎりのお茶漬けも気になったんですけどね、流石に入らない」
「よく食べましたね」
「美味しいものはたっぷり食べておかないと、後悔しますからね。今日は飲まないって決めてたから、その分食べたんです」
よくもその細い小柄な体に入ったものだと驚きつつ、食後のお茶を飲み始めたところで、鈴木さんは打ち合わせに入った。
二人だけの座敷席で、鈴木さんが話す。
「最近は料理物が流行ってるじゃないですか。メープル先生も流行に乗って、料理物書いてみませんか?」
「料理物ですか?」
「異世界で料理屋を開くのでもいいし、妖の集う料理屋でもいいし、普通の料理屋でも。メープル先生なら甘く切ないロマンスが書けそうです」
僕に求められているのはロマンスなのだ。
その点に関しては安心する。
これがホラーを書いてくれとか、ミステリを書いてくれとか言われたら困ってしまう。
甘く切ない恋。
男女のこともあるし、同性同士のこともある。
どちらも僕が書きたいものはそれだけで、舞台が異世界であろうと、SFであろうと、現代ファンタジーであろうと、現代ものであろうと、ひとを書くのは同じなので変わらないと考えていた。
「小料理屋の板前さんと、アルバイトの恋とかどうですかね?」
「今回のレーベルは男女の恋愛なので、男女でお願いできますか?」
「それなら、板前さんが男性で、アルバイトの子が女性ですね」
「現代ものですね。いいと思います」
話はとんとん拍子に進んでいった。
鈴木さんをタクシーに乗せて送り出してから、僕は寛に正直に相談していた。
「次の仕事の話なんだけど、小料理屋の板前さんとアルバイトの女の子のロマンスを書くんだ。僕、バイトの経験もないし、料理屋って何をするのか分からないんだけど……」
僕が言えば寛は「ちょっと待ってろ」と言って奥に入って行った。
少しして女将さんと一緒に出て来る。
「一日、アルバイト体験をしてみる? 料理は家で寛くんに習えばいいでしょう?」
「いいんですか?」
「体験してみるのが一番早いからね」
僕は女将さんと寛の好意でこの料理屋でアルバイト体験をさせてもらえることになった。
料理は家で習えばいいと言われたが、それは後回しにして、一日アルバイトの準備を始めた。
料理屋で働くには検便が必要である。
「法的に決められてるわけじゃないんだけど、保健所の要請があったら必ずしなければいけないんだよな。そうじゃなくても、食中毒が出たら店のイメージダウンだから、一応、店で働いてくれるひとには受けてもらっている」
そういうことを寛は定期的にやっていたのか。
こんなことも僕は全然知らなかった。
検便の結果が出るまで一週間は、僕はプロットを練ったり、キャラクターを作ったりして過ごしていた。
結果が出てようやくアルバイト体験に入ることができる。
人間でないお客さんは怖いので、念のため、対処の仕方を猫又に聞いてみることにした。
タロットクロスを広げてタロットカードを混ぜると、ペンタクルのナイトの正位置が出る。
意味は、現実性。
絶対に裏切らない相手という意味もあった。
『不動明王様は絶対にあなたを裏切らないわ。不動明王様が目を配っている限り、あの店で暴れることはできないし、あの店で彼の作っているものを食べていると邪心が祓われるようになっているから安心よ』との猫又の答えに、僕は胸を撫で下ろした。
アルバイト体験に入ると、朝早くから仕込みの手伝いをする。
寛と女将さんの作った料理を小鉢に盛ってラップをして冷蔵庫に入れるのだが、それも単純ではない。
「五目煮は具材が均等に入るようにして」
「は、はい」
「小松菜のお浸しは、もっとふんわりこんもり中央が盛り上がるように盛って」
「はい」
具材の数とか、盛り方にも様々なやり方があるようだ。
ランチの時間になると、定食を目当てにお客さんがどっと入って来る。
冷蔵庫から出して電子レンジで温めた小鉢をお盆に乗せて、メインの料理であるアナゴの卵焼きも乗せて、ご飯を均等に盛って、お味噌汁も注いで、席に持っていく。
「かーくん、一個ずつでいいからな。無理するなよ」
「分かった。ありがとう、ゆーちゃん」
