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第1部 天然女子高生のためのそーかつ
第1話 自己批判
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東京都千代田区にある私立マルクス高等学校は今時珍しい革新系の学校で、在学生にはリベラルアーツ精神と左派系の思想が叩き込まれている。
「まなちゃんまなちゃん、今日の練習出られなくなっちゃった!」
6限目の授業を終えて硬式テニス部の練習に行こうとした私、野掘真奈は1年生の教室に飛び込んできた赤城旗子先輩に呼びかけられた。
「はたこ先輩、何かあったんですか?」
「この前実力テストがあったんだけど、数学で赤点取ったから補習と再試なんだよ! 赤城さんが赤点で再試なんてシャレにならないよ!!」
2年生にして部活の先輩であるところのはたこ先輩は以前から成績はあまり良くなかったけど、再試にかかったのは確かにこれが初めてのはずだ。
「それは仕方ないですね、じゃあ真面目に勉強してください」
「まなちゃん、君は何か大事なことを忘れてるよ。だって考えてみてよ、学校の先生の仕事は生徒に教科書の内容を理解させることでしょ? それでお金貰ってるんでしょ?」
「……で?」
はたこ先輩がまた暴走し始めたことを察し、私はこの場から逃げる準備をしながら尋ねた。
「先生は私という生徒に教科書の内容を理解させられなかったんだよ。教育でお金を稼いでるのにまともに教育ができなかったんだから、私がその埋め合わせをさせられるなんておかしいよ! そうだ、先生には自己批判が必要なんだよ!! そーかつ!!」
先輩は一息に言うとそのまま教室を飛び出し、職員室を目指して階段を駆け下りていった。
その日は普通に部活の練習に出て帰宅し、翌日登校した私が見たものは……
「うっ……うっ……」
「あれ、どうしたんですか先輩。先生に自己批判させたんじゃないんですか?」
5冊もの分厚いテキストを与えられ、教室の前の廊下に隔離された座席で泣きながら数学の問題に取り組んでいるはたこ先輩の姿だった。
「先生に自己批判してくださいって言ったら、お前みたいな落ちこぼれに補習をさせられるせいでまともな生徒を教育するリソースが奪われるんだから、補習と再試をやめる代わりに今週中に課題を出せって言われて。ついでに授業にも出るなって総括されて……」
「あーあ……」
素直に補習と再試を受けた方がましだったのは明らかだが、これも自己批判のよい機会になったのだろう。
(続く)
「まなちゃんまなちゃん、今日の練習出られなくなっちゃった!」
6限目の授業を終えて硬式テニス部の練習に行こうとした私、野掘真奈は1年生の教室に飛び込んできた赤城旗子先輩に呼びかけられた。
「はたこ先輩、何かあったんですか?」
「この前実力テストがあったんだけど、数学で赤点取ったから補習と再試なんだよ! 赤城さんが赤点で再試なんてシャレにならないよ!!」
2年生にして部活の先輩であるところのはたこ先輩は以前から成績はあまり良くなかったけど、再試にかかったのは確かにこれが初めてのはずだ。
「それは仕方ないですね、じゃあ真面目に勉強してください」
「まなちゃん、君は何か大事なことを忘れてるよ。だって考えてみてよ、学校の先生の仕事は生徒に教科書の内容を理解させることでしょ? それでお金貰ってるんでしょ?」
「……で?」
はたこ先輩がまた暴走し始めたことを察し、私はこの場から逃げる準備をしながら尋ねた。
「先生は私という生徒に教科書の内容を理解させられなかったんだよ。教育でお金を稼いでるのにまともに教育ができなかったんだから、私がその埋め合わせをさせられるなんておかしいよ! そうだ、先生には自己批判が必要なんだよ!! そーかつ!!」
先輩は一息に言うとそのまま教室を飛び出し、職員室を目指して階段を駆け下りていった。
その日は普通に部活の練習に出て帰宅し、翌日登校した私が見たものは……
「うっ……うっ……」
「あれ、どうしたんですか先輩。先生に自己批判させたんじゃないんですか?」
5冊もの分厚いテキストを与えられ、教室の前の廊下に隔離された座席で泣きながら数学の問題に取り組んでいるはたこ先輩の姿だった。
「先生に自己批判してくださいって言ったら、お前みたいな落ちこぼれに補習をさせられるせいでまともな生徒を教育するリソースが奪われるんだから、補習と再試をやめる代わりに今週中に課題を出せって言われて。ついでに授業にも出るなって総括されて……」
「あーあ……」
素直に補習と再試を受けた方がましだったのは明らかだが、これも自己批判のよい機会になったのだろう。
(続く)
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