初めてでアルバイト体験なので、寛は僕に優しい声をかけてくれる。
寛が板前さんで、僕がアルバイトの女の子ならば、これだけで話が進むのではないだろうか。
初めてのアルバイトで緊張する女の子に板前さんが声をかける。
『初めてなんだから無理することないからな。一個ずつ持って行っていいよ』
『ありがとうございます!』
もう恋が生まれそうな雰囲気が頭の中にあった。
一個ずつしかお盆が持てないので、かなり時間がかかってしまったが、最後のテーブルにお盆を持って行ったところで、僕は椅子の脇に大事に置かれている紙袋に目が行った。
僕がものすごく好きで、寛と一緒に美術展にも行ったキャラクターグッズのお店の紙袋だったのだ。
「このキャラクター、好き? 見て、このカモさんとブタさんのスリッパ!」
嬉しそうにスリッパを出して見せて来る女子高生のような格好をした相手が人間ではないことは気付いていた。気付いていたのだが、僕はそれよりもキャラクターのグッズに夢中になってしまった。
「それ、限定品じゃないですか!」
「そうなのよー! 日曜日の朝に、十一歳の男の子が一人でお店に行って、並んで、私のために買って来てくれたの! めちゃくちゃ嬉しくない?」
「それは嬉しいですよね」
僕が同意すると、女子高生のような格好をした相手は満面の笑みを見せている。
「フェラガモにルブタンの靴が欲しいって言ったのを、ブタさんとカモさんと間違えるなんて、可愛すぎる! 大人になったら、絶対婿に貰うわ!」
人間とひとではないものの間にも恋愛感情があって、将来は結婚するとかいう話になっている。
きっとその男の子もひとではないものが見える子なのだろう。
「そうだ、アルバイトの女の子をひとではなくしたら……」
スリッパを抱き締めて喜ぶ女子高生のような格好をした相手を見て、僕は思い付いていあ。
アルバイトの女の子は、実は人間ではなかった。
山の中で板前さんにお腹を空かせているところを助けられた獣で、人間に化けて恩返しをしようとしている。
人間ではないことに負い目を持って恋愛がじりじりと進まなくて、切ない感じも書けるし、今流行りの妖ものも書けるし、一石二鳥な気がしていた。
「素敵なものを見せてもらってありがとうございます」
僕が女子高生のような格好をした相手にお礼を言うと、彼女はスリッパを片付けながら微笑んでいる。
「給食がなければ、あの子も連れて来れるのになぁ」
僕と女子高生のような格好をした相手が喋っていると、寛が顔を出す。仕事をさぼって話していたので怒られるかと思えば、寛は女子高生のような格好をした相手に声をかけていた。
「学校、ちゃんと行けよ」
「えー……このひと、気付いてないの?」
「なんのことだ?」
女子高生のような格好をした相手の後ろに、百足の影が見えた気がする。震え上がる僕に、女子高生のような格好をした相手は、ウインクして見せる。
彼女は百足の妖怪だったようだ。
百足だから足がたくさんあって靴が好きなのか。
さすがに小説の中のアルバイトの女の子を百足にしようとは思わなかったけれど、百足も恋をするのだと僕は知った。
まだ十一歳の男の子に好かれて、プレゼントまでもらっている百足。
十一歳のお小遣いからしてみれば、ブタさんとカモさんのスリッパは決して安くなかったはずだ。
それを躊躇いなく渡せるくらいに彼女は愛されている。
百足と言う設定は活かせないが、僕はスリッパを渡す妖に恋した子の話も番外編で考えていた。
僕のアルバイト体験は、ランチの時間続いて、ランチが終わると食器を食洗器に入れて、それからようやく賄いが食べられた。
「賄いは先に食べておくところと、後で食べるところがある。うちは、夜の営業で賄いを食べないから、この時間に食べてる」
「もしかして、僕のため?」
「それもあるけど、まぁ、家で晩ご飯は食べたいからな」
誤魔化しているが僕には寛が僕のために賄いをお店で食べなくて、帰ってから食べてくれているように思えてならなかった。
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